第103回(H29) 保健師国家試験 解説【午前46~50】

 

次の文を読み46、47の問いに答えよ。
 A市内にある、特別養護老人ホームを併設する病院から「特別養護老人ホームの入所者から消化器症状を訴える者が多発し、検便した結果、腸管出血性大腸菌が検出された」と1月24 日に保健所に報告があった。保健師が調査したところ、週に1回、病院の医師が特別養護老人ホームの入所者の健康状態を確認していたことが分かった。看護・介護職員および調理従事者は、特別養護老人ホームと病院とでそれぞれ別の職員を雇用しており、施設間での行き来はなかった。給食は同じ食材を用い同じ方法で調理していたが、給食施設はそれぞれ独立していた。1月の発症日別の発症者数を表に示す。

46 感染が拡大した理由として最も可能性が高いのはどれか。

1.不適切な調理方法
2.病院の入院患者による媒介
3.原因菌による給食食材の汚染
4.特別養護老人ホームの看護・介護職員による媒介

解答

解説

消化器症状を訴える患者が複数発生した場合、その事象が食中毒なのか、それ以外の原因なのかを鑑別することが重要である。このためには横軸に発症日時、縦軸に発生数を記載したチャートが有用である。もし食中毒ならば発生は一時に集中し(一峰性)、それ以外の場合はピークが分散する特徴を持つ。本事例の場合、最初の発症者が22日に1人出て、その翌日3人出ており、比較的緩やかであるといえる。

1.× 不適切な調理方法の可能性は低い。なぜなら、食品由来を完全に否定はできないが、給食施設はそれぞれ独立しているため。
2.× 病院の入院患者による媒介の可能性は低い。なぜなら、入院患者が媒介ならば、入院患者に有症状者がいるはずであるため。
3.× 原因菌による給食食材の汚染の可能性は低い。なぜなら、病院での患者が出ていないため。
4.〇 正しい。特別養護老人ホームの看護・介護職員による媒介の可能性が最も高い。なぜなら、特別養護老人ホーム内で初発患者が22日に出て、その翌日に入所者の3人に発症、さらにその翌日看護・介護職員から発症がみられたため。

 

 

 

 

 

次の文を読み46、47の問いに答えよ。
 A市内にある、特別養護老人ホームを併設する病院から「特別養護老人ホームの入所者から消化器症状を訴える者が多発し、検便した結果、腸管出血性大腸菌が検出された」と1月24 日に保健所に報告があった。保健師が調査したところ、週に1回、病院の医師が特別養護老人ホームの入所者の健康状態を確認していたことが分かった。看護・介護職員および調理従事者は、特別養護老人ホームと病院とでそれぞれ別の職員を雇用しており、施設間での行き来はなかった。給食は同じ食材を用い同じ方法で調理していたが、給食施設はそれぞれ独立していた。1月の発症日別の発症者数を表に示す。

47 今後の感染拡大を防止するために必要な措置のうち、検便の対象者として優先度が低いのはどれか。

1.病院の医師
2.病院の入院患者
3.特別養護老人ホームの入所者
4.特別養護老人ホームの調理従事者
5.特別養護老人ホームの入所者への面会者

解答

解説
1.× 病院の医師は、検便の対象者として優先度が高い。なぜなら、週に一度健康状態の確認のためホームに出向いており、二次感染源としての可能性も考えられるため。
2.〇 正しい。病院の入院患者は、選択肢の中で優先度が最も低い。なぜなら、病院側ではアウトブレイクが生じておらず、入院患者は特別養護老人ホームとの行き来はないため。
3.× 特別養護老人ホームの入所者は、検便の対象者として優先度が高い無症状者も含めて実施すべきであると考えられる。
4.× 特別養護老人ホームの調理従事者は、検便の対象者として優先度が高い。調理由来のアウトブレイクの可能性を否定するために実施しておく。
5.× 特別養護老人ホームの入所者への面会者は、検便の対象者として優先度が高い。なぜなら、特別養護老人ホームの入所者への面会者が感染者と接触した可能性もあるため。

 

 

 

 

 

次の文を読み48、49の問いに答えよ。
 Aさん(50歳、女性、未婚)。28歳のときに統合失調症と診断され、43歳から7年間精神科病院に入院していた。両親は7年前に相次いで他界し、家族は姉(55歳、未婚)のみである。A さんの病状が安定したため、Aさん姉妹は一緒に暮らすことを希望した。退院前に、病院内で地域の支援関係者を集めた会議が開かれ、Aさん姉妹も参加した。その際、姉が「妹と離れて暮らしていた期間が長いので不安はありますが、一緒に暮らせるのはうれしいです」と語っていた。退院後は市の保健師が家庭訪問することになった。

48 Aさんは姉との2人暮らしを開始した。
 退院から7日後の初回の家庭訪問の目的として適切なのはどれか。

1.病院での退院指導内容の確認
2.就労移行支援サービス利用の勧奨
3.自宅での生活への適応状況の把握
4.A さん宅周辺の住民同士の交流状況の把握

解答

解説
1.× 病院での退院指導内容の確認することの優先度は低い。なぜなら、運動に対する重要性は設問からは読み取れないため。また、病院での退院指導内容自体は訪問前に確認することもできる。
2.× 就労移行支援サービス利用の勧奨することの優先度は低い。なぜなら、長期入院を経て退院したばかりの段階であるため。まずは、地域での生活を安定して送るよう支援する。
3.〇 正しい。自宅での生活への適応状況の把握することの優先度は最も高い。なぜなら、長期入院後の患者の場合、まずは地域で安定した生活を送ることが第ー目標となる。退院後早い段階で訪問し、患者の生活の状況を把握することは、地域への移行を支援するうえで重要なことである。
4.× A さん宅周辺の住民同士の交流状況の把握することの優先度は低い。まずは、地域での生活を安定して送るよう支援する。その後、地域での安定した生活を送るうえで、近隣住民との交流が有効となる。

 

 

 

 

 

次の文を読み48、49の問いに答えよ。
 Aさん(50歳、女性、未婚)。28歳のときに統合失調症と診断され、43歳から7年間精神科病院に入院していた。両親は7年前に相次いで他界し、家族は姉(55歳、未婚)のみである。A さんの病状が安定したため、Aさん姉妹は一緒に暮らすことを希望した。退院前に、病院内で地域の支援関係者を集めた会議が開かれ、Aさん姉妹も参加した。その際、姉が「妹と離れて暮らしていた期間が長いので不安はありますが、一緒に暮らせるのはうれしいです」と語っていた。退院後は市の保健師が家庭訪問することになった。

49 初回訪問日の2週後に2回目の訪問を予定していたが、訪問予定日の3日前に、Aさんの姉から保健師に電話があった。姉は「一緒にしようと促しても妹は家事をしたがらず、何でも私に頼ってきます。私はイライラして、妹と口論になることが増えてきました。私自身、3、4日前から食欲がなく、体がだるいため家事をするのも大変です。このまま妹との生活を続けることに自信がなくなりました」と話した。
 このときの姉への助言として適切なのはどれか。

1.「A さんの再入院を考えてみましょう」
2.「A さんの主治医に対応を相談してみましょう」
3.「食欲不振などの症状は一時的なものなので心配はいりませんよ」
4.「A さんとの口論を近所の人たちに聞かれないように注意しましょう」

解答

解説
1.× A さんの再入院を考える必要はない。再入院の件とは、Aさんの病状が悪化している場合に行う。
2.〇 正しい。Aさんの主治医に対応を相談する。現在のAさんの状態は、①長期入院によって生活体験が少ないことや②統合失調症の陰性症状によるものである可能性が高い。主治医に病気の特徴を踏まえた対応方法について相談することは有用である。
3.× 食欲不振などの症状は一時的なものなので心配はいらないと伝える必要はない。なぜなら、姉の食欲不振や倦怠感などの症状は、①Aさんへの対応の困難さや②ストレスが原因である可能性が高いため。
4.× A さんとの口論を近所の人たちに聞かれないように注意する必要はない。なぜなら、根本的な問題解決につながらないため。また、姉の精神的負荷を助長する可能性が高い。

 

 

 

 

 

次の文を読み50、51の問いに答えよ。
 Aさん(59歳、女性)。夫(66歳、無職)と2人暮らし。市の健康相談に参加したAさんは、ふらつきがあり歩行が不安定であった。相談に対応した保健師に対して「歩き出しがうまくできないし、思うように体が動かず困っています」とAさんは話した。保健師はAさんの訴えなどから神経変性疾患を想定し、Aさんの他の症状について確認することにした。

50 確認する症状として優先度が高いのはどれか。

1.耳鳴の有無
2.振戦の有無
3.視野欠損の有無
4.手足の浮腫の有無

解答

解説

神経変性疾患とは?

 神経変性疾患とは、脳や脊髄にある神経細胞のなかで,ある特定の神経細胞群(例えば認知機能に関係する神経細胞や運動機能に関係する細胞)が徐々に障害を受け脱落してしまう病気である.神経系(大脳、小脳、脊髄、末梢神経、筋肉)の神経細胞のうち、ある特定の神経細胞や線維の変性脱落が起こる病気の総称である。神経変性が生じる部位によって、スムーズに身体が動かせない、身体のバランスがとりにくい(運動失調)、筋力の低下、認知機能の障害など、特有の症状が異なる。

1.× 耳鳴の有無は優先度は低い。なぜなら、主に耳鳴りは、中枢神経の変性が原因で生じることもあるため。また、Aさんの「歩き出しがうまくできないし、思うように体が動かず困っています」という発言と直接的な関係が認めにくい。
2.〇 正しい。振戦の有無は優先度は最も高い。振戦とは、手、頭、声帯、体幹、脚などの体の一部に起こる、不随意でリズミカルなふるえである。 振戦は、筋肉の収縮と弛緩が繰り返されたときに起こり、Aさんの「歩き出しがうまくできないし、思うように体が動かず困っています」という発言から、運動にかかわる神経系の障害が想定される。
3.× 視野欠損の有無は優先度は低い。なぜなら、視野欠損とAさんの自覚症状(運動症状)との直接の関連としているとは考えにくいため。視野欠損の原因として、①眼球の病気では、網膜剥離・網膜動脈閉塞症・緑内障などが、②脳や視神経の病気では、脳梗塞・脳内出血・脳腫瘍などが疑われる。
4.× 手足の浮腫の有無は優先度は低い。なぜなら、運動症状や筋力低下などに合併して、手足に浮腫が生じることもある。

 

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