第103回(R2) 助産師国家試験 解説【午後41~45】

 

次の文を読み39〜41の問いに答えよ。
 Aさん(33歳、初産婦)。30 歳で甲状腺機能亢進症を発症し、Basedow<バセドウ>病の診断により甲状腺亜全摘術を受け、レボチロキシンの内服を継続していた。Aさんは無月経を主訴に産婦人科を受診して、妊娠6週相当と診断された。また、診察で子宮体部の筋層内に複数の子宮筋腫が指摘されて子宮体部全体は新生児頭大であった。

41 妊娠38 週0日に陣痛発来し、Aさんは入院となった。入院後12時間の経過で子宮口が全開し、その後4時間で分娩となった。児は3,650 gの男児で、Apgar<アプガー>スコア1分後9点、5分後9点である。胎盤は児の娩出の5分後に自然娩出となった。その後も出血が持続しており、胎盤娩出後5分間の出血量は450mLとなった。医師による診察が行われているが原因が特定できていない。Aさんは意識清明で、バイタルサインは脈拍85/分、血圧120/75 mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度<SpO2>98 %(room air)である。
 この時点でのAさんへの対応で最も優先されるのはどれか。

1.飲水を促す。
2.酸素を投与する。
3.末梢静脈を血管確保する。
4.側臥位への体位変換を促す。
5.弾性ストッキングの着用を勧める。

解答

解説

1.× Aさんから口渇の訴えもなく、出血の原因がわからずAさんの状態が落ち着いているといえない状況で飲水を促すのは適さない。
2.× 経皮的動脈血酸素飽和度<SpO2>は98 %(room air)で問題ないため、酸素を投与する必要はない。
3.〇 正しい。出血の原因が特定できておらず、出血が止まらない場合には輸血などが必要になることがあるため、末梢静脈を血管確保する。
4.× Aさんの出血の原因が特定できておらず、側臥位への体位変換を促すことは出血の増加を引き起こす可能性もあり適さない。
5.× 弾性ストッキングは帝王切開時などで術後血栓のリスクがある場合には必要であるが、今回は自然分娩であり弾性ストッキングの着用は必要ない。

 

 

 

 

 

 

次の文を読み42〜44の問いに答えよ。
 Aさん(36歳、初妊婦、会社員)。現在、妊娠14週3日。昨夜、少量の性器出血があったため、家族とともに外来受診した。身長165 cm、体重57.0 kg(非妊時体重56.5 kg)。血圧126/68 mmHg。Hb 11.5 g/dL、Ht 33.2 %。尿蛋白(-)、尿糖(-)。下肢浮腫(-)、下肢に静脈瘤を認めるが痛みはない。既往歴は特にない。

42 胎児心拍数150 bpm、下腹部痛の自覚なし。診察後に絨毛膜下血腫を指摘され、医師からなるべく安静にするように言われた。A さんは「安静の必要性について上司にどのように伝えればいいですか」と助産師に相談した。
 Aさんへの助産師の対応で適切なのはどれか。

1.家族から説明してもらうように提案する。
2.助産師が上司に電話で説明することを伝える。
3.母子健康手帳を使って説明するように伝える。
4.母性健康管理指導事項連絡カードの利用を提案する。

解答

解説

1.× 職場に家族から説明してもらうことは十分に理解してもらえないことも考えられるため、母性健康管理指導事項連絡カードを勧めることがふさわしい。
2.× 助産師が上司に電話説明することはできないため、母性健康管理指導事項連絡カードを勧めることがふさわしい。
3.× 母子健康手帳には妊娠中の経過などが記載されているのみで、今回の疾患の安静の必要性を説明するのに利用するのは適さない。
4.〇 正しい。母性健康管理指導事項連絡カードとは、妊娠中および出産後の女性従業員が、病院やクリニックから指導を受けた内容を適切に事業主に伝達するための書類で、通称「母健連絡カード」と呼ばれる。

 

 

 

 

 

 

次の文を読み42〜44の問いに答えよ。
 Aさん(36歳、初妊婦、会社員)。現在、妊娠14週3日。昨夜、少量の性器出血があったため、家族とともに外来受診した。身長165 cm、体重57.0 kg(非妊時体重56.5 kg)。血圧126/68 mmHg。Hb 11.5 g/dL、Ht 33.2 %。尿蛋白(-)、尿糖(-)。下肢浮腫(-)、下肢に静脈瘤を認めるが痛みはない。既往歴は特にない。

43 妊娠32 週。妊婦健康診査で特に異常はなかった。A さんは助産師に「被用者保険に加入していますが、これから出産準備に入って仕事ができないと、収入がなくなりますよね。収入がなくなるのはとても困ります」と不安そうにしている。
 産前休業取得中にAさんが支給の対象となるのはどれか。

1.出産育児一時金
2.出産手当金
3.育成医療
4.出産扶助

解答

解説

1.× 出産育児一時金とは、健康保険法に基づき、日本の公的医療保険制度の被保険者が出産したときに支給される手当金である。
2.〇 正しい。出産手当金とは、健康保険の被保険者が出産のため会社を休んだために事業主から報酬が受けられない場合に支給される手当金である。
3.× 育成医療(自立支援医療)とは、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(障害者総合支援法)に基づき、身体に障害のある児童又はそのまま放置すると将来障害を残すと認められる疾患がある児童(18歳未満)で、確実な治療効果が期待できる方が指定医療機関において医療を受ける場合に給付が受けられる制度である。
4.× 出産扶助とは、生活保護の扶助の1つで、出産のために必要な費用の支給を受けることができる。

 

 

 

 

 

 

次の文を読み42〜44の問いに答えよ。
 Aさん(36歳、初妊婦、会社員)。現在、妊娠14週3日。昨夜、少量の性器出血があったため、家族とともに外来受診した。身長165 cm、体重57.0 kg(非妊時体重56.5 kg)。血圧126/68 mmHg。Hb 11.5 g/dL、Ht 33.2 %。尿蛋白(-)、尿糖(-)。下肢浮腫(-)、下肢に静脈瘤を認めるが痛みはない。既往歴は特にない。

44 Aさんは妊娠41週5日、妊婦健康診査のために病院を受診した。超音波検査で推定胎児体重2,600 g、AFI 5で羊水量の減少が確認された。胎児心拍数陣痛モニタリングではリアクティブパターンであった。体温36.5 ℃、脈拍60/分、血圧130/78 mmHg。尿蛋白(-)、尿糖(-)。医師からAさんは分娩誘発のための入院を勧められたが「分娩誘発のために入院になるなんて思いもよらなかった。入院しないでいたらどんなことが起きてくるのですか」と助産師に尋ねた。
 Aさんの分娩で特に予測されるのはどれか。

1.常位胎盤早期剝離
2.胎児機能不全
3.子宮内感染
4.肩甲難産
5.弛緩出血

解答

解説

1.× 常位胎盤早期剝離とは、子宮壁の正常な位置に付着している胎盤が妊娠20週以降に剥がれてしまうことである。原因は不明なことが多く、今回は適さない。
2.〇 正しい。胎児機能不全(NRFS)とは、胎児が酸素不足に陥ってしまう状態である。Aさんは過期妊娠に近く胎児機能不全を起こす可能性がある。過期妊娠とは、妊娠42週以降も妊娠が続く状態である。妊娠が長引きすぎると胎盤が胎児に十分な栄養を届け続けることができなくなり、胎児機能不全を起こす可能性がある。この状態を過熟と呼ぶ。
3.× 子宮内感染とは、病原菌が腟・ 子宮頸管の病原体が子宮内へと上行(上行感染)、もしくは胎盤を通過(経胎盤感染)し胎児へと感染することである。今回は母体からの感染が疑われるわけではないため適さない。
4.× 肩甲難産とは、児頭娩出後に前在肩甲が恥骨結合につかえ、肩甲娩出が困難状況なために、児の娩出が不可能な状態である。危険因子としては胎児の大きさが最も重要ですが、他にも母体の糖尿病や、母体の妊娠中の過剰な体重増加、過期妊娠、母体の高年齢、骨盤の変形などがあるが今回は胎児の大きさは小さめであり、今回は適さない。
5.× 弛緩出血とは、児と胎盤の娩出後、本来なら子宮が収縮することで止まるはずの出血が続いてしまう状態である。今回は分娩前のことであり適さない。

 

 

 

 

 

 

次の文を読み45〜47の問いに答えよ。
 Aさん(32 歳、初産婦)。妊娠経過は順調であった。妊娠39週5日で3,420 gの女児を吸引分娩で出産した。分娩所要時間20 時間50 分、破水から分娩までの所要時間1時間30分。分娩時出血量450 mL。正中側切開術が施行された。

45 分娩後5時間。体温37.4 ℃、脈拍88/分、血圧100/74 mmHg。子宮底の高さ臍高、子宮底は硬く触れる。赤色悪露中等量、後陣痛軽度。会陰縫合部の発赤(-)、腫脹軽度、発汗がみられ、口渇を訴える。
 この時点のAさんのアセスメントで適切なのはどれか。2つ選べ。

1.口渇は耐糖能の異常によるものである。
2.出血多量による頻脈がみられている。
3.自然に正常体温に戻る可能性が高い。
4.会陰縫合部の感染が疑われる。
5.子宮復古は良好である。

解答3・5

解説

1.× 妊娠経過は順調であり、口渇は耐糖能の異常によるものではなく、発汗や発熱によるものである。
2.× 正常分娩の出血量は500mL未満とされており、それを超える量の出血を分娩時異常出血というため出血多量ではない。また頻脈は1分間に100以上の脈拍数がある場合である。
3.〇 正しい。お産のため一時的に発熱しているが、母体の脱水や疲労が原因であることが考えられ、休息により自然に正常体温に戻る可能性が高い。
4.× 創部の感染兆候は3日目以降見られることが多く、会陰縫合部は発赤も見られておらず、発熱も感染によるものと考えにくい。
5.〇 正しい。子宮底の高さは臍高で、子宮底は硬く触れることから子宮復古は良好である。

 

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