第103回(H29) 保健師国家試験 解説【午後51~55】

 

次の文を読み50、51の問いに答えよ。
 A県では50歳代の男性の自殺が増加傾向にあり、自殺予防対策の必要性が検討された。自殺者数が多いB市において、県と市が共催で自殺予防事業を実施することになった。

51 プロジェクトチームで検討した結果、地域における自殺予防の意識を高め、支援者を増やすため、ゲートキーパー養成の事業を実施することになった。まずは、市職員を対象に養成講座を実施し、民生委員やボランティアなどへ対象を段階的に広げてゲートキーパーを増やしていくこととした。講座の受講者からは「自殺予防の必要性を強く感じた」、「自殺予防のために自分にもできることがあることが分かった」などの意見が多く聞かれ、受講者数も増え続けたため、B市ではこの事業を継続することにした。
 B市での事業の結果を受けて、A県で検討する内容として適切なのはどれか。

1.自死遺族の相談事業
2.他市町村への事業の展開
3.ハイリスク者への家庭訪問
4.50歳代男性への質問紙調査

解答

解説

ゲートキーパーとは?

ゲートキーパーとは、自殺の危険を示すサインに気づき、適切な対応(悩んでいる人に気づき、声をかけ、話を聞いて、必要な支援につなげ、見守る)を図ることができる人のことをいう。つまり、「命の門番」とも位置付けられる人のことである。 自殺対策では、悩んでいる人に寄り添い、関わりを通して「孤立・孤独」を防ぎ、支援することが重要である。

1.× 自死遺族の相談事業は優先度が低い。なぜなら、自死遺族の相談事業は、保健センター保健所といった地域の相談機関で実施を検討する内容であるため。ちなみに、自死遺族の相談事業は、自死遺族の感情表出をする場としての機能や、自死遺族の自殺予防という機能がある。
2.〇 正しい。他市町村への事業の展開は、A県で検討する内容として適切である。都道府県は、各市町村に対して技術的援助を行うことを役割としている。
3.× ハイリスク者への家庭訪問は優先度が低い。なぜなら、自死遺族の相談事業は、保健センター保健所といった地域の相談機関で実施を検討する内容であるため。自殺予防事業の一環として実施することは有効であるが、B市の取り組みを受けてA県が検討する内容とは考えにくい。
4.× 50歳代男性への質問紙調査は優先度が低い。なぜなら、通常は事業実施前に行うことであるため。質問紙調査を実施することで自殺の要因や対象者のニーズを把握することができるが、B市の事業の結果を受けて行うことではない。

 

 

 

 

 

次の文を読み52、53の問いに答えよ。
 Aさん(45歳、女性、会社員)。夫と2人暮らし。Aさんが勤務する会社では保健師が職員の健康管理のために面接による相談事業を実施している。Aさんは定期健康診断を受診し、結果は身長160 cm、体重55 kg、BMI 21、血圧118/70 mmHg。トリグリセリド90 mg/dL、HDLコレステロール70 mg/dL、LDLコレステロール139 mg/dL、HbA1c 5.0 %、AST (GOT)20 IU/L、ALT (GPT)15 IU/L、γ-GTP 20IU/Lであった。既往歴に特記すべきことはなく、現在治療中の疾患はない。飲酒はビール350 mL/日を週5日、喫煙はしていない。

52 健康診断の結果から控えるよう指導するのはどれか。

1.食物繊維
2.飽和脂肪酸
3.アルコール
4.総エネルギー量

解答

解説

1.× 食物繊維が制限されるのは、クローン病などである。クローン病とは、炎症性腸疾患のひとつで、主に小腸や大腸などの消化管に炎症が起きることによりびらんや潰瘍ができる原因不明の慢性の病気である。本症例は、食物繊維を積極的に摂取したほうがよい。
2.〇 正しい。飽和脂肪酸は、健康診断の結果から控えるよう指導する。なぜなら、結果が正常範囲であっても、普段の生活リズムや習慣などから予防的視点で必要な指導内容を考えることが重要であるため。
3.× アルコールは優先度が低い。なぜなら、日本における女性の適切な飲酒量は10~20g/日であり、これはビール250mlに相当するが、対象者は休肝日も2日取り、肝機能検査値も正常範囲であるため。
4.× 総エネルギー量は優先度が低い。なぜなら、本症例のBMIは正常範囲内であるため。

 

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次の文を読み52、53の問いに答えよ。
 Aさん(45歳、女性、会社員)。夫と2人暮らし。Aさんが勤務する会社では保健師が職員の健康管理のために面接による相談事業を実施している。Aさんは定期健康診断を受診し、結果は身長160 cm、体重55 kg、BMI 21、血圧118/70 mmHg。トリグリセリド90 mg/dL、HDLコレステロール70 mg/dL、LDLコレステロール139 mg/dL、HbA1c 5.0 %、AST (GOT)20 IU/L、ALT (GPT)15 IU/L、γ-GTP 20IU/Lであった。既往歴に特記すべきことはなく、現在治療中の疾患はない。飲酒はビール350 mL/日を週5日、喫煙はしていない。

53 保健師はAさんの健康診断の結果を受け、行動変容に向けて面接を行った。Aさんは「管理的な立場で仕事をしているため、帰宅は遅く21 時くらいになってしまいます。家事もあり毎日が忙しいので、体調を崩したら困るなと思ってはいますが、具合が悪いところもないので具体的には何もしていません」と話した。
 行動変容のステージから判断してAさんへの保健師の対応で最も適切なのはどれか。

1.生活パターンの問題を指摘する。
2.健康診断の結果の理解度を確認する。
3.生活習慣の改善に向けた目標を一緒に立てる。
4.生活習慣の改善に向けて夫の協力を得るように伝える。

解答

解説
1.× 生活パターンの問題を指摘することへの優先度は低い。なぜなら、無関心期に生活パターンの問題を指摘しても効果は得られにくいため。
2.〇 正しい。健康診断の結果の理解度を確認する。設問から、Aさんは「管理的な立場で仕事をしているため、帰宅は遅く21 時くらいになってしまいます。家事もあり毎日が忙しいので、体調を崩したら困るなと思ってはいますが、具合が悪いところもないので具体的には何もしていません」と話している。無関心期への対応として、まず健康診断の結果についてどのくらい理解しているか把握することが重要である。
3.× 生活習慣の改善に向けた目標を一緒に立てることへの優先度は低い。なぜなら、目標を一緒に立てるなどのアプローチは、生活習慣の改善として準備期に有効であるため。
4.× 生活習慣の改善に向けて夫の協力を得るように伝えることへの優先度は低い。なぜなら、変えた行動が定着化した維持期に有効なアプローチであるため。

 

 

 

 

 

次の文を読み54の問いに答えよ。
 Aさん(39歳、女性、教員)。夫(40歳、会社員)と長男7歳)との3人暮らし。Aさんは小学校で6年生の担任をしている。夫は仕事で土日も不在のことが多い。長男は放課後に学童保育に通っている。Aさんは2か月間月経がみられないため、自宅近くの産婦人科を受診したところ妊娠11週と診断され、妊娠届を提出するよう指導された。妊娠16 週に妊娠届を提出するため保健センターに来所した。保健センターでは、妊娠届の提出に来所した妊婦全員に保健師による面接を実施している。保健師は現在の健康状態、妊娠経過および分娩予定施設についてAさんに確認した。

54 今後のAさんへの支援を計画するために最も優先して確認するのはどれか。

1.つわりの有無
2.育児用品の準備状況
3.妊娠届が遅れた理由
4.子宮がん検診の受診歴
5.不妊治療の経験の有無

解答

解説

1.× つわりの有無は優先度は低い。なぜなら、つわりの有無は、ハイリスク妊娠と関係がないため。
2.× 育児用品の準備状況は優先度は低い。なぜなら、育児用品は安定期に入ってから準備するものであるため。現在、準備できていなくても問題ない。
3.〇 正しい。妊娠届が遅れた理由は、今後のAさんへの支援を計画するために最も優先して確認する。国の統計によれば約9割の妊婦が11週以下に妊娠を届け出ている。Aさんは、妊娠11週で妊娠と診断されたにもかかわらず、妊娠届を提出するまでに1か月以上かかっている。家庭環境も知れる機会となるためなぜ遅れたのか、その理由を把握する必要がある。
4.× 子宮がん検診の受診歴は優先度は低い。なぜなら、妊娠が診断されてから受けるべき検診ではなく、妊娠前に受ける健診であるため。
5.× 不妊治療の経験の有無は優先度は低い。なぜなら、本症例は妊娠中期に入っているため。

 

 

 

 

 

次の文を読み55の問いに答えよ。
 Aさん(66歳、女性)。夫(70歳)が早期の直腸癌と診断され、手術を受けた直後に死亡した。1か月後、Aさんは、医療安全支援センターの相談窓口が設置されている保健所に、電話で相談し「主治医から簡単な手術だと説明を受けて手術に同意したが、夫は手術後に亡くなった。納得できないので調査して欲しい」と訴えた。Aさんの希望で、保健所が病院に対して文書でAさんの夫の治療経過を照会したところ「Aさんの夫はまれに発生する術後合併症によって死亡した。術後合併症のことは、患者とAさんとに事前に説明していた。医療事故とは考えていない」と回答があった。

55 保健所の対応で適切なのはどれか。

1.Aさんと病院とで話し合いの場が持てるように支援する。
2.Aさんの夫の手術に関する診療録を病院に開示請求する。
3.医療行為と死亡との因果関係の有無を明らかにする。
4.病院に対し事故調査委員会を設置するよう指導する。

解答

解説

1.〇 正しい。Aさんと病院とで話し合いの場が持てるように支援する。問題文からは、コミュニケーション不足がうかがわれる。偶発的な合併症や特異的な反応により、予期せぬ事態になることは、しばしばあるが、患者側と医療提供側での認識の違いからトラブルに発展することも多い。医療安全支援センターの立場は、あくまでも中立を保つことであり、当事者間でのコミュニケーション不足による誤解を解くための支援に徹する。
2.× Aさんの夫の手術に関する診療録を病院に開示請求する優先度は低い。なぜなら、なぜなら、明白に患者側の立場からの行為であり、中立ではないため。診療録の開示請求は、患者、家族またはその委任を受けた弁護士などが行うべきことである。
3.× 医療行為と死亡との因果関係の有無を明らかにする優先度は低い。なぜなら、医療行為と死亡の因果関係の判定は、医療安全支援センターの業務範囲を超えるものであるため。裁判に発展した場合に裁判官が行うものである。
4.× 病院に対し事故調査委員会を設置するよう指導する優先度は低い。なぜなら、事故調査委員会の設置の勧告は、医療安全支援センターの機能ではなく、厚生労働省が行うものである。

 

 

※注意:著者は看護師で、解説はすべてオリジナルのものとなっています。私的利用の個人研究・自己研鑽のため作成いたしました。間違いや分からない点があることをご了承ください。またコメントにて解き方等教えてくださると幸いです。

 

問題引用:第103回保健師国家試験、第100回助産師国家試験、第106回看護師国家試験の問題および正答について

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