第103回(R2) 助産師国家試験 解説【午後36~40】

 

次の文を読み36〜38の問いに答えよ。
 Aさん(38歳、初産婦)。妊娠26週3日。身長160 cm、体重64 kg(非妊時体重60 kg)。本日の75 gOGTTで負荷前105 mg/dL、1時間値190 mg/dL、2時間値160 mg/dL であり、妊娠糖尿病と診断された。

36 Aさんの行う血糖コントロールで適切なのはどれか。2つ選べ。

1.1日1回の自己血糖測定をする。
2.食前の目標血糖値を100 mg/dL 以下とする。
3.食後2時間の目標血糖値を150 mg/dL 以下とする。
4.妊娠中に減量をする。
5.1日摂取エネルギー量を1,800 kcalとする。

解答2・5

解説

1.× 自己血糖測定は1日1回ではなく、血糖値を正確に把握するために毎食前毎食後2時間寝る前1日6回、もしくは必要時1日7回を測定する。
2.〇 正しい。食前の目標血糖値は60〜100 mg/dL以下である。
3.× 食後2時間の目標血糖値は150mg/dLではなく120mg/dL以下である。なお食後1時間の目標血糖値は140mg/dL以下である。
4.× 妊娠中の体重コントロールは必要であるが、減量ではなく食事や運動でコントロールする。
5.〇 正しい。適正エネルギー量の求め方は標準体重(身長m×身長m×22)×30kcal+付加量である。付加量は妊娠初期は50kcal、中期250kcal、後期450kcal、授乳期350kcalであり、肥満の場合はなしとなる。Aさんの場合、56×30kcal+250kcalでおよそ1日摂取エネルギー量は1,800kcalとなる。

 

 

 

 

 

次の文を読み36〜38の問いに答えよ。
 Aさん(38歳、初産婦)。妊娠26週3日。身長160 cm、体重64 kg(非妊時体重60 kg)。本日の75 gOGTTで負荷前105 mg/dL、1時間値190 mg/dL、2時間値160 mg/dL であり、妊娠糖尿病と診断された。

37 妊娠39週3日。Aさんは、破水後に来院し、入院した。羊水混濁なし。児は頭位、推定胎児体重3,600 g。2時間後に自然に陣痛発来し、分娩は順調に経過した。入院から8時間後に児頭は娩出されたが、肩甲がひっかかり娩出されない。
 この時のAさんへの助産師の対応で適切なのはどれか。2つ選べ。

1.子宮底圧迫法を行う。
2.児頭を下方に牽引する。
3.恥骨結合の上から肩甲を押す。
4.McRoberts<マックロバーツ>体位をとる。
5.指を児の腋窩に入れ腕を解出する。

解答3・4

解説

1.× 子宮底圧迫法(クリステレル胎児圧出法)とは、子宮口が全開大した分娩第2期に遷延分娩や胎児胎盤機能不全などにより児をできるだけ早く娩出するため、子宮の収縮力と子宮内圧を高めることを目的とした施術である。主に吸引分娩の補助として行われる。肩甲難産の危険因子として吸引・鉗子分娩があり、肩甲難産娩出の際に他の手技を行わずに子宮底圧迫のみを行った場合には新生児外傷の頻度が高いため、肩甲難産において子宮底圧迫法は禁忌とされている。
2.× 肩甲難産が疑われる場合、クリステレル胎児圧出法や児頭を下方に牽引するなど無理な児頭牽引は禁忌である。
3.〇 正しい。恥骨上部圧迫法とは、恥骨の上部を圧迫し、恥骨上でひっかかっている前在肩甲を解除しようとする方法である。McRoberts体位とともに行われることが多いが、まずこの手技のみを行いながら児頭の牽引を試みる。恥骨上部圧迫法を助手に任せられる状況であれば、術者は手を胎児の後背部に挿入し,前在肩甲を胎児の前方に押して回旋させ、骨盤の斜径に一致させることでより解除されやすくなる。(腟内圧迫法)
4.〇 正しい。McRoberts<マックロバーツ>体位とは、妊婦の両足を分娩台のステップからはずして大腿の前面を腹部に強く押し付ける体位である。この体位をとりながら同時に恥骨上部を助手が圧迫し、恥骨の裏に陥入した肩を開放する方法をMcRoberts法と呼び、肩甲難産の際に行われる。
5.× 腕を解出する方法はSchwartz法がある。腕を解出するのには児の腋窩に入れるのではなく、術者の手指は腟内に挿入して胎児の後在上腕を把持し、胎児が自分の腕で顔を拭うような向きで上肢を腟外に娩出させる。

 

 

 

 

 

次の文を読み36〜38の問いに答えよ。
 Aさん(38歳、初産婦)。妊娠26週3日。身長160 cm、体重64 kg(非妊時体重60 kg)。本日の75 gOGTTで負荷前105 mg/dL、1時間値190 mg/dL、2時間値160 mg/dL であり、妊娠糖尿病と診断された。

38 児は無事に出生した。出生体重3,800 g。Apgar<アプガー>スコアは1分後8点、5分後10点。生後1時間、児のバイタルサインは直腸温36.8 ℃、呼吸数55/分、心拍数150/分。経皮的動脈血酸素飽和度<SpO2>98 %(room air)であり、診察上明らかな異常所見は認めなかった。
 この児に注意すべき合併症はどれか。

1.低血糖
2.低体温
3.頭蓋内出血
4.新生児一過性多呼吸
5.先天性甲状腺機能低下症

解答

解説

1.〇 正しい。低血糖は、低出生体重児早産児糖尿病のある母体からの新生児に多い。低出生体重児や早産児ではグリコーゲンの貯蔵量が少ないため、早期にかつ頻繁に栄養を補給しなければ低血糖を起こす。また糖尿病母体児は母体の高血糖により高インスリン血症を有するため、出生後に母体からのグルコース供給が途絶えると、一時的な低血糖を来すことがある。Aさんは妊娠糖尿病と診断されており、児には一時的に低血糖を起こす可能性がある。
2.× 低体温は深部体温が36.5℃未満のものと定義されており、環境因子や敗血症、頭蓋内出血、薬物離脱などの体温調節を障害する疾患によって起こる。正期産児および早期産児の正常直腸温は36.5~37.5℃であり、今回は適さない。
3.× 頭蓋内出血は脳周囲の出血のことである。脳内および頭蓋内出血は血管が破れることにより生じる。正常な分娩後、ほかに異常がみられない新生児に生じることがあり、出血の原因は不明で非常に早く生まれた未熟児で多くみられる。血友病などの出血性疾患を持つ新生児においても脳内で出血を起こすリスクが高い。
4.× 新生児一過性多呼吸とは、出生後肺に過剰な液体があるために一時的な呼吸困難が起こり、血液中の酸素レベルが低くなる病気である。未熟児、または特定の危険因子をもつ満期産児で発生する可能性がある。今回は経皮的動脈血酸素飽和度<SpO2>98 %で呼吸状態は問題ない。
5.× 先天性甲状腺機能低下症とは、生まれつき甲状腺の働きが弱く甲状腺ホルモンが不足する疾患である。 出生後の早期には、元気がない、哺乳不良、体重増加不良、黄疸の遷延、便秘、手足がつめたい、泣き声がかすれているなどの症状が現れる。

 

 

 

 

 

次の文を読み39〜41の問いに答えよ。
 Aさん(33歳、初産婦)。30 歳で甲状腺機能亢進症を発症し、Basedow<バセドウ>病の診断により甲状腺亜全摘術を受け、レボチロキシンの内服を継続していた。Aさんは無月経を主訴に産婦人科を受診して、妊娠6週相当と診断された。また、診察で子宮体部の筋層内に複数の子宮筋腫が指摘されて子宮体部全体は新生児頭大であった。

39 医師の診察後にA さんは「子宮筋腫ができているなんて知りませんでした。妊娠や出産にどのような影響がありますか」と助産師に聞いた。
 助産師が行うAさんへの説明で正しいのはどれか。

1.「胎児の先天異常のリスクが増加します」
2.「出産後に子宮全摘出術が必要です」
3.「妊娠糖尿病になりやすくなります」
4.「子宮破裂を生じやすくなります」
5.「切迫早産が生じやすくなります」

解答

解説

1.× 胎児の先天異常のリスクは放射線への曝露、妊娠中の薬剤の使用、アルコール、栄養不良、母体の特定の感染症、遺伝性疾患などがあり、子宮筋腫は胎児の先天異常のリスクに関係しない。
2.× 出産時は帝王切開になる可能性が高まるが、出産後に子宮全摘出術する必要はない。
3.× 妊娠糖尿病は胎盤からインスリンの働きを妨害するホルモンが分泌されるために起こるものであり、子宮筋腫によりなりやすくなるわけではない。
4.× 子宮破裂の原因としては多胎妊娠、羊水過多、胎児異常などの子宮の過度の伸展や、帝王切開や子宮の外科手術の既往がある女性で治癒した瘢痕線に沿って起こる。
5.〇 正しい。子宮筋腫は、不妊流産早産になることがある。また胎位異常のリスクが高まる場合があり、出産時では帝王切開になる可能性が高まる。

 

 

 

 

 

次の文を読み39〜41の問いに答えよ。
 Aさん(33歳、初産婦)。30 歳で甲状腺機能亢進症を発症し、Basedow<バセドウ>病の診断により甲状腺亜全摘術を受け、レボチロキシンの内服を継続していた。Aさんは無月経を主訴に産婦人科を受診して、妊娠6週相当と診断された。また、診察で子宮体部の筋層内に複数の子宮筋腫が指摘されて子宮体部全体は新生児頭大であった。

40 その後の妊娠経過は順調で、血液検査では甲状腺機能は正常範囲であった。妊娠34 週の妊婦健康診査の超音波検査で胎児の甲状腺の腫大が確認された。産科医師からAさんに、出産後に児の甲状腺機能亢進症が生じる可能性が告げられた。診察後にA さんは助産師に「私のバセドウ病は落ち着いているのに、どうして赤ちゃんの甲状腺機能が異常になるのでしょうか」と訴えた。
 Aさんの児の甲状腺機能亢進症が生じる原因で正しいのはどれか。

1.ヒト絨毛性ゴナドトロピン
2.甲状腺切除手術の既往
3.レボチロキシンの内服
4.自己抗体の胎盤通過
5.胎児の甲状腺癌

解答

解説

1.× ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)とは、妊娠中にのみ測定可能量が著しく産生されるホルモンであり、妊娠の早期発見や自然流産や子宮外妊娠といった妊娠初期によくみられる異常妊娠の診断と管理のために使用される。hCGは甲状腺を刺激する作用を持っているが、児の甲状腺機能亢進症が生じる原因ではない。
2.× 児に甲状腺機能亢進症が生じるのは母体の血液中の抗TSH受容体抗体(TRAb)が高値の場合であるためであり、甲状腺切除手術の既往があることが原因ではない。
3.× レボチロキシンは、甲状腺ホルモン薬であり、妊娠中、授乳中の服用も問題はない。商品にはチラーヂンSなどがある。
4.〇 正しい。バセドウ病などの自己免疫疾患で作られる異常な抗体は、胎盤を通過できるため、現在症状が落ち着いていても胎児に問題を引き起こす可能性がある。
5.× 胎児の甲状腺機能亢進症は児の甲状腺癌が原因ではなく、通常は母親のバセドウ病が原因である。

 

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