第101回(H30) 助産師国家試験 解説【午前21~25】

 

21 50歳の未産婦。2か月前から不正性器出血があり、細胞診による子宮体癌の検査を受けた。その日の夜に38.3℃の発熱があり、下腹部の中央に痛みが出現したため産婦人科を受診した。排尿時に痛みはなかった。
 この状況で最も考えられる疾患はどれか。

1.異所性妊娠
2.子宮内膜炎
3.腎盂腎炎
4.虫垂炎
5.膀胱炎

解答

解説

本症例のポイント

・未産婦(50歳)
・2か月前:不正性器出血、細胞診による子宮体癌の検査
・夜:38.3℃の発熱、下腹部の中央に痛みが出現。
・排尿時:痛みはなし。
→本症例は、子宮内膜炎が疑われる。原因として、細胞診による子宮体癌の検査において、汚染された器具を用いた場合に続発することがある。産褥子宮内膜炎とは、子宮の感染症であり、通常は下部性器や消化管から上行してくる細菌によって引き起こされる。症状は、子宮の圧痛・腹痛または骨盤痛・発熱・倦怠感ときに分泌物がみられる。 診断は臨床的に行うが、まれに培養を要する。 治療は広域抗菌薬(例:クリンダマイシンとゲンタマイシンの併用)による。ちなみに、子宮内膜炎は、分娩中または分娩後における絨毛膜羊膜炎の後に発生しうる。素因となる状態としては、①前期破水および長時間の分娩、②内測式胎児モニタリング、③遷延分娩、④帝王切開、⑤頻回の指による内診、⑥胎盤断片の子宮内残留、⑦分娩後出血などがあげられる。

1.× 異所性妊娠とは、正常妊娠と異なり、受精卵が子宮内膜以外に着床し、胎芽・胎児の発育が進んでしまうことである。最も多いのは卵管に着床するケースで、そのほかに卵巣や腹腔、子宮頸管などに着床することもある。全妊娠数の1%程度で発症する。卵管妊娠(子宮外妊娠、異所性妊娠)の原因として、性感染症であるクラミジアや一般細菌などへの感染が卵管付近の炎症を引き起こしたり、卵管の癒着につながったりするとされている。無月経・性器出血・下腹部痛を三主徴とする。初期には軽い下腹部痛・腰痛をみるのみであるが、大量出血となると循環虚脱を起こし腹膜刺激症状やショック症状を呈する。
2.〇 正しい。子宮内膜炎が最も考えられる疾患である。原因として、細胞診による子宮体癌の検査において、汚染された器具を用いた場合に続発することがある。産褥子宮内膜炎とは、子宮の感染症であり、通常は下部性器や消化管から上行してくる細菌によって引き起こされる。症状は、子宮の圧痛・腹痛または骨盤痛・発熱・倦怠感ときに分泌物がみられる。 診断は臨床的に行うが、まれに培養を要する。 治療は広域抗菌薬(例:クリンダマイシンとゲンタマイシンの併用)による。ちなみに、子宮内膜炎は、分娩中または分娩後における絨毛膜羊膜炎の後に発生しうる。素因となる状態としては、①前期破水および長時間の分娩、②内測式胎児モニタリング、③遷延分娩、④帝王切開、⑤頻回の指による内診、⑥胎盤断片の子宮内残留、⑦分娩後出血などがあげられる。
3~5.× 腎盂腎炎とは、尿を出すところから細菌(大腸菌など)が入り込み、膀胱から腎臓まで感染が広がることである。膀胱炎の症状は頻尿、排尿痛、尿混濁が三大症状である。膀胱炎と同様に排尿時痛、頻尿、残尿感などの症状に加え、発熱、全身倦怠感などの全身症状、腰や背中の痛み、悪心、嘔吐などの消化器症状などがあげられる。本症例は、排尿時が痛みはないことからも腎盂腎炎や膀胱炎は否定できる。
4.× 虫垂炎とは、何らかの原因で虫垂に炎症が起こる病態を指し、一般的には「もうちょう」として知られている。典型的な初期症状は、吐気・嘔吐・食欲不振・心窩部痛であり、痛みは時間の経過とともに右下腹部に移行する。本症例は、下腹部の中央に痛みが出現していることからも虫垂炎は否定できる。

尿路感染症

尿路感染症は、感染診断名としては、①腎盂腎炎と②膀胱炎とに分けられる。一方で、その病態による一般的分類法として尿路基礎疾患のある・なしで、複雑性と単純性とに分ける。頻度として多い女性の急性単純性膀胱炎は外来治療の対象である。急性単純性腎盂腎炎は高熱のある場合、入院が必要なこともある。複雑性尿路感染症は、膀胱炎、腎盂腎炎とも、症状軽微な場合、外来治療が原則であるが、複雑性腎盂腎炎で尿路閉塞機転が強く高熱が認められるものでは、入院の上、腎瘻造設などの外科的ドレナージを要することもある。それら病態を見極めるための検査として、画像診断(超音波断層、静脈性腎盂造影、X線CTなど)が必要となる。感染症としての診断には、適切な採尿法による検尿で膿尿を証明すること、尿培養にて原因菌を同定し
薬剤感受性を検査することが基本である。

【疑うべき臨床症状】
尿路感染症の症状は、急性単純性膀胱炎では排尿痛、頻尿、尿意切迫感、残尿感、下腹部痛が、急性単純性腎盂腎炎では発熱、悪寒、側腹部痛が、主たるものである。複雑性尿路感染症では膀胱炎、腎盂腎炎それぞれにおいて、単純性と同様の症状が見られるが、無症状に近いものから、強い症状を呈するものまで幅が広い。上部尿路閉塞に伴う膿腎症では高熱が続くこともある。

(※引用:「尿路感染症」より)

(※画像引用:「尿路感染症 表3 腎盂腎炎の重症度判定のための所見,検査」より)

 

 

 

 

 

22 男性不妊について正しいのはどれか。

1.造精機能障害は男性不妊の50%を占める。
2.造精機能障害ではテストステロンが上昇する。
3.Huhner<フーナー>試験は精子の受精能をみる。
4.無精子症は前進運動精子が32%未満のものをいう。
5.乏精子症は精子数が1,500万/mL未満のものをいう。

解答

解説

造精機能障害とは?

不妊症の男性因子は、①造精機能障害、②精路通過障害、③射精障害に分類される。①造精機能障害とは、精子を作る機能に障害があり、精子濃度や運動率といった精子の機能が弱まってしまう状態のことを指す。造精機能障害には、①先天性(Klinefelter<クラインフェルター>症候群など)、②医原性のもの(化学療法・放射線療法など)、③精索静脈瘤によるもの、④突発性がある。このなかでは④突発性機能障害が最も多い。精子の機能が弱まる(=精液所見が悪くなる)ことで、自然妊娠が難しくなり、人工授精や体外受精、顕微授精をすることになる。①造精機能障害の原因として、約半分は原因不明なのに対し、精索静脈瘤が36.6%で、ホルモン低下によるものは1.2%である。いずれも治療可能な疾患である。

【精液検査の基準値】
①精液量:1.4ml以上
②精液濃度:1600万/ml以上
③運動率:42%以上
④総運動精子数(精液量×精子濃度×運動率):1638万以上
⑤正常形態率:4%以上(奇形率96%未満)

1.× 造精機能障害は、男性不妊の「50%」ではなく「約80%」を占める。一般男性の約20人に1人は男性不妊症といわれ、原因のうち約80%が造精機能障害である。造精機能障害とは、精子を作る機能に障害があり、精子濃度や運動率といった精子の機能が弱まってしまう状態のことを指す。造精機能障害には、①先天性(Klinefelter<クラインフェルター>症候群など)、②医原性のもの(化学療法・放射線療法など)、③精索静脈瘤によるもの、④突発性がある。このなかでは④突発性機能障害が最も多い。精子の機能が弱まる(=精液所見が悪くなる)ことで、自然妊娠が難しくなり、人工授精や体外受精、顕微授精をすることになる。①造精機能障害の原因として、約半分は原因不明なのに対し、精索静脈瘤が36.6%で、ホルモン低下によるものは1.2%である。いずれも治療可能な疾患である。
2.× 造精機能障害ではテストステロンが「上昇」ではなく低下する。造精機能障害の先天性(Klinefelter<クラインフェルター>症候群など)は、性染色体異常の一種で男性は精巣が発達せず、男性ホルモン(テストステロン)の分泌も少ないため、多くは無精子症となる。ちなみに、テストステロン(アンドロゲン、男性ホルモン)は、副腎皮質から分泌される。
3.× Huhner<フーナー>試験は、「精子の受精能」ではなく頸管粘液中の精子の数と動きをみる。Huhner〈フーナー〉試験(性交後検査)とは、頸管粘液中の精子の数と動きを調べることで、子宮内に十分な精子が侵入しているかどうかを推測する検査である。排卵期の静甲後に、子宮頚管粘液を採取し運動精子を観察する。粘液中に精子が確認できなければ無精子症や抗精子抗体、子宮頸管炎などが疑われる。ちなみに、精子の受精能の検査として、精子受精能検査(アクロビーズテスト)があげられる。受精時に精子が頭の形を変え、様々な酵素を出し(先体反応)、透明帯へ潜りこんでいく能力を検査する。。
4.× 無精子症は、「前進運動精子が32%未満のもの」ではなく「精子がまったく認められないもの」をいう。一方、精子無力症とは、①精子運動率が40%以下、②前進運動率が32%以下のことをいう。健常男性の精子運動率は通常60〜80%である。
5.〇 正しい。乏精子症は精子数が1,500万/mL未満のものをいう。乏精子症とは、精子の数が一般的な数値よりも少ない状態である。乏精子症の程度によって、軽度・中等度・高度に分けられる。正常値:1ccあたり1500万以上。1500万以下:軽度、1000万以下:中等度、500万以下:高度と区分される。

Klinefelter症候群とは?

Klinefelter(クラインフェルター)症候群とは、性染色体異常により生じる先天異常で、高身長・精子形成不全・無精子症などの性腺機能不全、言語発達遅延、女性化乳房が特徴である。

 

 




 

 

23 羊水量が少ない場合に形成が阻害される胎児の臓器はどれか。

1.食道
2.肺
3.大腸
4.腎臓
5.膀胱

解答

解説

羊水過少とは?

羊水過少とは、AFI5以下をいう。AFI(amniotic fluid index)とは、子宮の各4分の1について羊水深度を垂直に計測した値の合計である。羊水過多は、羊水の吸収が減るか、産生が増えることによって起きる。吸収が減少する病態として、食道閉鎖や十二指腸閉鎖などの上部消化管閉鎖(狭窄)などの先天異常、染色体異常などで機能的に嚥下ができない場合がある。 また、上部消化管周囲から羊水の通過を妨げる口腔、頸部、肺などの腫瘍も原因となる。

1.× 食道閉鎖が起こり、羊水量が少なくなる。羊水過多は、羊水の吸収が減るか、産生が増えることによって起きる。吸収が減少する病態として、食道閉鎖や十二指腸閉鎖などの上部消化管閉鎖(狭窄)などの先天異常、染色体異常などで機能的に嚥下ができない場合がある。 また、上部消化管周囲から羊水の通過を妨げる口腔、頸部、肺などの腫瘍も原因となる。
2.〇 正しい。は、羊水量が少ない場合に形成が阻害される。胎児・新生児肺低形成とは、肺胞や気管支・肺葉などの数やサイズの減少を伴う肺の発育形成不全のことをいう。原因の多くは、他の胎児異常に伴い二次的に発症する。その原因の一つは、先天性横隔膜ヘルニアに おける腹腔内臓器や、先天性嚢胞性肺疾患における嚢胞性病変、胎児胸水などによって、胎児肺が圧迫されるためである。また、胎児尿路閉塞性疾患における巨大に拡張した膀胱と、高度の羊水過少によっても生じる。胎児呼吸様運動によって生じる胎児肺に対する圧刺激は、チロシンキナーゼ受容体や成長因子、レチノイン酸シグナル伝達経路を介し、肺の発育を促進させるとされる。すなわち、胎児肺が周囲からの圧迫や羊水過少のために、呼吸様運動を抑制されることで肺低形成が発生すると考えられる(※参考:「胎児・新生児肺低形成」厚生労働省HPより)。 
3.× 大腸閉鎖が起こり、羊水量が少なくなる。消化管は口から食道→胃→十二指腸→小腸(空腸→回腸)→大腸(結腸→直腸)→肛門とつながり、胎児期では羊水が口から上記の道筋をとおり嚥下や吸収が行われている。
4.× 腎臓の血流量減少によって、胎児発育不全(羊水過少の原因)となる。
5.× 膀胱と羊水過少との関連性は薄い。ちなみに、膀胱が胎児腹腔内の多くを占めるほど巨大(巨大膀胱)になっている場合、尿道の狭窄による通過障害が考えられる。これにより水尿管症、水腎症を呈することが多く、狭窄が強い場合には腎機能低下をきたし、腎不全の状態に至るものもある。

 

 

 

 

 

24 血中hCG<ヒト絨毛性ゴナドトロピン>が妊娠週数における基準値よりも高値である場合に考えられるのはどれか。

1.流産
2.子宮筋腫
3.胞状奇胎
4.前置胎盤
5.妊娠糖尿病

解答

解説

ヒト絨毛性ゴナドトロピンとは?

ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG:human chorionic gonadotropin)とは、妊娠中にのみ測定可能量が著しく産生されるホルモンであり、妊娠の早期発見や自然流産や子宮外妊娠といった妊娠初期によくみられる異常妊娠の診断と管理のために使用される。主に絨毛組織において産生され、妊娠初期の卵巣黄体を刺激してプロゲステロン産生を高め、妊娠の維持に重要な働きをしている。また、胎児精巣に対する性分化作用や母体甲状腺刺激作用がある。絨毛性腫瘍の他に、子宮、卵巣、肺、消化管、膀胱の悪性腫瘍においても異所性発現している例もある。

1.× 流産とは、妊娠したにもかかわらず、妊娠の早い時期に赤ちゃんが亡くなってしまうこと。例えば、妊娠初期の流産の原因は、染色体異常がほとんどを占める。なかには、ウィルスや細菌が原因になる場合があり、風邪、B型肝炎、サイトメガロウィルスは胎児感染し、胎児死亡や重篤な障害が残るケースがある。
2.× 子宮筋腫とは、子宮を構成している平滑筋という筋肉組織由来の良性腫瘍で、比較的若い方から閉経後の方まで高頻度に見られる疾患である。子宮筋腫は切迫流産・早産、前期破水、胎盤の位置異常、妊娠高血圧症候群などのリスクとなる。分娩時または産後に、次回の妊娠を希望する場合や妊娠中の合併症を増加させないために、子宮筋腫核出術を行う場合もある。子宮筋腫の核出とは、子宮筋腫を子宮から取り除くこと(核出)することにより、子宮を残す手術方法である。子宮筋腫を取り除く必要があるかどうかは、子宮筋腫の大きさや症状によって決まる。また子宮筋腫核出術(子宮を残す)あるいは子宮全摘術(子宮をとる)がどちらがよいかは今後妊娠を希望するかどうかがもっとも大きなポイントである。つまり、メリットは、①将来、妊娠の可能性が残せる。②どの子宮筋腫にも適用できることがあげられる。一方で、デメリットとして、①子宮全摘術に比べて出血量が多いことがある。②再発の可能性がある。③癒着が起こることがあるなどがあげられる。
3.〇 正しい。胞状奇胎(読み:ほうじょうきたい)が、血中hCG<ヒト絨毛性ゴナドトロピン>高値である場合に考えられる。胞状奇胎とは、異常な受精卵が増殖したもの、あるいは胎盤の組織が過剰に増殖したものである。患者は妊娠したように見えるが、子宮は正常な妊娠時と比べてはるかに速く大きくなる。ほとんどの場合、吐き気や嘔吐がひどく、性器出血や著しい血圧上昇がみられる。診断には、①超音波検査、②ヒト絨毛性ゴナドトロピン(正常な妊娠の初期に分泌されるホルモン)を測定する血液検査を用いる。吸引による子宮内容除去術を行うことで奇胎を取り除く。胞状奇胎がなくならない場合は、化学療法が必要になる。
4.× 前置胎盤とは、胎盤が正常より低い位置(腟に近い側)に付着してしまい、そのために胎盤が子宮の出口(内子宮口)の一部もしくは全部を覆っている状態のことをいう。頻度として、全分娩の約1%弱を占めている。一般的に前置胎盤は無症状であるが、典型的な症状として①腹痛を伴わない突然の性器出血(警告出血)や大量性器出血があげられる。これらの症状は、お腹が大きくなり張りやすくなる妊娠28週以降に増加するといわれている。前置胎盤の原因はよくわかっていないが、高齢妊娠、喫煙者、多産婦、双胎、以前に子宮の手術を受けた(帝王切開、流産・妊娠中絶手術、筋腫核出)などが前置胎盤のリスクと言われている。
5.× 妊娠糖尿病とは、妊娠中にはじめて発見、または発症した糖尿病まではいかない糖代謝異常のことである。糖代謝異常とは、血液に含まれる糖の量を示す血糖値が上がった状態である。肥満女性は妊娠高血圧症候群、妊娠糖尿病、帝王切開分娩、巨大児などのリスクが高い。妊娠糖尿病になる機序は、妊娠すると、胎盤から出るホルモンの働きでインスリンの働きが抑えられ、また胎盤でインスリンを壊す働きの酵素ができるため、妊娠していないときと比べてインスリンが効きにくい状態になり、血糖が上がりやすくなる。

 

 




 

 

25 授乳中の母親に使用した場合に児への影響が少ない薬剤の特徴で正しいのはどれか。

1.脂溶性が高い。
2.M/P比が高い。
3.分子量が小さい。
4.生物学的利用率が高い。
5.血漿蛋白結合率が高い。

解答

解説

児に関わる薬剤の特徴

薬剤の乳汁中への移行には、①薬剤の分子量、②たんぱく結合率、③脂溶性、④イオン化などの因子が影響を与えます。分子量が大きく、たんぱく結合率が高いほど母乳への移行量が少なくなる。一方、脂溶性の薬剤は、脂質で構成されている細胞膜を通過しやすいため、母乳へ移行しやすくなる。「薬剤の母乳中濃度/母体血漿中濃度の比」(M/P比)が大きい薬剤ほど母乳へ移行しやすい。ほとんどの薬剤は、M/P比は「0〜1,2程度」といわれている。ただし、M/P比は単に母乳中の薬剤濃度の指標であり、乳児が母乳を介して摂取する薬の総用量を計算すると実際にはきわめて少量であることがほとんどである。

1.× 脂溶性が高い薬剤は、児への影響が大きい。なぜなら、脂質で構成されている細胞膜を通過しやすいため。母乳へ移行しやすくなる。脂溶性=脂質に溶けやすいことを意味する。細胞膜が脂質から構成されているため起こる。
2.× M/P比が高い薬剤は、児への影響が大きい。M/P比とは、「薬剤の母乳中濃度/母体血漿中濃度の比」のことである。薬の母乳移行の程度を表す指標として利用され、M/P比が1を超えると「母親の血液中に比べ乳汁中に濃縮されている」ということが考えられている。ほとんどの薬剤は、M/P比は「0〜1,2程度」といわれている。したがって、M/P比が高いということは、母乳への移行が多いといえる。
3.× 分子量が小さい薬剤は、児への影響が大きい。分子量とは、分子の質量の相対的な値のことをいう。水素原子(H)の分子量は1、水素分子(H2)の分子量は2である。分子量が小さいほど母乳中へ移行しやすく、大きいほど移行しにくい。ちなみに、薬剤の分子量500以下というのは、経口吸収性に優れた低分子薬剤となる可能性を高める条件の一つに相当する。
4.× 生物学的利用率が高い薬剤は、児への影響が大きい。生物学的利用率とは、摂取した薬剤が最終的にどの程度血液中に移行するかを示した割合のことである。求め方として「生物学的利用率(%)=経口投与AUC/静脈投与AUC × 100」で求められる。したがって、生物学的利用率の低い薬剤は、母乳を介しての児への影響がより少なくなる。
5.〇 正しい。血漿蛋白結合率が高い特徴を持つ薬物は、授乳中の母親に使用した場合に児への影響が少ない。血漿蛋白結合は、薬物と血漿蛋白質の間の結合のことである。薬物の効果は、血漿蛋白質との結合しやすさに影響を受ける。より蛋白質との結合が弱い薬物はより効率よく細胞膜を透過し組織中に拡散する。このことから薬剤は、血液中で血漿蛋白と結合する①結合型と②非結合型(遊離型)に分けられる。血漿蛋白と結合した薬剤(①結合型)は、 腺房細胞の細胞膜を通過できないため母乳中へ移行しない。したがって、血漿蛋白結合率が高い薬剤は母乳へ移行しにくい。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)