第102回(H31) 助産師国家試験 解説【午前46~50】

 

次の文を読み44〜46の問いに答えよ。
 Aさん(32歳、初産婦)。これまでの妊娠経過に異常はなかった。妊娠35週5日。「2、3日前から歩くと時々水が流れるような感じがあったが、尿漏れかと思って様子をみていた。今日になり、量が増えた」との訴えで、夫とともに外来受診した。パットには透明な水様性の帯下があり、悪臭なし。体温38.1℃、脈拍88/分、血圧128/76mmHg。子宮の圧痛はない。胎児心拍数は180bpmであった。胎児は頭位で胎児推定体重2,400g、AFI 1.5。腟鏡診では少量の出血が混じった帯下を認めたが、腟円蓋の液体貯留は明らかでなかった。子宮口は閉鎖であった。

46 Aさんは入院となり、この時の血液検査データはHb11.5g/>L、白血球23,000/μL、血小板35万/μL、CRP 24.5mg/>Lであった。絨毛膜羊膜炎の診断で、緊急帝王切開術による分娩となり2,400gの女児を出産した。児はApgar<アプガー>スコア1分後2点、5分後3点、気管内挿管され、NICUに入院となった。
 児は敗血症の診断で治療が開始されたが、急速に多臓器不全が進行し、出生後4日に死亡した。A さんは「赤ちゃんが死んだなんて信じられない。私が破水に早く気づいて病院に来ていたら、こんなことにはならなかった」と涙を流しながら夫に話している。
 助産師のAさんへの対応で最も適切なのはどれか。

1.早期の退院を勧める。
2.夫と一緒にAさんの話を聞く。
3.次の妊娠について考えるよう勧める。
4.赤ちゃんのことは考えないように話す。
5.睡眠導入薬の処方について医師に相談するよう勧める。

解答

解説

本症例のポイント

・血液検査データ:Hb11.5g/>L、白血球23,000/μL、血小板35万/μL、CRP 24.5mg/>L。
・診断名:絨毛膜羊膜炎、緊急帝王切開術にて2,400g、女児出産。
・Apgarスコア:1分後2点、5分後3点、気管内挿管、NICUに入院。
・児の診断名:敗血症、急速に多臓器不全が進行、出生後4日に死亡
・Aさん「赤ちゃんが死んだなんて信じられない。私が破水に早く気づいて病院に来ていたら、こんなことにはならなかった」と涙を流しながら夫に話している。
→児が死亡したことで、母親Aさんはショックを受けていることがわかる。遺族の悲嘆への対応の基本として、①悲しみが正常な反応であることを知ってもらう、②悲しみを無理に抑えたり、また無理に表出させるようなことはしない、③一人ひとりの悲嘆の違いを理解し、その人の対処を尊重する、④無理のない範囲で日常生活を続けられるようにする、⑤現実的な問題(葬儀、家事など)について話し合い、可能な範囲で援助する、⑥故人への想いを横におく時間を少しずつとる、⑦少しずつ生活に楽しみを見いだせるよう援助する、⑧故人を尊重する追悼行事や宗教儀礼を大切にするなどがあげられる。

1.× 早期の退院を勧める優先度は低い。なぜなら、本症例は絨毛膜羊膜炎を発症しており、緊急帝王切開術を実施しているため。基本的なプロトコルによると術後6日目で退院となる。また、退院は希望したらできるものではなく、主治医の指示が必要である。ちなみに、絨毛膜羊膜炎とは、腟からの上行性感染により細菌が絨毛膜羊膜に至り、そこに止まっている状態を指す。 この細菌が、破水などにより子宮腔内へ波及した状態が子宮内感染症である。 
2.〇 正しい。夫と一緒にAさんの話を聞く。遺族の悲嘆に共感を示すことや遺族の話に共感を示しながら傾聴すること、遺族が孤独や不安を感じている時に側に寄り添うことが大切である。
3.× 次の妊娠について考えるよう勧める優先度は低い。なぜなら、次の妊娠について考えられる状況ではないため。Aさんは自分自身のところを「私が破水に早く気づいて病院に来ていたら、こんなことにはならなかった」と涙を流しながら自責ともとれる発言が聞かれている。
4.× 赤ちゃんのことは考えないように話す優先度は低い。なぜなら、今この時点で赤ちゃんのことを考えないようにするのは非現実的であるため。自分の子が亡くなっているにもかかわらず、考えないように促すのは困難であろう。
5.× 睡眠導入薬の処方について医師に相談するよう勧める優先度は低い。なぜなら、睡眠について悩んでいるわけではないため。

悲嘆のプロセスとは?

悲嘆のプロセス
①心の麻痺の段階:呆然自失,死の否認,感情の麻痺、身体反応(吐き気、喉が詰まる感じ、動悸など)
②切望の段階:憂うつ感・悲哀感,故人を探し求める・追慕・切望
③混乱と絶望の段階:罪悪感・怒り・非難,死の事実への抵抗,不眠・悪夢,引きこもり・孤独感
④回復の段階:故人がいなくても人生を立て直せる実感がもてる,生きがい・社会的役割の再発見
(C.M.パークス著,桑原治雄・三野善央訳(2002)「改訂 死別 遺された人たちを支えるために」メディカ出版.より要約)

(※画像引用:ナース専科様HPより)

 

 

 

 

次の文を読み47、48の問いに答えよ。
 Aさん(30歳、初妊婦)。妊娠33週0日に帯下に少量の出血が混じり軽度の下腹部痛があることを主訴に受診した。体温36.8℃、脈拍60/分、血圧110/65mmHg。内診所見は子宮口2cm開大、展退度50%。超音波断層法で子宮頸管長23mm、胎位は骨盤位であった。後腟円蓋の腟分泌物でBTB試験紙は青変せず、悪臭はしない。血液検査で白血球の増加やCRPの上昇を認めない。Aさんは入院となり、NSTでは胎児心拍数は正常であるが、12分ごとに弱い子宮収縮が認められる。

47 この時点のアセスメントで正しいのはどれか。

1.切迫早産
2.高位破水
3.子宮内感染
4.子宮頸管無力症

解答

解説

本症例のポイント

・Aさん(30歳、初妊婦)。
・妊娠33週0日:帯下に少量の出血が混じり軽度の下腹部痛あり。
・体温36.8℃、脈拍60/分、血圧110/65mmHg。
・内診所見:子宮口2cm開大展退度50%
・超音波断層法:子宮頸管長23mm、胎位は骨盤位。
・後腟円蓋の腟分泌物でBTB試験紙:青変せず、悪臭なし。
・血液検査:白血球やCRPの異常なし。
・NST(ノンストレステスト):胎児心拍数は正常、12分ごとに弱い子宮収縮が認められる。
→ノンストレステスト(non-stress test:NST)とは、分娩監視装置を用いて子宮収縮や胎児心拍、胎動の状態で調べ、胎児の健康状態を判定するものである。陣痛(子宮収縮)などのストレスがない状態で妊婦に行う検査である。胎児は、20~40分ごとに睡眠と覚醒を繰り返すため通常40~60分間計測を行う。一過性頻脈とは、胎児が体を動かすとき(胎動があるとき)、一時的に心拍数が多くなることをいい、一定範囲で出るのが正常である。妊娠中、20分間のノンストレステスト< NST >をしている間に、心拍数15bpm以上15秒以上の一過性頻脈が2回以上あれば、胎児の状態は「良好な状態:well-being」と判断される。

1.〇 正しい。切迫早産と判断できる。妊娠の経過が順調であれば、妊娠37~42週未満で赤ちゃんが誕生する。この時期の出産を「正期産」という。正期産に対して、妊娠22~37週未満で赤ちゃんが生まれるのが「早産」。早産となるリスクが高い状態を「切迫早産」という。具体的には、子宮の出口が開きかけており、「赤ちゃんが生まれてしまうかもしれない」という段階で、かろうじて母体のお腹の中にとどまっている状態である。切迫早産の主な症状は、下腹部の張り、生理痛のような下腹部や腰の痛みである。本症例と合致し、また頸管の熟化(子宮口の開大、頸管長の短縮・展退)がみられていることからも切迫早産と判断できる。
2.× 高位破水と断定することは難しい。なぜなら、本症例のBTB試験紙において青変せず、悪臭なかったため。満期の破水を診断する際に、もっとも一般的に用いられる方法がBTB試験紙法である。正常の腟内は弱酸性(pH4.5~6.0)で、羊水は中性から弱アルカリ性(pH7.0~8.5)である。BTB試験紙が青変(青く変色)することにより、羊水流出による腟内のpHの変化を確認する。ただし、血液・精液・薬剤などの影響による偽陽性の場合も少なからずあるため、診断には注意を要す。ちなみに、高位破水とは、子宮口より離れた部位で卵膜が破れ、羊水が少ない量で流出することをいう。完全破水は子宮口からの破水のため大量の羊水が流出するが、高位破水の場合、チョロチョロと少量であるため、おりものや、尿漏れと間違える妊婦さんも多い。
3.× 子宮内感染と断定することは難しい。なぜなら、本症例の体温や血液検査において白血球やCRPに異常はみられないため。子宮感染症の一般的な症状としては、下腹部痛、骨盤痛、発熱(分娩後1~3日以内に起こる場合がほとんど)、蒼白、悪寒、全身のけん怠感や不快感などのほか、しばしば頭痛や食欲減退もみられる。心拍数がしばしば上昇し、子宮は腫れて圧痛があり、軟らかくなることが多い。
4.× 子宮頸管無力症と断定することは難しい。なぜなら、本症例は帯下に少量の出血が混じり軽度の下腹部痛がみられているため。子宮頸管無力症とは、陣痛などの下腹部痛や性器出血などの症状がないが子宮頸管が開いてきてしまう状態のことを言い、流産や早産の原因となってしまうことがある。

 

 

 

 

 

次の文を読み47、48の問いに答えよ。
 Aさん(30歳、初妊婦)。妊娠33週0日に帯下に少量の出血が混じり軽度の下腹部痛があることを主訴に受診した。体温36.8℃、脈拍60/分、血圧110/65mmHg。内診所見は子宮口2cm開大、展退度50%。超音波断層法で子宮頸管長23mm、胎位は骨盤位であった。後腟円蓋の腟分泌物でBTB試験紙は青変せず、悪臭はしない。血液検査で白血球の増加やCRPの上昇を認めない。Aさんは入院となり、NSTでは胎児心拍数は正常であるが、12分ごとに弱い子宮収縮が認められる。

48 Aさんは安静臥床を指示され、点滴治療が継続された。妊娠36週5日、痛みを伴う規則的な子宮収縮が生じ、子宮口が6cmまで開大した。骨盤位であったため緊急帝王切開術による分娩となった。手術翌日、脈拍72/分、血圧118/56mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度<SpO2>98%。子宮底は臍下1横指で収縮は良好であり、外陰部にあてたパッドに少量の血液が付着している。採血の結果は、Hb 10.2g/dL、血小板25万/μL、生化学検査は異常を認めなかった。手術後初めてトイレまで歩行した際、Aさんは胸痛を訴えてうずくまった。Aさんの左下肢には、軽度の発赤と腫脹が認められた。
 Aさんに生じた疾患で最も考えられるのはどれか。

1.肺水腫
2.周産期心筋症
3.肺血栓塞栓症
4.HELLP症侯群

解答

解説

本症例のポイント

・安静臥床を指示、点滴治療継続。
・妊娠36週5日:痛みを伴う規則的な子宮収縮が生じ、子宮口が6cmまで開大。
・骨盤位:緊急帝王切開術。
・手術翌日:脈拍72/分、血圧118/56mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度<SpO2>98%。
・子宮底:臍下1横指で収縮は良好、外陰部のパッドに少量の血液が付着。
・採血の結果:Hb 10.2g/dL、血小板25万/μL。
・生化学検査:異常なし。
・手術後:歩行の際、胸痛を訴えてうずくまった。
・左下肢には、軽度の発赤腫脹が認められた。
→典型的な肺塞栓症と予想できる。肺塞栓症が起こる機序として、長期臥床や長時間の座位による静脈系のうっ滞と血液粘稠度の上昇で起こりやすくなる。離床(車椅子乗車や立位訓練、歩行訓練など)を開始したタイミングで、下肢の静脈から遊離した血栓が肺動脈に詰まる肺塞栓(肺血栓塞栓症)を発症するリスクが高くなるため注意が必要である。

1.× 肺水腫とは、肺静脈性肺高血圧と肺胞内の液貯留を伴った重度の急性左室不全である。
2.× 周産期心筋症とは、心疾患の既往のなかった女性が、妊娠・産褥期に心不全を発症し、拡張型心筋症に類似した病態を示す特異な心筋症である。WHOの心筋症の定義と分類では、二次性心筋症に分類されている。 最重症例は致死的であり、欧米では妊産褥婦間接死亡原因の上位にある疾患と認識されている。発症時は急性心不全症状(呼吸困難、咳、浮腫、全身倦怠感、動悸、ショック、意識障害など)を呈する。 急性期治療後、約半数は、心 機能が回復して無症状となる。残りの半数においては心機能低下が残存して、その心機能の低下度に応じた慢性心不全症状(労作時息切れ、浮腫、動悸など)の訴えを認める。
3.〇 正しい。肺血栓塞栓症がAさんに生じた疾患で最も考えられる。肺塞栓症が起こる機序として、長期臥床や長時間の座位による静脈系のうっ滞と血液粘稠度の上昇で起こりやすくなる。離床(車椅子乗車や立位訓練、歩行訓練など)を開始したタイミングで、下肢の静脈から遊離した血栓が肺動脈に詰まる肺塞栓(肺血栓塞栓症)を発症するリスクが高くなるため注意が必要である。肺血栓塞栓症の多くは先立って下肢の静脈血栓症(下肢の腫脹・疼痛・浮腫、 色調変化)があり、肺血栓塞栓症の症状として胸痛・息苦しさ・動悸の症状がみられる。
4.× HELLP症侯群とは、妊娠の後半からお産の後に発症しやすい疾患のひとつで、①赤血球の破壊(溶血:Hemolysis)、②肝臓の機能の悪化(肝逸脱酵素の上昇:Elevated Liver enzymes)、③血小板の減少(Low Platelet)を起こす病態で、頭文字を取っている。

心不全とは?

心不全とは、組織が必要とする循環血液量を心臓が拍出できない病態である。
心拍出量の低下を起こす原因として、
・左心不全:肺循環系にうっ血が著明なもの
・右心不全:体循環系にうっ血が著明なもの。
右室拡張末期圧の上昇(体循環の静脈系のうっ血)により右心不全は引き起こされる。

 

 

 

 

次の文を読み49、50の問いに答えよ。
 Aさん(34歳、初産婦)。妊娠40週2日。陣痛開始から3時間が経過し、入院した。胎児推定体重は2,650g、入院時の内診所見は、子宮口4cm開大、展退度70%、Station-2、子宮頸管の硬度は軟であった。入院から4時間後、羊水流出を認めた。陣痛間欠4〜5分、陣痛発作40〜50 秒、内診所見は子宮口5cm開大、展退度80%、Station-1、子宮頸管の硬度は軟である。先進部は小泉門で11時方向に触れる。

49 分娩経過の判断で正しいのはどれか。

1.児頭は嵌入している。
2.分娩第1期遷延である。
3.第1前方後頭位である。
4.Friedman<フリードマン>曲線の活動期である。

解答

解説

本症例のポイント

・Aさん(34歳、初産婦、妊娠40週2日)
・陣痛開始から3時間が経過:胎児推定体重:2,650g
・入院時の内診所見:子宮口4cm開大、展退度70%、Station-2、子宮頸管の硬度は軟。
・入院から4時間後:羊水流出、陣痛間欠4〜5分、陣痛発作40〜50秒
・内診所見:子宮口5cm開大、展退度80%、Station-1、子宮頸管の硬度は軟。
・先進部:小泉門で11時方向に触れる

(※図引用:「看護roo!看護師イラスト集」)

1.× 児頭は嵌入していない。なぜなら、Station-2であるため。児頭の下降度を示すのに「station」が用いられる。先進部が坐骨棘のレベルに達していれば、「station 0」と表し、児頭が骨盤入口部に陥入したと考えられる。児頭の先端が坐骨棘間線より上方1cmにあれば「station-1」と示し、下方1cmにあれば「station+1」と示す。+5、+4、+3、+2、+1、0、-1、-2、-3、-4、-5、と表す。以後の分娩経過を評価するうえで,入院時の所見は重要である。
2.× 分娩第1期は遷延とは考えにくい。遷延分娩の定義は、「分娩開始後すなわち陣痛周期が10分以内になった時点から、初産婦では30時間、経産婦では15時間を経過しても児娩出に至らないもの」をいう。一般的に、分娩第1期(分娩開始から子宮口全開大まで)の平均所要時間:初産婦10~12時間、経産婦4~6時間であり、初産婦の潜伏期遷延は20時間未満、活動期開大遷延は12時間未満である。
3.× 「第1前方後頭位」ではなく第2前方後頭位である。なぜなら、先進部は小泉門で11時方向に触れるため。母親の左手側で心音が聞ければ第1胎向、一方母親の右手側で心音が聞ければ第2胎向である。
4.〇 正しい。Friedman<フリードマン>曲線の活動期である。なぜなら、子宮口が5cm開大しているため。分娩第1期(分娩開始から子宮口全開大までの期間)として、分娩開始からの時間を横軸に、子宮口開大度と胎児の下降度を縦軸としてグラフ化したものとして、陣痛曲線(Friedman曲線)と呼ばれる。この陣痛曲線(Friedman曲線)は、大量の正常分娩のデータから作成されており、これに照らしあわせることによって、個々の症例の分娩経過が問題ないかを判断することに役立つ。

(※図引用:「Friedman曲線」20.正常経腟分娩の管理より)

 

 

 

 

 

次の文を読み49、50の問いに答えよ。
 Aさん(34歳、初産婦)。妊娠40週2日。陣痛開始から3時間が経過し、入院した。胎児推定体重は2,650g、入院時の内診所見は、子宮口4cm開大、展退度70%、Station-2、子宮頸管の硬度は軟であった。入院から4時間後、羊水流出を認めた。陣痛間欠4〜5分、陣痛発作40〜50 秒、内診所見は子宮口5cm開大、展退度80%、Station-1、子宮頸管の硬度は軟である。先進部は小泉門で11時方向に触れる。

50 入院から8時間後、陣痛間欠2〜3分、陣痛発作50秒、内診所見は子宮口7cm開大、展退度100%、Station+3、矢状縫合は骨盤横径に一致し、大泉門が触れ小泉門と同じ高さだった。Aさんは呼吸が乱れ「痛くて我慢できない」と訴えた。
 分娩進行の判断で正しいのはどれか。

1.過強陣痛である。
2.第2回旋の異常である。
3.子宮頸管は熟化していない。
4.分娩は正常に経過している。

解答

解説

本症例のポイント

・入院から8時間後:陣痛間欠2〜3分、陣痛発作50秒
・内診所見:子宮口7cm開大、展退度100%、Station+3
・矢状縫合:骨盤横径に一致し、大泉門が触れ小泉門と同じ高さ
・Aさんは呼吸が乱れ「痛くて我慢できない」と訴えた。

1.× 過強陣痛と断定できない。なぜなら、入院から8時間後において陣痛間欠2〜3分、陣痛発作50秒であるため。過強陣痛とは、子宮口が十分に開いていないのに分娩直前の陣痛が過剰に強く起きる事をさす。子宮の収縮が非常に強く長く続くのが特徴で、定義として、子宮口7cmの過強陣痛(外側法)は、2分以上の陣痛持続時間の場合をいう。
2.〇 正しい。第2回旋の異常である。なぜなら、「Station+3」で矢状縫合が骨盤横径に一致しているため。つまり、低在横定位の状態であると考えられる。大泉門が触れることより反屈傾向となっている。
3.× 子宮頸管は熟化している。なぜなら、ビショップスコアは9点であるため。①展退度100%(3点)、②Station+3(3点)、③子宮頸管の硬度は軟(2点)、④子宮口の位置は中(1点)である。
4.× 分娩は正常に経過しているとはいえない。なぜなら、第2回旋の異常であるが考えられるため。

”児頭の産道通過機転”

第1回旋(屈曲):児頭が骨盤入口部に進入する時、児頭は両耳結合線を軸とする横軸回旋をして強い前屈位をとる(後頭位)。この第1回旋により、先進部は小泉門となり、小斜径で産道に接するようになる。
第2回旋(内回旋):児頭は先進する小泉門が常に母体前方に向かうように、胎児長軸を軸とする縦軸回旋をしながら下降する(前方後頭位)。分娩所要時間のうち、この過程に最も時間を要する。
第3回旋(伸展):児頭後頭部が恥骨結合下を通過して、後部が恥骨下縁に接すると、そこを支点として頭部が反屈状に横軸回旋する。この運動によって、児頭は前頭、顔面、オトガイ部の順に会陰を滑って娩出される。第1回旋の逆の動きである。
第4回旋(外回旋):児頭娩出に引き続き、肩甲の下降が起こり、それに伴って児の顔面が母体大腿内側を向く縦軸回旋をする。第2回旋の逆の動きである。

第1・第3回旋:胎児の姿勢を変化させる回旋(胎勢回旋・横軸回旋)である。
第2・第4回旋:体幹の向きが移動する回旋(胎向回旋・縦軸回旋)である。

 

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