第103回(R2) 助産師国家試験 解説【午後11~15】

 

11 日本における生殖補助医療による出生児数の推移のグラフを示す。
 Aはどれか。

1.顕微授精出生児
2.体外受精出生児
3.凍結融解胚移植出生児
4.提供配偶子による出生児

解答

解説

1.× 顕微授精出生児はBである。顕微授精(ICSI:卵細胞質内精子注入法)とは、体外受精がうまくいかない場合や精子の数が非常に少ない重症の男性不妊症が発覚した場合に行われ、精子を直接卵子に注入する顕微授精のことである。
2.× 体外受精出生児はCである。体外受精・胚移植(IVF-ET)とは、受精し分裂した卵を子宮内に移植することである。つまり、同じお皿に精子と卵子を一緒に培養して受精をさせる一般的な体外受精のことをいう。
3.〇 正しい。凍結融解胚移植出生児はAである。凍結融解胚移植(FET)とは、採卵をして受精した胚を一旦凍結して、次以降の周期で胚を融解し移植する技術のことである。凍結保護剤の入った培養液の中に胚(受精卵)を入れて急速に融解し、融解後数時間~数日培養して最終的な状態を確認して子宮内に移植する。凍結融解胚移植出生児が年々増えている理由として、2つ挙げられる。①:1回の採卵で複数個の胚を凍結できることが多く複数回胚移植ができること、②:着床に適した状態で胚を子宮に移植することができ高い妊娠率が見込めること、③:胚の凍結融解技術が向上し、ほとんど胚がダメージを受けなくなったことなどである。
4.× 提供配偶子による出生児は図に示されていない。精子や卵子の提供配偶子による体外受精には非配偶者間体外受精がある。配偶子のない人または自身の配偶子では妊娠・出産が不可能な人が配偶子を提供してもらい体外受精を行う方法である。

 

 

 

 

 

12 助産所における胎盤の取扱いで適切なのはどれか。

1.助産所の敷地内に埋める。
2.廃棄数を自治体へ報告する。
3.産婦の自宅への持ち帰りを許可する。
4.市町村長の許可を受けた廃棄物収集運搬業者に委託する。

解答

解説

胞衣及び産汚物の取扱いについて

胞衣及び産汚物取締条例(胞衣条例)に記載されている。
【第1条の2及び同第2条】許可を受けていない者の胞衣及び産汚物の処理を禁止している。
【用語の定義 】胞衣とは、胎盤や臍帯(へその緒)、卵膜及び妊娠4箇月未満の死胎をいい、「胎盤、臍帯(へその緒)、卵膜 」は妊娠中絶、分娩に関わらず母体より排出されたもの全てを指す。「妊娠4箇月未満の死胎」は妊娠中絶又は死産により発生するものである。妊娠4箇月以上の死胎は「墓地 、埋葬等に関する法律」の対象となることから、妊娠4箇月の計算は同法と同 様に日本産科婦人科学会の計算法に従うものであり、1ヵ月を28日と計算し、28×3+1=85日以上が妊娠4箇月以上となり、妊 娠84日以下の死胎が本条例の対象である。

1.3.× 助産所の敷地内に埋める/産婦の自宅への持ち帰りを許可することはできない。なぜなら、胎盤などは人の臓器に該当し、自宅への持ち帰りや土の中へ埋めることはできないため。したがって、胎盤も同様、感染医療廃棄物として扱われ、他の感染医療廃棄物と一緒に処理する。
2.〇 正しい。廃棄数を自治体へ報告する。廃棄物収集運搬業者は、廃棄物排出状態について、報告書を提出することになっている。
4.× 「市町村長」ではなく、都道府県知事もしくは政令市長の許可を受けた廃棄物収集運搬業者に委託する。ちなみに、一般廃棄物は、市町村長または特別区長の許可を受けた廃棄物収集運搬業者に委託する。

 

 




 

 

13 Aさん(36歳、初産婦)。産後1か月。体重53kgで、非妊時から2kg減少している。母乳のみで授乳している。Aさんの平均摂取カロリー量は1,950kcal/日であった。
 授乳期に推奨される1日当たりの摂取カロリー量にするために、Aさんが増量する必要があるカロリー量で正しいのはどれか。

1.100kcal
2.200kcal
3.400kcal
4.600kcal

解答

解説

本症例のポイント

・Aさん(36歳、初産婦)
・産後1か月:体重53kg、非妊時から2kg減少
・母乳のみで授乳。
・Aさんの平均摂取カロリー量:1,950kcal/日
→本症例は、現在まで体重が減少傾向であることからエネルギー量が不足していると考えられる。まずAさん(36歳の活動レベルⅡ)の基礎代謝量は2000kcal/日である。そこに、授乳婦付加量を350kcal/日を加える必要がある。つまり、Aさんは1日2350kcal/日(2000+350)が必要である。したがって、現在のAさんの平均摂取カロリー量1,950kcal/日に400kcal/日を追加して生活してもらう。

1〜2.× 100kcal/200kcalは、まだ不足している。
3.〇 正しい。400kcalは、Aさんが増量する必要があるカロリー量である。本症例は、現在まで体重が減少傾向であることからエネルギー量が不足していると考えられる。まずAさん(36歳の活動レベルⅡ)の基礎代謝量は2000kcal/日である。そこに、授乳婦付加量を350kcal/日を加える必要がある。つまり、Aさんは1日2350kcal/日(2000+350)が必要である。したがって、現在のAさんの平均摂取カロリー量1,950kcal/日に400kcal/日を追加して生活してもらう。
4.× 600kcalは、過量である。

(※図引用:「食事実践ガイドブック本編」千葉県HPより)

 

 

 

 

 

14 Aさん(17歳、高校生)。母親とともに月経前症候群の相談で産婦人科を受診した。月経周期は30日型で規則的で、月経痛がある時は市販の痛み止めを時々服用している。医師の診察では子宮、卵巣に形態的異常はなかった。A さんは「月経前の数日間は、いつもイライラして憂鬱な感じがある。授業に集中できず、担任の先生にしばしば注意を受けてしまい、困っている」と助産師に話した。
 Aさんへの助産師の助言で適切なのはどれか。

1.「低用量ピルによる治療の選択肢があります」
2.「月経開始前から痛み止めを使いましょう」
3.「月経前は学校を休むようにしましょう」
4.「月経前の症状は自然に治ります」

解答

解説

本症例のポイント

・Aさん(17歳、高校生)
・月経周期:30日型、規則的、月経痛がある時は市販の痛み止めを時々服用。
・子宮、卵巣:形態的異常なし。
・A さん「月経前の数日間は、いつもイライラして憂鬱な感じがある。授業に集中できず、担任の先生にしばしば注意を受けてしまい、困っている」と。
→本症例は、月経前症候群が疑われる。月経前症候群とは、月経前、3~10日の間続く精神的あるいは身体的症状で、月経開始とともに軽快ないし消失するものをいう。原因は、はっきりとはわかっていないが、女性ホルモンの変動が関わっていると考えられている。排卵のリズムがある女性の場合、排卵から月経までの期間(黄体期)にエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)が多く分泌される。この黄体期の後半に卵胞ホルモンと黄体ホルモンが急激に低下し、脳内のホルモンや神経伝達物質の異常を引き起こすことが、PMSの原因と考えられている。しかし、脳内のホルモンや神経伝達物質はストレスなどの影響を受けるため、PMSは女性ホルモンの低下だけが原因ではなく多くの要因から起こるといわれている。精神神経症状として情緒不安定、イライラ、抑うつ、不安、眠気、集中力の低下、睡眠障害、自律神経症状としてのぼせ、食欲不振・過食、めまい、倦怠感、身体的症状として腹痛、頭痛、腰痛、むくみ、お腹の張り、乳房の張りなどがある。とくに精神状態が強い場合には、月経前不快気分障害(PMDD)の場合もある。治療法として、①日常生活の改善、②薬物療法(排卵抑制療法、症状に対する治療法、漢方療法)があげられる。

1.〇 正しい。「低用量ピルによる治療の選択肢があります」と助言する。本症例は、月経前症候群が疑われる。治療法として、①日常生活の改善、②薬物療法(排卵抑制療法、症状に対する治療法、漢方療法)があげられる。低用量ピルはホルモンバランスを安定させる効果がある。他の症状に対し、頭痛・腹痛に対しプロスタグランジン阻害薬、浮腫(水分貯留)に対し利尿剤、情緒不安定に対し精神安定剤などを処方することがある。
2.× 月経開始前から痛み止めを使う必要はない。なぜなら、痛み止めは痛みに対し作用するため。月経開始前(痛みが発生していない時点)では効果を示さない。月経後(痛み発生)に服用する。
3.× 月経前、学校を休む必要はない。なぜなら、「授業に集中できず、担任の先生にしばしば注意を受けてしまい、困っている」のは、月経前症候群が原因と考えられるため。治療法として、①日常生活の改善があげられるが、「学校を休ませる」のではなく、十分な睡眠と栄養、休養を取るよう指導する。また学校生活は、友達との交流や体育などの運動、ホルモンバランスを整えるような食事など、ホルモンバランスを整え、ストレス発散される良い機会となる。
4.× 「月経前の症状は自然に治ります」と断言することはできない。なぜなら、月経前症候群の原因は、はっきりとはわかっていないが、女性ホルモンの変動が関わっていると考えられているため。本症例は、月経前の症状で相談に来ている場面であるため、月経前の症状を軽減する方法を助言したり、傾聴しながら共感するよう努める。

 

 




 

 

15 Aさん(32歳、経産婦)。夫と長女(2歳半)との3人暮らし。妊娠24週2日の妊婦健康診査に実母および長女と3人で来院した。待合室にいるAさんの左腕には、肘を中心に広範囲に包帯が巻かれており、助産師はドメスティック・バイオレンス<DV>を疑った。
 助産師の最初の対応で適切なのはどれか。

1.警察に通報する。
2.Aさんに包帯を巻いている理由を尋ねる。
3.Aさんと1対1で話ができる場所を確保する。
4.Aさんの実母に包帯を巻いている理由を尋ねる。
5.AさんにDVスクリーニングの自記式調査票の記入について説明する。

解答

解説

本症例のポイント

・Aさん(32歳、経産婦)
・3人暮らし:夫と長女(2歳半)
・妊娠24週2日の妊婦健康診査:実母、長女と一緒に来院。
・待合室にいるAさんの左腕:肘を中心に広範囲に包帯が巻かれている
・助産師:ドメスティック・バイオレンス<DV>を疑った。
→ドメスティックバイオレンス〈DV〉や虐待についての質問は、家族のことや周りの評判にもつながりかねないことから扱いに細心の注意を要する(センシティブ)な内容となるため、答えにくい質問である。したがって、closed-ended question(閉じられた質問)が有効である。closed-ended question(閉じられた質問)は、5W1Hでいう(When(いつ)、Where(どこで)、 Who(誰が)、What(何を)や、はい/いいえで答えられる限定された質問である。

1.× 警察に通報するには時期尚早である。なぜなら、Aさんの左肘を中心に広範囲に包帯が巻かれており、助産師はドメスティック・バイオレンス<DV>を疑っている状態であるため。つまり、ドメスティック・バイオレンス<DV>されている証拠や証言がないことから、確実にドメスティック・バイオレンス<DV>受けているとは言い難い。プライバシーが守られている場所で、事実確認することが望ましい。
2.× Aさんに包帯を巻いている理由を尋ねるより優先度が高いものが他にある。なぜなら、実母と長女が一緒に来院しているため2人に聞かれてしまう恐れがあるため。実母と長女がいないプライバシーが守られている場所で、事実確認することが望ましい。
3.〇 正しい。Aさんと1対1で話ができる場所を確保する。まずはAさんと1対1で話ができる場所を確保し、Aさんのプライバシーに配慮し話やすい環境を作る必要がある。ドメスティックバイオレンス〈DV〉や虐待についての質問は、家族のことや周りの評判にもつながりかねないことから扱いに細心の注意を要する(センシティブ)な内容となるため、答えにくい質問である。したがって、closed-ended question(閉じられた質問)が有効である。closed-ended question(閉じられた質問)は、5W1Hでいう(When(いつ)、Where(どこで)、 Who(誰が)、What(何を)や、はい/いいえで答えられる限定された質問である。
4.× Aさんの実母に包帯を巻いている理由を尋ねる必要はない。なぜなら、実母はドメスティックバイオレンス〈DV〉を受けていることを知らない可能性もあるため。本人に聞くのが原則である。
5.× AさんにDVスクリーニングの自記式調査票の記入について説明するより優先度が高いものが他にある。なぜなら、DVスクリーニングは、DVされていることを早期発見するためのものであるため。本症例はすでに肘を中心に広範囲に包帯が巻かれている。したがって即時的な対応が好ましい。ちなみに、DVスクリーニングとは、DVを受けている可能性がある人を早期発するための検査のことである。この検査を実施する際は、女性のプライバシーが守られる場所で、かつパートナーや 他の家族を同席させずに、女性が一人のときに行う必要がある。

 

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