第103回(H29) 保健師国家試験 解説【午前1~5】

 

※注意:著者は看護師で、解説はすべてオリジナルのものとなっています。私的利用の個人研究・自己研鑽のため作成いたしました。間違いや分からない点があることをご了承ください。またコメントにて解き方等教えてくださると幸いです。

 

問題引用:第103回保健師国家試験、第100回助産師国家試験、第106回看護師国家試験の問題および正答について

 

 

1 保健師が行うアウトリーチはどれか。

1.言語の発達に遅れがある幼児のフォローアップ教室
2.Parkinson(パーキンソン)病の患者会への支援
3.治療を中断している精神障害者への家庭訪問
4.後期高齢者への認知症予防教室

解答

解説

アウトリーチとは?

アウトリーチとは、「困難を抱えながらも支援の必要性を自覚していない、あるいは支援を求められない人々に、こちらから手を差し伸べて支援を届けること」である。

1.× 言語の発達に遅れがある幼児のフォローアップ教室は、保健師が行うアウトリーチではない。なぜなら、フォローアップ教室は、問題解決を希望する親子を対象とした支援であるため。
2.× Parkinson(パーキンソン)病の患者会への支援は、保健師が行うアウトリーチではない。なぜなら、患者会に来所している患者を対象とした支援であるため。
3.〇 正しい。治療を中断している精神障害者への家庭訪問は、保健師が行うアウトリーチである。なぜなら、精神障害を抱えながらも治療を中断している状況にあり、アウトリーチである「困難を抱えながらも支援の必要性を自覚していない、あるいは支援を求められない人々に、こちらから手を差し伸べて支援を届けること」に合致するため。保健師が家庭訪問をすることで、障害者のニーズを把握し、必要に応じて情報提供をしたり、医療機関と連携をとったりする必要がある。
4.× 後期高齢者への認知症予防教室は、保健師が行うアウトリーチではない。なぜなら、教室に来ることのできる高齢者を対象とした支援であるため。

 

 

 

 

 

2 A市の保健師は、難病患者の家族会を支援するために、当事者、地域住民および関係機関による会議を開催し、パートナーシップを基盤にした活動を推進することとした。
 第1回の会議の内容として最も適切なのはどれか。

1.予算確保の方法についての説明
2.近隣市町における活動事例の紹介
3.関係機関における研修の開催の検討
4.A市の昨年度の保健事業全般の実績報告

解答

解説

1.× 予算確保の方法についての説明は、第1回の会議の内容として優先度は低い。なぜなら、予算確保は、参加者で検討するものであり、保健師から説明することではないため。
2.〇 正しい。近隣市町における活動事例の紹介は、第1回の会議の内容として優先度は最も高い。家族会のような地区組織活動の原動力は、参加メンバーの主体的な意欲にある。保健師が参加する際には、行政や専門職という立場でみられやすく、無意識に行政主導型に陥りやすい。このことを自覚しながら、当事者、地域住民、関係機関との関係を大切にし、つながりを意識した活動が求められる。近隣市町の活動事例によって、地域の活動に加えて地域の課題も共有することができ、仲間意識を高めることにつながる。
3.× 関係機関における研修の開催の検討は、第1回の会議の内容として優先度は低い。なぜなら、家族会をしたうえで、課題や知りたい情報などの共有をしたうえで、研修のニーズが検討されるため。
4.× A市の昨年度の保健事業全般の実績報告は、第1回の会議の内容として優先度は低い。なぜなら、家族会は、行政主導型の組織活動ではなく、当事者が共通に抱える問題や必要な情報について、グループ活動をするものであるため。

 

 

 

 

 

3 日本の社会格差を示す指標の過去10年間の推移について正しいのはどれか。

1.雇用者に占める非正規職員・従業員の割合は減少している。
2.相対的貧困率は上昇している。
3.完全失業率は上昇している。
4.ジニ係数は低下している。

解答

解説
1.× 雇用者に占める非正規職員・従業員の割合は、減少ではなく増加している。(※参考:総務省統計局 労働力調査 より)
2.〇 正しい。相対的貧困率は上昇している。相対的貧困率を算出している調査としては、総務省統計局による「全国消費実態調査」と厚生労働省による「国民生活基礎調査」がある。全国消費実態調査によれば、平成16年の相対的貧困率は9.5%であるのに対し、平成26年は9.9%となっている。相対的貧困率とは、ある国や地域の全人口に占める、大多数の人よりも貧しい相対的貧困者の比率のことである。
3.× 完全失業率は上昇している。日本の平成19年から平成28年までの10年間の完全失業率をみると、平成21年の5.08%をピークとしている。(※参考:総務省統計局 労働力調査 より)
4.× ジニ係数は、低下ではなくほぼ横ばいである。ジニ係数とは、社会における所得分配の不平等さ(所得格差)を測る指標である。ジニ係数は、0から1までの値をとり、0に近いほど所得格差が小さく、1に近いほど所得格差が大きいことを表す。

 

 

 

 

 

4 家族に関連する内容の説明で正しいのはどれか。

1.オマハシステムは家族システムの階層性を説明する理論である。
2.ジェノグラムは家族と社会との関わりを示す図である。
3.家族の発達段階における最初の時期は養育期である。
4.1人の家族員の変化が他の家族員に影響を及ぼす。

解答

解説
1.× オマハシステムは、家族システムの階層性を説明する理論ではなく、「アメリカのオマハの訪問看護協会より開発された看護診のひとつ」である。オマハシステムは、問題分類方式、介入方法、問題別成果評定尺度の3つの部分で構成される。
2.× ジェノグラムは、家族と社会との関わりを示す図ではなく、家族の関係性を表した家系図である。ジェノグラムとは、家族員の年齢、婚姻関係、健康状態などの情報を加え、家族の関係性を表した家系図である。
3.× 家族の発達段階における最初の時期は、養育期ではなく新婚期である。家族の発達段階は、①新婚期→②養育期→③教育期→④排出期→⑤向老期に分けられる。
4.〇 正しい。1人の家族員の変化が他の家族員に影響を及ぼす。人のあるいは複数の家族メンバーに健康上の問題などの変化が生じたとき、家族全体が影響を受ける。

 

 

 

 

 

5 都道府県が実施主体となり保健師が家庭訪問を行うのはどれか。

1.未熟児
2.発達障害児
3.認知症高齢者
4.小児慢性特定疾病児童

解答

解説
1.× 未熟児に対する訪問指導は、『母子保健法』により市町村長が保健師等に行わせる。
2.× 発達障害児に対する訪問指導を直接定める条文はないが、市町村に早期発見や早期の発達支援の義務が課せられている。
3.× 認知症高齢者に対する訪問指導は、『介護保険法』の地域支援事業として市町村が行う。
4.〇 正しい。小児慢性特定疾病児童に対する訪問指導は、『児童福祉法』の小児慢性特定疾病児童等自立支援事業として、都道府県が行う。

 

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