第103回(R2) 助産師国家試験 解説【午前16~20】

 

16 乳癌で正しいのはどれか。

1.超音波検査によって診断が確定する。
2.好発年齢は20〜30歳代である。
3.授乳期には発見が遅れやすい。
4.腫瘤の可動性は良好である。
5.圧痛を生じることが多い。

解答

解説

1.× 乳癌では診断確定のために細胞診組織診(針生検)が行われる。超音波検査やマンモグラフィなどの画像診断で良性か悪性かはっきりしないしこりや癌の可能性があるしこりに対して行われる。
2.× 乳癌の好発年齢は20〜30歳代ではなく、40〜60歳ぐらいとされている。
3.〇 正しい。妊娠中から授乳期にかけては乳腺が発達するので、乳房の腫瘤が発見しづらくなる。授乳期では乳汁がうっ帯している状態と乳癌の鑑別が難しい場合もあり、発見が遅れ、癌が進行してしまっていることもある。
4.× 乳癌の腫瘤の可動性は良性のものが多いが、悪性でも可動性のあるものがある。良性の場合は指で押すと逃げるが、悪性の場合は指で押しても動きにくく典型的な場合では可動性は少ない。
5.× 乳癌の主な症状は、乳房の硬いしこりであり、圧痛などの痛みを生じることはほとんどない。

 

 

 

 

 

17 経口避妊薬の服用が禁忌となるのはどれか。

1.授乳中である。
2.BMI 25である。
3.子宮内膜症の既往がある。
4.1日5本の喫煙をしている。
5.子宮頸部円錐切除術後である。

解答

解説

1.〇 正しい。経口避妊薬に含まれるエストロゲンには、母乳の出を悪くする作用があるため、授乳中は服用禁忌となる。
2.× 経口避妊薬は血栓症のリスクがあり、BMIが25以上で2倍、30以上で5倍に血栓症のリスクが上がる。禁忌ではないが、BMI30以上の方は慎重投与になっている。
3.× 子宮内膜症は経口避妊薬を内服することによりエストロゲンの総量が低く抑えられ、排卵を抑制し、子宮内膜症の症状を軽減し予防にもなる。なお乳癌や子宮内膜癌などのエストロゲン依存性悪性腫瘍や子宮頸癌及びその疑いのある場合は腫瘍の悪化あるいは顕性化を促すことがあるため禁忌となっている。
4.× 1日5本の喫煙ではなく、 35歳以上で1日15本以上の喫煙者である。心筋梗塞等の心血管系の障害が発生しやすくなるとの報告がある。
5.× 子宮頸部円錐切除術後の使用は可能である。手術前4週以内、術後2週以内、産後4週以内及び長期間安静状態の患者は血液凝固能が亢進されるため禁忌もなっている。

 

 

 

 

 

18 流産を繰り返している夫婦の原因検索を行ったところ、均衡型転座が確認された。
 この夫婦に対する次回の妊娠での流産再発率を低減させる治療法はどれか。

1.免疫グロブリン療法
2.夫のリンパ球免疫療法
3.着床前診断後の胚移植
4.低用量アスピリン療法
5.プロゲステロン補充療法

解答

解説

1.× 免疫グロブリン療法とは、Rh不適合妊娠で行い、妊娠28週前後と分娩後に抗D人免疫グロブリン製剤を投与する治療法である。
2.× 夫のリンパ球免疫療法とは、免疫異常による習慣流産の場合に行われる。夫の血液を採取してその中のリンパ球を妻に皮下注射していく方法である。
3.〇 正しい。均衡型転座のように夫婦の染色体異常が発覚した場合、着床前診断後の胚を移植するという方法がある。体外受精で得た受精卵から細胞を採取して染色体検査を行い、染色体正常の受精卵、または染色体異常のある受精卵を子宮内に戻して着床を待つ方法である。
4.× 低用量アスピリン療法とは、抗リン脂質抗体や血液凝固異常によって血栓ができて習慣流産となっている場合に行われる。
5.× プロゲステロン補充療法とは、更年期障害や生理前症候群で行われている。

 

 

 

 

 

19 Aさん(29歳、初産婦)。妊娠経過は正常。妊娠9週の経腟超音波検査で、左卵巣内に5cm の囊胞が確認された。囊胞は単房性で、内部に充実成分はなかった。妊娠13週に再度、経腟超音波検査が行われ、左卵巣内の囊胞は2cmに縮小していた。
 この左卵巣囊胞の種類で最も考えられるのはどれか。

1.妊娠黄体
2.皮様囊腫
3.卵巣妊娠
4.粘液性囊胞腺腫
5.子宮内膜症性囊胞

解答

解説

1.〇 正しい。卵細胞は排卵後24~96時間で黄体に形成される。そのときに受精して着床した場合は妊娠黄体となり、ますます増大し、妊娠12週以降で次第に退行していく。
2.× 皮様囊腫とは、卵巣腫瘍の1つで、卵巣に脂肪、髪の毛、歯などがたまっているものである。精子と受精していないにもかかわらず卵巣内で突然細胞分裂が開始され、形成されるが、受精でないので中途半端な細胞として残ってしまう。自覚症状として腹部膨満感や下腹部痛、頻尿などがあるが無症状で経過することもある。
3.× 卵巣妊娠とは、正常妊娠とは異なり、受精卵が子宮内膜以外に着床し、胎芽・胎児の発育が進んでしまう子宮外妊娠の1つである。
4.× 粘液性囊胞腺腫とは、ネバネバした粘液が卵巣内にたまってしまうことである。症状は皮様嚢腫と同じである。
5.× 子宮内膜症性囊胞とは、卵巣チョコレート嚢胞のことであり、卵巣内で月経時に出血が起きて卵巣内に貯留するものをいう。月経痛、性交痛、慢性骨盤痛などの症状がある。

 

 

 

 

 

20 分娩経過中に、胎児心拍数陣痛図上で変動一過性徐脈の発生のリスク因子となる胎児付属物の所見はどれか。

1.副胎盤
2.臍帯偽結節
3.臍帯長40 cm
4.臍帯辺縁付着
5.胎盤の石灰沈着

解答

解説

1.×  副胎盤とは、胎盤は通常は1つであるが、主胎盤から離れて複数存在する場合、小さい方のことをいう。臍帯付着部位の異常などがあれば娩出時に胎児機能不全や胎児死亡の原因となるが、問題がなければ分娩経過中に異常はない。
2.× 臍帯偽結節は膠質または血管の捻転により一見結節状に肥厚しているものであり、結び目やこぶに見えるだけであって実際は結節となっていないため、血行には異常はない。
3.× 過短臍帯は30cmのため、臍帯長40 cmは問題ない。
4.〇 正しい。臍帯辺縁付着や卵膜付着は胎児発育不全胎児機能不全の原因となる。
5.× 胎盤の石灰沈着は正期産の胎盤に見られる白色の細かい粒であるが、特に異常はない。

 

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