第102回(H28) 保健師国家試験 解説【午後1~5】

 

1 従業員数1,500人の部品製造工場。製造部門ごとに責任者が置かれている。定期健康診断の問診の結果、腰痛の訴えが多い部門があった。
 この健康課題に予防的な取り組みをするために優先して働きかける対象はどれか。

1.腰痛を訴えている者
2.定期健康診断の未受診者
3.定期健康診断の有所見者
4.腰痛が多く発生している部門の責任者

解答

解説
1.× 腰痛を訴えている者は、優先度が低い。なぜなら、予防的な取り組みをする必要があるため。
2.× 定期健康診断の未受診者は、優先度が低い。なぜなら、必ずしも腰痛の予防対策とはならないため。
3.× 定期健康診断の有所見者は、優先度が低い。なぜなら、必ずしも腰痛の予防対策とはならないため。ちなみに一般的に、定期健康診断の有所見者は血中脂質検査が多い。
4.〇 正しい。腰痛が多く発生している部門の責任者は、優先して働きかける対象である。なぜなら、腰痛が多く発生している部門の責任者に働きかけることで、部門全体に効果的な予防対策が期待できるため。

 

 

 

 

 

2 市では自立している独居高齢者の孤立死が続いたため、独居高齢者に対する活動を検討したいと考えている。自立している独居高齢者の調査をした結果、孤立死は他人事ではなく不安を感じるが、プライバシーには踏み込まれたくないという者が多いことが明らかになった。
 孤立死を予防するための保健師の活動として適切なのはどれか。

1.老人クラブの加入者数を調査する。
2.自治会に独居高齢者が集う場を設定するよう促す。
3.地域活動支援センターに高齢者の見守りを依頼する。
4.孤立死への不安がある高齢者に地域包括支援センターでの相談を勧める。

解答

解説

孤立死(孤独死)とは?

孤立死(孤独死)とは、生存中における高齢者の社会的孤立が死によって表面化したものである。設問の地域の高齢者はプライバシーに踏み込まれたくないと考えており、訪問よりも通所サービスが望まれる。

1.× 老人クラブの加入者数を調査する必要はない。なぜなら、老人クラブは、独居高齢者が必ずしも加入するものではないため。
2.〇 正しい。自治会に独居高齢者が集う場を設定するよう促す。孤立死をなくすためには、独居高齢者が孤立することなく安心して暮らせるような見守り・居場所づくりが重要である。自治会に独居高齢者が集う場を設定するよう促すことは適切である.
3.× 地域活動支援センターに高齢者の見守りを依頼する必要はない。なぜなら、自立した高齢者はこの施設サービスの対象外であるため。ちなみに、地域活動支援センターは、『障害者総合支援法』によって定められた障害によって働くことが困難な障害者の日中の活動をサポートする福祉施設である。
4.× 孤立死への不安がある高齢者に地域包括支援センターでの相談を勧める必要はない。なぜなら、社会的孤立にある高齢者には、自ら地域包括支援センターに出向いて相談することは困難であるため。孤立死をなくすためには、支援が必要な人を早期に把握し、介護・保健・医療等のサービスにつなげることが重要であり、保健師は見守りの仕組みづくりを行う。

 

 

 

 

 

3 社会福祉における相互援助の概念と具体的な内容との組合せで適切なのはどれか。

1.自助:ボランティア
2.互助:介護保険
3.共助:生活保護
4.公助:就労継続支援

解答

解説

地域包括ケアシステムとは?

地域包括ケアシステムでは、高齢者の尊厳の保持と自立生活の支援の目的のもとで、可能な限り住み慣れた地域で生活を継続することができるような包括的な支援・サービス提供体制の構築を目指している。

「自助・互助・共助・公助」を重視している。
「公助」は税による公の負担。
「共助」は介護保険などリスクを共有する仲間(被保険者)の負担。
「自助」には「自分のことを自分でする」ことに加え、市場サービスの購入も含まれる。
「互助」は相互に支え合い、費用負担が制度的に裏づけられていない自発的なものである。

1.× 自助とは、自らの責任と努力によって生活を営むことである。ちなみに、ボランティアは、互助である。
2.× 互助とは、制度化されていない私的な相互扶助である。ちなみに、介護保険は、共助である。
3.× 共助とは、制度化された相互扶助によって安心した生活を保障することである。ちなみに、生活保護は、公助である。
4.〇 正しい。公助とは、自助・互助・共助では対応できない場合に、受給条件を定めたうえで、国が社会保障を行うことである。就労継続支援は、公助である。

 

 

 

 

 

4 家族のライフサイクル段階とその発達課題との組合せで正しいのはどれか。

1.養育期:夫婦間の生活習慣の調整
2.教育期:子どもによる役割の補充
3.排出期:子どもによる役割の分担の強化
4.向老期:子ども夫婦との役割期待の調整

解答

解説
1.× 養育期の発達課題は、夫婦間の生活習慣の調整ではなく、「子どもの養育を含めた夫婦間の役割を調整する」ことである。
2.× 教育期の発達課題は、子どもによる役割の補充ではなく、「子どもの家族役割への参加」である。
3.× 排出期の発達課題は、子どもによる役割の分担の強化ではなく、「子どもの独立の支持、夫婦関係の再調整」である。
4.〇 正しい。向老期の発達課題は、子ども夫婦との役割期待の調整である。

 

 

 

 

 

5 Aさん(50歳、男性)。仕事のストレスからうつ状態になり会社に出勤できなくなった。妻は精神的に不安定になり、息子は母親を心配して不登校となった。
 相互に影響し合うAさん家族の状況を理解するために最も適切な理論はどれか。

1.家族発達論
2.家族システム理論
3.家族セルフケア理論
4.家族ストレス対処理論

解答

解説

1.× 家族発達論は、家族を発達段階からみたものである。親元を離れて独立して生活している「若い成人の時期→結婚→子育て→子どもの自立→老年期まで」の家族の心理的課題や家族システムの変化に関する理論である。
2.〇 正しい。家族システム理論は、家族を1つの組織(システム)としてとらえる理論である。家族というシステムのどこに問題(エラー)が生じて、それはどのような要因によるものか、ということを見定めようとする。設問では、Aさん夫婦と子どもの3人家族のそれぞれが相互に影響しながら健康に関連する問題をもっている状況で、家族全体の状況をとらえることが求められている。相互に影響し合うAさんの家族の状況を理解するために最も適切である。
3.× 家族セルフケア理論は、家族のセルフケア機能を高めるための理論である。保健師が実際にどのように家族を支援し、家族を対象とした看護過程を展開するかについて参考となる。
4.× 家族ストレス対処理論は、家族がさまざまなストレスに対してどのように対処していくのかを明らかにしようとする理論である。

 

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