第103回(H29) 保健師国家試験 解説【午後36~40】

 

次の文を読み36〜38の問いに答えよ。
 Aさん(70歳、男性)。1人暮らし。近所に住む友人のBさん(60歳、男性)からAさんについて地域包括支援センターの保健師に相談があった。Aさんは3年間介護していた妻が半年前に亡くなってから痩せ、最近は外であまり見かけなくなったという。翌日、保健師が民生委員に状況確認の連絡をしたところ、Aさんの現在の状況を把握していなかった。保健師はAさんの状況を把握するため、来週Bさんと一緒に家庭訪問を行うことにした。

36 家庭訪問時に収集すべき情報として最も優先度が高いのはどれか。

1.既往歴
2.毎日の食事内容
3.友人との交流状況
4.直近の健康診査の結果
5.自治会活動への参加状況

解答

解説
1.× 既往歴よりも選択肢の中からより優先度が高いものがほかにある。なぜなら、Aさんは、妻との死別後、痩せたことや外であまりみかけなくなったことから、身体的・精神的不調が考えられるため。
2.〇 正しい。毎日の食事内容は、家庭訪問時に収集すべき情報として最も優先度が高い。なぜなら、まずは健康状態を把握するため。設問から「痩せて、外であまり見かけなくなった」という情報や、妻と死別した精神的負担によって、食事を十分摂取できていない可能性が考えられる。
3.× 友人との交流状況よりも選択肢の中からより優先度が高いものがほかにある。なぜなら、妻と死別した男性高齢者は、孤独感が強く閉じこもりがちで、また、死別後の1年間は特に以前の生活と比較してしまう分、つらい時期であるため。
4.× 直近の健康診査の結果よりも選択肢の中からより優先度が高いものがほかにある。直近の健康診査の結果と痩せたこと、外出しなくなったことは関連性・優先度ともに高いとはいえないため。
5.× 自治会活動への参加状況よりも選択肢の中からより優先度が高いものがほかにある。なぜなら、本症例は妻と死別してまだ半年であるため。

 

 

 

 

 

次の文を読み36〜38の問いに答えよ。
 Aさん(70歳、男性)。1人暮らし。近所に住む友人のBさん(60歳、男性)からAさんについて地域包括支援センターの保健師に相談があった。Aさんは3年間介護していた妻が半年前に亡くなってから痩せ、最近は外であまり見かけなくなったという。翌日、保健師が民生委員に状況確認の連絡をしたところ、Aさんの現在の状況を把握していなかった。保健師はAさんの状況を把握するため、来週Bさんと一緒に家庭訪問を行うことにした。

37 保健師がBさんとともに家庭訪問したところ、Aさんは訪問に戸惑っていたが、玄関先で話をしてくれた。Aさんの服装に乱れはなかった。室内にはごみ袋がいくつか置いてあり、捨てられていないようであった。Aさんは、少しずつ自分のことを話し始め「妻が亡くなってから楽しいことはなく、外に出かけたくない」と言い、表情は暗かった。Bさんが何か手伝うことがないか尋ねるとAさんは「心配してくれてありがとう。でも今は1人でいたいです」と言った。保健師は3日後に1人で訪問することを伝え、この日は訪問を終了した。
 保健師の次回の訪問計画で適切なのはどれか。

1.外出の重要性を説明する。
2.ごみを片付けるよう促す。
3.精神科への受診を勧める。
4.妻との別れを一緒に振り返る。
5.ホームヘルプサービスの利用を勧める。

解答

解説
1.× 外出の重要性を説明する必要はない。なぜなら、Aさんは「妻が亡くなってから楽しいことはなく、外に出かけたくない」と主張しており、その意を一方的に反するため。悲嘆の期間は、死別した人との関係性にもよるが、一般的に若者よりも高齢者のほうが回復に時間がかかる。
2.× ごみを片付けるよう促す必要はない。なぜなら、Aさんは妻との死別後の悲嘆の時期にあり、まずは妻と死別したことに対するAさんの気持ちの整理が優先されるため。また、他人から見ればただのごみでも、個人との思い出が投影された品々である可能性もある。
3.× 精神科への受診を勧める必要はない。なぜなら、精神科受診の緊急性は低いと考えられるため。Aさんは、服装の乱れは認められず、心配してくれてありがとうと感謝の気持ちも表出している。
4.〇 正しい。妻との別れを一緒に振り返ることは、保健師の次回の訪問計画で適切である。配偶者との死別後の悲嘆の時期には、受け止めてくれる人の存在や、自ら悲しみを整理していく作業(グリーフケア)が必要である。
5.× ホームヘルプサービスの利用を勧める必要はない。なぜなら、「今は1人でいたい」と言うAさんの訪問計画において、ホームヘルプサービスの利用を勧めるのはその意に反するため。

 

 

 

 

 

次の文を読み36〜38の問いに答えよ。
 Aさん(70歳、男性)。1人暮らし。近所に住む友人のBさん(60歳、男性)からAさんについて地域包括支援センターの保健師に相談があった。Aさんは3年間介護していた妻が半年前に亡くなってから痩せ、最近は外であまり見かけなくなったという。翌日、保健師が民生委員に状況確認の連絡をしたところ、Aさんの現在の状況を把握していなかった。保健師はAさんの状況を把握するため、来週Bさんと一緒に家庭訪問を行うことにした。

38 保健師は2週に1回の家庭訪問を続け、Aさんとの信頼関係が構築されてきた。Aさんは家の中を少しずつ整理し、散歩にも出かけるようになった。保健師の初回訪問から3か月後、Aさんから「亡くなった妻のためにも、自分が少しでも長生きしなければと思うようになったが、何をしたらよいのか分からない。少しずつ外に出てみようと思うが、人付き合いにはあまり自信がない」と相談があった。
 Aさんに勧めることとして最も適切なのはどれか。

1.地域包括支援センター主催の介護予防教室への参加
2.老人福祉センターでのサークル活動への参加
3.高齢者サロンのボランティアへの登録
4.シルバー人材センターへの登録

解答

解説
1.〇 正しい。地域包括支援センター主催の介護予防教室への参加は、Aさんに勧めることとして最も適切である。地域で行われる介護予防教室は、運動機能向上や栄養状態の改善、閉じこもり予防、仲間づくりなどを目的としている。少しでも長生きしたいと思うようになったが、何をしたらよいかわからないと言うAさんに、介護予防教室への参加を勧める。
2.× 老人福祉センターでのサークル活動への参加は必要ない。なぜなら、Aさんは、人付き合いにはあまり自信がないと言っているため。
3.× 高齢者サロンのボランティアへの登録は必要ない。なぜなら、ようやく外に出る気持ちになったものの、人付き合いにはあまり自信がないと言っているため。
4.× シルバー人材センターへの登録は必要ない。なぜなら、Aさんはまだ70歳であり、悲嘆回復後、就業を目指すことも考えられるが、ようやく外へ出ようという気持ちになった現段階において、シルバー人材センターへの登録を勧めるのは時期尚早であるため。シルバー人材センターでの働き方は、高年齢者が生きがいを得るための就業を目的としている。

 

 

 

 

 

次の文を読み39〜41の問いに答えよ。
 Aさん(40歳、男性)。妻と2人暮らし。Aさんは3年前に転職し、従業員数30人のコンピュータ関連の事業所に勤務している。6か月前から軽い咳が続いていたが、メンバー数5人の新規プロジェクトチームの責任者として忙しく、そのままにしていた。妻に痩せてきたことを指摘され、自宅近くの診療所を受診したところ、胸部エックス線写真で異常陰影があり病院を紹介され受診した。喀痰塗抹菌検査陽性、結核菌PCR陽性となり、肺結核と診断され入院した。診断した医師から保健所に結核発生の届出があった。

39 保健所の保健師がAさんに初回面接で確認する内容で適切なのはどれか。2つ選べ。

1.出勤状況
2.転職前の職場
3.運動習慣の有無
4.結核に対する認識
5.特定健康診査の結果

解答1・4

解説

結核の診断には、症状の詳細な問診に加え、喀痰の検査(塗抹・培養・PCR)、画像診断(胸部単純レントゲン、胸部CT)等が必要である。Aさんの「喀痰の塗陽性」、「エックス線上空洞あり」、「咳嗽あり」といった状態であるため、他者への感染リスクの高い指標と考えられる。

1.〇 正しい。出勤状況は、保健所の保健師がAさんに初回面接で確認する内容で適切である。なぜなら、職場における接触者を把握するため。
2.× 転職前の職場は優先度が低い。なぜなら、設問から転職は3年前であるため。症状の出始めは6か月前である。
3.× 運動習慣の有無は優先度が低い。なぜなら、感染リスクに影響を及ぼす可能性は低いため。しかし、たとえばスポーツクラブの会員である場合などは、接触者検診の対象者の検討に加えられることもある。
4.〇 正しい。結核に対する認識は、保健所の保健師がAさんに初回面接で確認する内容で適切である。なぜなら、結核の治療には治療に対する正しい理解が重要であるため。病気に対する認識を確認することで治療支援の計画に資することができる。
5.× 特定健康診査の結果は優先度が低い。なぜなら、特定健康診査はメタボリックシンドロームの発見・保健指導による改善を目的としているため。

 

 

 

 

 

次の文を読み39〜41の問いに答えよ。
 Aさん(40歳、男性)。妻と2人暮らし。Aさんは3年前に転職し、従業員数30人のコンピュータ関連の事業所に勤務している。6か月前から軽い咳が続いていたが、メンバー数5人の新規プロジェクトチームの責任者として忙しく、そのままにしていた。妻に痩せてきたことを指摘され、自宅近くの診療所を受診したところ、胸部エックス線写真で異常陰影があり病院を紹介され受診した。喀痰塗抹菌検査陽性、結核菌PCR陽性となり、肺結核と診断され入院した。診断した医師から保健所に結核発生の届出があった。

40 接触者健康診断を実施したところ、妻が感染し、プロジェクトチームのうち1人が発病し、2人が感染していることが分かった。
 保健所が次に行う対策として最も適切なのはどれか。

1.事業所の消毒
2.健康相談窓口の設置
3.接触者健康診断の拡大実施
4.地域の医師会への結核発生報告

解答

解説
1.× 事業所の消毒は優先度が低い。なぜなら、結核は空気感染であるため。
2.× 健康相談窓口の設置は優先度が低い。なぜなら、接触者検診対象者拡大の検討が優先されるため。
3.〇 正しい。接触者健康診断の拡大実施は、保健所が次に行う対策として最も適切である。なぜなら、第一次接触者での感染者・発症者がいる場合、第二次接触者に対象を拡大して実施する必要があるため。
4.× 地域の医師会への結核発生報告は優先度が低い。なぜなら、通常の感染症情報の周知の範囲で十分と考えられるため。ただし、地域の医師会に報告する意味がまったくないわけではない。

 

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