第103回(R2) 助産師国家試験 解説【午後21~25】

 

21 分娩進行中の子宮口全開大後の経時的な内診所見を図に示す。
 この場合の児頭回旋で正しいのはどれか。

1.第1前方後頭位
2.第2前方前頭位
3.低在横定位
4.高在縦定位
5.不正軸進入

解答

解説

1.× 児背は母体の右側にあるため、第1ではなく第2胎向である。また児の前頭が母体の前方で先進しているため、前方後頭位ではなく前方前頭位である。
2.〇 正しい。大泉門が母体の左側、小泉門が右側にあるということは児背は母体の右側にあるため、第2胎向である。児頭回旋の前方とは母体の前(腹側)、後方とは母体の後ろ(背側)であり、前頭は大泉門、後頭は小泉門を指す。St+3の状態は児の前頭が母体の前方で先進しているため、第2前方前頭位である。
3.× 低在横定位とは、第2回旋が起こらなかったため骨盤底に達しても矢状縫合が横径に一致して分娩が停止した状態である。
4.× 高在縦定位とは、児頭が第1および第2回旋を行うことなく、分娩初期において矢状縫合が骨盤入口の縦径に一致して状態で止まり、 そこから分娩が進行しない状態である。
5.× 不正軸進入とは、胎児の頭が背骨に対して左右どちらかへ傾いた状態で骨盤の中に入り込んでしまい、恥骨や仙骨が邪魔になって分娩が停止してしまう状態である。

 

 

 

 

 

22 Aさん(334歳、初産婦)。陣痛発来して、産婦人科に入院した。Aさんは無痛分娩を希望し、硬膜外カテーテルから局所麻酔薬が投与された。その分後に、Aさんは手のしびれと気分不快を訴えた。頸部に氷を当てたところAさんはあまり冷たくないという。
 この時点で直ちに準備するもので優先度が高いのはどれか。

1.降圧薬
2.輸血用器材
3.吸入ステロイド薬
4.気管挿管のための器材
5.自動体外式除細動器<AED>

解答

解説

1.× 硬膜外麻酔の頻度の高い副作用として血圧低下がある。降圧剤ではなく、昇圧剤で血圧を上げる必要がある。
2.× 現在出血の疑いや止血困難な状況ではなく、輸血用器材の優先度は低い。
3.× 吸入ステロイド薬は気道の炎症などを抑え、発作を起こさないようにする毎日の長期管理薬である。喘息などの基本治療の中心薬剤であり、現在の優先度は低い。
4.〇 正しい。Aさんは硬膜外麻酔の投与3分後に気分不快と上半身にも知覚異常がみられており、硬膜外腔に入れるはずの麻酔が誤って脊椎くも膜下腔に投与してしまう全脊椎くも膜下麻酔が起きている可能性が高い。硬膜外腔での麻酔は下半身に局所的な麻酔の効果があるが、脊椎くも膜下腔では上半身に及ぶ効果が出てしまうため、脳幹に作用し血圧低下だけでなく呼吸停止意識消失を起こす。すぐに気道確保できるように気管挿管のための器材の準備が優先される。硬膜外麻酔の副作用には頭痛、血圧低下、嘔気・嘔吐の他に、徐脈・不整脈呼吸抑制などが起こる可能性がある。
5.× 自動体外式除細動器<AED> とは、心停止の際に機器が自動的に心電図の解析を行い、心室細動を検出した際は除細動を行う医療機器である。現在は意識もあり、心停止を疑う状況ではないため優先度は低い。

 

 

 

 

 

23 42 歳の経産婦。既往歴、家族歴に特記すべきことはない。前置胎盤に伴う出血があり、2週間の安静入院後、妊娠37週で帝王切開術となった。手術翌日の子宮底の高さは臍下1横指で、収縮は良好である。術後の初回歩行前に左下腿に浮腫と発赤を認め、その部位に痛みを訴えている。バイタルサインは体温37.0 ℃、脈拍80/分、血圧120/75 mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度<SPO2>98 %(room air)。
 優先的に行うのはどれか。

1.心電図検査
2.尿定性検査
3.凝固機能検査
4.呼吸機能検査
5.造影CT検査

解答

解説

1.× 心電図検査とは心疾患の診断に使用される。今回は胸部症状はなく深部静脈血栓症が疑われるため適さない。
2.× 尿定性検査とは、尿中に排泄される糖やタンパクの量あるいは潜血の有無などを短時間に調べることのできる検査である。今回は深部静脈血栓症が疑われるため適さない。
3.× 凝固機能検査とは、出血時の止血機能がきちんと働くかどうかを調べる検査である。出産や手術前に行う検査であり、今回は適さない。
4.× 呼吸機能検査とは、肺の能力を評価する検査であり、肺活量、1秒量、肺拡散能などを測定する。喘息、慢性閉塞性肺疾患や間質性肺炎(肺線維症)など、呼吸の機能が異常になる病気の診断や評価に使用される。深部静脈血栓症の合併症に肺塞栓症があるが、今回SPO298%で呼吸困難の訴えもないため適さない。
5.〇 正しい。2週間の安静入院後の帝王切開をしており、浮腫と発赤、疼痛みられていることから深部静脈血栓症の疑いがある。深部静脈血栓症とは、長時間の安静や手術などの血流低下により下肢の静脈に血栓が詰まってしまう病気である。下肢の疼痛、圧痛、熱感などの症状がみられる。Dダイマーを測定する血液検査や血管造影CT検査で診断する。造影CT検査は、動脈瘤・解離・出血・血栓症などの血管性病変の描出に有用である。

 

 

 

 

 

24 日齢3の正期産児。出生体重3,100 g。混合栄養で哺乳は良好だが、哺乳後の非胆汁性嘔吐を1日4、5回認めている。排尿、排便は良好である。本日の体重は2,850 gで腹部膨満を認め、医師の診察の結果、胃軸捻転の疑いと診断されている。
 児の日常のケアの際の助産師の対応で適切なのはどれか。

1.上体の挙上
2.糖水の投与
3.人工乳の増量
4.腹部マッサージ
5.おしゃぶりの使用

解答

解説

1.〇 正しい。胃軸捻転とは、胃の異常な回転や捻転によって起こる病気でげっぷ(排気)がうまくできない新生児や乳児に多く発症する。腹部膨満嘔吐寝かすと不機嫌などがみられる。児は飲み込んでしまった多量の空気をうまく排気ができないため、排気を促すために必要がある。
2.× 糖水の投与は低血糖時や母乳育児希望の哺乳量不足を補う目的であり、今回は混合栄養で哺乳は良好であるため適さない。
3.× 児は混合栄養で哺乳は良好であるため、人工乳を増量する必要はない。哺乳量の工夫としては少量ずつ回数を多くするのがふさわしい。
4.× 腹部マッサージではなく、浣腸による排便・排ガスの促進やげっぷを促すなどの保存療法を行う。
5.× おしゃぶりは寝かしつけや泣き止ませる目的で使用されるが、生後1週間以降の使用が望ましいため適さない。

 

 

 

 

 

25 正期産児に発症した胎便吸引症候群の合併症で注意するのはどれか。

1.壊死性腸炎
2.動脈管開存症
3.気管支肺異形成
4.胎便関連性腸閉塞
5.新生児遷延性肺高血圧症

解答

解説

1.× 壊死性腸炎とは、腸内部の表面が損傷を受ける病気である。未熟児や重篤な病気がある新生児でみられる。腹部膨満、血便、嘔吐などの症状がある。
2.× 動脈管開存症とは、心臓から肺へ血液を送る肺動脈と心臓から全身へ血液を送る大動脈が細い動脈管という血管によってつながっている疾患である。動脈管はもともと胎内では開いており、生後自然に閉じるのが一般的であるが、生後も閉鎖せずに残っている状態である。未熟児に多い。
3.× 気管支肺異形成症とは、低出生体重児や早産児に生じる呼吸窮迫症候群に続発する慢性的な肺疾患である。生後28日を超えても呼吸障害が続き、酸素の使用が必要な状態を指す。
4.× 胎便関連性腸閉塞とは、胎便が小腸や大腸につまり、腸が閉塞した状態になる病態である。1000g以下の超低出生体重児に多く発症し、子宮内胎児発育遅延の児にも起こりやすい。腸管の機能が未熟なために胎便をおくりだすことができず、腸管内に停滞する時間が長くなって胎便から水分が吸収され、さらに粘稠度が増して詰まってしまうことが原因で起こる。
5.〇 正しい。胎便吸引症候群とは、胎便を吸い込んでしまった胎児に現れる呼吸障害のことである。新生児仮死で生まれるため呼吸がうまくできないことや胎便が気道に詰まることなどから正常な呼吸ができず、新生児遷延性肺高血圧症を合併しやすい。新生児遷延性肺高血圧症とは、肺につながる動脈が出生後も収縮した状態が続くことが原因で肺に十分な量の血流が行きわたらず、結果的に血流中の酸素量が不足する病気である。

 

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