第102回(H31) 助産師国家試験 解説【午後6~10】

 

6 Aさん(28歳、初妊婦)。現在、妊娠18週で双胎。事務職で正規採用されて3か月経った。
 Aさんへの保健指導で正しいのはどれか。

1.「育児休業は1年間の申し出ができます」
2.「産前休業は予定日前に16週間取得できます」
3.「妊婦健康診査受診に必要な時間には、医療機関への往復時間を含みます」
4.「出産手当金は、出産日以前42日から出産日後より56日まで支給されます」

解答

解説

1.× 育児休業は、「1年間」と限っているわけではない。育児休業の対象者は、育児・介護休業法第1条により育児休業は出産日から起算して2年まで取得できる。子どもが1歳になっても保育園などに入れない場合は、1歳6ヶ月~2歳まで延長可能になっている。育児休業とは、子を養育する労働者が法律に基づいて取得できる休業のことであり、男性も取得可能である。育児休業は『育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(育児・介護休業法)』に規定されている。育児休業は、子の父母のいずれもが対象となり、父母本人の申し出により適用される。
2.× 産前休業は、予定日前の「16週間」ではなく14週間取得できる。これは、労働基準法第65条「使用者は、六週間(多胎妊娠の場合にあつては、十四週間)以内に出産する予定の女性が休業を請求した場合においては、その者を就業させてはならない」と記載されている(一部引用:「労働基準法」e-GOV法令検索様HPより)。ちなみに、産前休業とは、女性労働者が母体保護のため出産の前後においてとる休業の期間である。産休とも称される。
3.〇 正しい。「妊婦健康診査受診に必要な時間には、医療機関への往復時間を含みます」とAさんに保健指導する。根拠として、男女雇用機会均等法における母性健康管理の措置があげられる。健康診査等に必要な時間については、①健康診査の受診時間、②保健指導を直接受けている時間、③医療機関等での待ち時間、④医療機関等への往復時間をあわせた時間を考慮にいれて、十分な時間を確保しなければならない。
4.× 出産手当金は、出産日以前42日から出産日後より56日まで支給されるのは一人出産した場合である。健康保険の被保険者本人が、出産のため会社を休み、事業主から報酬が受けられないとき、産前42日(多胎分娩98日)から産後56日までの期間、欠勤一日につき標準報酬日額の6割が支給される。出産予定日が遅れた場合は、遅れた日数分給付日が増える。出産手当金は、勤めている人が加入している公的医療保険の制度であるため、被保険者本人のみが適用となる制度である。そのため扶養家族の人には給付されない。また自営業やアルバイトの人など国民健康保険加入者には、この制度は適応外である。

子の看護休暇の申出の方法等

第四章 子の看護休暇
(法第十六条の二第一項の厚生労働省令で定める当該子の世話)
第三十二条 法第十六条の二第一項の厚生労働省令で定める当該子の世話は、当該子に予防接種又は健康診断を受けさせることとする。
第三十三条 削除
(法第十六条の二第二項の厚生労働省令で定める一日未満の単位等)
第三十四条 法第十六条の二第二項の厚生労働省令で定める一日未満の単位は、時間(一日の所定労働時間数に満たないものとする。)であって、始業の時刻から連続し、又は終業の時刻まで連続するものとする。
2 前項に規定する一日未満の単位で取得する子の看護休暇一日の時間数は、一日の所定労働時間数(日によって所定労働時間数が異なる場合には、一年間における一日平均所定労働時間数とし、一日の所定労働時間数又は一年間における一日平均所定労働時間数に一時間に満たない端数がある場合は、一時間に切り上げるものとする。)とする。
第三十五条 法第十六条の二第一項の規定による申出(以下この条及び第三十七条において「看護休暇申出」という。)は、次に掲げる事項を、事業主に対して明らかにすることによって、行わなければならない。
一 看護休暇申出をする労働者の氏名
二 看護休暇申出に係る子の氏名及び生年月日
三 子の看護休暇を取得する年月日(法第十六条の二第二項の規定により、子の看護休暇を一日未満の単位で取得する場合にあっては、当該子の看護休暇の開始及び終了の年月日時)
四 看護休暇申出に係る子が負傷し、若しくは疾病にかかっている事実又は前条に定める世話を行う旨
2 事業主は、看護休暇申出があったときは、当該看護休暇申出をした労働者に対して、前項第四号に掲げる事実を証明することができる書類の提出を求めることができる。

(※一部引用:「育児・介護休業法」e-GOV法令検索様HPより)

 

 

 

 

 

7 32歳、初産婦。妊娠38週5日。妊婦健康診査時、「昨夜10分ごとの陣痛が3時間続いた。朝6時にお腹の張りで目が覚めた。2時間前から10〜12分ごとに収縮している」と言う。内診所見は、子宮口2cm開大、展退度80%、Station-3、子宮頸管の硬度は軟、子宮口の位置は中央であった。腟分泌物は白色である。
 この時の助産診断で正しいのはどれか。

1.産徴がある。
2.前駆陣痛である。
3.原発性微弱陣痛である。
4.子宮頸管は成熟している。

解答

解説

本症例のポイント

・32歳、初産婦。妊娠38週5日。
・妊婦健康診査時「昨夜10分ごとの陣痛が3時間続いた。朝6時にお腹の張りで目が覚めた。2時間前から10〜12分ごとに収縮している」と言う。
・内診所見は、子宮口2cm開大、展退度80%、Station-3、子宮頸管の硬度は軟、子宮口の位置は中央であった。
・腟分泌物は白色である。

1.× 産徴(おしるし)は確認できない。なぜなら、本症例の腟分泌物は白色であるため。産徴とは、お産の開始頃にみられる血性で粘液性のおりものをいう。赤ちゃんを包んでいる卵膜は、初めは子宮壁に付着しているが、子宮頸管が少しずつ開大すると卵膜は子宮壁から剥がれ出し、出血が起こる。この出血が頚管の粘液とともに排出されたものが産徴(おしるし)である。
2.〇 正しい。前駆陣痛である。なぜなら、本症例の妊婦健康診査時に「昨夜10分ごとの陣痛が3時間続いた。2時間前から10〜12分ごとに収縮している」と陣痛が不規則な状態でまだ分娩開始していないと考えられるため。前駆陣痛とは、臨月におこることが多い、腹痛や腰痛のことで、あたかも陣痛のように痛みを伴う子宮収縮であるが、間隔や持続時間が不規則であるのが特徴である。
3.× 原発性微弱陣痛は確認できない。子宮内圧が小さいものを微弱陣痛と呼び、分娩の初期から陣痛が弱いものを原発性微弱陣痛という。つまり、原発性微弱陣痛とは、分娩開始時点から陣痛が微弱で分娩が進行していないか遷延している状態のことをいう。この原因は明らかになっていないが、母体の疲労や不安などの全身性因子、子宮奇形や子宮筋腫などの局所的因子、羊水過多や多胎、巨大児などの産科的因子などが要因になっていると言われている。
4.× 子宮頸管は成熟していない。なぜなら、本症例のビショップスコアは7点であるため。内診所見から、子宮口2cm開大(1点)、展退度80%(3点)、Station-3(0点)、子宮頸管の硬度は軟(2点)、子宮口の位置は中央(1点)である。ちなみに、子宮頸管が成熟していると判断される基準として、ビショップスコア9点以上である。

 

 




 

 

8 会陰切開術の正中側切開法と正中切開法との比較で、正中側切開法の特徴として正しいのはどれか。

1.会陰拡張効果が大きい。
2.創部からの出血が少ない。
3.肛門括約筋の損傷が少ない。
4.創部縫合不全が発生する頻度は少ない。

解答

解説

会陰切開術について

会陰切開術は、①正中側切開法と②正中切開法がある。分娩直前、はさみで会陰部に切開を入れるが、①正中側切開(腟入口部下端から左斜め下へ切開)と②正中切開(腟入口部下端から肛門の方向へ切開)との二つの方法がある。

①正中側切開:吸引分娩、初産婦に適応。特徴:会陰部が狭い・胎児が大きめ・会陰部の伸展が悪く、裂傷が大きくなる可能性がある。

②正中切開:経産婦に適応。特徴:会陰部が比較的広い、胎児もあまり大きくない、大きな裂傷の可能性が少ない、創傷治癒が早い。

※正中側切開の方が正中切開より切開創が大きい分、出血が多く、術後の疼痛が強い傾向があるが、産後の母体の回復に影響を及ぼすほどのものではない。

1.× 会陰拡張効果が大きい/創部からの出血が少ない/創部縫合不全が発生する頻度は少ないのは、②正中切開の特徴である。②正中切開:経産婦に適応。特徴:会陰部が比較的広い、胎児もあまり大きくない、大きな裂傷の可能性が少ない、創傷治癒が早い。
3.〇 正しい。肛門括約筋の損傷が少ないのは、①正中側切開法の特徴である。①正中側切開:吸引分娩、初産婦に適応。特徴:会陰部が狭い・胎児が大きめ・会陰部の伸展が悪く、裂傷が大きくなる可能性がある。他にも、正中側切開法の特徴として、出血量や術後疼痛、性感異常はやや多く、会陰拡張効果に欠けるが、必要に応じて切開創を延長でき、括約筋や直腸損傷の危険も少ない。しかし、正中切開法の方は

 

 

 

 

 

9 早産児の退院後のフォローアップ外来で、修正月齢よりも暦月齢に基づいて判断するのはどれか。

1.運動発達の評価
2.言語発達の評価
3.身体発育の評価
4.B型肝炎ワクチンの接種時期

解答

解説

修正月齢と暦月齢の違い

修正月齢とは、例えば2か月早く生まれたなら、生後2か月時点が生後0か月となる。  一方、生まれた日から換算した月齢は「暦月齢」である。なお、予防接種(ワクチン)は、修正月齢ではなく、他の赤ちゃんと同じスケジュール、つまり暦月齢で接種を受けることが原則である。

1~3.× 運動発達/言語発達/身体発育/の評価は、修正月齢に基づいて判断する。低出生体重児や早産児の発達や成長については、実際に生まれた日ではなく出産予定日を基準にして考える。これを「修正月齢」という。例えば、出産予定日より2か月早く生まれた赤ちゃんの場合は、生後1か月は修正月齢マイナス1か月、生後2か月は修正月齢0か月、生後6か月は修正月齢4か月となる。
4.〇 正しい。B型肝炎ワクチンの接種時期は暦月齢に基づいて判断する。なぜなら、早産児はワクチンで予防できる疾患への罹患リスクが高く重症化しやすいため。生まれた日から換算した月齢は「暦月齢」である。なお、予防接種(ワクチン)は、修正月齢ではなく、他の赤ちゃんと同じスケジュール、つまり暦月齢で接種を受けることが原則である。

 

 




 

 

10 家族発達理論における家族周期段階別にみた基本的発達課題で、第1子出生後の育児開始期にある家族の課題はどれか。

1.職業生活に適応する。
2.生活領域拡大に適応する。
3.増大する家庭内役割を引き受ける。
4.子どもの心理的分離に伴う不安に親として対応する。

解答

解説

家族発達理論とは?

家族発達理論とは、家族の変化過程を家族そのものの発達、成長であると捉え、その家族のたどる周期的変化の各期を家族周期(ファミリー・ライフサイクル)で表し、それぞれの時期に特有の家族の発達課題があると考える理論のことをいう。2つの基本的な考え方があり、①家族は時間的経過のなかで連続的な発達段階をたどること、②家族は発達段階に応じた固有の発達課題を持つことの考え方がベースになっている。

1.× 職業生活に適応することは、1段階:家族の誕生の前に該当する。つまり、親元を離れて独立している未婚の若い成人の時期の課題である。ちなみに、1段階:家族の誕生において、互いに満足できる結婚生活を確立し、調和のとれた親族ネットワークを楽き、家族計面を立てることが発達課題としてあげられる。
2.× 生活領域拡大に適応するのは、1段階:家族の誕生において発達課題である。1段階:家族の誕生において、互いに満足できる結婚生活を確立し、調和のとれた親族ネットワークを楽き、家族計面を立てることが発達課題としてあげられる。
3.〇 正しい。増大する家庭内役割を引き受けることは、第1子出生後の育児開始期にある家族の課題である。家族員個々の発達ニーズを満たし、新しい役割(父親、母親など)を学習する。家族で役割の調整を行い、家族機能や家族関係を拡大する
4.× 子どもの心理的分離に伴う不安に親として対応するのは、4段階:学童期の子どもをもつ家族(年長児が6~12歳未満)においての発達課題である。4段階:学童期の子どもをもつ家族(年長児が6~12歳未満)において、①子どもの社会化を促し、子どもが学業に励むように配慮する、②子どもが親から分離できるように促す、③円満な夫婦関係を維持することが発達課題としてあげられる。

家族の発達段階

【1段階:家族の誕生】互いに満足できる結婚生活を確立し、調和のとれた親族ネットワークを楽き、家族計面を立てる。
2段階:出産家族(第1子が2歳6ヶ月未満)】家族員個々の発達ニーズを満たし、新しい役割(父親、母親など)を学習する。家族で役割の調整を行い、家族機能や家族関係を拡大する。
【3段階:学齢前期の子どもをもつ家族(第1子が2歳6ヶ月から6歳末満)】子どもが役割を取得できるように育て、事故や健康被害を予防する。第1子のニーズを満たしながら、第2子のニーズを満たす。親役制と夫婦役割、親子関係を調整する。
【4段階:学童期の子どもをもつ家族(年長児が6~12歳未満)】子どもの社会化を促し、子どもが学業に励むように配慮する。子どもが親から分離できるように促す。円満な夫婦関係を維持する。
【5段階:10代の子どものいる家族】子どもの自由や責任を認め、子どもを巣立たせる準備をする。家族の統合を徐々に緩め、子どもを解き放していく。両親と子どもとの間に開放的なコミュニケーションを確立する。
【6段階:新たな出発の時期にある家族(第1子が家庭を巣立ってから末子が巣立つまで)】第1子の巣立ちを援助し、その他の子どもには巣立たせる準備をする。子どもの結婚により新しい家族を迎え、家族を拡張する。子ども夫婦のライフスタイルや価値観を認め、夫婦役割を調整し再確立する。
【7段階:壮年期の家族(空の巣から退職まで)】成長した子どもとの関係を再定義しながら子どもから独立することに取り組む。健康的な環境を整える。年老いた両親や孫との有意義な関係を維持する。夫婦関係を強固なものにする。
【8段階:退職後の高齢者家族(配偶者の退職から死まで)】満足できる生活状況を維持し、減少した収入での生活に適応し夫婦関係を維持する。家族の絆を統合させたものとして維持する。配偶者の喪失に適応し人生を振り返り自分の存在の意味を見出す。

 

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