第103回(R2) 助産師国家試験 解説【午後31~35】

 

31 妊娠中期以降の胎児の発育・発達で、羊水の存在が重要なのはどれか。2つ選べ。

1.肺の成熟
2.腎機能の発達
3.消化管の発達
4.骨髄造血の増加
5.副腎皮質の発育

解答1・3

解説

1.〇 正しい。羊水を調べることで肺の成熟を知ることができる。肺サーファクタントは胎児が成熟するにつれて羊水中に流出するため、羊水を採取することによって肺サーファクタント中のL/S比を分析することができる。また羊水過少により肺胞液の流出が促進され肺胞腔が縮小するとともに、呼吸様運動が抑制されるため肺低形成が生じる。
2.× 腎機能の発達でななく、腎機能低下の有無を推測するために羊水は重要である。胎児泌尿器系疾患のほとんどは腎機能低下もしくは尿路閉塞・狭窄による排尿量減少が多いため、羊水過少になることが多い。
3.〇 正しい。胎児期では羊水が口から嚥下や吸収が行われており、消化管の発達は羊水と関連がある。食道閉鎖や十二指腸閉鎖などの消化管通過障害は羊水過多を引き起こす。羊水過多は食道や十二指腸、小腸の上部などの上部消化管閉鎖に合併することが多い。
4.× 骨髄造血の増加には羊水の存在は重要ではない。妊娠2週頃には卵黄嚢にある新生血管の中で赤血球が作られ、妊娠8週頃になると、肝臓内で赤血球がつくられるようになり、白血球や血小板の産生が始まる。その後、肝臓のほかに、脾臓やリンパ節でも造血が行われるようになり、ピークは妊娠5か月頃である。それ以降は出生後と同じように骨髄が造血器の主役となり、出生まで肝臓の造血機能が続くが、肝臓での造血機能はしだいに低下する。
5.× 副腎皮質の発育には羊水の存在は重要ではない。臓器の機能的成熟にはグルココルチコイドが関与している。

 

 

 

 

 

32 分娩進行中の子宮の変化で正しいのはどれか。2つ選べ。

1.外子宮口が後方に移動する。
2.子宮峡部は伸展して薄くなる。
3.子宮頸部は下方から開大・短縮する。
4.子宮洞筋部の収縮は娩出の原動力となる。
5.組織学的子宮口の位置に生理的収縮輪が形成される。

解答2・4

解説

1.× 外子宮口は後方ではなく前方に移動する。分娩が進むと後方を向いている外子宮口が前方へ移動していく。
2.〇 正しい。子宮峡部は上方からの牽引によって伸展して薄くなる。
3.× 子宮頸部は下方からではなく上方から開大・短縮する。子宮峡部・子宮頸部は上方からの牽引によって伸展して薄くなり、上方から開大・短縮する。
4.〇 正しい。分娩時に収縮して娩出力の源となる子宮筋は子宮上部にある子宮洞筋である。子宮峡部、子宮下部および子宮頸管はともに受動的に開大される。洞筋部の筋繊維は陣痛間歇時には弛緩するが、完全に収縮前の状態には戻らず、陣痛が反復するにつれて洞筋部はしだいに厚さを増し、容積が縮小されていく。
5.× 組織学的子宮口の位置ではなく、解剖学的内子宮口の部分に生理的収縮輪が形成される。生理的収縮輪とは、厚くなった洞筋部と薄くなった子宮下部との境界である解剖学的内子宮口の部分が内腔に向かって堤防状に膨隆し外面にできる輪状の溝のことである。

 

 

 

 

 

33 Aさん(28 歳、初産婦)。昨日3,680 gの児を吸引分娩で出産し、分娩2時間後に導尿し300 mLの排尿があった。現在分娩後8時間が経過しているが自然排尿がなく、A さんは助産師に「トイレに行きたい感じがしないです」と話した。
 Aさんへの助産師の対応で適切なのはどれか。2つ選べ。

1.骨盤底筋の体操を指導する。
2.水分摂取量を確認する。
3.トイレで自然排尿を試みるよう促す。
4.導尿する。
5.尿意を感じるまで様子をみて良いと伝える。

解答2・3

解説

1.× 骨盤底筋の体操は産後の尿漏れなどの場合に行うため今回は適さない。尿漏れは児が産道を通る際に骨盤底筋も引き伸ばされ、弱くなった骨盤底筋が尿道や膀胱のコントロールを弱めることにより起こる。
2.〇 正しい。産後の水分摂取量が少ないため尿が作られておらず尿意がないことも考えられる。まずは産後の水分摂取量を確認し、少ないようであれば水分摂取を促してから自然排尿を試みるように促す。
3.〇 正しい。産後は分娩により膀胱の収縮力や膀胱の知覚低下により尿意を感じにくくなるため、尿意がなくても一度トイレで自然排尿を試みるよう促す。
4.× まずは導尿するのではなく、産後の水分摂取量の確認し、水分摂取と自然排尿を促す。導尿は尿意の弱まりに加え、自然排尿もできない場合に行う。
5.× 尿意がみられるまで様子を見ていると膀胱に尿は溜まり腹部膨満などの症状も出てしまうため、産後は水分摂取を促し尿意がなくても一度自然排尿を促す。

 

 

 

 

 

34 平成28 年(2016 年)の日本の母子保健統計で正しいのはどれか。2つ選べ。

1.合計特殊出生率は1.44 である。
2.妊産婦死亡率は前年より減少している。
3.人工死産率よりも自然死産率の方が高い。
4.年齢別の出生率で最も高いのは25〜29歳である。
5.新生児死亡の原因は「周産期に特異的な呼吸障害、および心血管障害」が最多である。

解答1・2

解説

1.〇 正しい。平成28 年(2016 年)の日本の母子保健統計で合計特殊出生率は1.44で前年比より低下している。
2.〇 正しい。平成28 年(2016 年)の日本の母子保健統計では妊産婦死亡率は前年より減少しており、年々低下している。
3.× 平成28 年(2016 年)の日本の母子保健統計では死産率のうち自然死産率は10.1で前年の10.6より低下し、人工死産率は10.9で前年の11.4より低下しており、人工死産率よりも自然死産率の方が低い
4.× 平成28 年(2016 年)の日本の母子保健統計で年齢別の出生率で最も高いのは25〜29歳ではなく、30〜34歳が最も多い。第1子出生時の母の平均年齢は上昇傾向にあり、30.7 歳となっている。
5.× 平成28 年(2016 年)の日本の母子保健統計で新生児死亡の原因の最多は「周産期に特異的な呼吸障害、および心血管障害」ではなく、「先天奇形、変形及び染色体異常」である。

 

 

 

 

 

35 児童福祉法で規定しているのはどれか。2つ選べ。

1.子の看護休暇
2.乳幼児健康診査
3.乳児家庭全戸訪問事業
4.地域子育て支援拠点事業
5.母子健康包括支援センター

解答3.4

解説

1.× 子の看護休暇は、育児・介護休業法に定められた休暇規定の1つである。子の看護休暇とは、子どもの病気やケガなど看護が必要なときに利用できる休暇である。
2.× 乳幼児健康診査は、母子保健法により規定されている。乳幼児健康診査とは市町村が乳幼児に対して行う健康診査であり、乳幼児健康診断や乳幼児健診とも呼ばれる。
3.〇 正しい。乳児家庭全戸訪問事業は、児童福祉法で規定している。乳児家庭全戸訪問事業(こんにちは赤ちゃん事業)とは生後4か月までの乳児のいるすべての家庭を訪問し、子育てに関する相談や情報提供等を行う。また親子の心身の状況や養育環境等の把握や助言を行い、支援が必要な家庭に対しては適切なサービス提供につなげることを目的としている。
4.〇 正しい。地域子育て支援拠点事業は、児童福祉法で規定している。地域子育て支援拠点事業とは、地域において子育て親子の交流を促進する子育て支援拠点の設置を推進することにより、地域の子育て支援機能の充実を図り、子育ての不安を緩和し、子どもの健やかな育ちを支援することを目的としている。
5.× 母子健康包括支援センターとは、母子保健法により規定されている。妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない支援を行うことを目的とし、市町村は子育て世代包括支援センターを設置することが規定されている。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)