第102回(H28) 保健師国家試験 解説【午前1~5】

 

※注意:著者は看護師で、解説はすべてオリジナルのものとなっています。私的利用の個人研究・自己研鑽のため作成いたしました。間違いや分からない点があることをご了承ください。またコメントにて解き方等教えてくださると幸いです。

 

問題引用:第102回保健師国家試験、第99回助産師国家試験、第105回看護師国家試験の問題および正答について

 

 

1 市では新しい健康づくり計画とその事業経過とをホームページに掲載している。
 この活動の目的はどれか。

1.アドヒアランス
2.アカウンタビリティ
3.セルフ・エフィカシー
4.ポピュレーションアプローチ

解答

解説
1.× アドヒアランスとは、健康行動などにおいて、対象者がコンプライアンス(医療者の指示を守る行動)よりさらに主体的・積極的に行動することである。
2.〇 正しい。アカウンタビリティとは、説明責任のことである。行政組織は税金を使ってさまざまな施策を実施しているため、住民に対し、その目的・内容・実施状況・評価などの情報公開と説明責任を果たす義務がある。
3.× セルフ・エフィカシーとは、自己効力感のことである。
4.× ポピュレーションアプローチとは、対象を限定せず、地域や職場など集団全体を対象にした介入のアプローチである。

MEMO

・ポピュラーアプローチ(ポピュレーションストラテジー):対象を限定せず地域や職場など、集団全体に働きかけてリスクを下げる方法である。一次予防とされる。
・ハイリスクアプローチ(ハイリスクストラテジー):リスクの高いものに対象を絞り込んで働きかける方法である。2次予防とされる。

 

 

 

 

 

2 認知症高齢者を介護する家族の問題対処能力をアセスメントするにあたって収集する情報で適切でないのはどれか。

1.社会資源の活用状況
2.家族の各構成員の発達課題
3.家族と本人との情緒的関係
4.家族の介護に対する近隣の評価

解答

解説
1.〇 正しい。社会資源の活用状況(家族の問題対処能力をアセスメントする情報)は、認知症高齢者を介護する家族の問題対処能力をアセスメントするにあたって収集する情報である。なぜなら、認知症高齢者を介護する家族の負担は大きく、高齢者とその家族が安心して住み慣れた地域で暮らしていくため。介護保険サービスなどの社会資源を上手に活用することが求められる。
2.〇 正しい。家族の各構成員の発達課題(ストレスへの対応能力や問題対処能力をアセスメントする情報)は、認知症高齢者を介護する家族の問題対処能力をアセスメントするにあたって収集する情報である。なぜなら、認知症高齢者の家族は、介護者としての役割を期待されることによって、一人ひとりの発達課題の達成が阻害されることもあるため。
3.〇 正しい。家族と本人との情緒的関係(家族の問題対処能力をアセスメントする情報)は、認知症高齢者を介護する家族の問題対処能力をアセスメントするにあたって収集する情報である。なぜなら、保健師は、家族と介護される本人がどのような関係性にあり、どのように影響を及ぼし合っているかを捉え、問題があれば調整を行うため。
4.× 家族の介護に対する近隣の評価は、認知症高齢者を介護する家族の問題対処能力をアセスメントするにあたって収集する情報で適切でない。なぜなら、近隣の人々が、認知症高齢者を介護する家族の日常生活・役割の変化、介護困難な状況や対処について理解しているとは限らないため。

 

 

 

 

 

3 保健所の保健師はエイズ予防週間に合わせて、大学の学園祭で若者を対象にヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症および性感染症(STD)に関する健康教育を行うことにした。
 対象者が予防行動をとることを目標に設定し、実施する方法として最も適切なのはどれか。

1.性感染症(STD)に関するパネル展示
2.ピア・エデュケーターによる相談
3.性感染症(STD)に関する講演会
4.希望者へのHIV検査

解答

解説
1.× 性感染症(STD)に関するパネル展示は、優先度が低い。なぜなら、一方通行の伝達になるため。ただし、新しい知識や情報を多くの人に伝えることができる。
2.〇 正しい。ピア・エデュケーターによる相談は、対象者が予防行動をとることを目標に設定し実施する方法として最も適切である。エイズ・ピア・エデュケーターは、高校生や大学生などの同じ年代の仲間で集い、エイズ予防などをともに学び、考え、さらに周囲の仲間に伝えていく普及啓発活動を行う。
3.× 性感染症(STD)に関する講演会は、優先度が低い。なぜなら、一方通行の伝達になるため。ただし、一度に多くの聴衆に情報を伝えることが可能でる・
4.× 希望者へのHIV検査は、優先度が低い。なぜなら、HIV検査は既にHIVに感染している可能性がある人を対象に行うため。また、プライバシー保護の観点からもHIV検査を学園祭で行うのは困難である。

 

 

 

 

 

4 市町村による新生児の訪問指導について正しいのはどれか。

1.第2子以降は対象外である。
2.母子保健推進員が実施する。
3.新生児期を過ぎても継続できる。
4.母子が不在の場合は近隣住民に伝言を依頼する。

解答

解説
1.× 第2子以降も対象である。新生児訪問指導は、出生順位を規定しておらず、すべての新生児を対象としている。
2.× 母子保健推進員は、実施できない。母子保健推進員とは、地域の妊産婦さんやお子さんの健康を見守るサポーター役として、市長より委嘱をうけて活動しているいわゆるボランティアである。新生児訪問指導は、「医師保健師助産師またはその他の職員をして当該新生児の保護者を訪問させ、必要な指導を行わせるもの」である。
3.〇 正しい。新生児期を過ぎても継続できる。当該新生児が新生児期を過ぎても、訪問を継続することができると、母子保健法に規定されている。
4.× 母子が不在の場合でも、近隣住民に伝言を依頼できない。訪問指導は、直接母子に会い指導を行うことが重要である。また、個人情保護、守秘義務の点からも近隣に伝言を依頼してはならない。

 

 

 

 

 

5 在宅ケアにおける高齢者のケアマネジメントに関する説明で正しいのはどれか。

1.介護支援専門員の独占業務である。
2.医療保険による訪問看護は対象としない。
3.ケアプランに基づくサービスの利用開始時から始める。
4.既存のサービスによってニーズが満たされているかを査定する。

解答

解説

ケアマネジメントとは?

ケアマネジメントとは、療養者のQOLを向上させるための多様なサービスを、個人個人に合わせてコーディネートすることである。また、単にケアプランを立案し、サービスを提供するだけでなく、総合的・効率的・継続的に生活課題(ニーズ)の解決を図るという概念である。

1.× 介護支援専門員の独占業務ではない。名称独占や業務独占とは、それ以外の者による業の実施や名称の使用を罰則で制限する法定資格のことをいう。
2.× 医療保険による訪問看護も対象である。ケアマネジメントは、療養者のQOLを向上させることを目的に行うものでり、医療保険・介護保険どちらの訪問看護も対象とする。
3.× ケアマネジメントは、ケアプランに基づくサービスの利用開始時ではなく、「ケアプランを作成する前」から始める。
4.〇 正しい。既存のサービスによってニーズが満たされているかを査定する。ケアマネジメントでは、既存サービスの査定を定期的に行い、状況に応じてケアプランを修正・提供することが求められる。

 

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