第103回(H29) 保健師国家試験 解説【午後6~10】

 

6 A市のB地区は肥満者の割合が市内の他の地区に比べて高い。B地区の担当保健師が健康相談を実施した際、夜食を摂る者が多くいることが分かった。
 B地区の担当保健師の活動で最も優先されるのはどれか。

1.食生活改善推進員へのフォーカス・グループインタビュー
2.市の栄養士による栄養相談内容の分析
3.地区住民を対象とした食生活実態調査
4.国民健康保険の医療費分析

解答

解説

1.× 食生活改善推進員へのフォーカス・グループインタビューは優先度が低い。なぜなら、食生活改善推進員は、地域住民の食生活の状況を知っているが、情報に偏りがある可能性もあるため。ちなみに、フォーカスグループインタビューとは、6名程度の調査対象者(顧客)を1箇所に集め、座談会形式で特定のテーマについて話し合う調査手法をいう。
2.× 市の栄養士による栄養相談内容の分析は優先度が低い。なぜなら、まずはB地区の現状・実態を把握することが優先されるため。その後、他地域との比較に市の栄養士による栄養相談内容の分析を活用する。
3.〇 正しい。地区住民を対象とした食生活実態調査は、B地区の担当保健師の活動で最も優先される。なぜなら、地区住民を対象にした食生活の実態把握調査は、健康課題をアセスメントする客観的な根拠にもなるため。健康相談内容から得られた、夜食をとる者が多いことと肥満が関連しているという情報は、あくまでも仮説であり、根拠のある健康課題とはいいがたい。
4.× 国民健康保険の医療費分析は優先度が低い。なぜなら、医療費は、住民の食生活と直接的な関連はないため。ただし、医療費は、発症した疾病の傾向を知るには重要である。

 

 

 

 

 

7 健康教育に関する理論で保健行動に対する個人の心理に着目しているのはどれか。

1.アドボカシー
2.ヘルスリテラシー
3.ヘルス・ビリーフ・モデル
4.プリシード・フレームワーク

解答

解説
1.× アドボカシーは、「擁護」、「支持」、「唱道」などの意味をもつ言葉で、保鍵師の役割において、「代弁者」として用いられることが多い。
2.× ヘルスリテラシーは、健康情報を入手し、情報に基づいた意思決定ができる能力である。個人だけでなく、社会市民の保健に関する知識・理解・能力の向上も含まれる。リテラシーは、読み書き能力を表し、社会参加し意思決定する人間の尊厳を表す。
3.〇 正しい。ヘルス・ビリーフ・モデルは、健康教育に関する理論で保健行動に対する個人の心理に着目している。ヘルス・ビリーフ・モデルは、健康信念モデルともいわれ、代表的な健康行動理論のひとつである。人が達康によい行動を行う可能性を高める主な要因は、①脅威の認識(疾病の可能と重大性)と、②行動による利益と負担のバランスを挙げている。病気への恐れと、保健行動をとる利益のほうが自分にとって大きいと感じることで、行動変容の可能性がみられる。
4.× プリシード・フレームワークは、プリシード・プロシードモデルの前半を示す。対象者のQOL(生活の質)を最上位におき,その資源として健康を位置づけている。ヘルスプロモーションや保健プログラムの企画・評価モデルである。社会アセスメント、疫学アセスメント、行動・環境アセスメント、教育/組織アセスメント、運営・政策アセスメントからなる。

 

 

 

 

 

8 A市では青年期のひきこもり状態にある者への支援として、地区担当保健師による家庭訪問を行っている。次の支援として、保健師はグループづくりを進めることとした。
 このグループとして適切なのはどれか。(※不適切問題:解2つ)

1.サポートグループ
2.コミュニティグループ
3.セルフヘルプグループ
4.ボランティアグループ

解答1・3(複数の選択肢が正解)
理由:設問の説明が不明確であるため。

 

解説

1.〇 正しい。サポートグループは、この設問のグループづくりとして適切である。サポートグループは、患者会等・当事者を支えるために当事者・家族・専門職種などで構成される。ひきこもり状態の者への支援として適切である。青年期のひきこもり状態にある者の支援として、同じような健康課題への対処能力を高めるために活動するグループをつくることが有効である。
2.× コミュニティグループは、町内会・老人会・婦人会等、地縁関係が基盤のグループである。
3.〇 正しい。セルフヘルプグループは、この設問のグループづくりとして適切である。セルフヘルプグループとは、当事者またはその家族で構成され、共通の健康課題を解決するために共通の目標をもち、問題解決を行い、対処能力を高めるグループである。青年期のひきこもり状態にある者の支援として、同じような健康課題への対処能力を高めるために活動するグループをつくることが有効である。
4.× ボランティアグループは、住民が社会貢献的活動等の目的をもつ仲間を集め組織化するグループである。

 

 

 

 

 

9 健康診査の結果説明会で、受診勧奨の対象ではなかったが、血圧が高い者が8人いた。保健師は、メンバー間の相互作用を促しながら、生活習慣病を予防することを目的としたグループを作り支援を行うことにした。
 このグループへの支援として最も適切なのはどれか。

1.他のグループと交流する機会を設ける。
2.グループで1つの血圧の目標値を設定する。
3.高血圧症の専門医の講義を聞く機会を設ける。
4.メンバーが各自の食生活の課題を話し合う機会を設ける。

解答

解説
1.× 他のグループと交流する機会を設けることは優先度が低い。なぜなら、グループの成長段階としては、初期のグループの目的や計画を立てる準備期であるため。ほかのグループとの交流はもう少しグループが成長してからの方が適切である。
2.× グループで1つの血圧の目標値を設定することは優先度が低い。なぜなら、血圧はそれぞれの年齢や身体状況といった個人差を考慮すべき問題であるため。また、グループが自主的に活動できるように、グループの目的や目標は、グループメンバーで決定していけるよう保健師は支援することが望ましい。
3.× 高血圧症の専門医の講義を聞く機会を設けることは優先度が低い。なぜなら、グループの成長段階は、何をするのか目的も決まっていない準備期の段階であるため。まずは、グループメンバーの主体的な動きを優先すべきである。今後のグループづくりの過程で、グループメンバーが医師の講義を希望すれば、計画することもあり得る。
4.〇 正しい。メンバーが各自の食生活の課題を話し合う機会を設けることは、このグループへの支援として最も適切である。グループを結成していく準備期は、自分たちの生活の実態を表出し合うことが、グループメンバーの親密度を向上させ、グループの目的や目標を考えていく参考になる。

グループの成長段階と主要課題

準備期:グループの目的や計画を立て、グループに参加するメンバーを募集する。
開始期:グループでルールが共有されるとともに、さまざまな不安や疑問が出てくる。
作業期:①考え方の違いから、不一致が表面化する。②メンバーの関係性が深まり、各々が自主的に役割を実行する。
終結(移行)期:メンバーがグループで学んだことを活かして、次のステップへと移行する。

詳しくまとめました。参考にしてください↓

【保健師国家試験】グループの発達段階と主要課題について完全解説

 

 

 

 

 

10 インフルエンザの予防接種について正しいのはどれか。

1.二次予防である。
2.ワクチンの種類はトキソイドである。
3.予防接種法におけるB類疾病である。
4.定期予防接種の対象は15歳未満である。

解答

解説

『予防接種法』での疾病は、①A類疾病(旧一類疾病)と②B類疾病(旧二類疾病)がある。平成29年3月時点では、小児を対象とする予防接種は、すべてA類疾病である。B類疾病は、高齢者のインフルエンザと肺炎球菌感染症である。

疾病予防の概念

疾病の進行段階に対応した予防方法を一次予防、二次予防、三次予防と呼ぶ。

  • 一次予防:「生活習慣を改善して健康を増進し、生活習慣病等を予防すること」
  • 二次予防:「健康診査等による早期発見・早期治療」
  • 三次予防:「疾病が発症した後、必要な治療を受け、機能の維持・回復を図ること」と定義している。
    (※健康日本21において)

1.× 二次予防ではなく、「一次予防」に分類される。なぜなら、インフルエンザに罹患しても重篤化しないとされる効果(予防効果)が得られるため。
2.× ワクチンの種類は、トキソイドではなく、不活化ワクチン(日本の場合)である。トキソイドとは、外毒素をホルマリンなどで処理することにより、免疫原性を有した状態でその毒性を消失したものである。トキソイドが用いられる疾病では、主に破傷風が有名である。傷が汚染している場合、破傷風発症予防として投与される。
3.〇 正しい。予防接種法におけるB類疾病である。『予防接種法』では高齢者のみがB類疾病となる。ほかのB類疾病には成人の肺炎球菌感染症がある。
4.× 定期予防接種の対象は、15歳未満ではない。『予防接種法』上の定期接種に該当するのは、高齢者のみであり、高齢者以外への接種は任意接種扱いとなる。一部の自治体では小児の予防接種に公費負担を行っているが、あくまでも各自治体の自主事業としての位置づけである。

 

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