第101回(H30) 助産師国家試験 解説【午前11~15】

 

11 Aさん(38歳)は、産後3か月で母乳育児を行っており、経口避妊薬による避妊を希望している。
 Aさんに提供する情報で正しいのはどれか。

1.「コンドームの方が避妊効果は高いです」
2.「母乳育児中は避妊の必要はありません」
3.「内服開始は産後6か月以降が推奨されています」
4.「経口避妊薬の内服は母乳分泌量に影響しません」

解答

解説

本症例のポイント

・Aさん(38歳)
産後3か月母乳育児中
経口避妊薬による避妊を希望。
→経口避妊薬の服用が禁忌な場合に、授乳婦が含まれている。Aさんは、母乳育児中であるため禁忌に該当する。ちなみに、授乳婦の経口避妊薬の開始は6か月以降を推奨している。

1.× コンドームの方が避妊効果は「高い」のではなく低い。経口避妊薬を正しく服用すれば、妊娠する確率はわずか0.3%である。一方、コンドームは、正しく使えば妊娠する確率は2%(理想的な使い方)であるtが、正しく使用していなかったり、外れてしまうケースも多く、その場合の妊娠する確率は18%である。いずれにしても、コンドームの方が避妊効果は低い
2.× 母乳育児中であっても、避妊の必要がある。なぜなら、授乳中はずっとプロラクチンが分泌し、このホルモンが排卵を抑制し妊娠しにくくはなるが、妊娠しないとはいえないため。また、授乳中であっても約50%が20週までに排卵する。授乳をやめると、ほとんどの人が6週間以内に月経が再開する。授乳をしない場合は、産後2~3か月で月経が始まることが多くある。
3.〇 正しい。「内服開始は産後6か月以降が推奨されています」と説明する。経口避妊薬の服用が禁忌な場合に、授乳婦が含まれている。Aさんは、母乳育児中であるため禁忌に該当する。また、他の再開開始目処として、「非授乳婦は、他に深部静脈血栓症の危険因子がない場合は産後21日以降に、他の深部静脈血栓症の危険因子がある場合は分娩後42日以降に服用を開始する」と規定されている。
4.× 経口避妊薬の内服は、母乳分泌量に「影響する」。米国経口避妊薬添付文書ガイダンスに「経口避妊薬を服用した授乳婦において母乳の量、質とも低下するとの報告がある。」と記載されている。経口避妊薬の作用について、卵巣ホルモンに類似する。摂取すると、視床下部からのゴナドトロピン放出ホルモンの分泌が抑制され、これにより排卵を促進する下垂体ホルモンの分泌が抑制される。

経口避妊薬の服用が禁忌な場合

①本剤の成分に対し過敏性素因のある女性
②エストロゲン依存性腫瘍(例えば乳癌、子宮体癌、子宮筋腫),子宮頸癌、性器癌及びその疑いのある患者
③診断の確定していない異常性器出血のある患者
④血栓性静脈炎,肺塞栓症,脳血管障害,冠動脈疾患またはその既往歴のある患者
⑤35歳以上で1日15本以上の喫煙者
⑥血栓症素因のある女性
⑦抗リン脂質抗体症候群の患者
⑧大手術の術前4週以内,術後2週以内,産後4週以内及び長期間安静状態の患者
⑨重篤な肝障害のある患者
⑩肝腫瘍のある患者
⑪脂質代謝異常のある患者
⑫高血圧のある患者(軽度の高血圧の患者を除く)
⑬耳硬化症の患者
⑭妊娠中に黄疸、持続性そう痒症または妊娠ヘルペスの既往歴のある女性
⑮妊娠または妊娠している可能性のある女性
⑯授乳婦
⑰思春期前の女性

(一部引用:「経口避妊薬(OC)の処方の手順」日本産婦人科医会より)

 

 

 

 

12 Aさん(35歳、1回経産婦)。8年前に女児を正常分娩した。今回の妊娠経過は順調であったが、妊娠40週2日、分娩第2期に胎児心拍数が低下し、会陰切開後に体重3,980gの男児を吸引分娩で出産した。分娩時の総出血量は400mLであった。産褥1日、母児同室が開始され、児の吸啜は良好であった。Aさんは「2人目なのでもっと楽に産めると思っていたが、吸引分娩なんて思ってもみなかった。久しぶりの育児で、戸惑うことが多い」と疲れた表情で助産師に話した。
 Aさんへの対応で優先されるのはどれか。

1.育児指導を行う。
2.授乳を介助する。
3.バースレビューを行う。
4.貧血の症状を確認する。

解答

解説

本症例のポイント

・Aさん(35歳、1回経産婦)
・8年前:女児(正常分娩)
・今回の妊娠経過:順調(体重3,980gの男児)
・妊娠40週2日:吸引分娩(分娩第2期にて胎児心拍数低下)
・分娩時の総出血量:400mL
産褥1日:母児同室開始、児の吸啜良好
・Aさん「2人目なのでもっと楽に産めると思っていたが、吸引分娩なんて思ってもみなかった。久しぶりの育児で、戸惑うことが多い」と疲れた表情で話した。
→バースレビューとは、分娩後のお母さんに、今回のお産の体験について振り返ってもらい、お産は想像した通りだったのか、どんなことを感じていたのかなどを、お産をご一緒した助産師と話し合う機会を持つものである。本症例の場合、「楽に産める」と「吸引分娩なんて思ってもみなかった」とギャップを感じている。戸惑いや疲労感も観察されるため、現実と理想の差は他にもありそうである。したがって、お産の自己評価の改善のためにもバースレビューを一緒に話し合う機会を作る。

1.× 育児指導を行うより優先度が高いものが他にある。なぜなら、現在は産褥1日目であり、Aさんから育児指導についての希望は聞かれていないため。ただし「久しぶりの育児で、戸惑うことが多い」と8年前に第1子出産していることや、第1子が女児、第2子が男児であることなどを考慮すると、8年前に第1子出産していることから、希望があれば臨機応変に育児指導を行う必要がある。
2.× 授乳を介助するより優先度が高いものが他にある。なぜなら、児の吸啜は良好であるため。
3.〇 正しい。バースレビューを行う。バースレビューとは、分娩後のお母さんに、今回のお産の体験について振り返ってもらい、お産は想像した通りだったのか、どんなことを感じていたのかなどを、お産をご一緒した助産師と話し合う機会を持つものである。本症例の場合、「楽に産める」と「吸引分娩なんて思ってもみなかった」とギャップを感じている。戸惑いや疲労感も観察されるため、現実と理想の差は他にもありそうである。したがって、お産の自己評価の改善のためにもバースレビューを一緒に話し合う機会を作る。
4.× 貧血の症状を確認するより優先度が高いものが他にある。なぜなら、 Aさんの総出血量は400mL(正常範囲)であるため。ちなみに、分娩後異常出血の定義として「産後24時間以内の出血量が経腟分娩で500mL、帝王切開で1000mLを超えるもの」とされている。 妊産婦死亡(妊婦と産褥42日までの死亡)の原因として、日本では分娩後異常出血に続発して起こる産科危機的出血が最も多く26%を占めている。また、産後24時間以内の大量出血(経腟分娩では500mL以上m帝王切開では1000mL以上)に、妊婦は出血に対応できる能力が高く、出血性ショックの症状が出にくい。しかし、1500~2000mL以上出血すると容易に循環血液減少性ショックと血液凝固異常を発症しやすい。

 

 




 

 

13 正期産で出生した新生児。妊娠期および分娩期に異常な経過はなかった。出生時のApgar<アプガー>スコアは1分後8点、5分後9点であった。バイタルサインに問題はない。肥大した陰核の下部から出生直後に排尿があった。鎖肛はない。医師から児の両親に対し、外見のみでは性別判定が難しいため、出生証明書には性別不明と記すことが伝えられた。
 日齢1での両親への対応で適切なのはどれか。

1.両親が妊娠期に希望していた性別の児として扱う。
2.性別判定をするために精査が必要であると伝える。
3.両親が新生児期の性器手術を選択できることをケアの目標とする。
4.性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律の対象になると説明する。

解答

解説

本症例のポイント

・新生児(正期産で出生)
・妊娠期および分娩期:異常な経過なし。
・アプガースコア:1分後8点、5分後9点。
・バイタルサイン:問題はなし。
・出生直後:肥大した陰核の下部から排尿があり
・鎖肛はない。
・医師から「外見のみでは性別判定が難しいため、出生証明書には性別不明と記す
→本症例は、性分化疾患が疑われる。性分化疾患とは、卵巣や精巣などの性腺や子宮などの内性器、あるいは外陰部が典型的な男性または女性の形態をとらない先天性疾患である。様々な疾患が含まれており個々の疾患により病態も異なるため、疾患ごとに対処方法が異なっている。助産師(医療職)は安易に性別決定せず、精密検査をして性別を判断することを伝えることになっている。

・鎖肛とは、生まれつきの直腸や肛門の形成異常(直腸肛門奇形)で、出生5,000人に1人の頻度でみられる。

1.× 両親が妊娠期に希望していた性別の児として扱う必要はない。助産師(医療職)は安易に性別決定せず、精密検査をして性別を判断することを伝えることになっている。
2.〇 正しい。性別判定をするために精査が必要であると伝える。性腺については、エコー検査やMRI検査で精巣や卵巣の特徴を持っているかどうか判定する。ホルモン負荷試験で男性ホルモンや女性ホルモンを作る力を調べる方法もある。また、内性器について、男性の評価は難しいが、女性の場合はエコー検査やMRI検査、内視鏡検査や造影検査で形やサイズを評価できる。法律上の性を決める際(関連する法律:戸籍法)には、様々な検査を早急にかつ効率よく行う必要がある。
3.× 両親が、「新生児期」ではなく「生後6か月〜12か月から」の性器手術を選択できることをケアの目標とする。性器手術(外陰形成術)は生後6か月〜12か月から行う。新生児とは、生後4週間まで期間をいう。
4.× 性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律の「対象にはならない」と説明する。なぜなら、性分化疾患は性同一性障害とは異なるため。性同一性障害・性別違和・性別不合とは、出生時に割り当てられた性別と異なる性の自己意識を持ち、自らの身体的性別に持続的な違和感を覚える状態をいう。自己意識に一致する性別を求め、時には自らの身体的性別を自己意識のそれに近づけるべく、医療を望むこともある。ちなみに、性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律とは、2003年7月10日に成立した日本の法律で、性同一性障害者のうち特定の要件を満たす者につき、家庭裁判所の審判により、法令上の性別の取扱いと、戸籍上の性別記載を変更できるものである。

早産児への対応

早産児では、
①外性器の発達が未熟であり、精巣下降が生理的に不十分な場合があることや陰茎長の基準値 がないこと。
②一般状態が不良で、浮腫などにより診察所見が充分得られなかったり、脂肪組織が少ないために陰核を肥大 と過大評価してしまうことがあること。
③経験豊富な医師による診察の機会が作れない場合があることから、早期性別判定がしばしば困難となり、経時的に詳細な観察を要する。

そのため、判定に時間がかかることを伝え、拙速な判断はしないようにするが、生命予後不良な場合には、保険などの社会的な要因を考慮して中途での判断もやむを得ない。この場合、戸籍上の性変更が可能であることを伝える。

「※一部引用:「性分化疾患初期対応の手引き」日本小児内分泌学会性分化委員会」

(※画像引用:ナース専科様HPより)

 

 

 

 

 

14 母子健康包括支援センター<子育て世代包括支援センター>について正しいのはどれか。

1.妊娠・出産包括支援事業とは別に事業を実施する。
2.平成28年度(2016年度)に全市町村に設置された。
3.妊娠前から子育て期にわたる支援を行う。
4.不妊治療を行う。

解答

解説

母子健康包括支援センターとは?

母子健康包括支援センターとは、母子保健法により規定されている。妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない支援を行うことを目的とし、市町村は子育て世代包括支援センターを設置することが規定されている。子育て世代包括支援センター(母子健康包括支援センター)は、主に乳幼児を中心とした母子保健に関する相談への対応を行っている。子育て世代包括支援センターとは、母子保健法に基づき市町村が設置するもので、保健師等の専門スタッフが妊娠・出産・育児に関する様々な相談に対応し、必要に応じて支援プランの策定や地域の保健医療福祉の関係機関との連絡調整を行うなど、妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない支援を一体的に提供している。

(図引用:「妊娠・出産包括支援事業の展開」あきる野市HPより)

1.× 妊娠・出産包括支援事業と、「別に」ではなく連携して事業を実施する。妊娠・出産包括支援事業とは、家族等から十分な家事・育児等の援助が受けられず、育児支援を必要とする妊産婦を対象に、妊娠から出産までの切れ目のない支援を提供し、もって、子どもを産み育てやすい環境を整備するものとしている。
2.× 平成28年度(2016年度)では、全市町村に設置されていない平成32年(2020年)までに全市町村に設置することを目指している。以下引用:子育て世代包括支援センターについては、「少子化社会対策大綱」(平成27年3月20日閣議決 定)及び「まち・ひと・しごと創生総合戦略(2015年改訂版)」(平成27年12月24日)において、おおむね平成32年度末までに、地域の実情等を踏まえながら、全国展開を目指すこととされています(※一部引用:「平成28年度 子育て世代包括支援センター」厚生労働省HPより)。
3.〇 正しい。妊娠前から子育て期にわたる支援を行う。子育て世代包括支援センターとは、母子保健法に基づき市町村が設置するもので、保健師等の専門スタッフが妊娠・出産・育児に関する様々な相談に対応し、必要に応じて支援プランの策定や地域の保健医療福祉の関係機関との連絡調整を行うなど、妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない支援を一体的に提供している。
4.× 不妊治療を行うものではない。主に、妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない支援があげられる。

 

 




 

 

15 350床の病院で助産師外来が行われている。助産師外来のケアの方針は病院のホームページ上に提示し、妊婦のリスク評価は医師が単独で判断している。担当する助産師は実践能力について評価した上で決定され、勤務シフトの中に助産師外来担当者の配置が設定されている。助産師外来におけるケアの質を評価することとなった。
 改善を行う必要性が高いのはどれか。

1.ケアの方針を提示する媒体
2.妊婦のリスク評価の方法
3.助産師外来担当者の選定方法
4.助産師外来担当者の勤務シフトの設定

解答

解説

本症例のポイント

・350床の病院
・助産師外来のケアの方針「妊婦のリスク評価は医師が単独で判断している」。
・担当する助産師の設定:①実践能力について評価した上で決定、②勤務シフトの中に助産師外来担当者の配置する。
・助産師外来におけるケアの質を評価する。
→医師が単独で判断することに対して、医師がすべての部署やリスクを配慮できているとは考えにくい。また負担も大きいと考えられる。チーム医療でそれぞれが意見を出し合えるよう改善が必要である。

1.× ケアの方針を提示する媒体より優先度が高いものが他にある。なぜなら、ケアの方針は病院のホームページに提示しているため。ホームページは、誰にでもアクセスできるできるため利用するものに周知できる。
2.〇 正しい。妊婦のリスク評価の方法について改善を行う必要性が高い。なぜなら、医師が単独で判断することに対して、医師がすべての部署やリスクを配慮できているとは考えにくいため。また負担も大きいと考えられる。チーム医療でそれぞれが意見を出し合えるよう改善が必要である。
3.× 助産師外来担当者の選定方法より優先度が高いものが他にある。なぜなら、担当する助産師の設定は、実践能力について評価した上で決定されるため。実践の能力が加味されているため事故も少ないことが予想される。
4.× 助産師外来担当者の勤務シフトの設定より優先度が高いものが他にある。なぜなら、勤務シフトの中に助産師外来担当者の配置するよう決められているため。当たり前だが、勤務シフト外から配置してしまうと出勤に穴が空いてしまう。

 

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