第103回(H29) 保健師国家試験 解説【午前16~20】

 

16 保健所で医療機関から感染症の発生の届出を受けた。
 保健師が患者を訪問するときに、N95マスクの着用が必須である感染症はどれか。

1.デング熱
2.開放性結核
3.レジオネラ肺炎
4.中東呼吸器症候群(MERS)

解答

解説

N95マスクとは?

N95マスクとは、アメリカ合衆国労働安全衛生研究所のN95規格をクリアし、認可された微粒子用マスクのこと。N95マスクの役割は空気感染源を捕集し、着用者の呼吸器感染のリスクを低減することである。

1.× デング熱(他にもチクングニア熱、ジカウイルス感染症)は、節足動物(蚊)による媒介である。伝播の遮断にはこれらの蚊を駆除することが最も効果的である。蚊の駆除以外には、虫よけ剤の使用も推奨される。
2.〇 正しい。開放性結核は、N95マスクの着用が必須である感染症である。開放性結核とは、空洞を有する結核のことである。日本結核病学会の分類ではⅠ型またはⅡ型である。空洞のある結核のうち、未治療例は特に空気感染リスクが高い。
3.× レジオネラ肺炎は、管理の不十分な温浴施設でしばしば発生する。レジオネラ症は、レジオネラ属菌に汚染された目に見えないほど細かい水滴(エアロゾル)を吸い込むことで感染する。
4.× 中東呼吸器症候群(MERS)の感染源は正確には不明である。正確な感染経路も不明であるが、空気感染の可能性は低いとされているため、N95マスクの必要度は低い。

 

 

 

 

 

17 市町村の保健事業の予算編成について正しいのはどれか。

1.事業ごとに予備費を計上し事業費の不足を防ぐ。
2.予算の確保は具体的な実施方法を検討する前に行う。
3.事業評価をもとに既存事業の継続の必要性を検討する。
4.毎年実施している事業の予算の決定には議会の議決は必要ない。

解答

解説
1.× 事業ごとに予備費を計上しない。予算は、決算と一致するほど正確に見積もり、計上しなければならない。
2.× 予算の確保は、具体的な実施方法を検討する前ではなく、「具体的な事業計画を策定する段階」で行う。
3.〇 正しい。事業評価をもとに既存事業の継続の必要性を検討する。毎年、事業評価により、既存事業の継続を検討すべきである。
4.× 毎年実施している事業の予算の決定に、議会の議決は必要である。予算の原則のーつである事前決議の原則により、すべての予算は会計年度開始前に、議会の議決を経なければならない。

 

 

 

 

 

18 平成26年度(2014年度)の国民医療費について正しいのはどれか。(※不適切問題:解なし)

1.制度区分別国民医療費では公費負担医療給付分が最も多くを占める。
2.傷病分類別の医科診療医療費では悪性新生物が最も多くを占める。
3.65歳以上の薬局調剤医療費は65 歳未満の約4倍である。
4.訪問看護医療費は全体の5%を上回る。

解答 なし(採点対象外)
理由:選択肢に誤りがあるため

解説

国民医療費とは?

国民医療費は、ある年度内の医療機関などにおける傷病の治療に要する費用を推計したものであり、診療費、調剤費、入院時食事療養費、訪問看護医療費のほか、健康保険等で支給される移送費などを含む。しかしながら、①正常な妊娠や分娩どに要する費用、②健康診断・予防接種などに要する費用、③身体障害のために使用する義眼や義肢などの費用は含まない。

1.× 制度区分別国民医療費で最も多くを占めるのは、公費負担医療給付分ではなく医療保険等給付分である。平成26年度の国民医療費を制度区分別にみると、医療保険等給付分が46.9%と最も多くを占め、次いで後期高齢者医療給付分32.8%となっている。(データ引用:厚生労働省 平成26年度国民医療費より)
2.× 傷病分類別の医科診療医療費で最も多くを占めるのは、悪性新生物ではなく循環器系の疾患である。医科診療医療費を傷病分類別にみると、循環器系の疾患が20.1%と最も多くを占め、次いで新生物13.6%(うち悪性新生物11.8%)、筋骨格系及び結織の疾患7.8%となっている。
3.× 65歳以上の薬局調剤医療費は、65 歳未満の約4倍ではなく約1.4倍である。65歳以上の薬局調剤医療費は42.141億円で、65歳未満の30.704億円となっている。なお、65歳以上の人口一人当たり薬局調剤医療費は127,7千円で、65歳未満の32,6千円の約4倍である。
4.× 訪問看護医療費は、全体の5%を上回るのではなく下回る。訪問看護医療費は0.3%である。民医療費を診療種類別にみると、医科診療医療費が71,7%と最も多く、次いで薬局調剤医療費17.9%、歯科診療医療費6.8%となっている。

 

 

 

 

 

19 学校保健行政について正しいのはどれか。

1.対象に幼稚園が含まれる。
2.厚生労働省が所管している。
3.教職員の健康診断の実施主体は労働基準監督署である。
4.都道府県教育委員会は都道府県内の市町村立学校を直轄している。

解答

解説

学校保健とは、学校における保健教育保健管理をいう。

1.〇 正しい。対象に幼稚園が含まれる。幼稚園は『学校教育法』に定める学校である。保育所は『児童福祉法』に定める児童福祉施設である。
2.× 所管しているのは、厚生労働省が文部科学省である。
3.× 教職員の健康診断の実施主体は、労働基準監督署ではなく学校の設置者である。学校のの設置者とは、「国、地方公共団体(都道府県、市町村)、学校法人」をいう。ちなみに、教育委員会は設置者ではないので注意する。
4.× 都道府県教育委員会は、都道府県内の市町村立学校を直轄していない。市町村立学校の設置者は市町村で、その事務は市町村教育委員会が行う。都道府県教育委員会は管轄しない。

 

 

 

 

 

20 精神保健福祉センターの業務で正しいのはどれか。

1.措置入院の決定
2.精神保健福祉相談員の任命
3.精神障害者保健福祉手帳の交付
4.精神障害者の福祉に関する困難な相談

解答

解説
1.× 措置入院の決定は、都道府県知事が行う。精神保健指定医2名の診察の結果、精神障害者であり、かつ自傷他害のおそれがあり入院が必要であると判断された場合の入院形態である。
2.× 精神保健福祉相談員の任命は、精神保健福祉士その他政令で定める資格を有する者のうちから、都道府県知事又は市町村長が行う。
3.× 精神障害者保健福祉手帳の交付は、都道府県知事が行う業務である。
4.〇 正しい。精神障害者の福祉に関する困難な相談は、精神保健福祉センターの業務で正しい。『精神保健福祉法』6条の2第2項に規定されている。

精神保健福祉センターとは?

根拠法令:精神保健福祉法(6条)
目的:地域住民の精神的健康の保持増進、精神障害の予防、適切な精神医療の推進、自立と社会経済活動の促進のための援助等。
設置基準:都道府県、指定都市
配置職員:精神科医、精神保健福祉士(精神保健福祉相談員)、臨床心理技術者、保健師等

業務内容
① 企画立案、
② 保健所と精神保健関係諸機関に対する技術指導と技術援助。
③精神保健関係諸機関の職員に対する教育研修。
④精神保健に関する普及啓発。
⑤調査研究。
⑥精神保健福祉相談(複雑または困難なもの)
⑦協力組織の育成。
⑧精神医療審査会に関する事務。
⑨自立支援医療(精神通院医療)の支給認定、精神障害者保健福祉手帳の判定。

 

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