第103回(H29) 保健師国家試験 解説【午前51~55】

 

次の文を読み50、51の問いに答えよ。
 Aさん(59歳、女性)。夫(66 歳、無職)と2人暮らし。市の健康相談に参加したAさんは、ふらつきがあり歩行が不安定であった。相談に対応した保健師に対して「歩き出しがうまくできないし、思うように体が動かず困っています」とAさんは話した。保健師はAさんの訴えなどから神経変性疾患を想定し、A さんの他の症状について確認することにした。

51 その後、Aさんは指定難病と診断され、隣市の専門医療機関での月1回の通院治療を開始した。2年後、A さんは要介護4に認定され、通所介護を週2回利用している。A さんの介護と家事は夫が担っている。夫は糖尿病で半年ほど前から血糖コントロールが不良であり、血糖管理および指導の目的で5日間の入院を勧められている。
 夫の入院中にA さんが利用する事業で最も適切なのはどれか。

1.夜間対応型訪問介護
2.短期入所療養介護
3.訪問入浴介護
4.訪問看護

解答

解説

Aさんは、要介護4のため、日常生活全般で介助が必要である。

1.× 夜間対応型訪問介護は優先度は低い。なぜなら、夜間帯の対応は充実しているが、日中の介護体制が確保できないため。夜間対応型訪問介護は、夜間帯に訪問介護員が利用者の自宅を訪問する介護保険サービスであり、①定期巡回と②随時対応の2種類がある。
2.〇 正しい。短期入所療養介護は優先度は最も高い。なぜなら、夫が入院し状態が落ち着くまでの期間利用でき、Aさんが安心、安全に療養できるサービスであるため。夜間対応型訪問介護とは、療養生活の質の向上および家族の介護の負担軽減などを目的に、30日を限度として一定期間、医療機関や介護老人保健施設で、日常生活上の世話や医療、看護、機能訓練などが提供されるものである。
3.× 訪問入浴介護は優先度は低い。なぜなら、入浴介助のみの対応であり、その他の日中・夜間の介護体制が確保できないため。訪問入浴介護は、看護職員と介護職員が利用者の自宅を訪問し、持参した浴槽によって入浴の介護を行うサービスである。
4.× 訪問看護は優先度は低い。なぜなら、24時間安心して生活できる介護体制ではないため。訪問看護は、看護師・准看護師・保健師・理学療法士・作業療法士が居宅を訪問して行う療養にかかわる世話、または必要な診療の補助を行うサービスである。

 

 

 

 

 

次の文を読み52、53の問いに答えよ。
 A市では保育所を利用している家庭が増加しており、対応困難な児に関する保育士からの市保健師への相談が増えてきている。A市では子育て支援を強化するため、次年度の母子保健計画の策定にあたって、市内の15か所の保育所との連携システムをどのように構築していくかを検討することになった。

52 保健師が最初に取り組むこととして適切なのはどれか。

1.対応困難な児の保護者に保育所でインタビュー調査を行う。
2.市のホームページでパブリックコメントを募集する。
3.対応困難な事例の検討会を保育所と行う。
4.対応困難な児の家庭訪問をする。

解答

解説
1.× 対応困難な児の保護者に保育所でインタビュー調査を行う必要はない。なぜなら、何が対応困難であるのかを明確にしていないため。その状態でインタビューを行っても、明確なインタビューはできない。
2.× 市のホームページでパブリックコメントを募集する必要はない。なぜなら、パブリックコメントとは、行政機関が政策等を制定するにあたって、事前に計画素案と関連資料を示し、その案について広く国民から意見を求める意見公募のことである。
3.〇 正しい。対応困難な事例の検討会を保育所と行う。なぜなら、まず対応困難な事例のアセスメントを行い、問題を明確にすることが必要であるため。保健師と保育所との事例検討会を行い問題を共有する。
4.× 対応困難な児の家庭訪問をする必要はない。なぜなら、保育所側が対応困難と考えている事例であるため。保護者の意向が不明なまま保健師がいきなり訪問することは、保護者に不信感を抱かせ、混乱を招く可能性がある。

 

 

 

 

 

次の文を読み52、53の問いに答えよ。
 A市では保育所を利用している家庭が増加しており、対応困難な児に関する保育士からの市保健師への相談が増えてきている。A 市では子育て支援を強化するため、次年度の母子保健計画の策定にあたって、市内の15か所の保育所との連携システムをどのように構築していくかを検討することになった。

53 保育所との連携システムの構築に取り組んでから3か月が経過した。その評価から母子保健担当の保健師は、保育所を定期的に巡回し、個別相談が必要な児に対して健康相談を行う巡回健康相談事業を検討している。
 事業を計画するにあたり最初に検討するのはどれか。

1.事業評価の時期
2.事業担当者の確保
3.巡回健康相談の実施回数
4.保育所利用者に対する事業の広報
5.母子保健計画における事業の位置付け

解答

解説
1~4.× 事業評価の時期/事業担当者の確保/巡回健康相談の実施回数/保育所利用者に対する事業の広報は、最初に検討する項目として優先度は低い。なぜなら、新規事業を立ち上げる場合のプロセスとして、まずは「なぜその事業が必要なのか?」を市に認めてもらうことが必要であるため。その後、認められた事業を実施していくために事業計画を立てる。事業計画では、①事業目的・②実施時期・③実施回数・④事業担当者・⑤事業評価広報の方法などが明確に記されることが求められる。そのため、市における事業の位置づけを検討してからでないと事業計画を立てることはできない。
5.〇 正しい。母子保健計画における事業の位置付けは、事業を計画するにあたり最初に検討する。新規事業を立ち上げる場合、行政機関としての公的な位置づけは必須である。

 

 

 

 

 

次の文を読み54、55の問いに答えよ。
 Aさん(80歳、女性)。1人暮らし。高血圧症で50歳から近くの医療機関を受診しており、降圧薬を内服し、自己管理をしながら自立して生活していた。長女(55歳)は他県に住み、月1回Aさんの様子をみに来ている。長女は、地域包括支援センターに来所し「母が物を探すことが多くなったと感じていたが、隣人から母が近所で道に迷っているのを見かけたと聞き、心配になった」と保健師に相談した。

54 このときに保健師が長女に勧める内容で最も適切なのはどれか。

1.保健所への相談
2.かかりつけ医への相談
3.介護療養型医療施設の見学
4.認知症サポーター講座の受講

解答

解説
1.× 保健所への相談することの優先度は低い。なぜなら、保健所では、認知症かどうかの診断はできないため。まずは、かかりつけ医への相談することが優先される。
2.〇 正しい。かかりつけ医への相談することの優先度は最も高い。設問から、Aさんは30年間、かかりつけ医で高血圧症の内服治療を受けていることが分かる。かかりつけ医は、病気の早期段階での気づき役になることや、認知症ではないかという心配や相談があったときに適切な対応をとることができる。
3.× 介護療養型医療施設の見学することの優先度は低い。なぜなら、長女は特に入院を希望していないため。また、介護療養型医療施設は、慢性疾患を有し、長期の療養が必要な人のために介護職員が手厚く配置された医療機関であるため。
4.× 認知症サポーター講座の受講することの優先度は低い。なぜなら、他県に住んでいる長女に、認知症サポーター講座の受講を勧めるのは解決にはならないため。

 

 

 

 

 

次の文を読み54、55の問いに答えよ。
 Aさん(80歳、女性)。1人暮らし。高血圧症で50歳から近くの医療機関を受診しており、降圧薬を内服し、自己管理をしながら自立して生活していた。長女(55歳)は他県に住み、月1回Aさんの様子をみに来ている。長女は、地域包括支援センターに来所し「母が物を探すことが多くなったと感じていたが、隣人から母が近所で道に迷っているのを見かけたと聞き、心配になった」と保健師に相談した。

55 その後、Aさんは要支援1と認定された。長女は電話で「最近母が、病院でお金を支払うことや、ATMでお金をおろすことができなくなった」と地域包括支援センターの保健師に相談した。
 保健師が勧める社会資源として優先度が高いのはどれか。

1.成年後見制度
2.消費者生活センター
3.訪問看護ステーション
4.介護予防・日常生活支援総合事業
5.認知症対応型共同生活介護(認知症高齢者グループホーム)

解答

解説
1.× 成年後見制度の優先度は低い。Aさんは日常的な金銭管理ができなくなっているが、設問からは成年後見制度を利用する必要があるほど判断能力が低下しているかは判断できないため。また、成年後見制度を利用するには、Aさんの住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てをし、審判を受けなければならない長女の負担は大きいと考えられる。
2.× 消費者生活センターの優先度は低い。なぜなら、Aさんは消費生活のトラブルを抱えているわけではないため。消費者生活センターは、消費生活全般に関する苦情や問合せなどの相談業務を行う機関である。
3.× 訪問看護ステーションの優先度は低い。訪問看護師は、財産管理を行う権利のないため、相談内容に合わない。
4.〇 正しい。介護予防・日常生活支援総合事業の優先度は最も高い。Aさんは要支援1で、介護予防・日常生活支援総合事業の対象者である。介護予防・日常生活支援総合事業とは、地域の支え合いと介護予防を推進し、高齢者が住みなれた地域で自立した日常生活を営むことを目的とする事業である。Aさんの受診に同行し見守りを行う等の日常生活をサポートなども行える社会資源である。
5.× 認知症対応型共同生活介護(認知症高齢者グループホーム)の優先度は低い。なぜなら、入所を希望しているわけではないため。認知症高齢者グループホームは、共同生活のなかで利用者の認知症の改善を図る施設である。

 

 

 

※注意:著者は看護師で、解説はすべてオリジナルのものとなっています。私的利用の個人研究・自己研鑽のため作成いたしました。間違いや分からない点があることをご了承ください。またコメントにて解き方等教えてくださると幸いです。

 

問題引用:第103回保健師国家試験、第100回助産師国家試験、第106回看護師国家試験の問題および正答について

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