第103回(R2) 助産師国家試験 解説【午前31~35】

 

31 日本で実施されている全国調査のうち、DOHaD学説が調査の基盤概念となっているのはどれか。

1.乳幼児栄養調査
2.国民生活基礎調査
3.全国家庭児童調査
4.乳幼児身体発育調査
5.子どもの健康と環境に関する全国調査<エコチル調査>

解答

解説

1.× 乳幼児栄養調査とは、昭和60年から10年ごとに実施されている調査で、全国の乳幼児の栄養方法や食事状況などの実態を把握し、授乳・離乳支援や乳幼児の食生活改善の基礎資料を得ることを目的として行われるものである。
2.× 国民生活基礎調査とは、保健、医療、福祉、年金、所得など国民生活の基礎的事項を調査し、厚生労働行政の企画及び運営に必要な基礎資料を得るとともに、各種調査の調査客体を抽出するための親標本を設定することを目的とした厚生労働省が行う基幹統計調査である。
3.× 全国家庭児童調査とは、全国の家庭にいる児童及びその世帯の状況を把握し、児童福祉行政推進のための基礎資料を得ることを目的とした厚生労働省が行う調査である。
4.× 乳幼児身体発育調査とは、厚生労働省が10年ごとに調査するものである。調査内容は乳幼児の身長、体重、頭囲及び胸囲や、乳幼児の栄養方法、運動・言語発達、さらに子どもの成長、 発達に影響を与える母親の生活習慣、身体計測値、妊娠中の異常、在胎週数、出生順位などについてである。
5.〇 正しい。DOHaDとは「将来の健康や特定の病気へのかかりやすさは、胎児期や生後早期の環境の影響を強く受けて決定される」という概念である。子どもの健康と環境に関する全国調査<エコチル調査>とは、胎児が子宮内にいるときから13歳になるまで健康状態を定期的に調べる、出生コーホート(集団を追跡する)調査のことである。

 

 

 

 

 

32 抗不安薬内服中の妊婦から出生した新生児に認められる薬物離脱症候群の症状で注意するのはどれか。2つ選べ。

1.嘔吐
2.発疹
3.頭囲拡大
4.無呼吸発作
5.頭頂部の皮膚剝離

解答1・4

解説

1.〇 正しい。薬物離脱症候群とは分娩前に使用された薬剤が胎盤を通過して児の体から排泄される過程で、児の脳・消化管や自律神経に一時的に影響を及ぼすことである。症状としては、筋緊張低下、不安興奮状態による激しい啼泣や手足のふるえ、無呼吸発作、下痢や嘔吐、発汗、発熱がある。
2.× 薬物離脱症候群には発疹の症状は見られない。
3.× 薬物離脱症候群には頭囲拡大の症状は見られない。
4.〇 正しい。薬物離脱症候群には無呼吸発作の症状が出現する。
5.× 薬物離脱症候群には頭頂部の皮膚剝離の症状は見られない。

 

 

 

 

 

33 羊膜で正しいのはどれか。2つ選べ。

1.血管がない。
2.羊水を分泌する。
3.胎生42日目に形成される。
4.エストロゲンが分泌される。
5.子宮内膜から分化したものである。

解答1・2

解説

1.〇 正しい。羊膜はコラーゲンに富む血管を含まず、羊水を保持している膜であるため血管がない
2.〇 正しい。羊膜は羊水を分泌する
3.× 羊膜は胎生42日目に形成されるのではなく、妊娠6~7週で確認できる。
4.× エストロゲンは妊娠7週までは卵巣から分泌され、8週以降は絨毛細胞から分泌される。
5.× 卵膜は母体側から①脱落膜、②絨毛膜、③羊膜の3層構造になっている。脱落膜は子宮内膜由来であり、母体側の組織である。絨毛膜と羊膜は胎児側の組織であり、羊膜は子宮内膜から分化したものではない。

 

 

 

 

 

34 羊水過多症に伴い母体に生じる症状はどれか。2つ選べ。

1.多尿
2.発熱
3.不眠
4.子宮収縮
5.食欲亢進

解答3・4

解説

1.× 羊水過多症とは800ml以上になってしまう病気であり、原因には母体糖尿病、胎児の嚥下障害、食道閉鎖症、幽門閉鎖症、十二指腸閉鎖症などがある。母体の症状としては多尿ではなく、乏尿が見られる。
2.× 羊水過多症では発熱は見られない。
3.〇 正しい。羊水過多症では子宮の増大による呼吸困難、動悸、それに伴う不眠、浮腫、乏尿、食欲低下になりやすい。
4.〇 正しい。羊水過多症によって子宮壁が過伸展するため子宮収縮が起こり、切迫早産になりやすくなる。
5.× 羊水過多症では食欲亢進ではなく、子宮の増大により食欲低下になりやすい。

 

 

 

 

 

35 異所性妊娠で正しいのはどれか。2つ選べ。

1.卵管間質部妊娠の頻度が最も高い。
2.クラミジア感染症がリスク因子となる。
3.黄体形成ホルモン<LH>値測定が診断に有用である。
4.妊娠週で子宮内に胎囊を認めない場合に診断される。
5.薬物療法としてメトトレキサートが用いられる。

解答2・5

解説

1.× 異所性妊娠の種類には卵管妊娠と間質部妊娠と頸管妊娠がある。異所性妊娠は全妊娠の1%弱に起こり、卵管妊娠の頻度が最も高い。症状としては無月経および妊娠反応(尿中hCG)の陽性、切迫流産様の少量の出血、超音波上、子宮内に胎嚢をみとめない、下腹部痛などがある。
2.〇 正しい。クラミジア感染症がリスク因子となり、クラミジア感染による卵管炎が最も多い。他にも子宮内膜症や卵管手術後、体外受精、子宮内避妊具(IUD)挿入中の妊娠も原因に含まれる。
3.× 診断は黄体形成ホルモン<LH>値測定ではなく、ヒト絨毛性ゴナドトロピンβサブユニットの測定が有用である。あわせて超音波検査で診断する。
4.× 胎嚢の確認ができる時期は早い人でたれば妊娠4週ごろから確認できるが、通常であれば、遅くとも6週までには確認できるようになるため、妊娠4週では子宮内に胎囊を認めない場合に診断することはできない。
5.〇 正しい。治療としては開腹手術または腹腔鏡手術での摘出、薬物療法としてメトトレキサートが用いられる。

 

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