第103回(H29) 保健師国家試験 解説【午後41~45】

 

次の文を読み39〜41の問いに答えよ。
 Aさん(40歳、男性)。妻と2人暮らし。Aさんは3年前に転職し、従業員数30人のコンピュータ関連の事業所に勤務している。6か月前から軽い咳が続いていたが、メンバー数5人の新規プロジェクトチームの責任者として忙しく、そのままにしていた。妻に痩せてきたことを指摘され、自宅近くの診療所を受診したところ、胸部エックス線写真で異常陰影があり病院を紹介され受診した。喀痰塗抹菌検査陽性、結核菌PCR陽性となり、肺結核と診断され入院した。診断した医師から保健所に結核発生の届出があった。

41 保健所の保健師は、今回の事例を踏まえ、管内の事業所を対象に結核に関する正しい知識を啓発するためにリーフレットを作成することにした。
 リーフレットに掲載する内容で適切なのはどれか。2つ選べ。

1.「従業員のBCG 接種を推奨します」
2.「定期的に作業場の換気をしましょう」
3.「結核は治療をすれば3か月で治ります」
4.「健康診断は6か月ごとに受診しましょう」
5.「咳が2週間以上続くときは医療機関を受診しましょう」

解答2・5

解説
1.× 従業員のBCG 接種を推奨する必要はない。なぜなら、BCGは結核の予防接種(予防接種法上のA類疾病)であるが、接触後に予防接種をしても効果は期待できないため。
2.〇 正しい。「定期的に作業場の換気をしましょう」とリーフレットに掲載する内容で適切である。なぜなら、結核菌は空気感染で伝播するため。したがって、環境の換気をよくすることは感染のまん延防止に効果がある。
3.× 結核は治療は、3か月ではなく、6か月である。現在の4剤併用の標準治療での治療期間は6か月である。
4.× 健康診断は6か月ごとではなく、一部の職種を除いて1年である。労働安全衛生法上の健康診断の受診間隔は、一部の職種を除いて1年であると規定されている。
5.〇 正しい。「咳が2週間以上続くときは医療機関を受診しましょう」とリーフレットに掲載する内容で適切である。なぜなら、「咳が2週間以上続くときは結核を疑う」というのは、一般への啓発時に重要なフレーズであるため。

 

 

 

 

 

 

次の文を読み42〜44の問いに答えよ。
 Aちゃん(9歳、女児)。4か月前から母親と親しくなった男性との3人暮らしを始めている。Aちゃんは「新しいお父さんができた」と喜んでいたが、1か月前から忘れ物が多くなり、この1か月に4日欠席をしている。担任が連絡をしたところ、母親から「家庭内のことに関わらないで欲しい」と激しい口調の拒絶を受けた。保健室で休むことも多くなったため、養護教諭がAちゃんに確認したところ、母親と男性が出掛けて戻らない日が多く、Aちゃんは菓子パンなどを買って食べているとのことであった。

42 養護教諭や担任などが集まって対応を協議した。
 対応を協議する根拠となったAちゃんの状況はどれか。

1.低栄養
2.不登校
3.ネグレクト
4.引きこもり

解答

解説
1.× 低栄養より優先度が高いものが他にある。ただし、菓子パンなど偏った食生活が続けば低栄養状態に陥る可能性はあり、体重変化などに注意する必要はある。
2.× 不登校より優先度が高いものが他にある。文部科学省は不登校の定義を「年間30日以上欠席した者のうち、病気や経済的な理由による者を除いたもの」としている。Aちゃんは1か月に4日欠席しており、この状況が続くと不登校状態となる可能性は高いが、不登校の定義に当てはまらない。
3.× ネグレクトは、対応を協議する根拠となったAちゃんの状況といえる。なぜなら、Aちゃんは母親の長時間の不在により、ネグレクトの状態にあると考えられるため。児童の心身の正常な発達を妨げるような著しい減食、または長時間の放置などは、児童虐待のなかでもネグレクトにあたる。
4.× 引きこもりより優先度が高いものが他にある。ひきこもりとは、6か月以上学校などの社会生活を避けている状態を指す。引きこもりの定義に当てはまらない。

 

 

 

 

 

次の文を読み42〜44の問いに答えよ。
 Aちゃん(9歳、女児)。4か月前から母親と親しくなった男性との3人暮らしを始めている。Aちゃんは「新しいお父さんができた」と喜んでいたが、1か月前から忘れ物が多くなり、この1か月に4日欠席をしている。担任が連絡をしたところ、母親から「家庭内のことに関わらないで欲しい」と激しい口調の拒絶を受けた。保健室で休むことも多くなったため、養護教諭がAちゃんに確認したところ、母親と男性が出掛けて戻らない日が多く、Aちゃんは菓子パンなどを買って食べているとのことであった。

43  3日後、専門機関によるAちゃんへの支援が開始された。その後のAちゃんの出欠状況や家庭環境の変化などについて、専門機関から学校に定期的な情報提供の依頼があった。
 窓口となった養護教諭の対応として適切なのはどれか。

1.情報提供は保護者の同意がなければ行わない。
2.Aちゃんから情報収集するよう伝える。
3.3か月に1回情報提供を行う。
4.情報提供は書面で行う。

解答

解説
1.× 情報提供は、保護者の同意がなくても行える。被虐待児童など、要保護児童の支援において必要な情報を関係機関で共有することは守秘義務違反にあたらず、保護者の同意を得る必要はないと児童虐待防止法に定められている。
2.× Aちゃんから情報収集するよう伝える必要はない。なぜなら、専門機関がAちゃんから直接情報収集することは、必要以上の心理的負荷をかけるおそれがあるため。窓口となる養護教諭など、Aちゃんの状況をよく知る学校職員が専門機関に情報提供を行う。
3.× 情報提供(出欠状況などの定期的な情報提供)は、3か月に1回ではなく、通常1か月に1回程度行う。ただし、「連絡のない欠席が続いた」、「家庭環境に変化があった」など緊急性が高いと判断される場合はその限りではなく、柔軟に対応することが重要である。
4.〇 正しい。情報提供を書面で行うことは、窓口となった養護教諭の対応として適切である。なぜなら、定期的な情報提供は書面で行うことで、資料として残すことが必要であるため。ただし、重要な個人情報のため、厳重に管理する。

 

 

 

 

 

次の文を読み42〜44の問いに答えよ。
 Aちゃん(9歳、女児)。4か月前から母親と親しくなった男性との3人暮らしを始めている。Aちゃんは「新しいお父さんができた」と喜んでいたが、1か月前から忘れ物が多くなり、この1か月に4日欠席をしている。担任が連絡をしたところ、母親から「家庭内のことに関わらないで欲しい」と激しい口調の拒絶を受けた。保健室で休むことも多くなったため、養護教諭がAちゃんに確認したところ、母親と男性が出掛けて戻らない日が多く、Aちゃんは菓子パンなどを買って食べているとのことであった。

44 養護教諭は、Aちゃんのような児童が他にもいるのではないかと考え、これまでの発育および欠席状況による確認に加え、新たな対策を立てることとした。
 緊急に対応する必要性の高い児童を抽出するための方法で最も適切なのはどれか。

1.学校教職員を対象にした研修会の実施
2.忘れ物の多い児童の把握
3.担任による親子面談
4.児童への食生活調査

解答

解説
1.× 学校教職員を対象にした研修会の実施は必要ない。なぜなら、緊急性の高い児童の抽出を行う方法としては適さないため。研修会は、児童虐待の知識対応への理解を深める効果が期待できる。
2.× 忘れ物の多い児童の把握は必要ない。なぜなら、忘れ物の多さは家庭環境の影響もあるが、児童の性格・特性も考慮されるため。
3.× 担任による親子面談は必要ない。なぜなら、全児童の面談を行うには時間を要するため。親子面談は、親子の関係性をみるよい機会となる。
4.〇 正しい。児童への食生活調査は、緊急に対応する必要性の高い児童を抽出するための方法で最も適切である。児童の朝食摂取状況・食事内容・タ食の時間・家族と食べているかどうかなど、食生活を調査することで児童の家庭環境を把握し、発育や欠席状況と合わせて検討することで、緊急性の高い児童を抽出することができる。

 

 

 

 

 

次の文を読み45〜47の問いに答えよ。
 運動習慣の死亡率に対する影響の調査のために1万人を対象とした10年間のコホート研究を行った。本研究では、年齢、食習慣および経済状況など参加者の基礎的背景も併せて調査した。脱落者を除いた結果を表に示す。

45 運動習慣があることに対して、運動習慣がないことの疾患Aによる死亡に関する1万人対の寄与危険はどれか。

1.0.4
2.0.7
3.1.4
4.10
5.40

解答

解説

設問は、観察集団に人年法を用いたコホート研究法である。

運動習慣がある群からの観察期間での疾患Aによる死亡の発生数は100、ない群からは140である。

したがって、1年あたりの発生率はそれぞれ、

【運動習慣あり】100 ÷ 40000

【運動習慣なし】140 ÷ 40000となる。

したがって、1万人対の寄与危険は、

(140 ÷ 40000 - 100 ÷ 40000)× 10000 = 10

 

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