第101回(H30) 助産師国家試験 解説【午後21~25】

 

21 Aさん(18歳、高校生)。思春期外来を受診した。Aさんは「月経周期が一定でないので心配。25日から30日と、早く来たり普通に来たりで、7日間ぐらい続きます。体重が62kgあることが気になって、3年くらい前からダイエットしました。今は身長155cmで、体重は57kgです。基礎体温をつけたら、高温と低温はありました」と言う。
 この相談内容についての助産師の判断で適切なのはどれか。

1.希発月経である。
2.過長月経である。
3.無排卵性月経である。
4.月経周期は正常である。
5.体重減少性無月経である。

解答

解説

本症例のポイント

・Aさん(18歳、高校生)
・月経周期が一定でないので心配。
25日から30日と、早く来たり普通に来たりで、7日間ぐらい続く
・体重が62kgあることが気になって、3年くらい前からダイエット開始。
・現在:身長155cm、体重57kg。
・基礎体温をつけたら、高温と低温あり

1.× 希発月経とはいえない。希発月経とは、39日以上たっても次の月経が始まらない状態(3か月以内には月経が始まる状態)である。正常な月経周期に重要な役割を果たすホルモンのバランスが崩れることが原因である。本症例の場合、「25日から30日と、早く来たり普通に来たり」ということから、希発月経は否定できる。
2.× 過長月経とはいえない。過長月経とは、月経が長い(8日以上)場合をいう。主な原因として、子宮筋腫や子宮腺筋症などの病気、無排卵周期症などがあげられる。本症例の場合、「7日間ぐらい続く」ことから、過長月経は否定できる。
3.× 無排卵性月経と断定できない。なぜなら、本症例の基礎体温は、高温と低温あり(二層性)が認められるため。無排卵性月経とは、月経時に出血がみられるものの排卵は伴っていない状態をいう。多くの場合、無排卵を自覚することなく、通常症状は起こらない。病気でなくても初経から数年の卵巣機能が未熟な思春期や、卵巣機能が低下しつつある更年期の場合に起こる。ただし、病気が原因で起こることもあり、主に視床下部機能異常や多嚢胞性卵巣症候群などがあげられる。
4.〇 正しい。月経周期は正常である。なぜなら、本症例は「25~30日で、7日間ぐらい」続いているため。標準的な月経周期は28日前後(28日±3日)であり、月経周期日数の変動が6日以内である。
5.× 体重減少性無月経とはいえない。体重減少性無月経とは、やせすぎが原因で起こる無月経の状態である。基準や特徴として、標準体重の-15%以上のやせであるが、食行動の極端な異常はみられず、努力して食事制限をしていることが多く、体重減少の病識がある。そのため、ホルモン治療を行う前に、体重を増やすことで月経周期を回復させることが治療目標になる。本症例の場合、「3年くらい前からダイエット開始し、62kg→57kg」であるが、月経は見られていることから、体重減少性無月経は否定できる。また、減量後の BMI  23.8であるため「痩せ」には当てはまらない。BMIは、[体重÷身長の2乗]で求められる肥満度の指数である。BMI:25以上を「肥満」、BMI:18.5未満を「やせ」としている。

 

 

 

 

 

22 妊婦健康診査における正常経過の妊婦に対する間欠的胎児心拍数聴取について、正しいのはどれか。

1.5秒ごとの心拍数を計測する。
2.膀胱に尿を貯留させた状態で聴取する。
3.腹部緊満を訴える場合は1分間聴取する。
4.妊娠初期は臍部よりやや上方で聴取する。
5.臍帯雑音と胎児心音は同数で聴取できる。

解答

解説

間欠的胎児心拍数聴取とは?

間欠的胎児心拍数聴取は、超音波ドプラ装置が使用され、動きのある部分(心臓など)の検出を行う装置である。間欠的胎児心拍数聴取の方法については、「助産所業務ガイドライン(2009年改定版)」に「有効陣痛がある場合は、原則として分娩第Ⅰ期の潜伏期は30分毎、活動期は15分毎、第Ⅱ期は5分毎とする。聴取時間は、いずれも、子宮収縮直後に60秒間測定し、子宮収縮に対する心拍数の変動について児の状態(well-being)を評価すること」と記載されている。

(※引用:「Ⅵ . 分娩中の胎児心拍数聴取について」産科医療保障制度HPより)

1.× 「5秒ごと」ではなく60秒間の心拍数を計測する。
2.× 膀胱に尿を「貯留させた状態」で聴取する必要はない。膀胱に尿を貯留させた状態だと、腹壁と子宮壁との間に介在する腸管を上方に圧排し、子宮とその周囲を明瞭に描出されることにある。間欠的胎児心拍数聴取は、動きのある部分(心臓など)の検出を行いたい検査である。
3.× 腹部緊満を訴える場合は、「1分間(間欠的)」ではなく連続的に聴取する。他にも、間欠的聴取で徐脈・頻脈を認めた時や破水・羊水混濁・血性羊水を認めた時、母体・胎児に合併症があるときなどがあげられる。
4.× 妊娠初期(妊娠23週頃まで)は、「臍部よりやや上方」ではなく恥骨結合上の正中線で聴取する。妊娠23週以降は児背の位置である。
5.〇 正しい。臍帯雑音と胎児心音は同数で聴取できる。なぜなら、臍帯動脈の血流は胎児の心拍により生じている血流のため。臍帯雑音とは、胎児心音と同時に聴こえ、胎児心音と同数である。超音波ドップラで聴取できる臍帯動脈を流れる血流音で臍帯巻絡、真結節、過短臍帯などがある場合に聴取される。

 

 

 

 

23 28歳の初妊婦。妊娠31週6日に妊婦健康診査を受診した。子宮底長25cm。経腹超音波検査で、児の推定体重は週数相当、AFI は2.8であった。
 このような所見がみられる胎児の疾患はどれか。

1.筋緊張性ジストロフィー
2.横隔膜ヘルニア
3.十二指腸閉鎖症
4.両側腎低形成
5.鎖肛

解答

解説

本症例のポイント

・28歳の初妊婦(妊娠31週6日)
・子宮底長25cm。
・経腹超音波検査:児の推定体重は週数相当、AFIは2.8
→本症例は「羊水過少」が疑われる。AFI(amniotic fluid index)とは、子宮の各4分の1について羊水深度を垂直に計測した値の合計である。羊水過少はAFI5以下をいう。羊水過少とは、羊水量の不足である。羊水の量が極端に少なくなると、胎児が圧迫され、四肢の変形、平らな鼻、下顎が小さくなり後退しているように見えるなどの問題が生じる。吸収が減少する病態として、食道閉鎖や十二指腸閉鎖などの上部消化管閉鎖(狭窄)などの先天異常、染色体異常などで機能的に嚥下ができない場合がある。また、上部消化管周囲から羊水の通過を妨げる口腔、頸部、肺などの腫瘍も原因となる。胎児尿生産量の減少あるいは尿排泄の障害、破水による羊水喪失などでも起こる。選択肢の中で、「羊水過少」が起こりやすい疾患を選択する。

1.× 筋緊張性ジストロフィーとは、進行性筋ジストロフィー内の一種で、常染色体優性遺伝(男女比ほぼ1:1)で大人に最も頻度の高い筋ジストロフィーである。そもそも進行性筋ジストロフィーとは、骨格筋の変性及び壊死を主病変とし、進行性の筋力低下や萎縮をきたす遺伝性疾患である。
2.× 横隔膜ヘルニアとは、生まれつき横隔膜に欠損孔があって、本来お腹の中にあるべき腹部臓器の一部が胸の中に脱出してしまう病気である。多くの場合、横隔膜の後外側を中心に生じるボホダレク孔が欠損孔であるため、別名ボホダレク孔ヘルニアとも呼ばれる。
3.× 十二指腸閉鎖症とは、膜や狭窄などの先天的な原因により胃液やミルクが十二指腸内を通過しない状態である。合併症として、ダウン症(約30%)、先天性心疾患(約40%)、輪状膵、食道閉鎖症、小腸閉鎖症、腸回転異常症などの消化管の異常があげられる。
4.〇 正しい。両側腎低形成が最も考えられる。両側腎低形成とは、通常よりも腎臓の作りが小さいために十分な働きができずに、体の成長とともに障害が発生する病気である。片側の腎臓のみが低形成の場合には症状が現れることはないが、両側の腎臓が低形成の場合、成長とともに慢性腎不全の症状が現れるようになる。また、ポッター症候群(Potter sequence)とは、両側の腎無形性や形成不全により羊水過少をきたし、肺低形成や四肢変形を生じる症候群である。特異的な治療法はなく,肺低形成の程度が最も予後を左右する。重度肺低形成では,人工呼吸管理などを行うが予後は極めて不良である。
5.× 鎖肛とは、生まれつきの直腸や肛門の形成異常(直腸肛門奇形)で、出生5,000人に1人の頻度でみられる。肛門が完全に閉鎖しているため、母乳やミルクなどを飲むにもかかわらず便を排泄できず、嘔吐や腹部膨満などをきたすようになる。

筋強直性ジストロフィーの特徴

①常染色体優性遺伝
②中枢神経症状(認知症状、性格変化、傾眠)
③西洋斧様顔貌
④前頭部若禿
⑤白内障
⑥嚥下障害
⑦構音障害
⑧筋委縮(顔面筋・側頭筋・咬筋・胸鎖乳突筋・遠位優位の筋委縮)
⑨ミオトニア(舌の叩打・母指球・把握)
⑩心伝導障害(房室ブロックなど)
⑪糖尿病

 

 

 

 

 

24 Aさん(34歳、1回経産婦)。妊娠22週0日。妊婦健康診査を受けている病院に「3歳の長女が通園している幼稚園で、3日前に伝染性紅斑を発症した児がいた」と相談に来たため、血清抗体価検査を行った。検査結果は、PB 19-IgM抗体(-)、PB 19-IgG 抗体(+)であった。
 Aさんに対する説明で正しいのはどれか。

1.「このまま様子をみて問題ありません」
2.「抗ウイルス薬の内服で感染が予防できます」
3.「2週ごとに胎児の超音波検査が必要です」
4.「1か月後に血清抗体価の再検査が必要です」
5.「帝王切開術による分娩になります」

解答

解説

本症例のポイント

・Aさん(34歳、1回経産婦、妊娠22週0日)
・3日前に幼稚園で、伝染性紅斑を発症した児がいた。
・血清抗体価検査結果:PB 19-IgM抗体(-)、PB 19-IgG 抗体(+)
伝染性紅斑とは、春から夏にかけて流行する傾向があり、4~5年周期で流行がみられる。近年では、2007年と2011年の流行の後、2015年に全国的な流行があった。妊婦が初めて感染した場合、約2割でウイルスが胎盤を通過し胎児感染を起こし、そのうち約2割が胎児の貧血や胎児水腫を起こす。これは、全初感染妊婦のおよそ4%にあたる。胎児水腫の発生機構としては、ウイルスが胎児赤血球系前駆細胞に感染し、造血障害による重症貧血、心不全、低酸素血症を引き起こす。ヒトパルボウイルスB19(HPV-B19)は心筋細胞にも感染し、心筋の障害が胎児水腫や胎児死亡の発生に関与する。重篤な血小板減少が胎児水腫の約半数にみられる。胎児水腫は母体感染から9週以内に発症し、その多くは2~6週に発症する。特に妊娠早期の感染が問題となる、妊娠28週以降の母体ヒトパルボウイルスB19感染による胎児水腫や胎児死亡の発生率は低いとされる。胎児水腫の約3割は自然に軽快する。ヒトパルボウイルスB19(HPV-B19)感染の診断は、臨床症状とヒトパルボウイルスB19(HPV-B19)に対するPB 19-IgM抗体の検出によって行われる。ちなみに、ヒトパルボウイルスB19とは、小児でよくみられる両頬の紅斑を特徴とした伝染性紅斑(リンゴ病)の原因ウイルスである。通常は年長児に好発する予後良好な急性感染症である。成人では不顕性感染が多いが、妊娠中の初感染によって胎児水腫や胎児死亡を引き起こすことがある。日本人妊婦の抗体保有率は、20~50%とされる。(※参考:「ヒトパルボウイルスB19母子感染の実態」NID国立感染症研究所様HPより)

1.〇 正しい。「このまま様子をみて問題ありません」と説明する。なぜなら、本症例はPB 19-IgG 抗体(+)であることから、すでに免疫を獲得済みで胎児感染のリスクは低いため。
2.× 伝染性紅斑に対するワクチン(予防接種)は現時点ない。感染が流行している時期にはマスクの着用や手洗いの励行が勧められている。
3.× 2週ごとに胎児の超音波検査が必要な場合は、「PB 19-IgM抗体(+)」の場合である。妊娠中のヒトパルボウイルスB19(HPV-B19)感染後 8~12 週間までは、胎児の超音波検査を1~2週ごとに実施することが勧められている。これは、妊娠8~20週ごろに感染すると胎児水腫のリスクが高いためである。その際、胎児貧血のスクリーニングには、超音波検査による胎児の中大脳動脈の最高血流速度の計測(胎児貧血では速くなる)が有効である。
4.× 1か月後に血清抗体価の再検査は必要ない。なぜなら、本症例はPB 19-IgG 抗体(+)であるため。ちなみに、ウイルス血清抗体価は、体内で増殖したウイルス量に応じた免疫反応であり、時間の経過とともにIgG抗体もIgM抗体も上昇する。1回の血清IgM抗体検査で感染症を診断するためには、発症48時間以降に測定することが望ましい。
5.× 帝王切開術による分娩にはならない。帝王切開術の適応として、①母体適応:児頭骨盤不均衡 前置胎盤,子宮破裂,重症妊娠高血圧症候群,常位胎盤早 期剝離,分娩停止,分娩遷延など、②胎児適応:胎児機能不全(胎児ジストレス),臍帯脱出,子宮内胎児発育遅延,切迫早産,前期破水,多胎などがあげられる。

 

 

 

 

25 30歳の初産婦。妊娠39週0日。午前2時に破水で目が覚め、1時間後に入院した。入院後のパルトグラムを図に示す。
 この産婦の分娩開始時間はどれか。

1.2時
2.3時
3.4時
4.8時
5.9時

解答

解説

パルトグラムとは?

パルトグラム(partogram)とは、分娩経過の推移を記述するものである。1954年にアメリカのエマニエル・フリードマンが,正常経腟分娩の時間経過(時間軸,横軸)と子宮口の開大度(計測軸,縦軸)の経過を表したものが最初といわれている。母体情報や子宮頚管の開大度、児頭下降度および回旋などが記された図表をパルトグラム(分娩経過図)という。パルトグラムにより、分娩進行を予測し、正常経過からの逸脱の有無を総合的に判断する。

1.× 2時は、パルトグラムに記載されておらず、3時~4時の様子からも分娩開始と判断することはできない。
2.× 3時は、陣痛間欠が12分であるため分娩開始とは言いにくい。
3.× 4時は、陣痛間欠が9分と記載されているものの、入眠したり7時には陣痛間欠が11分と記載されていることから、「規則的」に1時間に6回以上(間隔が10分以内)になったとは言いにくい。
4.〇 正しい。8時が、この産婦の分娩開始時間である。分娩開始の定義は、陣痛周期:子宮の収縮が、規則的に1時間に6回以上(間隔が10分以内)になったときである。陣痛周期とは、陣痛発作と陣痛間欠を合わせた時間である。
5.× 9時は、すでに分娩開始されている。なぜなら、下腹部に痛みを感じ、陣痛間欠が8分であるため。

 

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