第102回(H28) 保健師国家試験 解説【午前26~30】

 

26 平成25年(2013年)の地域における保健師の保健活動に関する基本的な指針における記載事項でないのはどれか。

1.人材育成
2.地区担当制の推進
3.予防的介入の重視
4.個別課題の視点の重視
5.地区診断に基づくPDCA サイクルの実施

解答

解説

1~3.5.〇 人材育成/地区担当制の推進/予防的介入の重視/地区診断に基づくPDCA サイクルの実施は、「地域における保健師の保健活動に関する指針」に記載されている。
4.× 個別課題の視点の重視は、記載されていない。個別課題から地域課題への視点及び活動の展開は、同指針に記載されているが、個別課題の視点の重視は記載されていない、

地域における保健師の保健活動に関する指針

地域における保健師の保健活動は、『地域保健法』および「地域保健対策の推進に関する基本的な指針」に基づいて実施される。「地域における保健師の保健活動に関する指針」は、保健師に求められる役割が変化、拡大していることを受け、平成25(2013)年4月に厚生労働省が定め、通知したものである。

①地域診断に基づくPDCAサイクルの実施。
②個別課題から地域課題への視点及び活動の展開。
③予防的介入の重視。
④地区活動に立脚した活動の強化。
⑤地区担当制の推進。
⑥ 地区特性に応じた健康なまちづくりの推進。
⑦部署横断的な保健活動の連携及び協働。
⑧地域のケアシステムの構築。
⑨各種保健医療福祉計画の策定及び実施。
⑩人材育成。

 

 

 

 

 

27 A県は、県内のB市で起きた震度7の地震による発災直後からB市にA県の保健師を派遣し、継続した支援を行っている。災害後2か月が経ち、避難住民の半数以上は仮設住宅への移住が進んでいる。B市の職員は自ら被災しながらも発災直後から休みなく働いている。
 このときのA県の保健師の対応で適切なのはどれか。2つ選べ。

1.B 市の職員が交互に休めるよう支援する。
2.B 市の支援活動の今後の方針が決まるのを待つ。
3.B 市の職員に精神科医の診察を受けるよう勧める。
4.B 市に対し職員の健康チェックを実施するよう提案する。
5.被災したB 市の職員が優先的に仮設住宅へ移るよう提案する。

解答1・4

解説
1.〇 正しい。B 市の職員が交互に休めるよう支援することは、A県の保健師の対応で適切である。なぜなら、B市の職員も被災者であり、休むことなく働いている現状から休養が必要であるため。
2.× B 市の支援活動の今後の方針が決まるのを待つは、優先度が低い。むしろ、方針が決まるのを待つのではなく、B市の職員とともに検討・提案する。
3.× B 市の職員に精神科医の診察を受けるよう勧めることの、優先度が低い。なぜなら、ストレスチェックや健康相談などを行い、B市の職員の状態をアセスメントしたうえで、必要に応じて紹介する手順を踏むため。
4.〇 正しい。B 市に対し職員の健康チェックを実施するよう提案することは、A県の保健師の対応で適切である。なぜなら、発災直後から休みなく働いており疲労蓄積が考えられるため。健康状態を確認できる。
5.× 被災したB 市の職員が優先的に仮設住宅へ移るよう提案することは、優先度が低い。なぜなら、B市の職員ではなく、高齢者世帯や障害者などの配慮が必要な市民を優先するため。

 

 

 

 

 

28 地域保健対策の推進に関する基本的な指針について正しいのはどれか。2つ選べ。

1.健康危機管理体制の管理責任者は保健所長が望ましい。
2.科学的根拠に基づく地域保健対策の計画を策定する。
3.自助の推進から公助の積極的な活用への移行を図る。
4.専門家とのリスクコミュニケーションに努める。
5.災害対策基本法に基づいて定められている。

解答1・2

解説

地域保健対策の推進に関する基本的な指針

「地域保健対策の推進に関する基本的な指針」は、『地域保健法』4条1項の規定に基づいて平成6年に告示された。地域保健体系のもとで、市町村、都道府県、国等が取り組むべき方向を示すことにより、地域保健対策の円滑な実施及び総合的な推進を図ることを目的としている。

1.〇 正しい。健康危機管理体制の管理責任者は保健所長が望ましい。なぜなら、「健康危機管理体制の管理責任者は、地域の保健医療に精通しているという観点から保健所長が望ましい」と明記されているため。
2.〇 正しい。科学的根拠に基づく地域保健対策の計画を策定する。なぜなら、「地域の特性を考慮しながら、医療、介護、福祉等の関連施策と有機的に連携した上で、科学的な根拠に基づき効果的・効率的に地域保健対策を推進する」と明記されているため。
3.× 逆である。「公助の積極的な活用」から「自助の推進」への移行を図る。指針で「住民の自助努力に対する支援を充実する」ことと「共助の精神で活動する住民に対し、ソーシャルキャピタルを活用した支援を行う」ことが明記されている。
4.× 専門家ではなく、住民とのリスクコミュニケーションに努める。リスクコミュニケーションの目的は、自助・共助の取り組み主体となる住民などを巻き込んだ体制づくりにある。
5.× 災害対策基本法ではなく、『地域保健法』に基づいて定められている。

 

 

 

 

 

29 ヘルスプロモーションの理念に基づく保健師の活動はどれか。2つ選べ。

1.成年後見制度の申し立ての支援
2.受動喫煙防止の環境整備の推進
3.睡眠に関する正しい知識の普及啓発
4.新型インフルエンザ発生時の初動調査
5.脳卒中後遺症患者のリハビリテーション教室の実施

解答2・3

解説

ヘルスプロモーションとは?

ヘルスプロモーションは、人々が自らの健康をコントロールし、改善することができるようにするプロセスである。健康は身体的な能力であるととともに、社会および個人の資源であることを強調した積極的な概念である。ヘルスプロモーションは、保健部門だけの責任にとどまらず、人々のライフスタイルや生活の質(QOL)にかかわるものであり、個人の能力だけでなく環境の整備も含まれる。

1.× 成年後見制度の申し立ての支援は含まれない。成年後見制度は、認知症などで判断能力が不十分になった人の権利を保護し支援する制度をいう。申し立ての支援には、弁護士や司法書士があたることが多い。
2.〇 正しい。受動喫煙防止の環境整備の推進は、ヘルスプロモーションの理念に基づく保健師の活動である。受動喫煙防止の環境整備は、個人の努力では限界があるので、社会環境の整備として取り組むことが必要である。
3.〇 正しい。睡眠に関する正しい知識の普及啓発は、ヘルスプロモーションの理念に基づく保健師の活動である。睡眠に関する正しい知識の普及啓発は、ライフスタイルの改善のために必要な個人の能力を高める。
4.× 新型インフルエンザ発生時の初動調査は含まれない。新型インフルエンザ発生時の初動調査は、感染の拡大を防ぐために必要な情報を収集する調査となる。
5.× 脳卒中後遺症患者のリハビリテーション教室の実施は含まれない。脳卒中後遺症患者のリハビリテーション教室は、重症化予防あるいは再発子防に焦点がある。ヘルスプロモーションの理念に基づく保健師活動では、ライフスタイルの改善や社会環境整備により、脳卒中発症を予防することに焦点があてられる。なお、その際には、患者の体験は貴重な情報となる。

 

 

 

 

 

30 日本の平成37 年(2025年)の推計について正しいのはどれか。2つ選べ。

1.総人口が1億人を下回る。
2.認知症高齢者が800万人を超える。
3.75歳以上の高齢者が2,000 万人を超える。
4.総人口のおよそ3人に1人が65歳以上になる。
5.世帯主が65 歳以上の世帯における単独世帯の割合が50 % を超える。

解答3・4

解説

1.× 総人口が1億人を下回らず、1億2066万人となっている。(引用:国立社会保障・人口問題研究所による「日本の将来推計人口」)
2.× 認知症高齢者は、800万人ではなく、約700万人と推計されている。(引用:厚生労働省による「平成37年の認知症高齢者数」)
3.〇 正しい。75歳以上の高齢者が2,000 万人を超える。平成37年の75歳以上の高齢者は2179万人となっている。(引用:厚生労働省による「平成37年の認知症高齢者数」)
4.〇 正しい。総人口のおよそ3人に1人が65歳以上になる。平成37年の65歳以上の高齢者の割合は30.3%で、総人口のおよそ3人に1人は65歳以上の高齢者となっている。(引用:厚生労働省による「平成37年の認知症高齢者数」)
5.× 世帯主が65 歳以上の世帯における単独世帯の割合が、50 %は超えず、34.8%となっている。(※データ引用:国立社会保障・人口問題研究所による「日本の世帯数の将来推計」)

 

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