第102回(H31) 助産師国家試験 解説【午前11~15】

 

11 乳幼児期に起こりやすい事故を予防するための方法で適切なのはどれか。

1.ベランダの踏み台は柵に寄せる。
2.浴槽内では足入れ付き浮輪を使用する。
3.児が飲み込めない大きさのおもちゃを選ぶ。
4.公園で遊ぶときはフード付きの上着を着せる。

解答

解説

乳幼児期に起こりやすい事故

乳幼児とは、小学校入学前の子どもの総称である。
1歳までに起きやすい事故:誤飲や転落・火傷など。
1〜4歳までに起こりやすい事故:交通事故や溺水である。

1.× ベランダの踏み台は柵に寄せる必要はない。むしろ、踏み台から棚に登り、転落の可能性が上がり危険である。踏み台になるようなものはベランダに置かないようにする。
2.× 浴槽内では足入れ付き浮輪を使用する必要はない。なぜなら、足入れ付き浮輪は、転覆しやすく危険であるため。転覆後、自分で足を抜くことが難しい、また起き上がることが難しい。
3.〇 正しい。児が飲み込めない大きさのおもちゃを選ぶ。なぜなら、ご縁や窒息を防ぐため。家庭で起こる子供の事故の中でも、「窒息事故」は特に0歳~3歳の小さな子供に多い事故である。子供は生後5~6か月ごろから、手につかんだものを何でも口に持っていくようになるため、手の届かないところにおもちゃを置くか、児が飲み込めない大きさのおもちゃを選ぶ必要がある。目安としては、子供の口の大きさは3歳児で直径約4cmであるため、それ以上大きいおもちゃを購入する。直径約4cmはトイレットペーパーの芯の直径である。
4.× 公園で遊ぶときはフード付きの上着を着せる必要はない。なぜなら、フードをつけた状態で遊具に絡まり思わぬ外力が生じた際は首にダメージが加わりやすいため。公園での紐やフードのある洋服はJIS基準対象外となっている。また、公園だけではなく、家具やドアなどに引っかかると転倒首絞めなどの事故になりやすい。

 

 

 

 

 

12 早産児の感染予防に効果があるのはどれか。

1.中鎖脂肪
2.ビタミンD
3.ビタミンK
4.プロバイオティクス

解答

解説

早産児の定義

過期産児とは:在胎42週以上に出生した児。
正期産児とは:在胎37週以降42週未満に出生した児。
早産児とは:在胎22週以降37週未満に出生した児。
超早産児とは:在胎28週未満に出生した児。

1.× 中鎖脂肪は、生活習慣病の予防につながる。生活習慣病とは、「食習慣、運動習慣、休養の取り方、喫煙、飲酒などの生活習慣が、その発症・伸展に関与する疾患群」と定義されている。生活習慣病の背景因子として、①遺伝性因子、②環境因子、③生活習慣因子が考えらえているが、「生活習慣因子」は生活習慣病の積極的予防に最も重要な要素とされている。一方、中鎖脂肪酸は、一般の食用油の成分である長鎖脂肪酸に比べて吸収が早く、体内ですばやく燃焼されてからだに蓄積しにくいため。また、食が細くなって栄養不足になりがちな高齢者にとっては効率的なエネルギー源となる。ココナッツオイルがそれにあたる。
2.× ビタミンDは、くる病の予防につながる。くる病とは、小児期に見られる骨の石灰化不全であり、主に成長障害と骨の弯曲が起こる疾患である。ビタミンDの代謝あるいは感受性の障害により、骨に石灰化が起こらず、強度が不足する病気である。 成人期ではビタミンD依存性骨軟化症と呼ばれる。小児期には成長も障害され、骨X線検査で特徴的な所見を呈し、ビタミンD依存性くる病とも呼ばれる。
3.× ビタミンKは、新生児メレナの予防につながる。メレナとは、黒色便のことであり、新生児メレナとは新生児期の下血による黒色便を意味する。新生児が吐血や下血などの症状を呈する病気を総称して新生児メレナと呼ばれる。ビタミンKの主要な作用は、血液凝固に関与する機能。 そのため、ビタミンKが欠乏すると、血液凝固に時間がかかり、出血が止まりにくくなる。反対にビタミンKを取りすぎると血液凝固してしまう。ワルファリン(Warfarin)は、抗凝固剤である。つまり、血液サラサラにする薬である。ワルファリンと相反する作用である。
4.〇 正しい。プロバイオティクスは、早産児の感染予防に効果がある。超早産児(8週以上早く生まれた児)や極低出生体重児(1500g未満)は、腸の一部が炎症を起こして感染し、死に至る重度の腸疾患(壊死性腸炎:NECと呼ばれる)を発症するリスクがある。壊死性腸炎には、死亡、重篤な感染症、長期的な障害や発達障害を伴う。壊死性腸炎やそれに伴う症状を予防するための一つの方法として、プロバイオティクス(潜在的に有益なバクテリアや酵母を含む栄養補助食品)をミルクに添加することが考えられる。

 

 

 

 

 

13 健やか親子21(第2次)の基盤課題A「切れ目ない妊産婦・乳幼児への保健対策」の評価指標はどれか。

1.10代の人工妊娠中絶率
2.不妊専門相談センターを設置する自治体数
3.妊娠・出産に満足している者の割合
4.男性の育児休業取得率

解答

解説

(※図引用:「課題の概要」厚生労働省HPより)

(※図引用:「指標及び目標の一覧」厚生労働省HPより)

1.× 10代の人工妊娠中絶率は、健やか親子21(第2次)の基本課題Bの指標である。(※参考:「指標及び目標の一覧」厚生労働省HPより)
2.× 不妊専門相談センターを設置する自治体数は、「健やか親子21(第2次)」ではなく少子化社会対策大網で推進されている。少子化社会対策大網とは、少子化社会対策基本法に基づく総合的かつ長期的な少子化に対処するための施策の指針である。基本的な考え方として、①結婚や子育てしやすい環境となるよう、社会全体を見直し、これまで以上に対策を充実、②個々人が結婚や子供についての希望を実現できる社会をつくることを基本的な目標、③「結婚、妊娠・出産、子育ての各段階に応じた切れ目のない取組」と「地域・企業など社会全体の取組」を両輪として、きめ細かく対応、④今後5年間を「集中取組期間」と位置づけ、Ⅲで掲げる重点課題を設定し、政策を効果的かつ集中的に投入、⑤長期展望に立って、子供への資源配分を大胆に拡充し、継続的かつ総合的な対策を推進があげられている。
3.〇 正しい。妊娠・出産に満足している者の割合は、健やか親子21(第2次)の基盤課題A「切れ目ない妊産婦・乳幼児への保健対策」の評価指標である。※上図参照。
4.× 男性の育児休業取得率は、健やか親子21(第2次)の基本課題Cの指標である。(※参考:「指標及び目標の一覧」厚生労働省HPより)

健やか親子21とは?

健やか親子21は、平成25年の第1次計画の最終評価報告書を受け、平成27年度より第2次計画が開始されている。第1次計画では目標を設定した指標が多かったため、第2次計画では見直しを行い、目標を設けた52の指標と、目標を設けない「参考とする指標」として28の指標を設定した。第2次計画の中間評価は5年後、最終評価は10年後を予定している。

<目標>
1. 思春期の保健対策の強化と健康教育の推進(十代の自殺、人工妊娠中絶、性感染症罹患)
2. 妊娠・出産に関する安全性と快適さの確保と不妊への支援(妊産婦死亡、産後うつ病、産婦人科医・助産師数)
3. 小児保健医療水準を維持・向上させるための環境整備(低出生体重児、事故、妊娠・育児期間中の喫煙)
4. 子どものこころの安らかな発達の促進と育児不安の軽減(虐待死亡、母乳育児、心の問題に対応する小児科医)

(※参考:「健やか親子21(第2次)について」厚生労働省HPより)

 

 

 

 

 

14 出産手当金で正しいのはどれか。

1.健康保険法で定められている。
2.異常分娩の場合には支給されない。
3.1日につき標準報酬日額に相当する額が支給される。
4.被保険者が扶養している配偶者の出産にも支給される。

解答

解説

1.〇 正しい。出産手当金について、健康保険法(第 102 条)で定められている。健康保険法とは、労働者及びその被扶養者の業務災害以外の疾病、負傷若しくは死亡又は出産に関する医療保険給付等について定めた日本の法律である。
2.× 異常分娩の場合でも「支給されない」のではなく支給される。分娩方法に関する規定はない。
3.× 支給されるのは、「1日につき標準報酬日額に相当する額」ではなく「過去12ヵ月の給料(標準報酬月額)を基準とした日給の2/3に相当する額」である。
4.× 被保険者が扶養している配偶者の出産には、「支給される」ではなく支給されない。出産手当金とは、健康保険の被保険者が出産のため会社を休んだために事業主から報酬が受けられない場合に支給される手当金である。

健康保険法

(出産手当金)
第百二条 被保険者が出産したときは、出産の日(出産の日が出産の予定日後であるときは、出産の予定日)以前四十二日(多胎妊娠の場合においては、九十八日)から出産の日後五十六日までの間において労務に服さなかった期間、出産手当金を支給する。
2 第九十九条第二項及び第三項の規定は、出産手当金の支給について準用する。
(出産手当金と傷病手当金との調整)
第百三条 出産手当金を支給する場合(第百八条第三項又は第四項に該当するときを除く。)においては、その期間、傷病手当金は、支給しない。ただし、その受けることができる出産手当金の額(同条第二項ただし書の場合においては、同項ただし書に規定する報酬の額と同項ただし書の規定により算定される出産手当金の額との合算額)が、第九十九条第二項の規定により算定される額より少ないときは、その差額を支給する。
2 出産手当金を支給すべき場合において傷病手当金が支払われたときは、その支払われた傷病手当金(前項ただし書の規定により支払われたものを除く。)は、出産手当金の内払とみなす。

(※参考:「健康保険法」e-GOV法令検索様HPより)

 

 

 

 

 

15 平成16年(2004年)の少子化社会対策大綱で提唱されているのはどれか。

1.思春期からの、かかりつけ医による女性健康支援
2.妊産婦のメンタルヘルスケア
3.HPVワクチン接種率の向上
4.不妊治療への経済的支援

解答

解説

少子化社会対策大網での重点課題

少子化の流れを変えるための4つの重点課題:①若者の自立とたくましい子どもの育ち、②仕事と家庭の両立支援と働き方の見直し、③生命の大切さ、家庭の役割等についての理解、④子育ての新たな支え合いと連帯。

【重点課題に取り組むための28の行動】
〔若者の自立とたくましい子どもの育ち〕
①若者の就労支援に取り組む
②奨学金の充実を図る
③体験を通じ豊かな人間性を育成する
④子どもの学びを支援する
〔仕事と家庭の両立支援と働き方の見直し〕
⑤企業等におけるもう一段の取組を推進する
⑥育児休業制度等についての取組を推進する
⑦男性の子育て参加促進のための父親プログラム等を普及する
⑧労働時間の短縮等仕事と生活の調和のとれた働き方の実現に向けた環境整備を図る
⑨妊娠・出産しても安心して働き続けられる職場環境の整備を進める
⑩再就職等を促進する
〔生命の大切さ、家庭の役割等についての理解〕
⑪乳幼児とふれあう機会の充実等を図る
⑫生命の大切さ、家庭の役割等についての理解を進める
⑬安心して子どもを生み、育てることができる社会の形成についての理解を進める
〔子育ての新たな支え合いと連帯〕
(地域における子育て支援)
⑭就学前の児童の教育・保育を充実する
⑮放課後対策を充実する
⑯地域における子育て支援の拠点等の整備及び機能の充実を図る
⑰家庭教育の支援に取り組む
⑱地域住民の力の活用、民間団体の支援、世代間交流を促進する
⑲児童虐待防止対策を推進する
⑳特に支援を必要とする家庭の子育て支援を推進する
㉑行政サービスの一元化を推進する
(子どもの健康の支援)
㉒小児医療体制を充実する
㉓子どもの健康を支援する

(妊娠・出産の支援)
㉔妊娠・出産の支援体制、周産期医療体制を充実する
㉕不妊治療への支援等に取り組む
(子育てのための安心、安全な環境)
㉖良質な住宅・居住環境の確保を図る
㉗子育てバリアフリーなどを推進する

(経済的負担の軽減)
㉘児童手当の充実を図り、税制の在り方の検討を深める

(※一部引用:「少子化社会対策大綱(案) 目次」内閣府HPより)

1.× 思春期からの、かかりつけ医による女性健康支援は、「女性健康支援センター事業 」の取り組みである。女性健康支援センター事業の目的は、思春期から更年期に至る女性を対象とし、各ライフステージに応じた身体的・精神的な悩みに関する相談指導や、相談指導を行う相談員の研修を実施し、生涯を通じた女性の健康の保持増進を図ることである。
2.× 妊産婦のメンタルヘルスケアは、健やか親子 21(第2次)基本課題 A「切れ目ない妊産婦・乳幼児への保健対策」の指標である。下図参照。
3.× HPVワクチン接種率の向上は、平成22年(2010年)から平成24年の予防接種緊急促進事業の取り組みである。HPVワクチンの接種は、平成22年(2010年)から平成24年の予防接種緊急促進事業として位置づけられ、平成25年の予防接種法改正法において定期接種となった。(※参考「子宮頸がん等ワクチン接種緊急促進事業の実施について」厚生労働省HPより)ちなみに、ヒトパピローマウイルス(HPV)は、性的接触のある女性であれば50%以上が生涯で一度は感染するとされている一般的なウイルスである。 子宮頸がんを始め、肛門がん、膣がんなどのがんや尖圭コンジローマ等多くの病気の発生に関わっている。特に、近年若い女性の子宮頸がん罹患が増えている。
4.〇 正しい。不妊治療への経済的支援は、平成16年(2004年)の少子化社会対策大綱で提唱されている。「重点課題に取り組むための28の行動」における(妊娠・出産の支援)の中で提唱されている。上記参照。

(※図引用:「課題の概要」厚生労働省HPより)

健やか親子21とは?

健やか親子21は、平成25年の第1次計画の最終評価報告書を受け、平成27年度より第2次計画が開始されている。第1次計画では目標を設定した指標が多かったため、第2次計画では見直しを行い、目標を設けた52の指標と、目標を設けない「参考とする指標」として28の指標を設定した。第2次計画の中間評価は5年後、最終評価は10年後を予定している。

<目標>
1. 思春期の保健対策の強化と健康教育の推進(十代の自殺、人工妊娠中絶、性感染症罹患)
2. 妊娠・出産に関する安全性と快適さの確保と不妊への支援(妊産婦死亡、産後うつ病、産婦人科医・助産師数)
3. 小児保健医療水準を維持・向上させるための環境整備(低出生体重児、事故、妊娠・育児期間中の喫煙)
4. 子どものこころの安らかな発達の促進と育児不安の軽減(虐待死亡、母乳育児、心の問題に対応する小児科医)

(※参考:「健やか親子21(第2次)について」厚生労働省HPより)

 

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