第102回(H31) 助産師国家試験 解説【午後1~5】

 

1 女性ホルモン類似の作用がある植物由来の物質はどれか。

1.イソフラボン
2.ダイオキシン
3.麦角アルカロイド
4.ジエチルスチルベストロール

解答

解説

1.〇 正しい。イソフラボンは、女性ホルモン類似の作用がある植物由来の物質である。大豆イソフラボンの特徴は、女性ホルモン(エストロゲン、卵胞ホルモン)に似た働きをし、女性の美しさや若々しさを手助けしてくれる。加齢とともに女性ホルモン(エストロゲン、卵胞ホルモン)の分泌量が減少すると、やがて更年期、閉経を迎え、それに伴い、「更年期障害」と呼ばれる体と心の不快な症状がみられることがある。
2.× ダイオキシンとは、有機化合物の一種である。廃棄物の焼却、塩素によるパルプなどの漂白、または農薬などの化学物質を製造する際の副生成物として非意図的に生成する。難分解性の物質であるため、環境に放出されると土壌や水環境中に長期間残留する。
3.× 麦角アルカロイドとは、小麦・ライ麦などに寄生する麦角菌により産生されるアルカロイドである。ちなみに、アルカロイドとは、植物中に存し、窒素を含む塩基性化合物の総称である。ニコチン・コカイン・カフェインなどが該当する。
4.× ジエチルスチルベストロールとは、かつて流産防止剤などに用いられた合成女性ホルモンの薬剤である。1940年代頃に、ステロイド骨格を持たない合成女性ホルモン様物質の一種で、切迫早産の治療薬として使用された。また、更年期症、老人性膣炎、不妊症、乳汁うっ積による痛み止め、前立腺癌の治療薬としても使用された。しかし、ジエチルスチルベストロールを服用した女性から生まれた子供(娘)に膣の癌や子宮機能不全、卵管や卵巣などの異常などが多発したため使用が禁止された。

 

 

 

 

 

2 腟鏡診におけるクスコ式腟鏡の使用方法で正しいのはどれか。

1.乾燥した状態で使用する。
2.腟鏡先端を使って腟口を開く。
3.挿入後は先端を開いて腟の最奥部まで進める。
4.腟壁全周の観察は、先端を開いた腟鏡を左右に回しながら行う。

解答

解説

(写真引用:「クスコ式腟鏡」株式会社ナミキ・メディカルインストゥルメンツ様HPより)

クスコ式腟鏡の目的

クスコ式腟鏡の目的は、子宮頸がんの発見である。子宮頸がんの発見には、婦人科医師により膣鏡診と子宮頸部細胞診を行い、膣鏡(膣を広げて観察する器具)を使用して子宮頸部を観察する。

1.× 「乾燥した状態」ではなく滑りを良くした状態(湿潤状態)で使用する。なぜなら、痛みや不快感を与えないようにするため。潤滑剤だけでなく、湯で体温と同程度にクスコ式腟鏡を温めることが基本である。
2.× 腟口を開くのは「腟鏡先端を使用」するのではなく、検査者の母指と示指で行う。なぜなら、指で行うほうが繊細な力加減が行なえ、痛みを生じにくいため。また、クスコ腟鏡を挿入する時は、腟鏡を縦にして腟口に挿入する。
3.× 挿入後は、「先端を開いて」ではなく、先端を開かず腟の最奥部まで進める。子宮膣部まで押し進めてから先端を開く。
4.〇 正しい。腟壁全周の観察は、先端を開いた腟鏡を左右に回しながら行う

 

 




 

 

3 精子に関する説明で正しいのはどれか。

1.精子の染色体数は46本である。
2.老年期には精子の形成はみられない。
3.1個の精母細胞から形成される精子は4個である。
4.精子の遺伝的多様性が形成されるのは第二減数分裂の過程である。

解答

解説

1.× 精子の染色体数は、「46本」ではなく23本である。22本の常染色体と、性染色体であるXまたはY染色体1本をもつ。
2.× 老年期(60歳以降)でも精子の形成がみられる。2018年に俳優の石田純一さんは64歳で父親になり、チャールズ・チャップリンは73歳で父親になっている。つまり、精子形成に作用するテストステロンは60歳を超えても精子は産生される。
3.〇 正しい。1個の精母細胞から形成される精子は4個である。精母細胞とは、精巣内にあって減数分裂により4個の精子をつくる元になる細胞をいう。 原生殖細胞の分裂により生じた精原細胞がさらに何回か分裂したのち精母細胞がつくられる。 この精母細胞は減数分裂(染色体の倍加ののち2回の核分裂が行われる)により4個の精細胞に変わる。
4.× 精子の遺伝的多様性が形成されるのは「第二減数分裂の過程」ではなく、「間期」である。遺伝的多様性とは、ある一つの種の中での遺伝子の多様性のことである。つまり、DNAの複製する時期である。第二減数分裂の過程では、DNAを複製しないで精子細胞を形成する。

 

 

 

 

 

4 新生児の呼吸障害とその原因の組合せで正しいのはどれか。

1.無呼吸発作:肺水の吸収遅延
2.一過性多呼吸:化学性の肺炎
3.胎便吸引症候群:呼吸中枢の未熟性
4.呼吸窮迫症候群:肺表面活性物質の欠乏

解答

解説

1.× 無呼吸発作は、呼吸中枢の未熟性(選択肢3)と関係している。未熟児無呼吸発作の定義は,在胎期間37週未満で出生した無呼吸の原因となる基礎疾患がない新生児における,20秒を超える呼吸休止,または20秒未満の呼吸休止で徐脈(80/分未満)か,中枢性チアノーゼ,および/または85%未満の酸素飽和度を伴うものとされる。ちなみに、肺水の吸収遅延は、新生児一過性多呼吸(選択肢2)と関係している。
2.× 一過性多呼吸は、肺水の吸収遅延(選択肢1)と関係している。新生児一過性多呼吸とは、出生後、肺の中に過剰な液体があるために一時的な呼吸困難が起こって、しばしば血液中の酸素レベルが低くなる病気である。早産児と特定の危険因子(母体糖尿病、母体喘息、双胎、男児など)がある満期産児で発生する可能性がある。ちなみに、化学性肺炎とは、肺に有毒な物質を吸い込んだ場合に起こる肺の炎症である。
3.× 胎便吸引症候群とは、ストレス(感染症や酸素レベルの低下など)が原因で胎児が激しくあえぎ、その結果、胎便を含んだ羊水を肺に吸い込み(誤嚥し)、それが肺に沈着することで発生し、 出生後、吸い込まれた胎便が新生児の気道をふさぎ、肺をつぶれた状態にしてしまうことをいう。ちなみに、呼吸中枢の未熟性は、無呼吸発作(選択肢1)と関係している。
4.〇 正しい。呼吸窮迫症候群とは、早産児にみられる呼吸疾患で、サーファクタントという肺胞を覆う物質が産生されないか不足している(肺表面活性物質の欠乏)ために、肺胞が拡張した状態を保てないことで起こる。早産児や妊娠中に母親が糖尿病にかかった新生児は、呼吸窮迫症候群を発症するリスクが高くなる。

 

 




 

 

5 子宮収縮抑制薬はどれか。

1.ヘパリン
2.ベタメタゾン
3.デキサメタゾン
4.塩酸リトドリン

解答

解説

1.× ヘパリンとは、血液凝固阻止剤で、抗凝固といって、血液を固まりにくくする作用がある。人の肝臓でも生成される。したがって、医療現場では、血栓塞栓症の防止や治療、カテーテル挿入時の血液凝固防止などにも用いられる。
2.× ベタメタゾンとは、糖質コルチコイドであり、ステロイド抗炎症薬・免疫抑制薬として用いられる。他のステロイドと比べて、ベタメタゾンは鉱質コルチコイド作用が少なく、ナトリウムおよび水貯留を引き起こし難い。気管支喘息、副腎不全、ネフローゼ症候群等多岐にわたる炎症の治療に用いることができる。
3.× デキサメタゾンとは、ステロイド系抗炎症薬の一つである。炎症の原因に関係なく炎症反応・免疫反応を強力に抑制する。急性炎症、慢性炎症、自己免疫疾患、アレルギー性疾患などの際に使用される。
4.〇 正しい。塩酸リトドリンは子宮収縮抑制薬(子宮鎮痙薬とも)である。臨床応用としては、切迫早産や切迫流産の際に子宮収縮(陣痛)を抑制するのに用いられる。主な副作用として、動悸、振戦(手足の震え)、吐き気、発疹などが報告されている。作用機序として、β受容体刺激剤の中でも強いβ2選択性により、細胞内c-AMPを上昇させ、子宮収縮抑制効果を示す。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)