第102回(H28) 保健師国家試験 解説【午後31~35】

 

31 Aさん(61歳、主婦)。昨年度までは異常がなかったが、今年度の特定健康診査では、身長158 cm、体重70 kg、腹囲90 cm、血圧136/88 mmHg、喫煙10 本/日で特定保健指導の対象となった。Aさんは結果説明会に来所しなかったため保健師は電話で連絡した。Aさんは「自覚症状はないため、結果説明会には行かなかった。ここ1年ほど夫の帰りが遅く、夫と夕食を摂った後に家事をするので睡眠不足が続いている。昼間眠くてイライラしたばこを吸ってしまう」と訴えた。
 このときの電話の対応で最も適切なのはどれか。

1.夫を待たずに寝るよう指導する。
2.標準体重になるよう減量を勧める。
3.動機付け支援の対象であると伝える。
4.たばこの本数を増やさないよう指導する。
5.生活習慣の改善について一緒に考えることを提案する。

解答

解説
1.× 夫を待たずに寝るよう指導することへの優先度が低い。なぜなら、本症例は、無関心期と考えられるため。無関心期は、自分の健康をどう考えているのか不明であり、生活習慣改善に向けて行動を変えようという考えに至っていない特徴を持つ。よって、一方的に生活習慣改善の方法を指導しても、行動変容に結び付きにくい。
2.× 標準体重になるよう減量を勧めることへの優先度が低い。なぜなら、本症例は、無関心期と考えられるため。無関心期は、自分の健康をどう考えているのか不明であり、生活習慣改善に向けて行動を変えようという考えに至っていない特徴を持つ。よって、一方的に生活習慣改善の方法を指導しても、行動変容に結び付きにくい。
3.× 動機付け支援の対象であると伝えることへの優先度が低い。なぜなら、積極的支援の対象であるため。Aさんは、腹囲90cm、収縮期血圧136/88mmHg、喫煙歴がある。また、Aさんが積極的支援の保健指導を受け入れられるような提案をすることが必要である。
4.× たばこの本数を増やさないよう指導することへの優先度が低い。なぜなら、Aさんの喫煙理由は、今の生活のイライラであるため。喫煙に至る根本的な原因を解決せずに、たばこの本数を減らすように勧めても、状況が改善されるとは考えにくい。
5.〇 正しい。生活習慣の改善について一緒に考えることを提案する。日頃の生活習慣や自分の健康についてどう思っているのかを聞くことによって、Aさん自身が健康への影響を考えること、さらには、生活習慣を改善することにつながる。

 

 

 

 

 

32 健康診査の評価をプロセス評価、影響評価および成果評価の3つに分けて考えるとき、プロセス評価にあたるのはどれか。2つ選べ。

1.要医療者の治療率
2.健康診査の受診者数
3.健康診査に従事する者の数
4.健康診査における疾患の発見率
5.健康診査後に行動変容があった者の数

解答2・3

解説

プロセス評価とは?

プロセス評価は、事業の目的・目標の達成に向けた過程や活動状況を評価するものである。

1.× 要医療者の治療率は、成果評価にあたる。なぜなら、健康診査の目標の達成度に関する指標であるため。
2.〇 正しい。健康診査の受診者数は、プロセス評価にあたる。なぜなら、実施数(実施量)に関する指標であるため。
3.〇 正しい。健康診査に従事する者の数は、プロセス評価にあたる。なぜなら、取り組みの実施状況に関する指標であるため。
4.× 健康診査における疾患の発見率は、成果評価にあたる。なぜなら、達成度に関する指標であるため。
5.× 健康診査後に行動変容があった者の数は、影響評価にあたる。実施による行動変化に関する指標であるため。

 

 

 

 

 

33 労働者の心の健康の保持増進を目的に行われる事業場内のラインによるケアはどれか。2つ選べ。

1.労働者からの相談への対応
2.カウンセリングの実施
3.職場環境の改善
4.教育研修の実施
5.外部資源の紹介

解答1・3

解説

4つのメンタルヘルスケア

労働者の心の健康の保持増進にあたり、具体例とともに4つのメンタルヘルスケアについて理解しよう。

4つのケアとは、①セルフケア、②ラインによるケア、③事業場内産業保健スタッフによるケア、④事業場外資源によるケアである。

1.〇 正しい。労働者からの相談への対応は、ライン(職場の管理監督者)によるケアである。
2.× カウンセリングの実施は、担当者が事業場内にいるなら事業場内産業保健スタッフによるケア、事業場外の者であるなら事業場外資源によるケアである。
3.〇 正しい。職場環境の改善は、ライン(職場の管理監督者)によるケアである。職場の管理監督者は、職場環境などの改善を通じたストレスの軽減を図る役割を担う。
4.× 教育研修の実施は、担当者が事業場内にいるなら事業場内産業保健スタッフによるケア、事業場外の者であるなら事業場外資源によるケアである。
5.× 外部資源の紹介は、事業場外資源によるケアである。

 

 

 

 

 

34 人口動態統計に含まれるのはどれか。2つ選べ。

1.出生
2.婚姻
3.妊娠
4.転出
5.入院

解答1・2

解説

人口動態統計で観察する5つの事象を人口動態事象という。人口動態統計では、①出生、②死亡、③死産、④婚姻、⑤離婚の5つの人口動態事象を扱っている。したがって、選択肢1~2.出生/婚姻が人口動態統計に含まれる。
3~5.× 妊娠/転出/入院は人口動態統計に含まれない。

 

 

 

 

 

35 国の予算について正しいのはどれか。2つ選べ。

1.特別会計は一般会計に含まれる。
2.予算は歳入と歳出とで構成される。
3.医療給付は社会保障関係費に含まれる。
4.各省からの概算要求の締め切りは3月31 日である。
5.平成25 年度(2013 年度)の厚生労働省の予算は国の一般会計予算総額の5割を占める。

解答2・3

解説

1.× 特別会計は、一般会計に含まれない。国の会計は、①一般会計と②特別会計に分けられる。ちなみに、特別会計は、国が特定の事業を行う場合などに設けられる。
2.〇 正しい。予算は、歳入歳出とで構成される。歳入とは、一会計年度におけるすべての収入をいい、歳出とは、一会計年度におけるすべての支出をいう。
3.〇 正しい。医療給付は、社会保障関係費に含まれる。年金医療介護保険給付費として社会保障関係費に含まれる。国の予算その他財政の基本については、『財政法』で定められている。
4.× 各省からの概算要求の締め切りは、3月31 日という締め切りは法定されていない。年度によって異なることもあるが、毎年8月31日が締め切りであることが多い。これを受けて9月から12月まで財務省主計局で査定作業が行われる。ちなみに、概算要求とは、各省庁から財務省に対し次年度の予算の要求を提出することである。
5.× 平成25 年度(2013 年度)の厚生労働省の予算は、国の一般会計予算総額の5割ではなく、約3割を占める。平成25年度の国の一般会計予算は、当初予算92兆6,115億円で、そのうち厚生労働省予算は29兆4,321億円である。割合は31,8%である。

 

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