第103回(R2) 助産師国家試験 解説【午前11~15】

 

11 配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律<DV防止法>に定められている配偶者からの暴力に関する医療関係者の対応で正しいのはどれか。

1.通報先は児童相談所である。
2.通報することは守秘義務に反する。
3.事実上婚姻関係にある被害者については通報できない。
4.配偶者暴力相談支援センター等の利用について被害者に情報提供する。

解答

解説

配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律(DV防止法)とは?

配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律(DV防止法)とは、今まで家庭内に潜在してきた女性への暴力について、女性の人権擁護と男女平等の実現を図るため、夫やパートナーからの暴力の防止、及び被害者の保護・支援を目的として作られた法律である。

【主な内容】
①配偶者からの暴力の定義
②国及び地方公共団体の責務
③配偶者暴力相談支援センター
④一時保護
⑤情報提供・通報
⑥警察官による被害の防止・警察本部長等の援助
⑦福祉事務所による自立支援
⑧各関係機関連携
⑨保護命令

(※参考:「DV防止法とは?」千葉県HPより)

1.× 通報先は、「児童相談所」ではなく警察または配偶者暴力相談支援センターである。これは、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律<DV防止法>の第6条2項「医師その他の医療関係者は、その業務を行うに当たり、配偶者からの暴力によって負傷し又は疾病にかかったと認められる者を発見したときは、その旨を配偶者暴力相談支援センター又は警察官に通報することができる。この場合において、その者の意思を尊重するよう努めるものとする」と定められている。
2.× 通報することは守秘義務に「反しない」。これは、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律<DV防止法>の第6条2項「医師その他の医療関係者は、その業務を行うに当たり、配偶者からの暴力によって負傷し又は疾病にかかったと認められる者を発見したときは、その旨を配偶者暴力相談支援センター又は警察官に通報することができる。この場合において、その者の意思を尊重するよう努めるものとする」と定められている。
3.× 事実上婚姻関係にある被害者についても「通報できる」。これは、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律<DV防止法>の第1条3項「この法律にいう「配偶者」には、婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含み、「離婚」には、婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にあった者が、事実上離婚したと同様の事情に入ることを含むものとする」と定められている。
4.〇 正しい。配偶者暴力相談支援センター等の利用について被害者に情報提供する。これは、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律<DV防止法>の第6条4項「医師その他の医療関係者は、その業務を行うに当たり、配偶者からの暴力によって負傷し又は疾病にかかったと認められる者を発見したときは、その者に対し、配偶者暴力相談支援センター等の利用について、その有する情報を提供するよう努めなければならない」と定めらえている。

配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律
(配偶者からの暴力の発見者による通報等)
第六条 配偶者からの暴力(配偶者又は配偶者であった者からの身体に対する暴力に限る。以下この章において同じ。)を受けている者を発見した者は、その旨を配偶者暴力相談支援センター又は警察官に通報するよう努めなければならない。
2 医師その他の医療関係者は、その業務を行うに当たり、配偶者からの暴力によって負傷し又は疾病にかかったと認められる者を発見したときは、その旨を配偶者暴力相談支援センター又は警察官に通報することができる。この場合において、その者の意思を尊重するよう努めるものとする。
3 刑法(明治四十年法律第四十五号)の秘密漏示罪の規定その他の守秘義務に関する法律の規定は、前二項の規定により通報することを妨げるものと解釈してはならない。
4 医師その他の医療関係者は、その業務を行うに当たり、配偶者からの暴力によって負傷し又は疾病にかかったと認められる者を発見したときは、その者に対し、配偶者暴力相談支援センター等の利用について、その有する情報を提供するよう努めなければならない。
 
(※一部引用:「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律」e-GOV法令検索様HPより)

 

 

 

 

 

12 助産所で妊婦健康診査を受けた妊婦の所見で、嘱託医師への相談・報告が必要なのはどれか。

1.妊娠25週で骨盤位であった。
2.妊娠29週で胎児心拍数基線が155bpmであった。
3.妊娠34週で悪心・嘔吐の訴えで来所した。
4.妊娠37週で1時間に4回以上の子宮収縮がみられた。

解答

解説

1.× 妊娠25週で骨盤位であった場合は、嘱託医師への相談・報告が必要ない。なぜなら、妊娠28週ごろまでは骨盤位となりやすく、また、骨盤位は出産をするその瞬間まで正しい位置に戻る可能性もあるため。ちなみに、骨盤位(逆子)とは、頭が上でお尻が下の姿勢である。正式に骨盤位と診断をされるのは妊娠30~32週ごろである。
2.× 妊娠29週で胎児心拍数基線が155bpmであった場合は、嘱託医師への相談・報告が必要ない。なぜなら、妊娠29週で胎児心拍数基線が155bpmは正常範囲であるため。ちなみに、胎児心拍数基線とは、10分間の区間の平均心拍数である。正常値は110〜160bpmとされ160bpm以上になると頻脈、110bpm以下の場合は徐脈と判断される。
3.〇 正しい。妊娠34週で悪心・嘔吐の訴えで来所した場合、嘱託医師への相談・報告が必要である。妊娠後期(妊娠28週以降)になると子宮が胃を圧迫することで胃液が食道に流れやすくなり、悪心・嘔吐などの症状を起こすことがある。また、常位胎盤早期剝離の可能性も考えられ、血圧が高い場合には、妊娠高血圧症候群の症状としてもまれに悪心・嘔吐がみられる。
4.× 妊娠37週で1時間に4回以上の子宮収縮がみられた場合は、嘱託医師への相談・報告が必要ない。なぜなら、妊娠37週で1時間に4回以上の子宮収縮は、正期産期の時期で、前駆陣痛や本陣痛へなる可能性があるため。

常位胎盤早期剥離とは?

常位胎盤早期剥離とは、子宮壁の正常な位置に付着している胎盤が、通常は妊娠20週以降に剥がれてしまうことである。性器出血や激しい腹痛が起こり、ショック状態を起こすこともある。胎盤が早い時期に剥がれると、在胎週数の割に成長しなかったり、死亡することさえある。治療の原則は、可能な限り速やかに分娩を行うこととされている。短時間のうちに経腟分娩が可能と判断される場合は、経腟での分娩を試みることもあるが、多くの場合は緊急帝王切開術で分娩を行う。

妊娠高血圧症候群とは?

妊娠高血圧症候群とは、妊娠時に高血圧(血圧140/90mmHg以上)を発症した場合をいう。妊娠前から高血圧を認める場合、もしくは妊娠20週までに高血圧を認める場合を高血圧合併妊娠という。妊娠20週以降に高血圧のみ発症する場合は妊娠高血圧症、高血圧と蛋白尿を認める場合は妊娠高血圧腎症と分類される。肥満女性は妊娠高血圧症候群、妊娠糖尿病、帝王切開分娩、巨大児などのリスクが高い。常位胎盤早期剥離の原因には、妊娠高血圧症候群(合併率 25~50%)、子宮内感染、子宮内圧の急激な変化などが挙げられる。

 

 




 

 

13 産科医療補償制度再発防止委員会の報告書に基づき、常位胎盤早期剝離に関する妊婦や家族に行う保健指導はどれか。

1.禁酒
2.厳密な体重管理
3.入院による安静の確保
4.気になる症状がある場合の医療機関への早期連絡

解答

解説

(※図引用:「常位胎盤早期剥離ってなに?」産科医療補償制度再発防止委員会HPより)

1.× 禁酒は保健指導に含まれない。常位胎盤早期剥離の危険因子の一つに「飲酒」ではなく喫煙がある。妊娠中の喫煙は、切迫早産や常位胎盤早期剥離を起こしやすくし、胎児の発育に悪影響を与える。より安全な妊娠や分娩のためにも、お母さん自身の喫煙はもちろんのこと、周囲の人も、お母さんのそばでの喫煙はやめるよう指導する。
2.× 厳密な体重管理は保健指導に含まれない。常位胎盤早期剥離の危険因子には、①妊娠高血圧症候群、②常位胎盤早期剥離の既往、③切迫早産(前期破水)、④外傷(交通事故など)、⑤喫煙がある。妊娠中の急激な体重増加は、妊娠高血圧症候群にかかるリスクを上昇させると言われているが、「厳密な体重管理」は必要なく、3㎏の幅で適正体重が設定されている。
3.× 入院による安静の確保は保健指導に含まれない。入院による安静の確保が必要なのは切迫早産である。
4.〇 正しい。気になる症状がある場合の医療機関への早期連絡は、常位胎盤早期剝離に関する妊婦や家族に行う保健指導である。常位胎盤早期剥離の早期発見・予防につなげるためには、妊産婦が適切な時期や間隔で妊婦健診を受け、気になる症状がある場合の医療機関への早期連絡をしてもらうように指導する。「代表的な症状がみられなくても、いつもと違う症状があり、判断に困るときは、我慢せずに分娩機関に相談しましょう」と記載されている(※一部引用:「常位胎盤早期剥離ってなに?」産科医療補償制度再発防止委員会HPより)。

常位胎盤早期剥離とは?

常位胎盤早期剥離とは、子宮壁の正常な位置に付着している胎盤が、通常は妊娠20週以降に剥がれてしまうことである。性器出血や激しい腹痛が起こり、ショック状態を起こすこともある。胎盤が早い時期に剥がれると、在胎週数の割に成長しなかったり、死亡することさえある。治療の原則は、可能な限り速やかに分娩を行うこととされている。短時間のうちに経腟分娩が可能と判断される場合は、経腟での分娩を試みることもあるが、多くの場合は緊急帝王切開術で分娩を行う。常位胎盤早期剥離の危険因子には、①妊娠高血圧症候群、②常位胎盤早期剥離の既往、③切迫早産(前期破水)、④外傷(交通事故など)、⑤喫煙がある。

 

 

 

 

 

14 新生児溶血性疾患で正しいのはどれか。

1.日齢10以降に発症する。
2.末梢血中の網赤血球が減少する。
3.間接ビリルビン優位の高ビリルビン血症となる。
4.ABO不適合溶血性疾患は母親の血液型がAB型の時に発症する。
5.RhD不適合溶血性疾患は第2子より第1子の発症リスクが高い。

解答

解説

新生児溶血性疾患とは?

新生児溶血性疾患とは、母体の抗体によって赤血球が分解または破壊される病気です。溶血とは、赤血球が破壊される現象です。
・この病気は、母体の血液が胎児の血液に適合していない場合に起こることがあります。
・診断は母親と場合により父親の血液検査の結果に基づいて下されます。
・新生児がこの病気にかかるのを予防するために、ときに妊娠中の母親に免疫グロブリンが投与されることがあります。
・治療法としては、分娩前の胎児への輸血や、分娩後の新生児への輸血などがあります。
・溶血性疾患がある分娩後の新生児は、むくんでいたり、皮膚が青ざめていたり、黄色かったりすることがある(黄疸)ほか、肝臓や脾臓が大きかったり、貧血や体液の貯留がみられることがあります。

(※一部引用:「新生児溶血性疾患」MSD家庭版より)

1.× 「日齢10以降」ではなく胎児もしくは出生後すぐに発症する。胎盤から移行した抗体が胎児の赤血球と結合すると、胎児の赤血球が壊れ、胎児は貧血となる。貧血が高度になれば心不全、胎児水腫などを引き起こし、胎内死亡に至ることもある。また出生後には黄疸が強くなり、脳性麻痺や死亡の原因(核黄疸)となることもある。
2.× 末梢血中の網赤血球が「減少」ではなく増加する。網赤血球とは、成熟した赤血球のひとつ前の段階の未熟な赤血球のことである。貧血のタイプにより高値・低値を示す。溶血性貧血では、骨髄での赤血球造血が亢進し網赤血球は増加する
3.〇 正しい。間接ビリルビン優位の高ビリルビン血症となる。間接ビリルビンが上昇する代表的な疾患は溶血性貧血であり、溶血により多くの赤血球が壊れ、ビリルビンが肝臓の処理能力を超えて過剰に増加する。ちなみに、ビリルビンとは、赤血球が壊れたときにできる黄色い色素のことである。
4.× ABO不適合溶血性疾患は、「母親の血液型がAB型の時」ではなく主にO型で児がA型あるいはB型の場合に発症する。A抗原やB抗原は赤血球の表面以外にも食品や細菌などの自然界にも存在しているので、妊娠と関係なく抗A抗体や抗B抗体がすでに産生されていることもあり、初めての妊娠の時にもABO不適合妊娠は起きる可能性がある。母体の体内で産生された抗A抗体や抗B抗体が児の赤血球のA抗原やB抗原にそれぞれ結合し赤血球が壊れる。ABO不適合妊娠では妊娠中に胎児死亡をきたすような重症例はないとされているが、出生後は黄疸が強くなることがある。
5.× 逆である。RhD不適合溶血性疾患は、「第1子」より「第2子」の発症リスクが高い。RhD不適合溶血性疾患は、Rh(-)の女性が、Rh(+)の第2子を妊娠したときには起こる。この母体中のIgG抗体が経胎盤的に胎児に移行し、それが胎児の赤血球を破壊するため、第2子に発症リスクが高い。Rh(-)の女性が初めて妊娠し、分娩時にRh(+)の胎児の血液が母体内へ侵入すると、母体にRh(+)の血球に対する抗体が作られること(母体感作)によって起こる。予防として、第1子分娩後24時間以内に抗D抗体を含むγグロブリンを母体に投与する。

ABO血液型不適合とは?

その他の血液型不適合が、同様の(しかし、より軽症の)溶血性疾患を引き起こすことがあります。例えば、母親の血液型がOで胎児の血液型がAかBである場合、母親の胎内では抗Aまたは抗Bの抗体が作られます。すると、その抗体が大量に胎盤を通過し、胎児の赤血球に結合してそれらを破壊します(溶血)。その結果、軽度の貧血と高ビリルビン血症が起きることがあります。このタイプの血液型不適合を、ABO血液型不適合といいます。ABO血液型不適合は、たいていはRh式血液型不適合と比べて軽い貧血を起こし、Rh式血液型不適合とは違ってその後妊娠するたびに軽くなっていくのが通常です。

(※一部引用:「新生児溶血性疾患」MSD家庭版より)

 

 




 

 

15 卵巣で正しいのはどれか。

1.内胚葉由来の臓器である。
2.子宮と卵巣堤索で連絡する。
3.卵胞は卵巣皮質に存在する。
4.卵胞刺激ホルモン<FSH>を産生する。
5.原始卵胞数のピークは30歳代である。

解答

解説

1.× 卵巣は、「内胚葉由来」ではなく中胚葉由来の臓器である。中胚葉由来には、泌尿生殖器(腎臓・精巣・子宮・卵巣)が当てはまる。
2.× 卵巣は、子宮と「卵巣堤索」ではなく卵巣固有靱帯(卵巣固有索)で連絡する。つまり、子宮と卵巣をつなぐのは卵巣固有靱帯(卵巣固有索)である。ちなみに、卵巣堤索(骨盤漏斗靱帯)は卵巣と骨盤壁につながる。
3.〇 正しい。卵胞は卵巣皮質に存在する。卵巣の内部は、外側部の皮質と中心部の髄質と分けられ、卵胞は卵巣皮質に存在する。
4.× 卵巣は、「卵胞刺激ホルモン<FSH>」ではなく、エストロゲンを産生する。エストロゲンは、卵巣から放出され子宮に作用して、受精卵のベッドとなる子宮内膜を厚くする働きをする。ちなみに、卵胞刺激ホルモン<FSH>は、脳下垂体前葉から分泌される。卵胞刺激ホルモンと黄体形成ホルモンを性腺刺激ホルモンと呼ぶ。
5.× 原始卵胞数のピークは「30歳代」ではなく胎児期である。胎児の卵巣には600万~700万個の卵母細胞が存在し、卵母細胞の大半は次第に消失していき、出生時までに100万~200万個程度にまで減少する。思春期には約40万個となる。

各胚葉に由来する器官

外胚葉:神経(脳・脊髄)・表皮(毛・爪)・感覚器(視・聴覚)
中胚葉:骨格(軟骨)・筋・循環器系(心臓・血管・リンパ)・泌尿生殖器(腎臓・精巣・子宮・卵巣)
内胚葉:消化器(胃・腸)・呼吸器(気管・肺)・尿路系(膀胱・尿道)

 

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