第101回(H30) 助産師国家試験 解説【午後31~35】

 

31 胎児発育不全<FGR>の妊婦が正期産で正常分娩になった。
 妊娠および分娩の管理について、保険診療の対象となるのはどれか。

1.分娩料
2.室料差額
3.新生児管理保育料
4.妊婦健康診査の費用
5.ノンストレステスト<NST>

解答

解説

胎児発育不全とは

胎児発育不全とは、平均と比べて成⻑が遅くなっていることをいい、胎盤由来の妊娠合併症の代表的なものである。子宮内での胎児の発育が遅延あるいは停止したために在胎週数に相当した胎児の発育が見られない状態で、妊娠週数に対して胎児が明らかに小さい場合をいい、胎児発育曲線において「-1.5SD以下」の場合に診断される。

1.× 分娩料(正常分娩の場合)は自費である。妊娠・出産は病気でないため、健康保険は適用されないが、何らかのトラブルがあって、医療処置が必要になった場合は、健康保険が適用される。
2.× 室料差額は自費である。日本の公的医療保険において、診療の際に特別の設備を利用した場合に患者が負担する費用のことをいう。差額室料を要する病室を特別療養環境室といい、正式には「特別療養環境室料」といい、一般的には差額ベッド代の呼称も用いられる。 
3.× 新生児管理保育料は自費である。新生児管理保育料とは、新生児に係る管理・保育に要した費用をいい、新生児に 係る検査・薬剤・処置・手当に要した相当費用を含める。
4.× 妊婦健康診査の費用は自費である。妊娠・出産は正常な経過であれば、保険適用されず自費診療となる。妊婦検診の費用は、1回あたり平均で約5,000円である。
5.〇 正しい。ノンストレステスト<NST>は胎児発育不全<FGR>の妊婦の場合、保険診療の対象となる。正常な場合は、自費診療となり、1回あたり平均で約2,000~3,000円程度である。ちなみに、ノンストレステストとは、分娩監視装置を用いて子宮収縮や胎児心拍、胎動の状態で調べ、胎児の健康状態を判定するものである。陣痛(子宮収縮)などのストレスがない状態で妊婦に行う検査である。胎児は、20~40分ごとに睡眠と覚醒を繰り返すため通常40~60分間計測を行う。

診療報酬点数

ノンストレステスト(一連につき)210点
(1) ノンストレステストは、以下に掲げる患者に対し行われた場合に算定する。
ア 40 歳以上の初産婦である患者
イ BMIが 35 以上の初産婦である患者
ウ 多胎妊娠の患者
エ 子宮内胎児発育不全の認められる患者
オ 子宮収縮抑制剤を使用中の患者
カ 妊娠高血圧症候群重症の患者
キ 常位胎盤早期剥離の患者
ク 前置胎盤(妊娠 22 週以降で出血等の症状を伴う場合に限る。)の患者
ケ 胎盤機能不全の患者
コ 羊水異常症の患者
サ 妊娠 30 週未満の切迫早産の患者で、子宮収縮、子宮出血、頸管の開大、短縮又は軟化のいずれかの切迫早産の兆候を示し、かつ、以下のいずれかを満たすもの
(イ) 前期破水を合併したもの
(ロ) 経腟超音波検査で子宮頸管長が 20 ㎜未満のもの
(ハ) 切迫早産の診断で他の医療機関から搬送されたもの
(ニ) 早産指数(tocolysis index)が3点以上のもの
シ 心疾患(治療中のものに限る。)の患者
ス 糖尿病(治療中のものに限る。)又は妊娠糖尿病(治療中のものに限る。)の患者
セ 甲状腺疾患(治療中のものに限る。)の患者
ソ 腎疾患(治療中のものに限る。)の患者
タ 膠原病(治療中のものに限る。)の患者
チ 特発性血小板減少性紫斑病(治療中のものに限る。)の患者
ツ 白血病(治療中のものに限る。)の患者
テ 血友病(治療中のものに限る。)の患者
ト 出血傾向(治療中のものに限る。)のある患者
ナ HIV陽性の患者
ニ Rh不適合の患者
ヌ 当該妊娠中に帝王切開術以外の開腹手術を行った患者又は行う予定のある患者
ただし、治療中のものとは、対象疾患について専門的治療が行われているものを指し、 単なる経過観察のために年に数回程度通院しているのみでは算定できない。
(2) ノンストレステストは入院中の患者に対して行った場合には1週間につき3回、入院中の患者以外の患者に対して行った場合には1週間につき1回に限り算定できる。なお、1 週間の計算は暦週による。

(令和4年版)

(※引用:「今日の臨床サポート」RELX様HPより)

 

 

 

 

 

 

32 胎位、胎勢および胎向について正しいのはどれか。2つ選べ。

1.骨盤位は縦位である。
2.後方後頭位は経腟分娩が不可能である。
3.胎位や胎勢の異常は微弱陣痛の原因となる。
4.胎位や胎勢の異常によって臍帯巻絡が生じる。
5.縦位では児頭と母体との位置関係を胎向という。

解答1・3

解説

(※図引用:「看護roo!看護師イラスト集」)

1.〇 正しい。骨盤位は縦位である。縦位(じゅうい)とは、胎児の縦軸と子宮の縦軸が平行となる位置関係であり、頭位・骨盤位があげられる。ちなみに、頭位は児頭が子宮の下方にあるものをいい、骨盤位は児骨盤が下方にあるものをいう。
2.× 後方後頭位は経腟分娩が「不可能」ではない。胎児の頭が下にあるものの、母体の腹側を向いた状態を後方後頭位(サニーサイドアップ)といい、吸引分娩や鉗子分娩、帝王切開が必要になることがある。後頭位(屈位)は、最短の小斜径で産道を通過することができるため、胎勢としては正常である。
3.〇 正しい。胎位や胎勢の異常は微弱陣痛の原因となる。微弱陣痛とは、一旦分娩開始した(陣痛の間隔が10分以内ごとであり 、痛みを伴う子宮収縮により分娩が進行)にも関わらず、陣痛の強さが弱く、発作の持続が短く、かつ陣痛の間隔が長くなってしまい、分娩が進行しない状態をいう。子宮口の開き具合により、6分30秒以上(子宮口の開き:4~6cm)、6分以上(子宮口の開き:7~8cm)、4分以上(子宮口の開き:9~10cm)が陣痛周期の目安とされている。①原発性微弱陣痛の原因は、子宮筋腫や子宮奇形などの子宮の問題や羊水過多、胎位、精神的不安など、②続発性微弱陣痛は、子宮の筋肉の疲労、産道のトラブル、胎児の姿勢、ママの疲労などである。
4.× 胎位や胎勢の異常によって臍帯巻絡が生じることはない。臍帯巻絡とは、へその緒(臍帯)が赤ちゃんの体のどこかに巻きついている状態のことをいう。全ての赤ちゃんに起こりうることであり、巻絡は首に巻きつくことが多いとされている。原因として、過長臍帯や羊水過多、胎児の活発な運動などがあげあれる。へその緒は、赤ちゃんがお腹の中で自由に動き回ることができるようにある程度の長さを保たれている。そのため赤ちゃんが動き回る時にへその緒を絡みとりながら回転することがあり、それにより体のどこかにへその緒が絡みついてしまう。
5.× 縦位では児頭と母体との位置関係を「胎向」ではなく胎位という。胎位とは、胎児の縦軸と子宮の縦軸との位置関係を表す。一方、胎向とは、縦位では児背と母体との関係、横位では児頭と母体との位置関係をいう。ちなみに、胎勢とは、胎児の姿勢を意味する。

 

 

 

 

33 骨盤臓器脱の危険因子はどれか。2つ選べ。

1.便秘
2.喫煙
3.るいそう
4.子宮筋腫
5.帝王切開術の既往

解答1・4

解説

骨盤臓器脱とは?

骨盤臓器脱とは、子宮や膀胱、直腸といった骨盤臓器が下垂し腟から脱出した状態である。ペッサリー療法とは 、骨盤臓器脱により子宮や膀胱、腸など膣から出てきた臓器を人工的に膣内に納める方法で、臓器の下垂に伴う不快な症状を軽減・緩和する目的で行う。骨盤臓器脱の危険因子として、 慢性的な咳や習慣性の便秘、重い荷物を持つなどの労務、仕事、肥満、多産、加齢などがあげられる。他にも、骨盤底筋と総称される骨盤の支持組織が分娩時に損傷されたり、先天性な脆弱性、また更年期以降のエストロゲンの低下により弱くなり支持力を失うことにより引き起こされる。

1.〇 正しい。便秘は、骨盤臓器脱の危険因子である。 なぜなら、慢性的な咳や習慣性の便秘により、腹圧をかける状況となるため。
2.× 喫煙は、骨盤臓器脱の危険因子とはいえない。 ただし、 慢性的な咳は危険因子となるため、呼吸器疾患(肺がんや間質性肺炎など)にかからないようにする。3.× るいそうは、骨盤臓器脱の危険因子とはいえない。 るいそうとは、やせの程度が著しい状態である。危険因子は肥満である。
4.〇 正しい。子宮筋腫は、骨盤臓器脱の危険因子である。子宮筋腫による子宮摘出手術後に多い。子宮筋腫とは、子宮を構成している平滑筋という筋肉組織由来の良性腫瘍で、比較的若い方から閉経後の方まで高頻度に見られる疾患である。子宮筋腫は切迫流産・早産、前期破水、胎盤の位置異常、妊娠高血圧症候群などのリスクとなる。分娩時または産後に、次回の妊娠を希望する場合や妊娠中の合併症を増加させないために、子宮筋腫核出術を行う場合もある。子宮筋腫の核出とは、子宮筋腫を子宮から取り除くこと(核出)することにより、子宮を残す手術方法である。子宮筋腫を取り除く必要があるかどうかは、子宮筋腫の大きさや症状によって決まる。また子宮筋腫核出術(子宮を残す)あるいは子宮全摘術(子宮をとる)がどちらがよいかは今後妊娠を希望するかどうかがもっとも大きなポイントである。つまり、メリットは、①将来、妊娠の可能性が残せる。②どの子宮筋腫にも適用できることがあげられる。一方で、デメリットとして、①子宮全摘術に比べて出血量が多いことがある。②再発の可能性がある。③癒着が起こることがあるなどがあげられる。
5.× 帝王切開術の既往は、骨盤臓器脱の危険因子とはいえない。 帝王切開の後遺症として、①慢性的な下腹部痛、②膀胱の機能障害、③イレウスなど腸の機能障害などが挙げられる。また、組織の癒着があると、その後の帝王切開や開腹手術の時に癒着を剥ぐ作業が必要となり、再癒着や大量出血のリスクも高くなる。

 

 

 

 

 

 

34 先天性心疾患のうち非チアノーゼ性心疾患はどれか。2つ選べ。

1.動脈管開存症
2.三尖弁閉鎖症
3.心室中隔欠損症
4.完全大血管転位症
5.総肺静脈還流異常症

解答1・3

解説

非チアノーゼ性心疾患とは?

非チアノーゼ性疾患とは、心臓に穴があったり動脈と静脈の間によこ道があり、大量の血液が心臓と肺の間を空回りして心臓や肺に負担がかかるものである。 先天性心疾患の半分以上を占める。左心室から右心室へ血流が流れ込んでしまう。症状として、呼吸が速く苦しそうになり、発汗、ミルクがあまり飲めず、体重が増えないなどがみられる。

1.〇 正しい。動脈管開存症は、非チアノーゼ性心疾患である。動脈管開存症とは、胎児期に開存している大動脈と肺動脈間に存在する動脈管が出生後も自然閉鎖せず開存状態を維持した疾患である。つまり、出生後に動脈管が自然閉鎖しない病気である。大動脈から肺動脈への短絡が生じ、管が大きいと左心系の容量負荷になる。出生後は肺動脈圧が下がるため、胎児期とは逆に大動脈から肺動脈へ血液が流れるようになり、肺の血流が増加する。したがって、典型例では、ピークがⅡ音に一致した漸増・漸減型で、高調・低調両成分に富む荒々しい雑音(machinery murmur)が左第2肋間を中心に聴取される。治療が必要な症状として、動脈管が太く、たくさん血液が肺に流れて肺うっ血による心不全症状(哺乳不良、嘔吐、体重増加不良、頻脈、頻呼吸など)を引き起こした場合である。
2.× 三尖弁閉鎖症とは、生まれつき三尖弁が閉鎖している病気である。したがって、右房へ戻ってきた静脈血は右室に流れ込むことができず、すべて心房間の孔(心房中隔欠損または卵円孔)を通って左房へ流れ込み、左房の血液と混合し、僧帽弁を通って左室へ流れ込む。正常では左房の血液は多くの酸素を含んでいるが、そこへ酸素の少ない静脈血が流れ込むため、酸素の含有量が低下する。チアノーゼを主症状とする先天性心臓病のなかで3番目に多い病気である。右室は小さいことがほとんどで、心臓手術を行っても通常の右室として使用できない。
3.〇 正しい。心室中隔欠損症は、非チアノーゼ性心疾患である。心室中隔欠損症とは、心室を隔てる壁に穴が開いているため血液の交通が生じる病気である。欠損を通る血液は左心室から右心室へ流れ、肺動脈に血液が多く流れることにより、肺うっ血や肺高血圧を引き起こす。多呼吸や陥没呼吸という呼吸器症状がみられ、哺乳不良や体重増加不良などの心不全症状が生じる。心室中隔欠損症の症状として、①肺動脈に血液が多く流れることにより、肺に血液がうっ滞する現象である「肺うっ血」や肺動脈の血圧が上昇する「肺高血圧」という状態を引き起こす。それにより呼吸が苦しくなり、多呼吸(呼吸数の増加)や陥没呼吸(肋骨の下が凹む呼吸様式)という呼吸器症状が初めに見られ、呼吸が苦しいことで哺乳不良や体重増加不良へとつながる。これらの症状を心不全症状と呼ぶ。
4.× 完全大血管転位症とは、右房と右室、左房と左室が正常につながり、右室から大動脈が、左室から肺動脈が起始している先天性心疾患である。 分類として、Ⅰ型:心室中隔欠損のない、Ⅱ型:心室中隔欠損を合併する、Ⅲ型:心室中隔欠損+肺動脈狭窄合併(および心室中隔欠損のない肺動脈弁ないし弁下狭窄合併のIV型)がある。完全大血管転位症のⅠ型は生直後からチアノーゼが強い。Ⅱ型ではチアノーゼは軽いものの多呼吸、哺乳困難、乏尿などの心不全症状が強い。Ⅲ型は肺動脈狭窄が適度であればチアノーゼも心不全症状も軽い。心房位転換術後は成人期になって、三尖弁閉鎖不全、右室不全、不整脈による動悸が出てくる。
5.× 総肺静脈還流異常症とは、すべての肺静脈が左心房には還らずに、上大静脈・門脈・右心房など体静脈に還流している先天性心疾患である。チアノ-ゼや心不全を生じるが、チアノーセが軽い例では多呼吸、体重増加不良などの所見しか認めないため診断が遅れることがある。

心不全とは?

心不全とは、組織が必要とする循環血液量を心臓が拍出できない病態である。
心拍出量の低下を起こす原因として、
・左心不全:肺循環系にうっ血が著明なもの(呼吸困難、尿量減少など)
・右心不全:体循環系にうっ血が著明なもの(頸静脈怒張、胸水・腹水、下腿浮腫、肝腫大など)
右室拡張末期圧の上昇(体循環の静脈系のうっ血)により右心不全は引き起こされる。体液の著明やうっ血を生じ、主な症状として呼吸困難、咳嗽、チアノーゼ、血性・泡沫状喀痰(ピンクの痰)などがある。

 

 

 

 

35 乳幼児突然死症候群<SIDS>の危険因子はどれか。2つ選べ。

1.母乳栄養
2.部屋の加湿
3.うつ伏せ寝
4.養育者の喫煙
5.硬めの寝具の使用

解答3・4

解説

乳幼児突然死症候群とは?

乳幼児突然死症候群(SIDS:Sudden Infant Death Syndrome)とは、それまで元気だった赤ちゃんが、事故や窒息ではなく、眠っている間に突然死亡してしまう病気である。何の予兆や既往歴もないまま乳幼児が死に至る原因のわからない病気で、窒息などの事故とは異なる。日本での発症頻度はおよそ出生6,000~7,000人に1人と推定され、生後2か月から6か月に多いとされている。予防のために厚生労働省は①1歳になるまでは仰臥位で寝かせる、②できるだけ母乳で育てる、③禁煙するという3つのポイントをあげている。(※参考:「乳幼児突然死症候群(SIDS)について」厚生労働省HPより)

1.× 母乳栄養は、乳幼児突然死症候群<SIDS>の予防につながる。母乳育児が赤ちゃんにとっていろいろな点で良いことはよく知られており、母乳で育てられている赤ちゃんの方が乳幼児突然死症候群<SIDS>の発生率が低いという報告がされている。
2.× 部屋の加湿は、関係性が薄い。赤ちゃんが快適に過ごすには、冬期は20〜25℃、夏期は外気温より4〜5℃低いくらい、湿度はいずれも50〜60%が目安とされている。
3~4.〇 正しい。うつ伏せ寝/養育者の喫煙は、乳幼児突然死症候群<SIDS>の危険因子である。乳幼児突然死症候群(SIDS:Sudden Infant Death Syndrome)とは、それまで元気だった赤ちゃんが、事故や窒息ではなく、眠っている間に突然死亡してしまう病気である。何の予兆や既往歴もないまま乳幼児が死に至る原因のわからない病気で、窒息などの事故とは異なる。日本での発症頻度はおよそ出生6,000~7,000人に1人と推定され、生後2か月から6か月に多いとされている。予防のために厚生労働省は①1歳になるまでは仰臥位で寝かせる、②できるだけ母乳で育てる、③禁煙するという3つのポイントをあげている。(※参考:「乳幼児突然死症候群(SIDS)について」厚生労働省HPより)
5.× 硬めの寝具の使用は、関係性が薄い。乳幼児突然死症候群<SIDS>は、何の予兆や既往歴もないまま乳幼児が死に至る原因のわからない病気で、窒息などの事故とは異なる。しかし、硬めの寝具(ベビー布団)は、大人用の布団と比較すると、寝返りがしやすく窒息の予防につながるといった報告がある。適度に硬い敷き布団を選ぶことが赤ちゃんの安全を守ることにつながる。

 

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