第103回(H29) 保健師国家試験 解説【午前36~40】

 

36 A市の2地区でデータを収集した。各項目について地区間に差があるかどうかを統計学的に検定する。
 χ2(カイ2乗)検定が適している項目はどれか。2つ選べ。

1.年齢
2.通院の有無
3.高血圧症の有病率
4.1日当たり飲酒量
5.1日当たり喫煙本数

解答2・3

解説
1.× 年齢(2地区の年齢差)は、平均を用いたt検定、あるいは平均順位を利用したU検定を用いる。
2.〇 正しい。通院の有無(地区別と通院の有無に関連があるかどうかを調べる)は、クロス集計表を利用するX2検定(カイ2乗)を用いる。
3.〇 正しい。高血圧症の有病率は、地区の人数に有病率をかけたものが有病者数となる。地区別に病気の有無をクロス集計表でとらえることができるため、X2検定(カイ2乗)を用いる。
4.× 1日当たり飲酒量(地区別の1日あたりの飲酒量の平均に差があるかを調べる)は、t検定を用いる。
5.× 1日当たり喫煙本数(地区別の1日あたりの喫煙本数の平均に差があるかを調べる)は、t検定を用いる。

検定とは?

 検定とは、統計学的手法を用いて、帰無仮説が正しいか、正しくないかを判断することである。

検定の方法
①パラメトリック検定(母集団が正規分布をするという仮説のもとに行う)
例:パラメトリック検定には、①t検定(2群の平均値の差を検定する)、②分散分析(3群以上の平均値に差があるかどうかを検定する)などがある。

②ノンパラメトリック検定(母集団の分布にかかわらず用いることのできる)に大別される。
例:ノンパラメトリック検定には、①Mann-Whitney検定(2群の中央値の差を検定する)、②X2検定(割合の違いを求める)、③Wilcoxon符号付順位検定(一対の標本による中央値の差を検定する)などがある。

 

 

 

 

 

37 日本の政府開発援助(ODA)について正しいのはどれか。2つ選べ。

1.技術協力が含まれる。
2.国際協力機構(JICA)が援助を担っている。
3.援助開始以降、予算額は増加し続けている。
4.平成26年(2014年)の援助実績は援助国で最大である。
5.国連開発計画(UNDP)からの要請に基づき有償資金協力を行っている。

解答1・2

解説

政府開発援助(ODA)とは、発展途上国の経済発展や福祉の向上のために先進工業国の政府及び政府機関が発展途上国に対して行う援助出資のことである。

1.〇 正しい。技術協力が含まれる。政府開発援助(ODA)は、①資金協力と②技術協力に大きく分けられる。
2.〇 正しい。国際協力機構(JICA)が援助を担っている。
3.× 援助開始以降、予算額は増加し続けているとはいえず、年ごとの増減がみられる。
4.× 平成26年(2014年)の援助実績は、援助国で最大ではなく、世界第4位となっている。
5.× 有償資金協力は、二国間協力として行われ、発展途上国からの要請による。一方、多国間協力としては、国連開発計画(UNDP)や世界保健機関(WHO)など国際機関へ出資・拠出している。ちなみに、国連開発計画(UNDP)は、世界の開発とそれに対する援助のための国際連合総会の補助機関である。

 

 

 

 

 

38 平成27年(2015年)に策定された認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)の特徴について正しいのはどれか。2つ選べ。

1.対象期間は20年間である。
2.目的は認知症高齢者の早期発見・早期治療である。
3.関係省庁で連携して取り組むことが示されている。
4.認知症施策を加速させるための戦略として5つの柱がある。
5.施策のアウトカム指標は定量的に評価することを目指している。

解答3・5

解説
1.× 対象期間は、20年間ではなく10年間である。なぜなら、いわゆる団塊の世代(昭和22~24年生まれ)が75歳以上になる平成37(2025)年までであるため。
2.× 目的は、認知症高齢者の早期発見・早期治療ではなく「認知症の人の意思が尊重され、できる限り住み慣れた地域の良い環境で自分らしく暮らし続けることができる社会の実現」である。認知症高齢者の早期発見・早期治療は、この目的を実現するための施策の一部である。
3.〇 正しい。関係省庁で連携して取り組むことが示されている。新オレンジプランは、厚生労働省が、内閣官房・内閣府・警察庁・金融庁・消費者庁・総務省・法務省・文部科学省・農林水産省・経済産業省及び国土交通省と共同して策定したものである。これらの関係府省庁が連携して認知症高齢者等の日常生活全体を支えるよう取り組むことが示されている。
4.× 認知症施策を加速させるための戦略として、5つの柱ではなく、7つの柱がある。新オレンジプランでは、認知症高齢者等にやさしい地域づくりの推進に向けて、認知症への理解を深めるための普及・啓発の推進など、7つの柱が設定されている。
5.〇 正しい。施策のアウトカム指標は定量的に評価することを目指している。新オレンジプランでは、医療・介護サービス等の提供に関し、個々の資源の整備に係る数値目標だけでなく、これらの施策のアウトカム指標の在り方についても検討を行い、できる限り定量的評価を行っていくことを目指している。定量的とは、対象の量的な側面に注目し、数値を用いた記述、分析を伴うものである。

新オレンジプランにおける7つの柱

①認知症への理解を深めるための普及・啓発の推進。
②認知症の容態に応じた適時‘適切な医療・介護等の提供。
③若年性認知症施策の強化。
④認知症の人の介護者への支援。
⑤認知症の人を含む高齢者にやさしい地域づくりの推進。
⑥認知症の予防法、診断法、治療法、リハビリテーションモデル、介護モデル等の研究開発及びその成果の普及の推進。
⑦認知症の人やその家族の視点の重視。

 

 

 

 

 

39 がん対策推進基本計画の目標項目で正しいのはどれか。2つ選べ。

1.がんの罹患率
2.緩和ケア病棟数
3.がんによる死亡者数
4.がん患者の支援団体数
5.院内がん登録実施医療機関数

解答3・5

解説

がん対策推進基本計画とは?

がん対策推進基本計画は、がん対策基本法(平成18年法律第98号)に基づき政府が策定するものであり、平成19年6月に策定され、基本計画に基づきがん対策が進めら
れてきた。今回、前基本計画の策定から5年が経過し、新たな課題も明らかになっていることから、見直しを行い、新たに平成24年度から平成28年度までの5年間を対象として、がん対策の総合的かつ計画的な推進を図るため、がん対策の推進に関する基本的な方向を明らかにするものである。これにより「がん患者を含む国民が、がんを知り、がんと向き合い、がんに負けることのない社会」を目指す。(抜粋:がん対策推進基本計画の概要

1.× がんの罹患率については定められていない
2.× 緩和ケア病棟数については定められていない。重点的に取り組むべき課題として緩和ケアの推進が定められている。
3.〇 正しい。がんによる死亡者数の減少(75歳未満の年齢調整死亡率の20%減少)が定められている。
4.× がん患者の支援団体数については定められていない。患者とその家族にとって、より活用しやすい相談支援体制の実現が個別目標として定められている。
5.〇 正しい。院内がん登録実施医療機関数の増加を通じて、がん登録の精度を向上させることが定められている。

 

 

 

 

 

40 介護者のグループを育成するにあたり、初期段階における保健師の役割で適切なのはどれか。2つ選べ。

1.活動計画の作成を支援する。
2.地域社会との関わりを強化する。
3.グループ外からの支援を受けないよう助言する。
4.気の合うメンバー同士が活動を進められるよう配慮する。
5.メンバーの発言を尊重して活動内容に取り入れるよう促す。

解答1・5

解説
1.〇 正しい。活動計画の作成を支援するのは、初期段階における保健師の役割で適切である。初期段階は、課題を明らかにして目標を設定、共有化し、計画を立案し、関係者の役割分担を明確にする。
2.× 地域社会との関わりを強化する必要はない。なぜなら、それを実施するのはグループの活動が軌道に乗り、主体的に活動が展開できる時期であるため。
3.× グループ外からの支援を受けないよう助言する必要はない。なぜなら、ほかの住民組織などとパートナーシップを形成し、交流・協働するように支援する必要があるため。
4.× 気の合うメンバー同士が活動を進められるよう配慮する必要はない。なぜなら、ほかのメンバーを尊重、協力し合える関係が構築されにくくなるため。
5.〇 正しい。メンバーの発言を尊重して活動内容に取り入れるよう促すのは、初期段階における保健師の役割で適切である。初期段階においても、メンバーが主体的に意思決定に参加するように支援することは重要である。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)