第102回(H28) 保健師国家試験 解説【午後51~55】

 

次の文を読み51〜53の問いに答えよ。
 出生10,000対6の発症率と言われている先天性神経疾患Aについて、その発症要因に関する症例対照研究を計画している。

51 調査対象者の登録について正しいのはどれか。

1.診断基準に基づいて症例を登録する。
2.多施設共同研究では代表性が損なわれる。
3.対照群からのインフォームド・コンセントは不要である。
4.調査施設の診療録を施設外に持ち出して情報を転記する。

解答

解説

1.〇 正しい。診断基準に基づいて症例を登録する。なぜなら、医師が、自分の診察した患者が調査の対象に該当するのか否かを迷うことなく決められることが必要であるため。仮説とした要因の有無を比較するためには、症例群と対照群を正しく選定し、バイアスを低減する必要がある。
2.× 多施設共同研究では、代表性が損なわれるのではなく、高まる効果がある。なぜなら、多数の施設で診断・登録することで、広範囲に症例登録ができるため。患者の年齢、居住環境などの偏りが小さくなる。ちなみに、代表性とは、調査対象者全体の中から抽出された一部の対象者の調査結果が、調査対象者全体の結果を、偏りなく正確に反映出来ているかどうかのことである。
3.× 対照群からのインフォームド・コンセントは、不要ではなく必要である。人を対象とする医学系研究では、研究参加者全員に研究参加の説明と同意(インフォームド・コンセント)を得ることが原則である。
4.× 調査施設の診療録を施設外に持ち出して情報を転記してはならない。なぜなら、個人情報が流出しないように十分配慮する必要があるため。また、不正の手設による個人情報の取得は禁止事項である。

 

 

 

 

 

次の文を読み51〜53の問いに答えよ。
 出生10,000対6の発症率と言われている先天性神経疾患Aについて、その発症要因に関する症例対照研究を計画している。

52 先天性神経疾患Aの発症に、母親の出産時年齢が有意に関連することが既に分かっている。そのため、症例群の母親と同じ出産時年齢の母親を対照群として選定し、ペアを作成して調査対象者を集めた。
 この制御方法はどれか。

1.層化
2.限定
3.無作為化
4.マッチング

解答

解説
1.× 層化は、母集団をいくつかの均質な集団に分け、解析の段階で交絡因子の影響を排除する方法である。
2.× 限定は、交絡因子の影響を除くために、調査対象者を、ある特定の特徴を有した集団に限定する方法である。
3.× 無作為化(ランダム化)は、偏りを避けるために研究の対象を介入群と非介入群にランダムに割り付けることである。介入研究で行う方法である。
4.〇 正しい。マッチングは、交絡因子と考えられる年齢や性別、居住地域などの分布を、症例群と対照群でそろえることで比較できるようにする方法である。

 

 

 

 

 

 

次の文を読み51〜53の問いに答えよ。
 出生10,000対6の発症率と言われている先天性神経疾患Aについて、その発症要因に関する症例対照研究を計画している。

53 先天性神経疾患Aの発症に「妊娠前の栄養素B の摂取不足が関与している」という仮説を立てた。調査対象者の母親に対して妊娠前の栄養素B の摂取量に関する聞き取り調査を行った。
 聞き取り調査について正しいのはどれか。

1.共通の聞き取り調査方法を用意する。
2.聞き取り調査員は、症例群か対照群かを事前に知っておく。
3.聞き取り調査員は、症例群と対照群とのどちらか一方を担当する。
4.栄養素B の摂取不足が発症要因である可能性を調査前に知らせておく。

解答

解説
1.〇 正しい。共通の聞き取り調査方法を用意する。なぜなら、調査員によって情報の聞き出し方が異なると正確さに差が生じることがあるため。
2.× 聞き取り調査員は、症例群か対照群かを事前に知っておく必要はない。なぜなら、事前に調査対象者がどちらの群であるかを知っていると、症例群からは栄養素Bの不足があったという回答、対照群からは栄養素Bの摂取があったという回答を無意識に引き出すおそれがあるため。むしろ、調査員には対象者がどちらの群かわからないように工夫する必要がある。
3.× 聞き取り調査員は、症例群と対照群とのどちらか一方を担当するのではなく、両群のバランスを確保する。なぜなら、調査員によって情報を聞き取る方法、情報を解釈する方法、記録する方法などに違いがあるとバイアスが生じるおそれがあるため。
4.× 栄養素B の摂取不足が発症要因である可能性を調査前に知らせておく必要はない。なぜなら、調査対象者が発症要因をあらかじめ知っていると、対象者の考え方や発言に変化が生じ、調査時に得られる情報にバイアスが生じる可能性があるため。むしろ、できる限りわからないようにするのがよい。

 

 

 

 

 

次の文を読み54、55の問いに答えよ。
 人口30万人のA市。従業員50人未満の中小企業が多い。第1次A市健康増進計画を評価したところ、市民へのアンケート結果では、計画策定時と比べてストレスを感じている人が増えていた。また、この10年間自殺者数は横ばいで推移していたため、保健師は第2次A市健康増進計画においてメンタルヘルス対策を強化することが必要と考えた。

54 メンタルヘルス対策の検討のために、分析する項目で優先度が高いのはどれか。

1.中小企業の経営状態
2.要介護認定者の推移
3.10年間の自殺者の特徴
4.特定保健指導該当者数の推移

解答

解説
1~2.× 中小企業の経営状態/要介護認定者の推移は、優先度が低い。なぜなら、メンタルヘルス対策に関連が低いため。選択肢の中に最も優先度が高いものがほかにある。
3.〇 正しい。10年間の自殺者の特徴は、最も優先度が高い。なぜなら、自殺者数が横ばいで推移していることが、保健師が第2次健康増進計画においてメンタルヘルス対策を強化する必要があると考える一因であるため。
4.× 特定保健指導該当者数の推移は、優先度が低い。なぜなら、メンタルヘルス対策に関連が低いため。ちなみに、特定保健指導該当者は特定健康診査により生活習慣病のリスクが高いと判定され、保健指導が必要とされた者である。

 

 

 

 

 

次の文を読み54、55の問いに答えよ。
 人口30 万人のA市。従業員50人未満の中小企業が多い。第1次A市健康増進計画を評価したところ、市民へのアンケート結果では、計画策定時と比べてストレスを感じている人が増えていた。また、この10 年間自殺者数は横ばいで推移していたため、保健師は第2次A市健康増進計画においてメンタルヘルス対策を強化することが必要と考えた。

55 地域診断の結果、保健師は壮年期の労働者へのメンタルヘルス対策が必要だと考え、地域・職域連携会議を開くことにした。
 地域・職域連携会議のメンバーで優先度が高いのはどれか。

1.商工会の代表
2.保険者協議会の代表
3.社会福祉協議会の代表
4.産業保健総合支援センターの所長

解答

解説

地域・職域連携会議

地域・職域連携会議は、各地域の課題解決のために①生涯を通じた健康管理支援や②継続的な保健指導を主に実施できるよう話し合う。保健所など地域保健の担当機関と事業所など職域保健の担当機関で構成される。

1.〇 正しい。商工会の代表は、地域・職域連携会議のメンバーで優先度が高い。なぜなら、A市は従業員50人未満の中小企業が多く、壮年期の労働者が多く所属していると考えられるため。
2.× 保険者協議会の代表は、優先度が低い。なぜなら、保険者協議会は、保険者の連携協力を円滑に行うことを目的とし、都道府県の保険者の代表者で構成されるため。
3.× 社会福祉協議会の代表は、優先度が低い。なぜなら、社会福祉協議会は、地域の実情に応じた住民の福祉の増進を目的とする民間の自主的団体であるため。関連はあるが優先度が最も高いとはいいがたい。
4.× 産業保健総合支援センターの所長は、優先度が低い。なぜなら、産業保健総合支援センターは、都道府県ごとに設置される産業保健に関するさまざまな問題について専門スタッフが助言などを行う機関である。ちなみに、設問の地域は市であり、従業員50人未満の中小企業が多いことから、地域産業保健センターの優先度は高いといえる。

 

 

※注意:著者は看護師で、解説はすべてオリジナルのものとなっています。私的利用の個人研究・自己研鑽のため作成いたしました。間違いや分からない点があることをご了承ください。またコメントにて解き方等教えてくださると幸いです。

 

問題引用:第102回保健師国家試験、第99回助産師国家試験、第105回看護師国家試験の問題および正答について

 

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