第102回(H28) 保健師国家試験 解説【午前46~50】

 

次の文を読み44〜46の問いに答えよ。
 人口2万人のA町。A町のB 地区には新たに新幹線の駅ができ、300 戸の温泉付のマンションが建設された。マンションの入居者の平均年齢は67.2 歳で、都市部の会社を定年退職した者が多い。ほぼ全戸に入居が済んだことで、A町全体の老年人口割合が増加した。

46 調査の結果、B 地区のマンション入居者からは「定年退職後、趣味がないので外出する機会が少なくなった」、「マンションに入居してから外部との交流が減った」、「最近体力が落ちてきたと感じる」、「自分に合った健康づくりをしたい」との意見が多かった。保健師はB 地区の住民の健康増進のために住民同士の交流を促すことにした。
 保健師の活動で最も適切なのはどれか。

1.健康診査の受診勧奨
2.介護予防事業の実施
3.健康に関する講演会の開催
4.ウォーキングマップの配布
5.健康のための調理教室の開催

解答

解説
1.× 健康診査の受診勧奨は、優先度が低い。なぜなら、住民同士の交流を促すという今回の目的にはつながらないため。健康診査の目的は疾患の早期発見である。
2.× 介護予防事業の実施は、優先度が低い。なぜなら、本問の対象者は比較的元気な高齢者であるため。介護予防事業は、介護が必要な状態になる可能性のある65歳以上の人が、できる限り介護状態にならずに地域で生活できるようにさまざまなサービスを提供する事業である。
3.× 健康に関する講演会の開催は、優先度が低い。なぜなら、一般的に講演会は一方的・単発で終わることが多いため。住民同士の交流を促すという目的にはつながりにくい。
4.× ウォーキングマップの配布は、優先度が低い。なぜなら、住民同士の交流を促すという目的にはつながりにくく、体力面や関心度によって参加者が偏るため。ただし、ウォーキングマップを配布することは、外出のきっかけになる可能性はある。全体的に選択肢5と比べると優先順位は低いといえる。
5.〇 正しい。健康のための調理教室の開催は、最も優先度が高い。なぜなら、調理教室の開催は、健康・体力づくりがしたいという住民の意見が取り入れられること、健康増進のために住民同士の交流促進につながるため。

フォーカス・グループ・インタビュー

概要:参加者の言葉や表情など、言語・非言語的コミュニケーションから情報を把握するための方法。

長所:潜在的・顕在的な情報把握や新しい考えを引き出す。

短所:少ない人数に対する手法であるためI参加者や司会者の選定により、バイアスが生じる可能性がある。

<ポイント>

・目的や明らかにしたい内容(インタビューガイド)を明確にする。

・参加者の背景を把握する。

・参加者と司会者の選定に留意する。

・1回の参加者6~12名程度とし、参加者同士は顔見知りでないことが望ましい。

・1時間半~2時間半程度とし、延長はしない。

・司会者には、参加者の潜在意識を活性化させることが求められる。

・参加者が話しやすく、プライバシーが保持される場所を選定する。

 

 

 

 

 

次の文を読み47〜49の問いに答えよ。
 人口9万人、高齢化率28%のA市。介護保険の認定を受ける高齢者は増加傾向にある。市では介護における悩みを共有して、介護者の介護負担感を軽減することを目標に介護者の会を開催している。市内は10の地区に分かれ、各地区に集会所がある。月に1回、各集会所において保健師が運営し、毎回30人程度が参加している。

47 介護者の会の目標達成状況を評価するための指標として適切なのはどれか。2つ選べ。

1.短期入所(ショートステイ)の利用状況
2.被介護者の介護状態区分
3.ストレスへの対処状況
4.介護に対する困難感
5.新規参加者数

解答3・4

解説

1.× 短期入所(ショートステイ)の利用状況は、優先度が低い。なぜなら、短期入所を利用するきっかけが、介護者の会によるものか不明瞭であるため。また、介護負担感を減らすための社会資源は短期入所以外にもある。
2.× 被介護者の介護状態区分は、優先度が低い。なぜなら、被介護者の介護状態区分は、介護負担感の軽減には関連しないため。
3~4.〇 正しい。ストレスへの対処状況/介護に対する困難感は、介護者の会の目標達成状況を評価するための指標として適切である。目標は「介護者の介護負担感を軽減する」ことである。
5.× 新規参加者数は、優先度が低い。なぜなら、新規参加者数は、会の運営に関連する評価であるため。

 

 

 

 

 

次の文を読み47〜49の問いに答えよ。
 人口9万人、高齢化率28%のA市。介護保険の認定を受ける高齢者は増加傾向にある。市では介護における悩みを共有して、介護者の介護負担感を軽減することを目標に介護者の会を開催している。市内は10の地区に分かれ、各地区に集会所がある。月に1回、各集会所において保健師が運営し、毎回30人程度が参加している。

48 保健師は、A市における今後の介護者の支援方法について検討するために、介護者の負担を把握する目的で要介護認定者がいる世帯への調査を実施することにした。
 介護に要する時間のほか、把握する項目として優先度が高いのはどれか。

1.福祉用具の貸与状況
2.家族内の介護者の構成
3.要介護認定結果の満足度
4.介護に係る自宅改築の費用

解答

解説
1.× 福祉用具の貸与状況は、優先度が低い。なぜなら、福祉用具の貸与状況だけでは、介護者の負担を推測することはできるが不十分であるため。貸与だけでなく、購入品なども把握することが求められる。
2.〇 正しい。家族内の介護者の構成は、把握する項目として優先度が高い。なぜなら、家族内の介護者の構成を知ることで介護負担の状況を把握できるため。
3~4.× 要介護認定結果の満足度/介護に係る自宅改築の費用は、どちらも介護負担は把握できない。

 

 

 

 

 

次の文を読み47〜49の問いに答えよ。
 人口9万人、高齢化率28%のA市。介護保険の認定を受ける高齢者は増加傾向にある。市では介護における悩みを共有して、介護者の介護負担感を軽減することを目標に介護者の会を開催している。市内は10の地区に分かれ、各地区に集会所がある。月に1回、各集会所において保健師が運営し、毎回30人程度が参加している。

49 調査の結果、A市内の社会資源サービスの利用が有効に活用できていないこと、介護者が高齢者であること、負担感のうち身体への負担が多くを占めることなどが分かった。保健師は介護者への支援を充実させたいと考えた。
 A市における介護者への支援で優先されるのはどれか。

1.要介護者を介護する家庭を全戸訪問する。
2.介護者を対象にした健康診査事業を実施する。
3.介護者を対象にした運動プログラムを事業化する。
4.地区の集会所で介護方法に関する講習会を開催する。

解答

解説
1.× 要介護者を介護する家庭を全戸訪問する優先度は低い。なぜなら、効率面が非常に悪いため。ただし、全戸訪問は、個別ニーズの把握や課題解決のうえで効果は高い。
2.× 介護者を対象にした健康診査事業を実施する優先度は低い。なぜなら、介護者対象の事業を新規に実施するより、現在実施されている健康診査事業を利用したほうが効率がよいため。
3.× 介護者を対象にした運動プログラムを事業化する優先度は低い。なぜなら、身体への負担を訴える介護者に運動させようとするのは有効ではないため。
4.〇 正しい。地区の集会所で介護方法に関する講習会を開催することは、A市における介護者への支援で優先される。なぜなら、社会資源サービスの情報提供と参加者のニーズ把握を効率よくできるため。

 

 

 

 

 

次の文を読み50〜52の問いに答えよ。
 Aさん(35歳、女性、専業主婦)。夫(38歳)と幼稚園に通園する2人の子どもとの4人暮らし。Aさんは4か月前から咳が出現し診療所を受診したが、喘息と診断され経過をみていた。咳がひどくなったため病院を受診したところ、胸部エックス線写真で空洞性病変があり、喀痰塗抹陽性、結核菌PCR 陽性が判明し、結核病床に入院した。診断した医師から保健所に結核発生の届出があった。

50 保健所の保健師の初動対応として適切なのはどれか。2つ選べ。

1.Aさんに入院勧告書を渡す。
2.幼稚園の園長に休園を指示する。
3.病院を訪問しAさんと面接する。
4.Aさんへ公費負担申請書類を送付する。
5.幼稚園の保護者向けに結核の説明会をする。

解答1・3

解説

結核とは?

結核とは、結核菌を吸い込むことによって感染し、身体の抵抗力 (免疫)が弱い時などに、菌が増えて発病する慢性感染症である。『感染症法』上の2類感染症であり、感染力が高くなく、進展が非常に遅い。

1.〇 正しい。Aさんに入院勧告書を渡す。入院勧告・措置を実施する理由およびその他の厚生労働省令で定める事項を書面で通知しなければならない
2.× 幼稚園の園長に休園を指示する必要はない。なぜなら、結核は進展が非常に遅い感染症であるため。インフルエンザや急性胃腸炎など急速にまん延する感染症の場合は、休園の検討が必要なことがある。
3.〇 正しい。病院を訪問しAさんと面接する。感染症法に、原則として、入院勧告から72時間以内に面談を行う必要があると規定されている。
4.× Aさんへ公費負担申請書類を送付する優先度は低い。。なぜなら、公費負担申請書類は、結核病床を有する病院に備え付けてある場合が多いため。したがって、あえて「送付する」必要性は低い。
5.× 幼稚園の保護者向けに結核の説明会をする必要はない。なぜなら、結核は進展が非常に遅い感染症であるため。直ちに説明会や接触者健康診断の企画を立てる必要はなく、情報収集を十分に行ってから着手すべきである。

 

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