第102回(H28) 保健師国家試験 解説【午前6~10】

 

6 がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針における子宮頸がん検診について正しいのはどれか。

1.ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン接種後の者は対象外である。
2.子宮頸部細胞診は検診項目の対象外である。
3.20歳以上の女性を対象とする。
4.同一人に対し1年に1回行う。

解答

解説

指針

「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針は、平成20年に発出された指針で、「がん予防重点健康教育及びがん検診の実施に関し必要な事項を定め、がんの予防及び早期発見の推進を図ることにより、がんの死亡率を減少させる」ため、各種がん検診の対象者や方法について示している。最新改訂版が平成28年2月に発出され、同年4月から適用されている。

1.× ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン接種後の者も対象である。ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンの添付文書には、「本剤の接種は定期的な子宮頚がん検診の代わりとなるものではない。本剤接種に加え、子宮頚がん検診の受診やヒトパピローマウイルス(HPV)への曝露、性感染症に対し注意することが重要である」と記載されている。
2.× 子宮頸部細胞診は、検診項目の対象である。指針には、「子宮頚がん検診は、問診視診子宮頚部の細胞診及び内診とし、必要に応じてコルポスコープ検査を行うもの」と記載されている。
3.〇 正しい。20歳以上の女性を対象とする。指針には、「子宮頚がん検診については、当該市町村の区域内に居住地を有する20歳以上の女性を対象」と記載されている。
4.× 同一人に対し、1年に1回ではなく、「2年に1回」行う。指針には、「子宮頚がん検診については、原則として同一人について2年に1回行うものとし、前年度受診しなかった者に対しては、積極的に受診勧奨を行うもの」と記載されている。

 

 

 

 

 

7 市町村における保健事業計画の策定で適切でないのはどれか。

1.予算要求書をもとに策定する。
2.市町村の総合計画との整合性を図る。
3.地区特性を重視して目標を設定する。
4.住民の力では解決できない公共性の高い事業を優先する。

解答

解説
1.× 予算要求書の作成前に策定する。なぜなら、計画立案後に事業を実施する経費を確保するため。
2.〇 正しい。市町村の総合計画との整合性を図る。なぜなら、市町村における計画は、すべて総合計画を基盤として策定されるため。市町村において策定する計画の基本は総合計画である。総合計画は、議会の議決を経ることで、住民の意向を反映した計画となっており、すべての活動計画は、これと齟齬があってはならない。一方、その条件のもとで、各市町村は独自の判断で各事業計画を位置づけることができる。
3.〇 正しい。地区特性を重視して目標を設定する。なぜなら、計画を立案する際には、地域の現状と利用できる社会資源などを考慮し、達成可能な目標を設定する必要があるため。
4.〇 正しい。住民の力では解決できない公共性の高い事業を優先する。公共性の高い事業は、多くの住民にとって重要な課題解決のため事業といえる。ただし、「住民の力では解決できない」からといって、住民主体の解決をしないわけではないことに留意する。

 

 

 

 

 

8 市では健康増進計画を策定する委員会のメンバーを一般から公募することにした。
 公募の目的として最も適切なのはどれか。

1.人権擁護
2.多文化共生
3.ノーマライゼーション
4.コミュニティ・エンパワメント

解答

解説
1.× 人権擁護とは、憲法で規定された基本的人権の尊重を擁護することである。
2.× 多文化共生とは、「国籍や民族などの異なる人々が、互いの文化的な違いを認め合い、対等な関係を築こうとしながら、地域社会の構成員として共に生きていくこと」である。
3.× ノーマライゼーションとは、障害者や高齢者がほかの人々と等しく生きる社会・福祉環境の整備や実現を目指す考え方である。
4.〇 正しい。コミュニティ・エンパワメントは、公募の目的として最も適切である。コミュニティ・エンパワメントとは、住民それぞれがQOLの向上に向け、主体的に地域の問題解決を図っていくなかで、コミュニティでの生活に責任をもち、問題解決を可能にする仕組みを充実させることである。公募によって市民と共に健康増進計画を策定することは本問の目的に合致する。

コミュニティ・エンパワメントの成果

① コミュニティ・メンバーは自身の問題解決に向かう意欲と自信がつく。
②コミュニティ・メンバーのコミュニティに対する関心が高まる。
③ コミュニティでの相互支援が高まる。
④ コミュニティでリーダーが育成される。
⑤コミュニティは政策改善の方向性を見いだす。

 

 

 

 

 

9 地域で難病患者の在宅ケアを支援するボランティアを育成するための研修内容として適切でないのはどれか。

1.褥瘡処置の方法
2.基本的な心構え
3.難病患者の介護者の経験談
4.難病患者が利用できる保健福祉サービス

解答

解説

1.× 褥瘡処置の方法は必要ない。なぜなら、褥瘡処置(軟膏を塗布するなどの行為)は、専門的な知識技術および判断を要する医療行為であるため。難病患者の支援に携わる人には専門的な知識と技術が必要であるが、ボランティアは専門職ではなく、実施できることには制限がある。ボランティアに対する研修は、対象となる患者および家族の理解を促し、医療・介護の専門職との連携を図って、支援チームの一員として活躍できるような内容が望ましい。
2.〇 正しい。基本的な心構えは、地域で難病患者の在宅ケアを支援するボランティアを育成するための研修内容として適切である。難病患者には、希少性で治療法が未確立の病気になったことによる精神的な負担、病状の進行による身体的な負担がある。したがって、根治的な治療や障害の回復が難しくても、生活の質(QOL)の維持・向上に向けた支援の心構えを知っておくことは必要である、
3.〇 正しい。難病患者の介護者の経験談は、地域で難病患者の在宅ケアを支援するボランティアを育成するための研修内容として適切である。難病患者の在宅療養の継続には、患者の家族など、介護者の心身の安定が重要である。介護者には、病状の進行や長期の療養に伴い、精神的・身体的疲労が生じることもある。ボランテイアとして難病患者にかかわる際は、介護者についても十分理解しておくことが必要である。
4.〇 正しい。難病患者が利用できる保健福祉サービスは、地域で難病患者の在宅ケアを支援するボランティアを育成するための研修内容として適切である。実際に支援する患者が利用するサービスやどのような関係職種がかかわっているのかを知っておくことは、チームの一員として連携を図るうえで大切である。ただし、難病患者が利用できる保健福祉サービスは複雑であり、ボランティアがすべてを把握しておくことは難しい。

 

 

 

 

 

10 平成23年(2011年)の患者調査における精神及び行動の障害に関する動向について正しいのはどれか。

1.入院受療率は外来受療率より高い。
2.精神病床の平均在院日数は約100日である。
3.年齢階級別外来受療率は年齢とともに上昇する。
4.血管性及び詳細不明の認知症の総患者数は減少している。

解答

解説
1.〇 正しい。入院受療率は、外来受療率より高い。精神及び行動の障害の入院受療率(人口10万対)は225で、外来受療率176より高い。
2.× 精神病床の平均在院日数は、約100日ではなく、341.6日である。
3.× 年齢階級別外来受療率は年齢とともに、上昇するとはいえない。精神及び行動の障害の年齢階級別外来受療率(人口10万対)は、35~64歳で最も高く、0~14歳で最も低くなっている。
4.× 血管性及び詳細不明の認知症の総患者数は、減少ではなく増加している。年々増加しており、平成23年は14万6千人である。

(※データ引用:厚生労働省様HPより「平成23年(2011年)の患者調査における精神及び行動の障害に関する動向」)

 

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