第103回(R2) 助産師国家試験 解説【午後1~5】

 

1 妊婦の摂取量が過量な場合に、有機水銀による胎児の健康障害が最も懸念される魚介はどれか。

1.アジ
2.サケ
3.イワシ
4.キンメダイ

解答

解説

有機水銀について

有機水銀は特に胎児の中枢神経の発達に影響を及ぼすとされている。妊婦、幼児、近く妊娠を予定されている方は、有機水銀濃度が高い水産物を主菜とする料理を週1回以内(合計で週におおむね50~100g程度以下)にすることをお勧めしている。主に多くの有機水銀が含まれるものとして、マグロ類(マグロ、カジキ)、サメ類、深海魚類(キンメダイ、ムツ、ウスメバルなど)、鯨類(鯨、イルカ)などがあげられる。ちなみに、サンマ、イワシ、サバなどは、一般的に有機水銀濃度が低い水産物であるため、控える必要はない。

①四日市喘息(三重県):主に亜硫酸ガスによる大気汚染を原因。
②新潟水俣病:有機水銀(メチル水銀)による水質汚染や底質汚染を原因。
③イタイイタイ病(富山県):カドミウムによる水質汚染を原因
④熊本水俣病:有機水銀(メチル水銀)による水質汚染や底質汚染を原因

1.3.× アジ/イワシは、一般的に有機水銀濃度が低い水産物であるため、控える必要はない。アジ/イワシを生で食べる場合は、アニサキスによる食中毒が懸念されるため必ず火を通すよう指導する。
2.× サケは、一般的に有機水銀濃度が低い水産物であるため、控える必要はない。サケを刺身やスモークサーモンで食べる場合は、アニサキスの他にリステリア菌による食中毒も懸念されるため必ず火を通すよう指導する。
4.〇 正しい。キンメダイは有機水銀による胎児の健康障害が懸念される魚介である。有機水銀は、胎盤を通過して胎児の脳まで達し、胎児の中枢神経系に障害が起こる。有機水銀は食物連鎖の高位置にいる魚介類に多く含まれており、キンメダイ、マグロ、メカジキ、クジラなどに多く含まれている。1回約80gとして妊婦は週1回まで(1週間当たり80ℊ)と指導する。

(※図引用:「これからママになるあなたへ」厚生労働省HPより)

 

 

 

 

 

2 骨盤内臓器で正しいのはどれか。

1.基靱帯は子宮支持組織の一つである。
2.子宮動脈は総腸骨動脈から分岐する。
3.性成熟期女性の正常な子宮は鵞卵大である。
4.卵巣動脈は卵巣固有靱帯(固有卵巣索)内を通る。

解答

解説

骨盤内臓器とは?

骨盤内臓器とは、腹部内臓のうち、骨盤腔にある臓器のことをさす。膀胱・尿道・直腸・肛門の他に、男性では精嚢・精管・前立腺、女性では卵巣・子宮・卵管・膣などがある。ちなみに、

1.〇 正しい。基靱帯は子宮支持組織の一つである。子宮は小骨盤腔の中央に存在し、子宮広靱帯・子宮円索・基靱帯・仙骨子宮靱帯などの子宮支持組織によって固定されている。基靭帯とは、頸部の両横にはそれぞれ骨盤壁から後腹膜の中を帯状の組織が伸びてきていて頸部で子宮を支えている靭帯を指す。基靭帯には、子宮からのメインの血管(子宮動静脈)やリンパ管などが入っているので、子宮頸癌はそれに沿って進むことが、腟に進むこととともによくある進行の経路である。したがって、進んだ子宮頸癌に対する手術では ここを掘り出して骨盤壁に向かって大きくとることが大事である。
2.× 子宮動脈は、「総腸骨動脈」ではなく内腸骨動脈から分岐する。子宮動脈は、内腸骨動脈から分岐して子宮頸管から子宮壁に入る動脈である。大動脈→総腸骨動脈→内腸骨動脈→子宮動脈へと分岐している。
3.× 性成熟期女性の正常な子宮は、「鵞卵大」ではなく鶏卵大である。子宮は腟の奥から腹腔内に伸びて突き出している、鶏卵大で正面から見ると「洋梨型」と形容される形の臓器である。人を逆立ちさせたイメージから、腹腔につきだす上2/3の赤ちゃんを宿すところを子宮体部といい、宿る空洞(内腔)は子宮内膜で内張りされ、壁は筋肉でできている(筋層)。体部の外側は腹膜(漿膜)でおおわれている。
4.× 卵巣動脈は、卵巣固有靱帯(固有卵巣索)「内」ではなく「」を通る。卵巣動脈は、腹大動脈から分岐し、尿管の前を下外方に走り卵巣に達する動脈である。ちなみに、卵巣動脈の枝は卵管も栄養する。卵巣静脈は大静脈が背骨より右側にあるため、右は大静脈に、左は腎静脈に合流する。また、卵巣固有靱帯(固有卵巣索)とは、卵巣を骨盤壁に固定している靭帯の一つである。

 

 




 

 

3 子宮頸がん検診で適切なのはどれか。

1.NILMでは精密検査を勧める。
2.子宮頸部細胞診の検体採取は吸引法で行う。
3.ベセスダシステムに基づいた分類で報告される。
4.日本における対象者の受検率は70 %を超えている。

解答

解説

(※図引用:「第24回がん検診のあり方に関する検討会」厚生労働省HPより)

1.× NILMでは精密検査を勧める必要はない。なぜなら、NILM(Negative for Intraepithelial Lesion or Malignancy)は「異常なし」という意味であるため。また、ベセスダシステムでは「異常なしだが定期健診は必要である」という意味である。いずれにしても精密検査を勧める必要はない。
2.× 子宮頸部細胞診の検体採取は、「吸引法」ではなく子宮頸部擦過細胞診子宮内膜細胞診で行う。つまり、子宮頸部細胞診の検体採取は、綿棒やブラシ、エンドサイトで細胞を擦過して採取する。
3.〇 正しい。ベセスダシステムに基づいた分類で報告される。ベセスダシステムとは、子宮頸がんの細胞診報告様式である。従来のクラス分類ではなく推定病変を一定の基準で記載やヒトパピローマウイルス(HPV)関与のエビデンスが取り入れられるようになった国際分類である。ベセスダシステムの分類は4段階であり、①NILM、②LSIL、③HSIL、④SCCに分けられる。
4.× 日本における対象者の受検率は、「70%以上」ではなく40%程度である。ただ、年々増加している。他の先進国に比べて極めて低い。例えば、アメリカでは約80%、イギリスでは75%、ニュージーランドやオランダも70%超えている。(参考データ:「資料:OECD, OECD Health Data 2015, Nov 2015」)

ベセスダシステムの分類

セスダシステムとは、子宮頸がんの細胞診報告様式である。従来のクラス分類ではなく推定病変を一定の基準で記載やヒトパピローマウイルス(HPV)関与のエビデンスが取り入れられるようになった国際分類である。

NILM(クラスⅠ・Ⅱ):正常な細胞のみ。
ASC-US(クラスⅡ・Ⅲa):異形成と言い切れないけれど細胞に変化がある。
ASC-H(クラスⅢa・Ⅲb):高度な細胞異型の可能性がある。
LSIL(クラスⅢa):HPV感染や軽度異形成と考えられる。
HSIL(クラスⅢa・Ⅲb・Ⅳ):中等度異形成・高度異形成・上皮内癌と考えられる。
SCC(クラスⅣ・Ⅴ):明らかな扁平上皮がんと考えられる。

 

 

 

 

 

4 受精卵の着床で正しいのはどれか。

1.着床するのは胞胚期である。
2.子宮内膜の増殖期に着床する。
3.受精卵は受精後10日目に着床する。
4.子宮内膜に接着してから透明帯が消失する。

解答

解説

胚盤胞に関する基礎知識

卵割球
・前核期胚(1日目)
・4分割期胚(2日目)
・8分割期胚(3日目)

桑実胚(4日目):割球が16個から32個の状態を指す。

胚盤胞(5日目):胎盤と胎児になる部分が確認できる状態になっているより成長した胚。

1.〇 正しい。着床するのは胞胚期である。精子と卵子は卵管膨大部で受精し、分裂は卵管内で受精後24時間以降、1~2日で開始する。着床するのは胞胚期で受精後6~7日である。
2.× 子宮内膜の「増殖期」ではなく分泌期に着床する。子宮体部の内側を覆っているのが子宮内膜であり、増殖期と分泌期がある。月経初日から14日目頃の排卵日までを増殖期という。卵巣刺激ホルモン(FSH)の働きで卵胞から卵胞ホルモン(エストロゲン)が分泌され、子宮内膜が増殖する。その後の14日間を分泌期という。分泌期では排卵を機に卵巣の黄体からは黄体ホルモン(プロゲステロン)が分泌され、子宮内膜は次第に厚みを増して着床の準備を整える。子宮内膜の厚さは7~8mm以上あると良いとされている。
3.× 受精卵は受精後「10日目」ではなく7日目に着床する。着床とは、輸送された受精卵が子宮内膜に接着し、さらに埋没するまでの過程をいう。受精卵は、胚盤胞の状態で子宮内膜に接着する。着床は排卵後7~10日頃から始まり、受精後12日頃に完了する。
4.× 子宮内膜に「接着してから」ではなく、接着する前に透明帯が消失する。透明帯とは、卵子の細胞膜を取り囲んで多精子受精を防ぐことや着床前の初期胚の保護を行う。卵子の周りに透明帯、卵丘細胞が取り囲む。受精卵が胚盤胞になり2日程度で透明帯が消失する。その後、子宮内膜に接着する。

月経周期

・卵胞期:1回の月経周期が始まると脳の底の方にある下垂体というところから、卵を包んでいる卵胞を刺激する卵胞刺激ホルモン(FSH)が分泌されはじめ、卵胞は大きくなると同時に女性ホルモン(エストロゲン)を分泌する時期。
・増殖期:女性ホルモン(エストロゲン)が新しい子宮内膜を成長させていく時期。卵胞期と増殖期とはだいたい同じ時期。
・黄体期:排卵した後の卵胞(黄体)から黄体ホルモン(プロゲステロン)が分泌されるようになる時期。
・分泌期:子宮内膜が成長を止めて受精卵が着床できるよう準備をする時期。

 

 




 

 

5 胚葉由来と組織との組合せで正しいのはどれか。

1.内胚葉:中枢神経
2.外胚葉:平滑筋
3.中胚葉:甲状腺
4.中胚葉:心臓

解答

解説

1.× 中枢神経は、「内胚葉」ではなく外胚葉である。ちなみに、内胚葉由来のものには心臓、消化器、呼吸器、膀胱・尿道などがある。脳や脊髄を含む中枢神経、末梢神経は外胚葉由来である。
2.× 平滑筋は、「外胚葉」ではなく中胚葉である。ちなみに、外胚葉由来のものには皮膚、神経系、感覚器がある。横紋筋や平滑筋は中胚葉由来である。
3.× 甲状腺は、「中胚葉」ではなく内胚葉である。ちなみに、中胚葉由来のものには骨格系、筋肉、循環系、泌尿生殖系などがある。甲状腺は内胚葉由来である。
4.〇 正しい。心臓は、中胚葉由来である。ちなみに、内胚葉由来のものに心臓が含まれる。他に消化器、呼吸器、膀胱・尿道などが内胚葉由来である。

各胚葉に由来する器官

外胚葉:神経(脳・脊髄)・表皮(毛・爪)・感覚器(視・聴覚)
中胚葉:骨格(軟骨)・筋・循環器系(心臓・血管・リンパ)・泌尿生殖器(腎臓・精巣・子宮・卵巣)
内胚葉:消化器(胃・腸)・呼吸器(気管・肺)・尿路系(膀胱・尿道)

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)