第102回(H31) 助産師国家試験 解説【午前21~25】

 

21 妊娠期に禁忌なのはどれか。

1.アスピリン
2.フェニトイン
3.ワルファリン
4.プレドニゾロン
5.プロピルチオウラシル

解答

解説

1.△ アスピリンとは、酸性非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)である。 プロスタグランジン生合成の律速酵素であるシクロオキシゲナーゼ(COX)を阻害し、プロスタグランジンの産生を抑制することにより、血小板凝集抑制作用・抗炎症作用・解熱作用・鎮痛作用を現す。「妊娠期間の延長、動脈管の早期閉鎖、子宮収縮の抑制、分娩時出血の増加につながるおそれがあるため、出産予定日12週以内の妊婦には投与しないこと」が決められているが、選択肢3.ワルファリンは全期間をとおして禁忌であるため、選択肢3.ワルファリンをのほうが優先度が高い。
2.× フェニトインとは、てんかんのけいれん発作を予防するお薬である。ちなみに、てんかんとは、脳の神経の電気信号が過剰に発射され、意識障害やけいれん発作を繰り返す病気である。「妊婦または妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性(母体のてんかん発作類発を防ぎ、胎児を低酸素状態から守る)が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること」と記載されており、気を付ければ投与可能である。
3.〇 ワルファリンは妊娠期に禁忌である。なぜなら、胎盤を通過し、点状軟骨異栄養症等の軟骨形成不全、神経系の異常、胎児の出血傾向に伴う死亡の報告があるため。また、分娩時に母体の異常出血があらわれることがある。ちなみに、ワルファリンは、肝臓でビタミンK依存性凝固因子の第Ⅱ(プロトロンビン)、Ⅶ、Ⅸ、Ⅹ因子の生合成を抑制することにより抗凝固作用、血栓形成の予防作用を示す。
4.× プレドニゾロンとは、ステロイド薬で、炎症をしずめたり、免疫系をおさえる作用がある。炎症性の病気、免疫系の病気、アレルギー性の病気などに広く使用されている。たとえば、膠原病、ネフローゼ、関節リウマチ、重い喘息、ひどいアレルギー症状、めまい、耳鳴り などに用いる。「妊婦または妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること」と記載されており、気を付ければ投与可能である。
5.× プロピルチオウラシルとは、甲状腺ホルモンをおさえる薬で、 バセドウ病など甲状腺機能亢進症に用いる。「妊婦または妊娠している可能性のある婦人に投与する場合には、定期的に甲状腺機能検査を実施し、甲状腺機能を適切に維持するよう投与量を調節すること」と記載されており、気を付ければ投与可能である。

(一部抜粋:「妊娠または妊娠している可能性のある婦人に禁忌の主な医薬品リスト」日本医師会HPより)

 

 

 

 

 

22 日本において妊婦の抗体保有率が最も低いのはどれか。

1.サイトメガロウイルス
2.水痘ウイルス
3.トキソプラズマ
4.風しんウイルス
5.麻しんウイルス

解答

解説

1.× サイトメガロウイルス抗体陽性率は、成人全体では81.7%(20歳代58.6%,30歳代75.5%)である。サイトメガロウイルスとは、一度感染が成立すると持続潜伏感染するウイルス(ヘルペスウイルス感染症)で、感染経路は母乳感染、尿や唾液による水平感染が主経路であり、産道感染、輸血による感染、性行為による感染なども認められている。 症状が出ないものから、発熱と疲労感が出るもの(伝染性単核球症に似たもの)、また、眼や脳、その他の内臓を侵す重い症状が生じるものまで、症状は多岐にわたる。
2.× 水痘ウイルス抗体陽性率は90~95%である。多くが10歳までに感染し伝染力は麻疹に次いで強く、家族内感染発症率は80~90%、不顕性感染は少ない。 学校、施設内の流行は長期にわたる。 自然感染により終生免疫を獲得する。水痘とは、いわゆる「みずぼうそう」のことで、水痘帯状疱疹ウイルスというウイルスによって引き起こされる発疹性の病気である。子供の頃にかかった水痘ウイルスが数十年の潜伏期間を経て、免疫力が低下した時などに再活性化(回帰感染)して起こる。
3.〇 正しい。トキソプラズマは日本において妊婦の抗体保有率が最も低い。日本人のトキソプラズマ抗体陽性率は年齢x(0.1~1)%(例えば、30歳では3~30%)と年齢とともに上昇し、妊婦のトキソプラズマ抗体保有率は全体で10.3%、35歳以下では9.6%と報告されている。トキソプラズマに感染したことのない妊婦が約9割を占めており、妊娠中の初感染を起こしうる。しかし、妊娠初期のトキソプラズマ抗体検査は任意であり、先天性トキソプラズマ症の存在そのものを知る機会が多くないのが現状である。トキソプラズマとは、原虫の一種のトキソプラズマによる人獣共通感染症で、経胎盤感染で、児に水頭症や脳内石灰化、知的能力障害などを起こすことがある。加熱処理の不十分な肉に生存するシスト、土壌中やネコの糞中に存在するオーシストから水平感染する。
4.× 風しん抗体陽性率は、20~49歳女性の約80%である。風疹とは(三日ばしか)、風疹ウイルスに感染することで引き起こされる感染症である。感染から14〜21日(平均16〜18 日)の潜伏期間の後、発熱、発疹、リンパ節腫脹(ことに耳介後部、後頭部、頚部)が出現するが、発熱は風疹患者の約半数にみられる程度である。 また不顕性感染が15(~30)%程度存在する。
5.× 麻しん抗体陽性率は、2歳以上全年代において95%以上(0~1歳では37.5%、10~14歳では93.3%、30~39歳では96.2%、40歳以上では99%)である。麻しんとは、麻しんウイルスによって引き起こされる急性の全身感染症である。 麻しんウイルスの感染経路は、空気感染、飛沫感染、接触感染で、ヒトからヒトへ感染が伝播し、その感染力は非常に強い。麻疹ウイルスの感染後、10~12日間の潜伏期ののち発熱や咳などの症状で発症する。38℃前後の発熱が2~4日間続き、倦怠感(小児では不機嫌)があり、上気道炎症状(咳、鼻みず、くしゃみなど)と結膜炎症状(結膜充血、目やに、光をまぶしく感じるなど)が現れて次第に強くなる。

 

 

 

 

 

23 30歳の経産婦。妊娠37週5日。身長163cm、体重66kg。陣痛発来で来院した。妊娠経過は順調、胎児推定体重は2,560g。来院時、努責感はない。陣痛間欠2分、陣痛発作20秒、胎児心拍数140bpm、一過性頻脈を認める。内診所見は、子宮口8cm開大、Station±0、子宮頸管の硬度は軟、未破水、先進する小泉門を4時方向に触れる。
 この時点の助産師の対応で適切なのはどれか。

1.側臥位を促す。
2.努責を誘導する。
3.人工破膜を行う。
4.病棟内歩行を促す。
5.医師に陣痛促進薬の使用を提案する。

解答

解説

本症例のポイント

・30歳の経産婦(妊娠37週5日、身長163cm、体重66kg)
・陣痛発来にて来院。
・妊娠経過:順調、胎児推定体重:2,560g。
・来院時、努責感はない。
・陣痛間欠2分、陣痛発作20秒、胎児心拍数140bpm、一過性頻脈を認める。
・内診所見:子宮口8cm開大、Station±0、子宮頸管の硬度は軟、未破水、先進する小泉門を4時方向に触れる
→本症例の児は、内診所見にて、先進する小泉門を4時方向に触れていることから、このまま進むと後方後頭位(異常分娩)となる可能性がある。後方後頭位とは、胎児後頭が母体の後方に向かって回旋(先進部の小泉門が後方に回旋)したものをいう。分娩の経過中に後方後頭位をとるものは1~5%であるが、約70%は分娩進行中に前方後頭位に変わり、一部は定在横定位になる。産道に比べて児頭が相対的に小さい場合に起こりやすいとされ、広骨盤または過少児頭の場合に問題となる。第2回旋の異常(後方後頭位) に対し、腹側を下にした側臥位で休むことにより胎児の自己回転を促す方法がある。

(※図引用:「看護roo!看護師イラスト集」より)

1.〇 正しい。側臥位を促す。本症例の児は、内診所見にて、先進する小泉門を4時方向に触れていることから、このまま進むと後方後頭位(異常分娩)となる可能性がある。後方後頭位とは、胎児後頭が母体の後方に向かって回旋(先進部の小泉門が後方に回旋)したものをいう。分娩の経過中に後方後頭位をとるものは1~5%であるが、約70%は分娩進行中に前方後頭位に変わり、一部は定在横定位になる。産道に比べて児頭が相対的に小さい場合に起こりやすいとされ、広骨盤または過少児頭の場合に問題となる。第2回旋の異常(後方後頭位) に対し、腹側を下にした側臥位で休むことにより胎児の自己回転を促す方法がある。本事例の母親の体格が標準的であるにもかかわらず、胎児推定体重 2.560g であり、産道に比べて児頭が小さめであることが推測される。
2.× 努責を誘導する必要はない。なぜなら、努責は分娩第2期以降が望ましいため。早いタイミングで努責(いきみ)を行うと産道に傷がついたり赤ちゃんの頭に無理がかかったりする。分娩第1期は呼吸法や肛門圧迫で努責(いきみ)を逃す。本事例の母親の子宮口は、「8cm開大」であり全開大(約10cm)していないことから、分娩第1期(分娩開始から子宮口全開大まで)と考えられる。
3.× 人工破膜を行うと判断するのは時期尚早である。なぜなら、本事例の母親の子宮口は、「8cm開大」であり全開大(約10cm)していないことから、分娩第1期(分娩開始から子宮口全開大まで)と考えられるため。人工破膜とは、内診時に内子宮口から赤ちゃんを包んでいる卵膜を破る処置のことで、人工的に破水させ、陣痛を誘発させることを目的としている。分娩までの時間が長引いた場合は、自然な破水と同様、子宮内感染について注意する必要がある。ただし、羊水が流出することにより子宮内圧が急激に変わり胎児に影響を及ぼすことがあるため、人工破膜を実施する時期は慎重に判断すべきである。
4.× 病棟内歩行を促す優先度は低い。なぜなら、本症例の児は、内診所見にて、先進する小泉門を4時方向に触れていることから、このまま進むと後方後頭位(異常分娩)となる可能性があるため。第2回旋の異常(後方後頭位) に対し、腹側を下にした側臥位で休むことにより胎児の自己回転を促す方法が優先される。ちなみに、歩行に関して「分娩第1期での歩行をはじめとする体動により、分娩第1期の時間が短縮する可能性は示されており、小規模のRCTにおいて、その他の分娩アウトカムを改善するという結果がある。しかし、大規模試験では、現在のところ、陣痛促進を目的とした歩行を積極的に勧めるだけの十分なエビデンスは示されていない。臥位になることより身体を起こして自由な動きをすることは、分娩時間を短縮するというエビデンスは示されていた」と記載されている(※一部抜粋:「エビデンスに基づく助産ガイドライン―妊娠期・分娩期 2016」)。
5.× 医師に陣痛促進薬の使用を提案する必要はない。なぜなら、本症例の児は、内診所見にて、先進する小泉門を4時方向に触れていることから、このまま進むと後方後頭位(異常分娩)となる可能性があるため。第2回旋の異常(後方後頭位) に対し、腹側を下にした側臥位で休むことにより胎児の自己回転を促す方法が優先される。また、陣痛発作時間が短いながらも内診所見は子宮口8cm開大と進んできている。胎児の健康状態が良好であることからも現時点において陣痛促進の必要性は低い。

(図引用:「異常分娩の管理と処置」より)

陣痛周期

陣痛周期が10分以内、または1時間に6回以上の頻度で認める場合、陣痛発来(分娩開始)とする。
分娩第1期:分娩開始から子宮口全開大まで。①潜伏期(1~2cm)、②移行期(3~4cm)、③活動期(5~9cm)
分娩第2期:子宮口全開大から児娩出まで。
分娩第3期:児娩出から胎盤娩出まで。

 

 

 

 

 

24 骨盤内の児頭の状態を図に示す。
 第1頭位における不正軸進入はどれか。

解答

解説

(※図引用:「看護roo!看護師イラスト集」より)

第1頭位とは?

第1頭位とは、胎児の背中が母体の左手側にあることをいう。つまり第1頭位の場合、入口部における小泉門は母体の左方にある。
第2頭位とは、胎児の背中が母体の右手側にあることをいう。

不正軸進入とは、胎児の頭が背骨に対して左右どちらかへ傾いた状態で骨盤の中に入り込んでしまい、恥骨や仙骨が邪魔になって分娩が停止してしまう状態である。

1.× 第1頭位の正常回旋の入口部である。なぜなら、矢状縫合が「9時から3時」方向にあり骨盤横径に一致しているため。
2.× 第2頭位における不正軸進入である。なぜなら、矢状縫合が「3時から8時」の方向にあるため。不正軸進入とは、胎児の頭が背骨に対して左右どちらかへ傾いた状態で骨盤の中に入り込んでしまい、恥骨や仙骨が邪魔になって分娩が停止してしまう状態である。
3.× 第1頭位の第2回旋中である。なぜなら、矢状縫合が「7時から1時」方向にあり一直線となっているため。
4.〇 第1頭位における不正軸進入である。なぜなら、矢状縫合が「9時から4時」の方向にあるため。不正軸進入とは、胎児の頭が背骨に対して左右どちらかへ傾いた状態で骨盤の中に入り込んでしまい、恥骨や仙骨が邪魔になって分娩が停止してしまう状態である。
5.× 正常回旋の出口部である。なぜなら、矢状縫合が「6時から12時」方向にあり一直線となっているため。

(図引用:「異常分娩の管理と処置」より)

 

 

 

 

 

25 産褥7日の褥婦。発熱がみられた。体温38.5℃。脈拍88/分。排尿8回/日、排便1回/日。倦怠感を訴えている。乳房は軽度うっ滞しているが、発赤はない。子宮底の高さは恥骨上3横指で柔らかく触れる。赤褐色の悪露が少量みられ、下腹部痛が軽度あるという。会陰切開部の軽度の痛みが続いている。排尿時痛はない。
 この時点の褥婦の状況で適切なのはどれか。

1.産褥子宮内膜炎が疑われる。
2.うっ滞性乳腺炎が疑われる。
3.頻尿は尿路感染によるものである。
4.会陰切開部の癒合不全が疑われる。
5.下腹部痛は後陣痛によるものである。

解答

解説

本症例のポイント

・産褥7日の褥婦(発熱
体温38.5℃。脈拍88/分。排尿8回/日、排便1回/日。倦怠感を訴えている。
・乳房:軽度うっ滞、発赤はない。
・子宮底の高さ:恥骨上3横指で柔らかく触れる。
・赤褐色の悪露:少量、下腹部痛:軽度。
・会陰切開部の軽度の痛みが続いている。
・排尿時痛はない。
→本設問から産褥子宮内膜炎が疑われる。産褥子宮内膜炎とは、子宮の感染症であり、通常は下部性器や消化管から上行してくる細菌によって引き起こされる。症状は、子宮の圧痛・腹痛または骨盤痛・発熱・倦怠感ときに分泌物がみられる。 診断は臨床的に行うが、まれに培養を要する。 治療は広域抗菌薬(例:クリンダマイシンとゲンタマイシンの併用)による。ちなみに、子宮内膜炎は、分娩中または分娩後における絨毛膜羊膜炎の後に発生しうる。素因となる状態としては、①前期破水および長時間の分娩、②内測式胎児モニタリング、③遷延分娩、④帝王切開、⑤頻回の指による内診、⑥胎盤断片の子宮内残留、⑦分娩後出血などがあげられる。

1.〇 正しい。産褥子宮内膜炎が疑われる。産褥子宮内膜炎とは、子宮の感染症であり、通常は下部性器や消化管から上行してくる細菌によって引き起こされる。症状は、子宮の圧痛・腹痛または骨盤痛・発熱・倦怠感ときに分泌物がみられる。 診断は臨床的に行うが、まれに培養を要する。 治療は広域抗菌薬(例:クリンダマイシンとゲンタマイシンの併用)による。ちなみに、子宮内膜炎は、分娩中または分娩後における絨毛膜羊膜炎の後に発生しうる。素因となる状態としては、①前期破水および長時間の分娩、②内測式胎児モニタリング、③遷延分娩、④帝王切開、⑤頻回の指による内診、⑥胎盤断片の子宮内残留、⑦分娩後出血などがあげられる。
2.× うっ滞性乳腺炎は疑われにくい。なぜなら、うっ滞性乳腺炎とは、乳腺に炎症を起こしている状態で、母乳が乳房にたまってしまうことが原因となって発症する。赤ちゃんが飲む量より母乳分泌量が大幅に多いことで発症するケースが多い。乳管が十分に開いていないと母乳が出にくく、それによって乳腺に母乳がたまって起こる。症状は、おっぱいが張り石のように硬くなる、痛みや熱感、発赤などである。化膿性乳腺炎はうっ滞性乳腺炎の症状に加え高熱、倦怠感、筋肉痛、おっぱいの色が黄色くドロドロしているなどの症状がある。
3.× 頻尿は尿路感染によるものとはいえない。一般的には、朝起きてから就寝までの排尿回数が8回以上の場合を頻尿という。 本症例の排尿回数も8回/日であるが、1日の排尿回数は人によって様々(病気や水分摂取の取りすぎ、薬の影響など)であるため、一概に1日に何回以上の排尿回数が異常とはいえない。ちなみに、膀胱炎や前立腺炎などの尿路感染が起こると、膀胱の知覚神経が刺激されて頻尿となることが多い。したがって、尿路感染も頻尿が起こる要因ではあるものの「頻尿」=「尿路感染」という断定はできない。尿路感染症の原因として、そのほぼすべてが細菌によるものでウイルス、真菌または寄生虫である。尿路感染症の85%以上は、腸または腟から移動してきた細菌によって引き起こされる。
4.× 会陰切開部の癒合不全より優先度が高いものが他にある。なぜなら、癒合不全の原因の一つに創部の感染はあげられるが、創部の感染から38.5℃の発熱を招く可能性は低いため。会陰裂傷の重症度は4段階で評価され、会陰裂傷の治療は重症度に応じて行われる。第1 度は、自然治癒が可能であり必ずしも縫合する必要はない。第2度以上は縫合が必要になる。第3度は、会陰の裂傷部位のみでなく、断裂した肛門括約筋の縫合も行う。第4度は、直腸まで損傷しているため、その程度を確認して直腸粘膜の縫合を行う。会陰裂傷は適切な治療が行われないと、肛門括約筋機能不全、便失禁のほか、将来的に子宮下垂や子宮脱の原因となる。また縫合不全や感染を起こすと瘻孔ろうこう(穴・欠損)を形成することがあり、炎症が治まってから再手術が必要になる場合がある。
5.× 下腹部痛は後陣痛によるものとはいいにくい。なぜなら、本症例の子宮底の高さは恥骨上3横指と高めで柔らかく触れる状態であることから子宮復古が順調に進んでいないことがわかるため。後陣痛とは、赤ちゃんを出産した後に、子宮が元の大きさに戻ろうと収縮する時に生じる痛みのことである。子宮を収縮させることで、胎盤が剥がれた部分の血管断裂部を圧迫し、止血する役割がある。分娩後に子宮が収縮し、元の大きさに戻ろうとすることを子宮復古といい、産後6週~8週で妊娠前の状態に戻る。正常な子宮復古の経過の場合、産褥7日頃の子宮底高は恥骨結合上縁にわずかに触れる程度である。

会陰裂傷の重症度

第1度:会陰の皮膚、腟壁粘膜のみに限局し、筋層には達しない裂傷。
第2度:会陰筋層まで及ぶが、肛門括約筋には達しない裂傷。
第3度:肛門括約筋や腟直腸中隔に達する裂傷。
第4度:第3度裂傷に加え、肛門粘膜や直腸粘膜の損傷を伴う裂傷。

 

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