第103回(R2) 助産師国家試験 解説【午前21~25】

 

21 出生直後の新生児の所見で早急に医師への報告が必要なのはどれか。

1.産瘤
2.サーモンパッチ
3.耳瘻孔
4.臍帯ヘルニア
5.処女膜ポリープ

解答

解説

1.× 産瘤は、出生直後の新生児の所見で早急に医師への報告が必要ない。産瘤とは、赤ちゃんが産道を通過数する際に、周囲から圧迫を受けて、頭や足などの皮下にこぶができることである。主に頭に数cmのこぶができることが多く、似た病気に頭血腫と帽状腱膜下血腫があり、見分けることが必要である。産瘤は病的なものではないため、治療の必要はなく、1日から3日で消失する。ちなみに、原因として、分娩の際に、先進部分の頭位であったり、逆子の場合だと、臀部であったり、子宮から出ている部分の圧迫感がなくなるために、体液が貯まりやすく、浮腫が起きやすい。更にお産に時間がかかると、この皮下浮腫が大きくなって、暗赤色の瘤のように見えることがある。
2.× サーモンパッチ(正中部母斑)は、出生直後の新生児の所見で早急に医師への報告が必要ない。サーモンパッチとは、まぶたや眉間などに見られる赤いあざで毛細血管が拡張したものである。新生児の20~30%にみられ、2~3歳ころに自然に消失する。サーモンパッチの原因は、皮膚の真皮毛細血管の増加と拡張と考えられているが、なぜできるのかについてははっきりとしたことはわかっていない。遺伝の影響などと考えられている。
3.× 耳瘻孔は、出生直後の新生児の所見で早急に医師への報告が必要ない。耳瘻孔とは、生まれつき耳の周囲に小さな穴が開いて、その下方に管(または袋状)があり、その管の先端は耳介軟骨で終わっているものをいう。耳を形成する時の異常により生じたもので、細菌が入って感染を起こさなければ経過観察にしても問題ない。
4.〇 正しい。臍帯ヘルニアは、出生直後の新生児の所見で早急に医師への報告が必要である。臍帯ヘルニアとは、胎児のおなかの壁が正しく作られず、おなかの壁に穴ができてしまい、赤ちゃんはへその緒(臍帯)の中に胃や腸、肝臓などが出たままの状態であることである。5,000〜10,000人に一人の割合で発生すると報告されている。治療として、へその緒の中に脱出している臓器を元の位置に戻すための手術介入が必要となる。
5.× 処女膜ポリープは、出生直後の新生児の所見で早急に医師への報告が必要ない。処女膜ポリープとは、母親由来のエストロゲンの影響で腟口からピンクのいぼのようなものが突出しているものをいう。新生児(女児)の6%程度に見られるという報告があり、2~3週間で自然に縮小する。

 

 

 

 

 

22 乳幼児健康診査における神経発達の評価で視覚障害を疑う所見はどれか。

1.生後1か月、片目に眼脂を認める。
2.生後3か月、目が小刻みに揺れる。
3.生後6か月、顔に掛けられたハンカチを払いのける。
4.生後18か月、鉛筆でぐるぐる丸を書く。
5.生後24か月、赤信号を進もうとする。

解答

解説

1.× 生後1か月、片目に眼脂を認められても視覚障害とはいえない。眼脂とは、皮膚の垢のような生理的な分泌物である。代謝により角膜・結膜から脱落した古い細胞などが含まれている。感染性結膜炎の症状の一つでもある。
2.〇 正しい。生後3か月、目が小刻みに揺れている場合は視覚障害を疑う。目が小刻みに揺れることを眼振といい、生後2〜3か月で見られるものを先天性眼振という。症状として、視力障害と関係することがあるが、その程度は様々である。物が揺れて見えたり、めまいを感じたりすることはない。目の向きによって眼振が小さくなる位置があるので、ものを見るときに、顔を左右に向けたり顎を上げたり下げたりする頭位異常がおきる。また、眼が内側に寄っていると揺れが少なくなる眼振では、どちらの眼も内側に寄って内斜視のようになることもある。眼に異常のない眼振では、眼の揺れの程度は成長するにともなってよくなっていく。
3.× 生後6か月、顔に掛けられたハンカチを払いのけることができれば、ハンカチテスト正常である。ちなみに、無反応の場合は精神発達の異常、つかみ方や左右差に異常があれば運動発達障害が疑われる。ハンカチテストは、生後6か月ごろに評価する項目である。ハンカチテストは、背臥位にて乳幼児の顔に厚めの布(光を通さないもの)をかぶせ、自分の手で払いのけることができるかどうかをチェックするものである。布を払いのける動作にて、物を認識して手でつかみ取るという協調運動と、邪魔なものを払いのけるという知能発達を確認するものである。
4.× 生後18か月、鉛筆でぐるぐる丸を書くのは、「視覚障害を疑う評価」ではなく、微細運動の評価である。生後18~24ヶ月では鉛筆を持って描くことができるが、鉛筆でぐるぐる丸を書くのは、24か月あたりで獲得可能となる。
5.× 生後24か月、赤信号を進もうとしても視覚障害とはいえない。なぜなら、赤信号の意味が分かっていない可能性が高く、一般的に4歳で信号を理解できるため。

「図:日本版デンバー式発達スクリーニング検査」

 

 




 

 

23 Aさん(36歳、初産婦)。妊娠分娩の経過に問題はなく正常分娩で男児を出産した。現在産後1か月。産後は実母の支援を受けて育児をしており、児の体重増加も順調である。Aさんは「実は女の子が欲しかった。この子がかわいいとは思えない」と言う。
 Aさんの状況のアセスメントはどれか。

1.マタニティブルーズ
2.ボンディング障害
3.産褥精神病
4.ネグレクト
5.育児不安

解答

解説

本症例のポイント

・Aさん(36歳、初産婦)
正常分娩で男児を出産。
・現在産後1か月:育児・児の体重増加も順調
・Aさん「実は女の子が欲しかった。この子がかわいいとは思えない」と。
→本症例は、生後1か月で「この子がかわいいとは思えない」と言っている。一般的に、赤ちゃんが生まれると、愛おしくなり、「我が子を守りたい」という気持ちが強く湧く。 このように、お母さんが自分の子どもに抱く気持ちのことを、お母さんから赤ちゃんへの「ボンディング」と呼ぶ。出生直後から始まる授乳や児の欲求に応じる母親や養育者のかかわりに対し、児が、微笑む・吸啜・泣く・声を出すなどの愛着行動を示すことで形成されていくものである。この感情や関心の欠如から、選択肢2.ボンディング障害が考えられる。

1.× マタニティブルーズとは、分娩数日後から2週程度の間に多くの褥婦が経験し、内分泌バランスの変化や母体の体力低下、育児への精神的負担などから、涙もろさ、不安感などの症状や、集中力低下、頭痛などの身体的症状が表れやすい。それらの症状が2週間以上持続する場合には産後うつ病を疑う。本症例は、生後1か月である。
2.〇 正しい。ボンディング障害が最も疑われる。本症例は、生後1か月で「この子がかわいいとは思えない」と言っている。一般的に、赤ちゃんが生まれると、愛おしくなり、「我が子を守りたい」という気持ちが強く湧く。 このように、お母さんが自分の子どもに抱く気持ちのことを、お母さんから赤ちゃんへの「ボンディング」と呼ぶ。出生直後から始まる授乳や児の欲求に応じる母親や養育者のかかわりに対し、児が、微笑む・吸啜・泣く・声を出すなどの愛着行動を示すことで形成されていくものである。この感情や関心の欠如から、選択肢2.ボンディング障害が考えられる。
3.× 産褥精神病とは、産褥期に生じる精神病であり、精神的な興奮や錯乱、まとまりのない言動などがみられる。錯乱状態に陥って自殺や他害(赤ちゃんや家族を傷つけること)の恐れもあるため早急な治療が必要である。発症の予測は困難で、出産後1週間以内に発症して急激に悪化し、速やかに精神科病棟への入院が必要になることが多い。
4.× ネグレクト(養育拒否)はみられない。なぜなら、育児・児の体重増加も順調であるため。
5.× 育児不安はみられない。育児不安とは、親が自分の子供を育てるにあたって感じる、過度の不安や困惑ないし自信のなさからくる漠然とした精神的状態の総称である。

産後うつ病とは?

産後うつ病とは、産褥婦の約3%にみられ、産褥1か月以内(特に2週間以内)に発症することが多い。強い抑うつ症状を呈し、育児にも障害が出る。産後うつ病の患者への適切な対応が大切である。抑うつ状態の患者に対し、まずは患者の不安に寄り添い、共感的態度をとることが基本である。

 

 

 

 

 

24 Aさん(32歳、1回経産婦)。第1子は経腟分娩後にB群溶血性連鎖球菌<GBS>感染症を発症した既往があった。今回、妊娠35週で行った腟周囲培養検査でB群溶血性連鎖球菌<GBS>は検出されなかった。
 Aさんの第2子のB群溶血性連鎖球菌<GBS>感染症予防のための対応で正しいのはどれか。

1.腟周囲培養検査を再度行う。
2.腟内の洗浄を行う。
3.帝王切開分娩を予定する。
4.陣痛発来あるいは前期破水後に抗菌薬を点滴投与する。
5.出生した児の皮膚消毒を行う。

解答

解説

本症例のポイント

・Aさん(32歳、1回経産婦、妊娠35週
・第1子:B群溶血性連鎖球菌<GBS>感染症。
・妊腟周囲培養検査:B群溶血性連鎖球菌<GBS>は検出されなかった。
→B群レンサ球菌とは、膣内に常在することのある細菌で、妊婦以外では、膀胱炎などの尿路感染症でもおこさない限り問題となることは少ない。ところが、出産時にこのB群レンサ球菌が膣内に存在すると、生まれる新生児に敗血症、髄膜炎、肺炎などの重症のB群レンサ球菌感染症を起こすことがありえることが知られている。この母から子への感染が問題とされている。B群連鎖球菌は、新生児における、敗血症や髄膜炎、肺炎の主要な原因菌の一つである。髄膜炎が死亡原因となることや、髄膜炎の後遺症として、聴力や視力が失われたり、運動や学習の障害などが残る場合もある。妊婦では、膀胱炎や子宮の感染症(羊膜炎、子宮内膜炎)、死産を起こすことがある。妊婦以外では、尿路感染症、敗血症、皮膚・軟部組織の感染症および肺炎を起こすことがあり、死亡例もある(※参考:「B群レンサ球菌(GBS)感染症について」横浜市HPより)。

(※図引用:「産婦人科診療ガイドライン―産科編 2020 P297」公益社団法人 日本産科婦人科学会より)

1.× 腟周囲培養検査を再度行う必要はない。なぜなら、本症例はすでに妊腟周囲培養検査を行っており、B群溶血性連鎖球菌<GBS>は検出されなかったため。
2.× 腟内の洗浄を行う必要はない。なぜなら、腟内の洗浄は主に膣炎などの治療に行われる。
3.× 帝王切開分娩を予定する必要はない。なぜなら、帝王切開の主な適応としては、胎児機能不全、臍帯下垂・脱出、前置血管破綻、37週未満の前期破水などであるため。
4.〇 正しい。陣痛発来あるいは前期破水後に抗菌薬を点滴投与することは、第2子のB群溶血性連鎖球菌<GBS>感染症予防のための対応である。なぜなら、前児がGBS感染症の場合、妊産婦の経腟分娩中あるいは前期破水後,新生児の感染を予防するためにペニシリン系などの抗菌薬を点滴静注するため(※図引用:「産婦人科診療ガイドライン―産科編 2020 P297」公益社団法人 日本産科婦人科学会より)。
5.× 出生した児の皮膚消毒を行う必要はない。なぜなら、B群溶血性連鎖球菌<GBS>感染症は産道感染するものであるため。児の目や口、鼻などからも入る恐れがあり、皮膚消毒を行うというのは適さない。

 

 




 

 

25 第1前方後頭位で正常に分娩が経過している。現在、内診所見で先進部下降度はStation +3、矢状縫合は斜径である。
 この時の分娩進行状態で正しいのはどれか。

1.児頭の最大周囲径の位置は骨盤出口部である。
2.産瘤が児頭の右前頭部に形成されている。
3.内診で恥骨結合後面は下縁のみ触れる。
4.内診で大泉門を母体の前方に触れる。
5.児頭は発露の状態である。

解答

解説

本症例のポイント

・第1前方後頭位で正常に分娩が経過。
・先進部下降度:Station +3、
・矢状縫合:斜径。
→ドゥリーのステーション法に基づき、左右の坐骨棘間を結んだ線上をStation±0として、それより上方に1cmきざみで−1、−2、−3…、下方に1cmきざみで+1、+2、+3…と表現する。

1.× 児頭の最大周囲径の位置は、「骨盤出口部」ではなく「𤄃部」である。ちなみに、Station+3では児頭先進部は骨盤出口部にある。また、児頭の最大周囲径の位置は、骨盤出口部のときは排臨で、児の糸状縫合は縦径である。排臨とは、第2期に起こる陣痛発作時に陰裂間に児頭が見えて陣痛間欠期には見えなくなる現象である。
2.× 産瘤が児頭の「右前頭部」ではなく、右後頭部に形成されている。なぜなら、本症例は第1前方後頭位であるため。ちなみに、産瘤とは、赤ちゃんが産道を通過数する際に、周囲から圧迫を受けて、頭や足などの皮下にこぶができることである。主に頭に数cmのこぶができることが多く、似た病気に頭血腫と帽状腱膜下血腫があり、見分けることが必要である。産瘤は病的なものではないため、治療の必要はなく、1日から3日で消失する。
3.〇 正しい。内診で恥骨結合後面は、下縁のみ触れる。なぜなら、本症例の先進部下降度はStation +3、矢状縫合は斜径であるため。
4.× 内診で大泉門を母体の「前方」ではなく後方に触れる。なぜなら、本症例は第1前方後頭位で正常に分娩が経過しているため。内診で大泉門が母体側で触れる場合は、不正軸侵入している可能性がある。
5.× 児頭は、「発露」ではなく排臨の状態である。排臨とは、分娩第2期において陣痛発作時に児頭は大きく下降して見えるようになるが、陣痛間欠期に児頭は腟内に後退して見えなくなることを繰り返す状態である。一方、発露とは、陣痛が増強して胎児がさらに下降して児頭は陣痛間欠期でも後退しなくなる状態である。

 

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