第101回(H30) 助産師国家試験 解説【午後36~40】

 

次の文を読み36〜38の問いに答えよ。
 Aさん(34歳、未妊婦)。3か月前から、月経の数日前から月経中にかけて下腹部痛が強くなっていることを自覚し、近くの産婦人科を受診した。月経は規則的で量は正常。
 既往歴: 特記すべきことはない。
 生活歴: 大学卒業後は銀行に就職し、職場で知り合った夫と半年前に結婚した。結婚後も仕事を継続し、生活に充実感を感じている。
 家族歴: 母方の祖母が乳癌で死亡。母親は乳癌の手術歴がある。
 身体所見: 身長160cm、体重55kg。
 検査所見: 内診にて骨盤内に強い癒着や圧痛はみられない。経腟超音波検査で左卵巣内に2cm大の子宮内膜症性囊胞が確認された。

36 Aさんは医師から月経痛の緩和のため痛み止めの処方を受けた。医師の診察後に、将来の妊娠の計画について助産師が相談を受けた。Aさんも夫も、子どもが2人欲しいと考えているという。
 助産師が行うAさんへの説明で正しいのはどれか。

1.「子宮内膜症が治らないと妊娠はできません」
2.「早めの妊娠を目指すことが望ましいです」
3.「体重を減らすと妊娠しやすいです」
4.「不妊治療を受ける必要があります」
5.「妊娠のために仕事はやめましょう」

解答

解説

本症例のポイント

・Aさん(34歳、未妊婦)
・3か月前:月経前~中にかけ下腹部痛が強い(月経:規則的で量は正常)。
・既往歴: 特になし。
・生活歴: 大学卒業後は銀行に就職、職場で知り合った夫結婚(半年前)。
・結婚後:仕事継続、生活に充実感を感じている。
・家族歴: 母方の祖母が乳癌で死亡(乳癌の手術歴)
・身体所見: 身長160cm、体重55kg。
・内診:骨盤内に強い癒着や圧痛なし。
・経腟超音波検査:左卵巣内に2cm大の子宮内膜症性囊胞あり。
→本症例は、子宮内膜症が疑われる。子宮内膜症とは、子宮の内側の壁を覆っている子宮内膜が、子宮の内側以外の部位に発生する病気である。腰痛や下腹痛、性交痛、排便痛などが出現する。経口避妊薬を内服することによりエストロゲンの総量が低く抑えられ、排卵を抑制し、子宮内膜症の症状を軽減し、子宮内膜症予防にもなる。なお、乳癌や子宮内膜癌などのエストロゲン依存性悪性腫瘍や子宮頸癌及びその疑いのある場合は腫瘍の悪化あるいは顕性化を促すことがあるため禁忌となっている。

1.× 子宮内膜症が治らなくとも妊娠できる。むしろ、早めの妊娠を目指す。なぜなら、子宮内膜症は、エストロゲン依存性疾患で妊娠中は月経が停止することから、子宮内膜症は改善傾向となるため。
2.〇 正しい。「早めの妊娠を目指すことが望ましいです」と説明する。なぜなら、Aさんも夫も、「子どもが2人欲しい」と考えているだけでなく、子宮内膜症は、エストロゲン依存性疾患で妊娠中は月経が停止することから、子宮内膜症は改善傾向となるため。子宮内膜症の治療の一環として、妊娠の計画がある。本症例は、Aさん(34歳)であることからも早めの妊娠が必要となり、必要に応じて不妊治療を受けるよう支援していく。
3.× 体重を減らすと妊娠しやすいとは言いきれない。なぜなら、本症例のBMIは21.48であるため(身長160cm、体重55kg)。 妊娠しやすいBMI (肥満度を表す体格指数、体重 kg/身長m2で算出) は、一般的に21~24 kg/m2くらいと報告されている。ちなみに、基準として、①低体重(やせ)の場合:12~15kg、②標準(ふつう)の場合:10~13kg、③肥満(1度)の場合:7~10kg、④肥満(2度以上):個別対応(上限5kgまでが目安)とされている。これ以上、体重が増加した場合、早産や切迫早産、胎児の発育の遅れによる影響、成人後の生活習慣病などのリスクがあげられる。
4.× 不妊治療を受ける必要があると説明するのは時期尚早である。なぜなら、Aさんも夫も、「子どもが2人欲しい」と考えているが、不妊治療の希望や不妊による悩みは聞かれていないため。Aさんの主訴でもある「月経前~中の下腹部痛」に対しても対応できる説明をするべきである。
5.× 「妊娠のために仕事はやめましょう」と説明する優先度は低い。なぜなら、本症例は「結婚後も仕事継続し、生活に充実感を感じている」ため。仕事を辞めたからといって、「100%妊娠する」とも言いきれず、経済的な問題も関わってくるため、安易に辞職は勧めないほうが良い。また、仕事が原因で「月経前~中の下腹部痛」が起こっているとは考えにくい。

 

 

 

 

 

次の文を読み36〜38の問いに答えよ。
 Aさん(34歳、未妊婦)。3か月前から、月経の数日前から月経中にかけて下腹部痛が強くなっていることを自覚し、近くの産婦人科を受診した。月経は規則的で量は正常。
 既往歴: 特記すべきことはない。
 生活歴: 大学卒業後は銀行に就職し、職場で知り合った夫と半年前に結婚した。結婚後も仕事を継続し、生活に充実感を感じている。
 家族歴: 母方の祖母が乳癌で死亡。母親は乳癌の手術歴がある。
 身体所見: 身長160cm、体重55kg。
 検査所見: 内診にて骨盤内に強い癒着や圧痛はみられない。経腟超音波検査で左卵巣内に2cm大の子宮内膜症性囊胞が確認された。

37 初診から3か月後。Aさんは卵巣子宮内膜症の変化を確認するため、再度受診し、受診前の問診で乳癌に関して助産師に相談した。Aさんは「家族に乳癌の発症が多いため自分も発症するのではないかと心配だ」と助産師に話した。
 Aさんの乳癌発症のリスクを評価する上で、助産師がAさんから確認すべき情報で正しいのはどれか。

1.母親の体重
2.祖母の食生活
3.Aさんの経血量
4.祖母と母親の乳癌の発症年齢
5.祖母と母親の子宮内膜症の既往の有無

解答

解説

本症例のポイント

・初診から3か月後。
・Aさんは受診前の問診で乳癌に関して助産師に相談した。
・Aさん「家族に乳癌の発症が多いため自分も発症するのではないかと心配だ」と。
→遺伝性乳がん・卵巣がん症候群の特徴として、①若い年齢(40歳未満)で乳がんを発症しやすい、②両側の乳房に乳がんができやすい(再発ではなく、新たにがんができる)、③卵巣がんを発症しやすい、④家族のなかに乳がんまたは卵巣がんの患者さんが複数いる、⑤家族のなかに男性の乳がん患者さんがいるなどがあげられる。ちなみに、乳がん患者さんの血縁者に、複数の乳がん患者さんが見られる場合、家族性乳がんと呼び、そのうち、特に乳がんの発症に強く関わる遺伝子が原因で乳がんを発症している場合を遺伝性乳がんと呼ぶ 

1~2.× 母親の体重/祖母の食生活の優先度は低い。体重や食生活が原因で起こる病気は主に「生活習慣病」があげられる。
3.× Aさんの経血量の優先度は低い。生活習慣病とは、「食習慣、運動習慣、休養の取り方、喫煙、飲酒などの生活習慣が、その発症・進展に関与する疾患群」と定義されている。生活習慣病の背景因子として、①遺伝性因子、②環境因子、③生活習慣因子が考えらえているが、「生活習慣因子」は生活習慣病の積極的予防に最も重要な要素とされている。
4.〇 正しい。祖母と母親の乳癌の発症年齢は、助産師がAさんから確認すべき情報である。なぜなら、母親が乳癌に罹患している場合、家族歴がない人に比べて罹患の可能性が高くなるため。マンモグラフィや乳房超音波などの定期的検診が必要です。一般に乳癌の頻度が増えてくる30歳以降(できれば25歳以降)は可能な限り年1回は定期健診を受けるべきである。
5.× 祖母と母親の子宮内膜症の既往の有無の優先度は低い。デンマークの研究では、40歳未満で子宮内膜症と診断された場合、乳癌リスクは低下し、40歳以上では乳癌リスクが増加する傾向があるとされるが、全体では関連性は認められないとされ、乳癌診療ガイドラインでは『子宮内膜症が乳癌のリスク因子となるかは結論付けられない』 とされている。

 

 

 

 

 

次の文を読み36〜38の問いに答えよ。
 Aさん(34歳、未妊婦)。3か月前から、月経の数日前から月経中にかけて下腹部痛が強くなっていることを自覚し、近くの産婦人科を受診した。月経は規則的で量は正常。
 既往歴: 特記すべきことはない。
 生活歴: 大学卒業後は銀行に就職し、職場で知り合った夫と半年前に結婚した。結婚後も仕事を継続し、生活に充実感を感じている。
 家族歴: 母方の祖母が乳癌で死亡。母親は乳癌の手術歴がある。
 身体所見: 身長160cm、体重55kg。
 検査所見: 内診にて骨盤内に強い癒着や圧痛はみられない。経腟超音波検査で左卵巣内に2cm大の子宮内膜症性囊胞が確認された。

38 Aさんは「今後の妊娠を見据えた上で、乳癌の検査について知りたい」と言う。
 乳癌の検査に関するAさんへの説明で適切なのはどれか。

1.「授乳中は癌の発見が難しくなります」
2.「妊娠中は妊娠後期に検査を受けましょう」
3.「超音波検査では悪性の確定診断ができます」
4.「Aさんの年齢では超音波検査の有効性は低くなります」

解答

解説

妊娠週数

妊娠初期:妊娠1か月~4か月(妊娠0~15週)

妊娠中期:妊娠5か月~7か月(妊娠16~27週)

妊娠後期:妊娠8か月~10か月(妊娠28週~)

1.〇 正しい。「授乳中は癌の発見が難しくなります」と説明する。なぜなら、正確な診断が難しい理由の一つに、妊娠の経過とともに乳腺組織が発達して通常の状態とは大きく変化する(デンスブレストの状態になる)ため。ただし、妊娠中・授乳中でも、超音波による乳がん検診を受けることが可能である。
2.× 妊娠中は、「妊娠後期:妊娠28週~」ではなく妊娠初期:妊娠0~15週に検査を受ける。なぜなら、妊娠の経過とともに癌発見が難しくなるため。発見が難しくなる原因の一つとして、乳腺組織が発達して通常の状態とは大きく変化する(デンスブレストの状態になる)ため。
3.× 悪性の確定診断は、「超音波検査」ではなく細胞診や組織診(針生検)が行われる。刺吸引細胞診とは、病変に細い針を刺して病変部の細胞を吸引し、採れた細胞を顕微鏡で観察することにより、がんかどうかなど、細胞の性質を詳しく調べる検査である。視診や触診、マンモグラフィ、超音波検査で乳がんを疑う場合や、良性病変を疑うが乳がんとの鑑別が必要な場合に精密検査として、超音波をみながら、刺吸引細胞診を実施することがある。
4.× Aさんの年齢(34歳)では、超音波検査の有効性は「低くなる」とはいえない。むしろ40歳以下は超音波検査が有効である。なぜなら、40歳未満の乳房は高密度乳腺であることが多いため。超音波検査の特徴として、①高濃度乳房では精度が落ちない、②妊娠中でも検査可能、③小さな石灰化を検出できない、④精度管理にばらつきがあるなどがあげられる。一方、マンモグラフィの特徴として、①50歳以上で有効、②高濃度乳房では精度が落ちる、③妊娠中は受けられないなどがあげられる。

 

 

 

 

次の文を読み39〜41の問いに答えよ。
 Aさん(30歳、1回経産婦)。妊娠40週5日。これまでの妊娠経過に異常はなかったが、妊娠37週の妊婦健康診査でB群溶血性レンサ球菌<GBS>陽性であった。午後10時にAさんは電話で「午後4時くらいから不規則に子宮収縮がありましたが、午後7時からは15分間隔になり、今も変わりません。生理痛のような痛みがあります。昨日の妊婦健康診査で、子宮の出口は2cm開いていると言われました。昨日から褐色のおりものがありますが、破水はしていません。いきみたい感じはありません」と落ち着いて話した。

39 Aさんは「病院までは30分くらいで行けます。上の子は同居の実母にみてもらうことができます。どうしたらよいでしょうか」と話した。
 電話でのAさんへの説明で適切なのはどれか。

1.すぐに来院してもらう。
2.破水後にもう一度電話してもらう。
3.明日の午前中に外来を受診してもらう。
4.陣痛が10 分間隔になったら来院してもらう。

解答

解説

本症例のポイント

・Aさん(30歳、1回経産婦、妊娠40週5日)
・妊娠37週:B群溶血性レンサ球菌陽性(妊娠経過に異常なし)
・昨日:子宮の出口2cm開いている。褐色のおりものがあり。破水なし。いきみたい感じなし。
・午後4時:不規則に子宮収縮があり。
・午後7時:15分間隔になり、生理痛のような痛みがあり。
・午後10時:今も変わらず。
・Aさん「病院までは30分くらいで行けます。上の子は同居の実母にみてもらうことができます。どうしたらよいでしょうか」と。
→B群レンサ球菌とは、膣内に常在することのある細菌で、妊婦以外では、膀胱炎などの尿路感染症でもおこさない限り問題となることは少ない。ところが、出産時にこのB群レンサ球菌が膣内に存在すると、生まれる新生児に敗血症、髄膜炎、肺炎などの重症のB群レンサ球菌感染症を起こすことがありえることが知られている。この母から子への感染が問題とされている。B群連鎖球菌は、新生児における、敗血症や髄膜炎、肺炎の主要な原因菌の一つである。髄膜炎が死亡原因となることや、髄膜炎の後遺症として、聴力や視力が失われたり、運動や学習の障害などが残る場合もある。妊婦では、膀胱炎や子宮の感染症(羊膜炎、子宮内膜炎)、死産を起こすことがある。妊婦以外では、尿路感染症、敗血症、皮膚・軟部組織の感染症および肺炎を起こすことがあり、死亡例もある(※参考:「B群レンサ球菌(GBS)感染症について」横浜市HPより)。

1.〇 正しい。すぐに来院してもらう。なぜなら、本症例はB群溶血性レンサ球菌陽性であるため。B群溶血性レンサ球菌は、分娩時の産道感染によって新生児に重症感染症(肺血症、肺炎、髄膜炎)を引き起こすことがあるため。予防処置として、分娩時にペニシリン系抗菌薬投与を行う。また、本症例は午後7時の時点で「子宮収縮が15分間隔になり、生理痛のような痛み」が認められている。初産婦では規則的な子宮収縮が10分間隔、経産婦では15分間隔になったのを目安に入院してもらうことが多い。分娩の開始が近づいているサインとして、①おしるし(血性分泌)、②規則的な子宮収縮があげられる。①おしるし(血性分泌):分娩前の子宮の収縮(前陣痛)によって子宮口が開き始めると、卵膜(胎児を包んでいる膜)が子宮から少しずつはがれて、ここからにじみ出る血液と、子宮口の分泌物が混じったおりものがみられる。分娩の準備ができた「しるし」ではあるが、すぐに分娩になるとは限らない。分娩の4~5日前にみられることもあり、陣痛が始まってからみられることもある。また、「おしるし」が、みられないこともある。②規則的な子宮収縮:お腹が張って、腰へもひびく状態が一定の間隔で規則的に起こる。この子宮収縮が10分間隔で起こるようになったら陣痛が始まったことになる(参考:「1.お産の始まりと入院 」松戸市HPより)。
2~3.× 破水後にもう一度電話してもらう/明日の午前中に外来を受診してもらう必要はない。なぜなら、処置の対応が遅くなってしまうため。破水とは、卵膜が破れて羊水が子宮外に流出することである。破水は、臍帯脱出や上行感染、胎児機能不全などの原因となり得る。分娩が始まる前の破水は前期破水、分娩開始以降で子宮口全開大前の破水を早期破水、子宮口全開大に達する頃の破水を適時破水という。そのため、経過に合わせた看護を行う必要がある。
4.× 陣痛が10分間隔になったら来院してもらう必要はない。なぜなら、「病院までは30分くらい」かかるため。また、本症例はB群溶血性レンサ球菌陽性である。急変も視野に入れて支援していく。

(※図引用:「産婦人科診療ガイドライン―産科編 2020 P297」公益社団法人 日本産科婦人科学会より)

 

 

 

 

 

次の文を読み39〜41の問いに答えよ。
 Aさん(30歳、1回経産婦)。妊娠40週5日。これまでの妊娠経過に異常はなかったが、妊娠37週の妊婦健康診査でB群溶血性レンサ球菌<GBS>陽性であった。午後10時にAさんは電話で「午後4時くらいから不規則に子宮収縮がありましたが、午後7時からは15分間隔になり、今も変わりません。生理痛のような痛みがあります。昨日の妊婦健康診査で、子宮の出口は2cm開いていると言われました。昨日から褐色のおりものがありますが、破水はしていません。いきみたい感じはありません」と落ち着いて話した。

40 その後Aさんは入院し、陣痛発来5時間後に陣痛間欠5分、陣痛発作40秒となった。内診所見は、子宮口7cm開大、展退度80%、Station±0、子宮頸管の硬度は軟、子宮口の位置は前方であった。矢状縫合は斜径、小泉門は5時方向、卵膜はなく、薄いピンク色の羊水の流出を確認した。胎児心拍数陣痛図の波形はレベル2。腰部痛があるため左側臥位で過ごしており、肛門が押される感じがすると訴えている。
 このときの対応で適切なのはどれか。

1.努責を促す。
2.入浴するよう促す。
3.トイレに行くことを勧める。
4.四つ這いの姿勢になるよう促す。
5.連続的胎児心拍数モニタリングを3時間後から実施する。

解答

解説

本症例のポイント

・陣痛発来5時間後:陣痛間欠5分、陣痛発作40秒。
・内診所見:子宮口7cm開大、展退度80%、Station±0、子宮頸管の硬度は軟、子宮口の位置は前方。
・矢状縫合は斜径、小泉門は5時方向、卵膜はなく、薄いピンク色の羊水は流出。
・胎児心拍数陣痛図の波形:レベル2。
・腰部痛があるため左側臥位で過ごす。
・「肛門が押される感じがする」と訴えている。
→本症例は、「矢状縫合は斜径、小泉門は5時方向」になっていることから、このまま進むと後方後頭位(異常分娩)となる可能性がある。後方後頭位とは、胎児後頭が母体の後方に向かって回旋(先進部の小泉門が後方に回旋)したものをいう。分娩の経過中に後方後頭位をとるものは1~5%であるが、約70%は分娩進行中に前方後頭位に変わり、一部は定在横定位になる。産道に比べて児頭が相対的に小さい場合に起こりやすいとされ、広骨盤または過少児頭の場合に問題となる。第2回旋の異常(後方後頭位) に対し、腹側を下にした側臥位で休むことにより胎児の自己回転を促す方法がある。

図引用:「異常分娩の管理と処置」より)

1.× 努責を促す必要はない。なぜなら、本症例の子宮口は7cm開大であり、全開大(約10cm)ではないため。努責は分娩第2期以降が望ましい。早いタイミングで努責(いきみ)を行うと産道に傷がついたり赤ちゃんの頭に無理がかかったりする。分娩第1期は呼吸法や肛門圧迫で努責(いきみ)を逃す。
2〜3.× 入浴するよう促す/トイレに行くことを勧める優先度は低い。なぜなら、本症例は①胎児の回旋異常と、②腰部痛があるため。また、入浴やトイレの訴えは聞かれず、「肛門が押される感じがする」と訴えている。からだを冷やさないように、破水していなければシャワーや入浴をして、からだを温める必要があるが、それより優先すべきものが他にある。
4.〇 正しい。四つ這いの姿勢になるよう促す。四つん這い分娩は、産痛緩和臍帯圧迫の解除回旋異常が自然に矯正されるなどが期待される。また、その他の特徴として、散瞳裂傷をきたしにくいこと、腰痛を緩和できることなどがあげられる。
5.× 連続的胎児心拍数モニタリングを「3時間後から」ではなく今すぐ実施する。①分娩第1期には分娩監視装置を一定時間(20分以上)使用する。②正常胎児心拍数パターンであれば、その後6時間は間欠的心拍数聴取(15〜90分ごと)でもよい(※参考:産婦人科診療ガイドライン産科編2014)。したがって、入院時・破水時は連続的胎児心拍数モニタリングを20分間行う必要性があるとしている。一方、母体や胎児に合併症がある場合は連続モニタリングが求められる。ガイドラインでは、母体側要因として、糖尿病合併、高血圧症候群などに加え、脳性麻痺、子癇などの既往症や子宮切開手術の既往をあげている。

(※引用:「胎児心拍数モニタリング―胎児心拍数陣痛図の判読と胎児管理の指針」日本産婦人科医会様HPより)

分娩期

【分娩第1期】
陣痛の開始から、子宮口(子宮頸部)が完全に開く(全開大、約10cm)までの期間を指す。

・分娩第1期
「①潜伏期」と「②活動期」に分けられる。
①潜伏期:陣痛がリズミカルになり、子宮頸部が薄くなり4cmほど開いた状態まで(初産婦で12時間・経産婦で5時間程度かかる)の時期を示す。
②活動期:子宮口が4センチから10cm(全開)に開き、胎児の一部が胎盤内に降りてくる(初産婦で3時間・経産婦で2時間程度かかる)。いきみたくなって来る段階である。

・分娩第2期:赤ちゃんが産道を通っている間
子宮口が完全に開大してから胎児を娩出するまでの期間を指す。この段階は初産婦では平均45~60分間、経産婦では15~30分間続く。

・分娩第3期:「後産」の時期
胎児を娩出してから胎盤を娩出するまでの期間である。この段階は数分間で終わるのが普通であるが、最大30分ほど続くこともある。

 

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