第103回(R2) 助産師国家試験 解説【午前11~15】

 

11 配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律<DV防止法>に定められている配偶者からの暴力に関する医療関係者の対応で正しいのはどれか。

1.通報先は児童相談所である。
2.通報することは守秘義務に反する。
3.事実上婚姻関係にある被害者については通報できない。
4.配偶者暴力相談支援センター等の利用について被害者に情報提供する。

解答

解説

1.× 通報先は児童相談所ではなく、警察、または配偶者暴力相談支援センターである。
2.× 配偶者からの暴力を通報することは守秘義務に反しない。ただし被害者の意思を尊重することが求められる。
3.× 事実上婚姻関係にある被害者についても通報することができる。
4.〇 正しい。配偶者暴力相談支援センター等の利用について被害者に情報提供する。

 

 

 

 

 

12 助産所で妊婦健康診査を受けた妊婦の所見で、嘱託医師への相談・報告が必要なのはどれか。

1.妊娠25週で骨盤位であった。
2.妊娠29週で胎児心拍数基線が155 bpmであった。
3.妊娠34週で悪心・嘔吐の訴えで来所した。
4.妊娠37週で1時間に回以上の子宮収縮がみられた。

解答

解説

1.× 骨盤位(逆子)とは、頭が上でお尻が下の姿勢である。正式に骨盤位と診断をされるのは妊娠30~32週ごろである。骨盤位は出産をするその瞬間まで正しい位置に戻る可能性もある。妊娠25週での骨盤位は今後変化する可能性があるため、現段階で嘱託医師への相談・報告の必要はない。
2.× 胎児心拍数基線(FHR baseline)とは、10分間の区間の平均心拍数である。正常値は110〜160bpmとされ160bpm以上になると頻脈、110bpm以下の場合は徐脈と判断される。妊娠29週で胎児心拍数基線が155bpmは正常範囲であり、嘱託医師への相談・報告は必要でない。
3.〇 正しい。妊娠後期(妊娠28週以降)になると子宮が胃を圧迫することで胃液が食道に流れやすくなり、悪心・嘔吐などの症状を起こすことがある。また血圧が高い場合には、妊娠高血圧症候群の症状としてもまれに悪心・嘔吐がみられるため、妊娠34週で悪心・嘔吐の訴えは嘱託医師への相談・報告が必要である。
4.× 妊娠37週で1時間に4回以上の子宮収縮は前駆陣痛や本陣痛へなる可能性があるため、嘱託医師への相談や報告は必要ない。

 

 

 

 

 

13 産科医療補償制度再発防止委員会の報告書に基づき、常位胎盤早期剝離に関する妊婦や家族に行う保健指導はどれか。

1.禁酒
2.厳密な体重管理
3.入院による安静の確保
4.気になる症状がある場合の医療機関への早期連絡

解答

解説

1.× 常位胎盤早期剥離の危険因子は飲酒ではなく喫煙である。禁煙は妊産婦が自らできる行動であることから、喫煙している妊産婦に対しては積極的な保健指導が必要である。
2.× 常位胎盤早期剥離の危険因子には、①妊娠高血圧症候群、②常位胎盤早期剥離の既往、③切迫早産(前期破水)、④外傷(交通事故など)が危険因子として記されており、適切な体重管理も必要ではあるが、気になる症状がある場合の医療機関への早期連絡が最も必要な保健指導である。
3.× 入院による安静の確保が必要なのは切迫早産である。切迫早産は常位胎盤早期剥離の危険因子であるが、常位胎盤早期剥離の予防のために入院による安静の確保は必要ではない。
4.〇 正しい。常位胎盤早期剥離とは、正常位置(子宮体部)に付着している胎盤が妊娠中または分娩経過中の胎児娩出以前に子宮壁から剥離することである。常位胎盤早期剥離の早期発見・予防につなげるためには、妊産婦が適切な時期や間隔で妊婦健診を受け、気になる症状がある場合の医療機関への早期連絡をしてもらうように指導する。

 

 

 

 

 

14 新生児溶血性疾患で正しいのはどれか。

1.日齢10以降に発症する。
2.末梢血中の網赤血球が減少する。
3.間接ビリルビン優位の高ビリルビン血症となる。
4.ABO不適合溶血性疾患は母親の血液型がAB 型の時に発症する。
5.RhD不適合溶血性疾患は第2子より第1子の発症リスクが高い。

解答

解説

1.× 新生児溶血性疾患は日齢10以降ではなく、胎児もしくは出生後すぐに発症する恐れがある。胎盤から移行した抗体が胎児の赤血球と結合すると、胎児の赤血球が壊れ、胎児は貧血となる。貧血が高度になれば心不全、胎児水腫などを引き起こし、胎内死亡に至ることもある。また出生後には黄疸が強くなり、脳性麻痺や死亡の原因(核黄疸)となることもある。
2.× 網赤血球とは成熟した赤血球のひとつ前の段階の未熟な赤血球のことであり、貧血のタイプにより高値・低値を示す。溶血性貧血では、骨髄での赤血球造血が亢進し網赤血球は増加するため、末梢血中の網赤血球が減少するのではなく増加する。
3.〇 正しい。間接ビリルビンが上昇する代表的な疾患は溶血性貧血であり、溶血により赤血球がたくさん壊れ、ビリルビンが肝臓の処理能力を超えて過剰に増加するため、間接ビリルビン優位の高ビリルビン血症となる。
4.× ABO不適合溶血性疾患は母親の血液型がAB型の時ではなく、主にO型で児がA型あるいはB型の場合に起きる。A抗原やB抗原は赤血球の表面以外にも食品や細菌などの自然界にも存在しているので、妊娠と関係なく抗A抗体や抗B抗体がすでに産生されていることもあり、初めての妊娠の時にもABO不適合妊娠は起きる可能性がある。母体の体内で産生された抗A抗体や抗B抗体が児の赤血球のA抗原やB抗原にそれぞれ結合し赤血球が壊れる。ABO不適合妊娠では妊娠中に胎児死亡をきたすような重症例はないとされているが、出生後は黄疸が強くなることがある。
5.× RhD不適合溶血性疾患は、Rh(-)の女性がRh(+)の第2子を妊娠したときには、この母体中のIgG抗体が経胎盤的に胎児に移行し、それが胎児の赤血球を破壊するため、第2子に発症リスクが高い。Rh(-)の女性が初めて妊娠し、分娩時にRh(+)の胎児の血液が母体内へ侵入すると、母体にRh(+)の血球に対する抗体が作られること(母体感作)によって起こる。

 

 

 

 

 

15 卵巣で正しいのはどれか。

1.内胚葉由来の臓器である。
2.子宮と卵巣堤索で連絡する。
3.卵胞は卵巣皮質に存在する。
4.卵胞刺激ホルモン<FSH>を産生する。
5.原始卵胞数のピークは30歳代である。

解答

解説

1.× 卵巣は内胚葉由来の臓器ではなく、内胚葉由来の臓器である。中胚葉由来の臓器には精巣や子宮などの性腺がある。
2.× 子宮と卵巣をつなぐのは卵巣固有靱帯(卵巣固有索)である。卵巣堤索(骨盤漏斗靱帯)は卵巣と骨盤壁につながる。
3.〇 正しい。卵巣の内部は外側部の皮質と中心部の髄質とわけられるが、卵胞は卵巣皮質に存在する。
4.× 卵胞刺激ホルモン<FSH>は脳下垂体前葉から分泌される性腺刺激ホルモンであり、性腺に対して作用する。卵巣はエストロゲンを産生する。
5.× 原始卵胞数のピークは30歳代ではなく胎児期であり、誕生時に200万個あるのが徐々に減っていく。

 

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