第103回(H29) 保健師国家試験 解説【午後1~5】

 

※注意:著者は看護師で、解説はすべてオリジナルのものとなっています。私的利用の個人研究・自己研鑽のため作成いたしました。間違いや分からない点があることをご了承ください。またコメントにて解き方等教えてくださると幸いです。

 

問題引用:第103回保健師国家試験、第100回助産師国家試験、第106回看護師国家試験の問題および正答について

 

 

1 地域における看護活動で用いるポピュレーションアプローチとハイリスクアプローチについて正しいのはどれか。

1.ケーブルテレビによる健康講座はハイリスクアプローチである。
2.ポピュレーションアプローチでは健康問題のない集団に働きかける。
3.住民全体の健康レベルの向上にはハイリスクアプローチが適切である。
4.生活習慣病の受療者への健康教育はポピュレーションアプローチである。

解答

解説

MEMO

・ポピュラーアプローチ(ポピュレーションストラテジー):対象を限定せず地域や職場など、集団全体に働きかけてリスクを下げる方法である。一次予防とされる。
・ハイリスクアプローチ(ハイリスクストラテジー):リスクの高いものに対象を絞り込んで働きかける方法である。2次予防とされる。

1.× ケーブルテレビによる健康講座は、ハイリスクアプローチではなく、ポピュレーションアプローチである。なぜなら、視聴者が一般集団であるため。
2.〇 正しい。ポピュレーションアプローチでは、健康問題のない集団に働きかける。ポピュラーアプローチ(ポピュレーションストラテジー)は、対象を限定せず地域や職場など、集団全体に働きかけてリスクを下げる方法である。一次予防とされる。一方で、ハイリスクアプローチは、疾病発症リスクの高い集団を対象にしている。
3.× 住民全体の健康レベルの向上には、ハイリスクアプローチではなく、ポピュレーションアプローチが適切である。なぜなら、住民全体の健康レベルの向上を目指すため。
4.× 生活習慣病の受療者への健康教育は、ポピュレーションアプローチではなく、ハイリスクアプローチある。なぜなら、生活習慣病の受療者は疾病リスクの高い集団であるため。

 

 

 

 

 

2 市町村の保健師の活動として適切でないのはどれか。

1.細菌性赤痢の患者の積極的疫学調査
2.老人クラブでの健康教育の実施
3.統合失調症患者への家庭訪問
4.16歳の妊婦への保健指導

解答

解説
1.× 細菌性赤痢の患者の積極的疫学調査は、市町村の保健師の活動として適切でない。細菌性赤痢の患者の積極的疫学調査は、感染の発生状況・動向・原因などを明らかにするため、都道府県(保健所)保健所が関係機関と連携して実施する調査である。
2.〇 老人クラブでの健康教育の実施は、市町村保健師の活動である。高齢者への健康教育は、『介護保険法』の地域支援事業として行われる。
3.〇 統合失調症患者への家庭訪問は、市町村保健師の活動である。ただし、状況に応じ都道府県(保健所)保健師・市町村保健師ともに実施することが多い。
4.〇 16歳の妊婦への保健指導は、市町村保健師の活動である。妊婦の年齢にかかわらず、妊婦への保健指導は『母子保健法』により市町村の義務である。

 

 

 

 

 

3 社会保障・税一体改革において推進する保健福祉事業はどれか。

1.保育サービスに係る量の拡充
2.障害者の虐待防止
3.がん登録の推進
4.自殺の予防

解答

解説

1.〇 正しい。保育サービスに係る量の拡充は、社会保障・税一体改革において推進する保健福祉事業である。社会保障・税一体改革には「子ども・子育て支援」が含まる。また、待機児童を減少させる方策も含まれる。
2.× 障害者の虐待防止は、社会保障・税一体改革には含まれない。『障害者虐管防止法』が平成23年に成立している。
3.× がん登録の推進は、社会保障・税一体改革には含まれない。『がん登録推進法』が平成25年に成立している。
4.× 自殺の予防は、社会保障・税一体改革には含まれない。『自殺対策基本法』が平成18年に成立し、自殺総合対策大綱が策定されている。

 

 

 

 

 

4 地球温暖化対策と根拠の組合せで正しいのはどれか。

1.グリーン経済への移行:特定家庭用機器再商品化法
2.オゾン層の保護に向けた取り組み:アジェンダ21
3.先進国の温室効果ガスの排出量の削減:京都議定書
4.気候変動に関する国際連合枠組条約の批准:リオ+20

解答

解説
1.× グリーン経済への移行と特定家庭用機器再商品化法(家電リサイクル法)は、直接的な関連はない。グリーン経済とは、「経済的な成長を実現しながら私たちの暮らしを支えている自然資源と自然環境の恵みを受け続けること」と定義している。特定家庭用機器再商品化法(家電リサイクル法)とは、一般家庭や事務所から排出された家電製品エアコン、テレビ、冷蔵庫・冷凍庫、から、有用な部分や材料をリサイクルし、廃棄物を減量するとともに、資源の有効利用を推進するための法律である。
2.× オゾン層の保護に向けた取り組みとアジェンダ21は、直接的な関連はない。オゾン層の保護に向けた取り組みは、ウィーン条約モントリオール議定書などで規定されている。アジェンダ21は、地球サミット(1992年)で採択された「持続可能な開発」を目指した行動計画である。
3.〇 正しい。京都議定書は、先進国の温室効果ガスの排出量の削減の数値目標の達成を課したものである。ちなみに、途上国には課していない。なお、パリ協定ではすべての国に削減目標の策定および達成への取り組みを義務付けられているが、目標達成の義務は課していない。
4.× 気候変動に関する国際連合枠組条約の批准と「リオ+20」は、直接的な関連はない。気候変動に関する国際連合枠組条約には、京都議定書(1997年)、パリ協定(2015年)がある。リオ+20(2012年)は、地球サミットから20年後に開催された「国連持続可能な開発会議」で、グリーン経済への移行が議題になったものである。

グリーン経済とは?

グリーン経済は、環境問題に伴うリスクと生態系の損失を軽減しながら人間の生活の質を改善し、社会の不平等を解消するための経済のあり方のことである。

 

 

 

 

 

5 Aさん(39歳、初妊婦)。妊娠26週で市の母親学級に参加した。Aさんは、あまり楽しそうな表情をしておらず、グループワークでの発言も少なかった。終了後に母親学級担当の保健師がAさんに声をかけたところ「産後の育児が不安です」と話した。
 不安な気持ちについて傾聴した後のAさんへの対応として最も適切なのはどれか。

1.「産後にホームヘルプサービスを利用してはどうですか」
2.「お住まいの地区を担当している保健師を紹介します」
3.「受診している産科の医師に相談してみましょう」
4.「育児に慣れるまで里帰りすることはできますか」

解答

解説
1.× 産後にホームヘルプサービスを利用する必要はない。なぜなら、本症例は、初めての出産、育児に対する漠然とした不安である可能性が高く、ホームヘルプサービスが必要かどうか不明であるため。
2.〇 正しい。「お住まいの地区を担当している保健師を紹介します」と伝えることは、不安な気持ちについて傾聴した後のAさんへの対応として最も適切である。なぜなら、地区担当の保健師を紹介することで、出産や育児に対する悩みを妊娠期から産後まで継続して相談できるという安心感を与えられるため。
3.× 受診している産科の医師に相談する必要はない。なぜなら、事例の母親は、医学的な問題ではなく育児に不安を抱いているため。医師に相談するより、保健師が悩みや不安、困っていること等を聞くほう優先度が高い。
4.× 育児に慣れるまで里帰りする必要はない。なぜなら、現時点では里帰りが可能かどうか不明であるため。まず、母親の気持ちや家庭状況を把握したうえで、母親とともにどうしたらよいのかを考えることが望ましい。

 

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