第103回(H29) 保健師国家試験 解説【午後46~50】

 

次の文を読み45〜47の問いに答えよ。
 運動習慣の死亡率に対する影響の調査のために1万人を対象とした10年間のコホート研究を行った。本研究では、年齢、食習慣および経済状況など参加者の基礎的背景も併せて調査した。脱落者を除いた結果を表に示す。

46 運動習慣と死亡との関連が最も強いのはどれか。

1.疾患A
2.疾患B
3.疾患C
4.その他の疾患

解答

解説

相対危険度(リスク比)とは?

相対危険度(リスク比)を用いて要因と疾病の関連の強さを表現する。関連の強さが大きいほどこの要因により疾病が起きやすいことを示す。

運動習慣の要因と死亡の関連の強さを相対危険度(リスク比)の大きさで比較する。
1.× 疾患Aの運動習慣あり(100)、運動習慣なし(140)であるので、相対危険度(なし/あり)は、1.4である。
2.〇 正しい。疾患Bの運動習慣あり(20)、運動習慣なし(100)であるので、相対危険度(なし/あり)は、5である。疾患Bは、運動習慣がある人に比べて、運動習慣がない人は5倍の発症リスクがあり、最も大きい。
3.× 疾患Cの運動習慣あり(5)、運動習慣なし(10)であるので、相対危険度(なし/あり)は、2である。
4.× その他の疾患の運動習慣あり(200)、運動習慣なし(400)であるので、相対危険度(なし/あり)は、2である。

 

 

 

 

 

次の文を読み45〜47の問いに答えよ。
 運動習慣の死亡率に対する影響の調査のために1万人を対象とした10年間のコホート研究を行った。本研究では、年齢、食習慣および経済状況など参加者の基礎的背景も併せて調査した。脱落者を除いた結果を表に示す。

47 参加者の基礎的背景を補正しても、「運動習慣あり」の方が死亡率は有意に低かった。しかし、この結果からは「運動すれば長生きできる」という結論を導くことはできない。
 その理由はどれか。

1.介入研究ではない。
2.情報バイアスがある。
3.二重盲検がされていない。
4.平均余命で比較していない。

解答

解説
1.〇 正しい。介入研究ではない。現状の研究からは、運動習慣の有無と死亡率に有意な関連が認められているが、「運動すれば長生きできる」という結論を導くためには、実験的に確認する介入研究により因果関係を証明する必要がある。
2.× 情報バイアスはない。なぜなら、10年間、前向き研究法で実施しているため。ちなみに、情報バイアスとは、情報の取り違いや測定方法が不十分であるために一方向に偏って測定結果がでてしまうことである。
3.× 二重盲検(ダブルブラインドテスト)がされている。二重盲検法とは、特に医学の試験・研究で、実施している薬や治療法などの性質を、医師からも患者からも不明にして行う方法である。相当な人数の観察研究であり、研究者と研究対象者ともにブラインドにすることはできない。
4.× 平均余命で比較している。「長生き」を評価するには、5年生存率や10年生存率などの平均余命が評価にかかわる指標が有効である。しかし、生存期間の測定には対象集団の死亡を観察するまで相当期間が必要であり、平均余命で比較しても因果関係が証明されるわけではないため、「運動すれば長生きできる」と断言することはできない。

 

 

 

 

 

次の文を読み48、49の問いに答えよ。
 Aちゃん(生後5か月、女児)。父親(37 歳)、母親(35歳)は病院の近くの市に2人で暮らしており、Aちゃんの祖父母は遠方に住んでいる。AちゃんはGCUに入院中である。
 現病歴: 在胎32 週で羊水過多、胎児発育不全、心臓奇形および小脳低形成のため羊水の染色体検査を受け、18トリソミーと診断された。在胎週数37週0日、体重1,780gで出生し、NICUに入院した。食道閉鎖のため出生当日に胃瘻造設術を、気管軟化症のため生後3か月に気管切開術を受けた。気管切開下で24時間人工呼吸器管理、30 分に1回程度の気管内吸引を実施している。
 家族歴: 特記すべきことはない。
 身体所見: 体重2,900g。体温37.0℃、脈拍130/分、経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)94〜96 %。定頸していない。

48 両親ともにAちゃんの退院を心待ちにしている。2か月以内の自宅への退院を目指すため、病院から保健所に退院調整カンファレンスへの参加依頼があり、地区担当保健師は事前に自宅を訪問することとした。
 このときの訪問で保健師が両親から収集する情報で適切なのはどれか。

1.今後の治療方針
2.療育手帳の申請の有無
3.今後の予防接種の計画
4.自宅の療養環境の準備

解答

解説

本事例は、胃瘻造設術や人工呼吸器管理といった高度な医療処置が必要な児である。

1.× 今後の治療方針は必要ない。なぜなら、今後の治療方針は、病院側がもっている情報であるため。保健師が退院調整カンファレンスで提供する情報である。
2.× 療育手帳の申請の有無は優先度が低い。なぜなら、療育手帳は、知的障害者に発行される障害者手帳であるため。さまざまな制度やサービスの利用を受けられる。
3.× 今後の予防接種の計画は優先度が低い。なぜなら、予防接種に関しては、本事例のようなハイリスク児では医学的管理の一環であるため。
4.〇 正しい。自宅の療養環境の準備は、保健師が両親から収集する情報で適切である。なぜなら、本事例は、胃瘻造設術や人工呼吸器管理といった高度な医療処置が必要な児であるため。児の在宅での療養生活が滞りなく行えるように、保健師は両親から情報収集し、療養環境をアセスメント、課題を明らかにしたうえで、退院カンファレンスに臨む必要がある。

 

 

 

 

 

次の文を読み48、49の問いに答えよ。
 Aちゃん(生後5か月、女児)。父親(37 歳)、母親(35歳)は病院の近くの市に2人で暮らしており、Aちゃんの祖父母は遠方に住んでいる。AちゃんはGCUに入院中である。
 現病歴: 在胎32 週で羊水過多、胎児発育不全、心臓奇形および小脳低形成のため羊水の染色体検査を受け、18トリソミーと診断された。在胎週数37週0日、体重1,780gで出生し、NICUに入院した。食道閉鎖のため出生当日に胃瘻造設術を、気管軟化症のため生後3か月に気管切開術を受けた。気管切開下で24時間人工呼吸器管理、30 分に1回程度の気管内吸引を実施している。
 家族歴: 特記すべきことはない。
 身体所見: 体重2,900g。体温37.0℃、脈拍130/分、経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)94〜96 %。定頸していない。

49 家庭訪問から1週後、両親、主治医、病棟看護師、理学療法士、退院調整看護師、社会福祉士、訪問看護師および地区担当保健師が出席して、初回の退院調整カンファレンスが行われた。両親は退院後の生活に不安はあるものの、Aちゃんの面倒は自分達がみるべきであると考え、できるだけ他者の手を借りずに育てたいと思っているということであった。今後の方針として、小児科の一般病棟に転棟し、在宅療養に向けた医療的ケアの手技や育児の練習を行い、その後に自宅への外泊訓練を実施することが決まった。次回のカンファレンスは、院内で在宅療養に向けたシミュレーションを行った後、医療的ケアの手技などの習得状況の評価と外泊訓練に向けた準備について話し合う予定である。
 次回のカンファレンスに参加を依頼する機関として優先度が高いのはどれか。

1.医療型児童発達支援センター
2.訪問診療を実施している診療所
3.医療型短期入所を実施している療育施設
4.訪問リハビリテーションを実施している事業所

解答

解説
1.× 医療型児童発達支援センターは優先度が低い。医療型児童発達支援センターは、地域の障害のある児童を通所させて、日常生活における基本的動作の指導、自活に必要な知識や技能の付与または集団生活への適応のための訓練を行う施設であるため。
2.〇 正しい。訪問診療を実施している診療所は、次回のカンファレンスに参加を依頼する機関として優先度が高い。なぜなら、訪問診療は、24時間体制で在宅療養のサポートを行うため、本事例のようなハイリスク児には必要不可欠であるため。ちなみに、訪問診療とは、定期的かつ計画的に医師が自宅に訪問し、診療・治療・薬の処方・療養上の相談・指導等を行い、急変時には緊急訪問や入院の手配を行うなど、臨機応変に対応するものである。
3.× 医療型短期入所を実施している療育施設は優先度が低い。なぜなら、医療型短期入所は、介護者が病気などの理由により介護を行うことができない場合に、入浴・排泄・食事のほか、必要な介護を行うものであるため。障害のある児が療育施設などに短期間入所する制度で、重症心身障害児など医療的ケアが必要な者を対象としている。
4.× 訪問リハビリテーションを実施している事業所は優先度が低い。なぜなら、訪問リハビリテーションとは、理学療法士や作業療法士などのリハビリテーション職が利用者宅を訪問し、主治医の指示のもとに、理学療法や作業療法などのリハビリテーションを行うサービスであるため。

 

 

 

 

 

次の文を読み50、51の問いに答えよ。
 A県では50歳代の男性の自殺が増加傾向にあり、自殺予防対策の必要性が検討された。自殺者数が多いB市において、県と市が共催で自殺予防事業を実施することになった。

50 A県から事業実施の打診を受けたB市では、保健師を中心にプロジェクトチームを立ち上げることになった。
 プロジェクトチームの参加機関として優先度が高いのはどれか。

1.精神保健福祉センター
2.労働基準監督署
3.ハローワーク
4.県医師会

解答

解説
1.〇 正しい。精神保健福祉センターは、プロジェクトチームの参加機関として優先度が高い。精神保健福祉センターの主な機能として、市町村などへの技術的な協力や助言を行う。プロジェクトを実施していくうえで、専門的観点からの支援を必要である。
2.× 労働基準監督署の優先度が低い。なぜなら、労働基準監督署は、労働条件の確保や改善についての指導などを行う機関であるため。ただし、過重労働者などの自殺ハイリスク者への対応を検討する際に参加機関として加わる可能性もある。いずれにしても、プロジェクト立ち上げの段階での優先順位は低い。
3.× ハローワークの優先度が低い。ハローワークは、就職に関する相談指導や職業紹介、雇用保険に関する窓口業務などを担う機関であるため。ただし、失業などで経済困窮の状態にある者などの自殺ハイリスク者への対応を検討する際に参加機関として加わる可能性もある。いずれにしても、プロジェクト立ち上げの段階での優先順位は低い。
4.× 県医師会の優先度が低い。なぜなら、県医師会は、日本の医師であることを入会の要件とする職能団体であるため。医療機関への普及・啓発をする際に協力を求めることが想定される。

 

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