第102回(H28) 保健師国家試験 解説【午前31~35】

 

31 健康格差の社会的決定要因となるのはどれか。2つ選べ。

1.教育
2.収入
3.社会参加
4.職場環境
5.食品の入手可能性

解答1・2

解説

健康格差

1990年代から、健康格差は公衆衛生の中心的な話題として論じられ、健康格差の縮小が公衆衛生において重要な政策目標として掲げられるようになってきた。その背景には、健康に社会構造、政策的・経済的・法的制度がかかわっているというエビデンスがある。

1~2.〇 正しい。教育/収入は、健康格差の社会的決定要因のひとつである。
3.× 社会参加は、健康格差の社会的決定要因とはいえない。なぜなら、何をもって社会参加とするか、客観的な指標はないため。
4.× 職場環境は、健康格差の社会的決定要因とはいえない。なぜなら、職場環境という概念では、あまりに多様な内容を含んでいるため。
5.× 食品の入手可能性は、健康格差の社会的決定要因とはいえない。「入手可能性」は「健康」に影響を与える要因ではあるが、「健康格差」の社会的決定要因ではない。

 

 

 

 

 

32 1,000世帯の新興住宅地を担当する保健師は、担当地区内の乳幼児をもつ母親15人から子育て支援グループを作りたいと相談を受けた。
 このグループへの支援で適切なのはどれか。2つ選べ。

1.グループが形成された初期では受容的に見守る。
2.メンバーが自発的に参加し始める時期では指示を与えて主導する。
3.メンバー間の信頼や連帯感が生じる時期ではリーダーを指名する。
4.メンバーが一丸となり活動する時期では活動内容を調整する。
5.支援を終了する時期ではグループが自主的に運営する力を評価する。

解答4・5

解説

1.× グループが形成された初期では、受容的に見守るのではなく、お互いが知り合えるような場や雰囲気づくりを行う。
2.× メンバーが自発的に参加し始める時期では、指示を与えて主導するのではなく、指示を与えずに見守る
3.× メンバー間の信頼や連帯感が生じる時期では、保健師がリーダーを指名するのではなく、参加者のなかからリーダーや役割が決定できるように見守る。
4.〇 正しい。メンバーが一丸となり活動する時期では活動内容を調整するのは、このグループへの支援で適切である。メンバーが一丸となり活動する時期では、意見や問題をメンバー間で共有できるように話し合いを進める。また、問題に直面した場合は、相談に乗ったり活動内容を調整したりする。
5.〇 正しい。支援を終了する時期ではグループが自主的に運営する力を評価するのは、このグループへの支援で適切である。保健師が支援を終了する時期では、活動を評価し、メンバーが自主的に運営できることをともに確認する。

セルフヘルプ グループに対する保健師の基本的姿勢

セルフヘルプグループは自立が原則であり,保健師はあくまでグループの自主的活動のサポート役である.
・側面的な補佐役になる。
・必要な情報を提供する。
・メンバーの体験・意見を聴く。
・グループの相談相手や助言者になる。
・グループの発達課題を把握する。
・新しいグループの立ち上げを支援する。
・近隣の同様の会との情報交換を提案する。
・グループに未所属の当事者にグループを紹介する。
・活動の周辺的な支援を行う。
・援助できることと、できないことを区別する。
・メンバーの声を地域の施策に反映できるように援助する。
・グループの主体性の維持が困難な際は必要に応じて舵取りをする。

 

 

 

 

 

33 民生委員について正しいのはどれか。2つ選べ。

1.任期は5年である。
2.児童委員を兼ねる。
3.厚生労働大臣が委嘱する。
4.市町村の推薦が必要である。
5.設置の根拠法令は地方自治法である。

解答2・3

解説

民生委員とは?

民生委員は、日本独自の制度化されたボランティアである。地域社会の福祉の増進図っている。

1.× 任期は、5年ではなく3年である。給与は支給されていない。
2.〇 正しい。児童委員を兼ねる。児童福祉法に規定されており、民生委員は自動的に児童委員にもなる。
3.〇 正しい。厚生労働大臣が委嘱する。民生委員法に規定されており、民生委員は、都道府県知事の推薦によって、厚生労働大臣が委嘱する。
4.× 市町村ではなく、都道府県知事の推薦が必要である。
5.× 設置の根拠法令は、地方自治法ではなく、『民生委員法』である。

 

 

 

 

 

34 A市のB地区では、認知症高齢者の徘徊に困っている家族が多いことが分かり、保健師はB地区の自治会と協働し、地域における認知症高齢者の見守り体制を構築することになった。
 見守り体制の構成メンバーとして適切なのはどれか。2つ選べ。

1.小学校長
2.派出所の警察官
3.精神保健福祉センターの医師
4.特別養護老人ホームの介護福祉士
5.居宅介護支援事業所の介護支援専門員

解答2・5

解説
1.× 小学校長は、優先度が低い。なぜなら、高齢者と直接かかわることが少ないため。
2.〇 正しい。派出所の警察官は、見守り体制の構成メンバーとして優先度が高い。なぜなら、派出所の警察官は、地域で活動しており徘徊高齢者を保護する役割もあるため。
3.× 精神保健福祉センターの医師は、優先度が低い。なぜなら、専門施設で活動しているため。
4.× 特別養護老人ホームの介護福祉士は、優先度が低い。なぜなら、入所者を対象に活動しているため。
5.〇 正しい。居宅介護支援事業所の介護支援専門員は、見守り体制の構成メンバーとして優先度が高い。なぜなら、在宅で生活する高齢者とその家族を対象に活動しているため。

 

 

 

 

 

35 Aさん(28 歳、初産婦)。里帰り中に他県にあるB周産期母子医療センターで、妊娠28 週0日に体重978 gの男児を出産した。生後3か月、児は体重2,400 gでGCU から自宅に退院した。地区担当保健師はGCU の看護師から情報提供を受け、Aさんに連絡した上で、退院の1週後に家庭訪問を行った。Aさんの表情はやや暗い様子で「未熟児だったので、体重が増えているのか心配です。風邪をひかせないように外には連れて行っていません」と話した。訪問時の児の体重は2,540 gであった。
 このときのAさんへの対応で適切なのはどれか。2つ選べ。

1.感染症の予防のため父母以外の家族の接触は避けるよう説明する。
2.生後6か月になったら離乳食を開始するよう説明する。
3.予防接種は修正月齢で接種するよう説明する。
4.児の体重増加以外に不安がないか確認する。
5.児の体重増加は順調であると説明する。

解答4・5

解説
1.× 感染症の予防のため、父母以外の家族の接触は避ける必要はない。なぜなら、退院している時点で自宅で過ごせる程度の免疫力はついていると判断できるため。また、父母以外の家族(祖父母、兄弟など)との接触を避けても、父母を通して間接的に接触することになるため、あえて接触を避ける意義はない。ただし、低出生体重児は免疫力が弱く、感染症を予防することは大切である。
2.× 生後6か月になっても離乳食を開始できない。なぜなら、低出生体重児の離乳食の開始時期は、修正月齢を参考にしながら、発達と摂食機能の評価を踏まえて検討するため。生後6か月は、修正月齢3か月にあたるため、離乳食を開始するには早いと考えられる。出生体重が1000g未満の超低出生体重児では、修正月齢を用いても摂食機能が遅れがちになるため特に注意が必要である。修正月齢とは、産まれた日ではなく、出産予定日を基準とした月齢のことである。例えば、出産予定日より2か月早く産まれた場合、生後3か月を「修正月齢1か月」とする。
3.× 予防接種は、修正月齢ではなく、暦月齢で接種する。早産児や低出生体重児の予防接種の時期については、一般乳児と同様に出生後日年齢、暦月齢を適用する。(厚生労働省:予防接種ガイドライン
4.〇 正しい。児の体重増加以外に不安がないか確認することは優先度が高い。なぜなら、母親は初産婦で、早産で超低出生体重児を出産しており、育児に対する不安が強いと考えられるため。母親の不安を軽減するためにも、母親の心配事などを確認する。
5.〇 正しい。児の体重増加は順調であると説明することは優先度が高い。なぜなら、児は、退院後1日20gと順調に体重が増加しており、この事実を伝えることは、児の体重増加を心配している母親の不安を軽減させるため。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)