第103回(R2) 助産師国家試験 解説【午前51~55】

 

次の文を読み50〜52の問いに答えよ。
 Aさん(39歳、1回経産婦)。妊娠中の経過は順調であった。妊娠40週2日、陣痛が開始したため入院となった。午前1時30分、陣痛は2〜3分間欠、発作は40〜50秒。午前2時00 分に破水。「便がしたい感じ。どうしてこんなに痛いの」と言いながら強くいきんでいる。内診所見は子宮口7cm開大、展退度90 %、Station+1。

51 午前3時30分、3,560gの男児を正常分娩した。Apgar<アプガー>スコア1分後9点、5分後9点。午前3時35 分に胎盤娩出。分娩時の会陰切開は行わず、産道裂傷は認めなかった。胎盤娩出後、子宮収縮は良好で出血も速やかに止まった。3期までの出血量は約450 mLであった。午前4時30 分、Aさんは「下腹部の方が徐々に痛くなり、痛みが止まりません」と訴えて顔をしかめている。脈拍116/分、血圧90/60 mmHg。子宮底の硬度良好で、外出血はパットに少量である。外陰部には明らかな異常を認めないが、腟の左側の奥の方が顕著に膨隆している。
 Aさんの状況で考えられるのはどれか。

1.不全子宮破裂
2.羊水塞栓症
3.頸管裂傷
4.弛緩出血
5.腟壁血腫

解答

解説

1.× 子宮破裂とは、主として分娩時に起こる子宮体部ないしは子宮下部の裂傷である。
完全と不全とに分類されており、完全子宮破裂とは子宮壁が全部裂けるもので、不全子宮破裂とは子宮の外側は裂けずに残っているものである。母体は出血多量になるが、今回はパットに少量の出血のため、不全子宮破裂は適さない。
2.× 羊水塞栓症とは、羊水が母体血中へ流入することによって引き起こされる。肺毛細管の閉塞を原因とする肺高血圧症と、それによる呼吸循環障害を病態とする疾患である。羊水塞栓症の場合は意識消失、ショックバイタル、播種性血管内凝固症候群(DIC)になるため適さない。
3.× 頚管裂傷とは、子宮頸管の一部が裂けてしまうことである。産道裂傷は認められなかったため、頸管裂傷は適さない。
4.× 弛緩出血とは、児と胎盤の娩出後に本来なら子宮が収縮することで止まるはずの出血が続いてしまう状態である。今回は子宮底の硬度に異常がなくパットに少量の出血のため、弛緩出血は適さない。
5.〇 正しい。膣壁血腫とは、膣壁粘膜下組織の血管が破綻・断裂して血腫ができた状態のことである。急速な分娩進行による膣壁の急激な伸展、過大な頭部や肩甲の通過による膣壁の過度な伸展などが原因である。Aさんの分娩は急速に進み、3560gと大きめの児を分娩しているため膣壁血腫ができやすい状況である。

 

 

 

 

 

次の文を読み50〜52の問いに答えよ。
 Aさん(39歳、1回経産婦)。妊娠中の経過は順調であった。妊娠40週2日、陣痛が開始したため入院となった。午前1時30分、陣痛は2〜3分間欠、発作は40〜50秒。午前2時00 分に破水。「便がしたい感じ。どうしてこんなに痛いの」と言いながら強くいきんでいる。内診所見は子宮口7cm開大、展退度90 %、Station+1。

52 医師の処置を受けてAさんの状態は安定し、痛みも軽減した。分娩後4時間の時点で助産師とともに初回歩行を行ったところ、気分不快を訴えたため車椅子でベッドに戻った。Aさんのバイタルサインは脈拍94/分、血圧100/50 mmHg。分娩後の総出血量1,600 mLであった。出生後の児の状態は良好である。ベッドに戻ったAさんは児との面会を希望した。
 この時点でのAさんと児への対応で適切なのはどれか。

1.母児同室を開始する。
2.早期母子接触を実施する。
3.新生児室内で児と面会する。
4.病室で短時間の面会を行う。
5.翌日までは面会を行わない。

解答

解説

1.× Aさんの総出血量は1600mlで初回歩行では気分不快を訴えたため、この時点で母児同室を開始するのはふさわしくない。
2.× 早期母子接触は実施すべきであるが、母子ともに状態が安定してから行うべきである。
3.× 出生後の児の状態は良好であり、Aさんは移動が困難で休息が必要な状態であることから新生児室内で児と面会はふさわしくない。
4.〇 正しい。Aさんの総出血量は1600mlで、初回歩行で気分不快を訴えたため、休息を優先する必要があるため、病室での短時間の面会で済ませ、体調の回復を促す。
5.× Aさんは児との面会を希望しており、現在の状態では休息が必要であるが、翌日までは面会を行わないのは適さない。

 

 

 

 

 

次の文を読み53〜55の問いに答えよ。
 Aさん(36歳、初妊婦、専業主婦)。B市在住で、夫(35歳、会社員)と2人暮らし。Aさんは双胎妊娠で、妊娠高血圧症候群を合併していたため、妊娠34週から管理入院していた。本日、妊娠37 週4日。腹痛と性器出血があり、常位胎盤早期剝離と診断され、緊急帝王切開分娩となった。第1子は女児で出生時体重2,500 g、Apgar<アプガー>スコア1分後5点、5分後8点であった。第2子は男児で出生時体重2,350g、Apgar<アプガー>スコア1分後2点、5分後2点。出生後2時間で死亡した。

53 第2子について必要な対応はどれか。

1.出生証明書の交付
2.死産証書の交付
3.死胎検案書の交付
4.異常死産児の届出

解答

解説

1.〇 正しい。第二子は子宮内での死亡は確認しておらず、出生後も2時間ではあるが生きていたため、出生証明書の交付が正しい。
2.× 死産証書は、妊娠4ヶ月以降に子宮内にて胎児が死亡しており、死児を分娩した場合に交付する。
3.× 死胎検案書は、死産児の分娩に医師・助産師が立ち会っていない場合、死産児に対する医学的判断を証明するための書類である。
4.× 異常死産児の届出は、医師法第 21 条(異状死体の届出)により医師は、死体又は妊娠4月以上の死産児を検案して異状があると認めたときは、24時間以内に所轄警察署に届け出なければならないと定められている。

 

 

 

 

 

次の文を読み53〜55の問いに答えよ。
 Aさん(36歳、初妊婦、専業主婦)。B市在住で、夫(35歳、会社員)と2人暮らし。Aさんは双胎妊娠で、妊娠高血圧症候群を合併していたため、妊娠34週から管理入院していた。本日、妊娠37 週4日。腹痛と性器出血があり、常位胎盤早期剝離と診断され、緊急帝王切開分娩となった。第1子は女児で出生時体重2,500 g、Apgar<アプガー>スコア1分後5点、5分後8点であった。第2子は男児で出生時体重2,350g、Apgar<アプガー>スコア1分後2点、5分後2点。出生後2時間で死亡した。

54 病棟師長はAさんの分娩を担当した助産師に、速やかに助産録を記載するよう伝えた。
 担当助産師の対応で適切なのはどれか。

1.第1子用と第2子用の2部作成する。
2.分娩経過記録の記載を手術室看護師に依頼する。
3.妊娠高血圧症候群に関する記載は医師の診療録に委ねる。
4.緊急手術に関するインフォームド・コンセントの内容を記載する。

解答

解説

1.× 助産録とは、助産師が分娩介助をしたときに、助産に関する事項を速やかに記載しなければいけないものであり、5年間保存しなければいけない。双胎の場合は第1子用と第2子用の2部の記録を作成する必要はない。
2.× 手術室看護師は術中記録の記載はできるが、分娩経過記録の記載はできないため、分娩経過記録の記載を手術室看護師に依頼することはできない。
3.× 助産録の記載内容は①妊産婦の住所、氏名、年齢、職業、②分娩・死産回数、生死産の別、③妊産婦の既往疾患の有無およびその経過、④今回の妊娠経過、所見、保健指導の要項、⑤医師による妊娠中の健康診断受診の有無、⑥分娩場所、年月日時分、⑦分娩経過・処置、⑧分娩異常の有無、経過および処置、⑨児の数、性別、生死別、⑩児および胎児付属物の所見、⑪産褥経過、褥婦および新生児の保健指導の要項、⑫産後の医師による健康診断の有無の12項目である。妊娠高血圧症候群に関する記載は④今回の妊娠経過、所見、保健指導の要項に該当するため医師の診療録ではなく、助産録に記載する。
4.〇 正しい。緊急手術に関するインフォームド・コンセントの内容は、助産録の記載内容である⑦分娩経過・処置、⑧分娩異常の有無、経過および処置の2つに当てはまる。

助産録の記載内容の12項目

①妊産婦の住所、氏名、年齢、職業
②分娩・死産回数、生死産の別
③妊産婦の既往疾患の有無およびその経過
④今回の妊娠経過、所見、保健指導の要項
⑤医師による妊娠中の健康診断受診の有無
⑥分娩場所、年月日時分
⑦分娩経過・処置
⑧分娩異常の有無、経過および処置
⑨児の数、性別、生死別
⑩児および胎児付属物の所見
⑪産褥経過、褥婦および新生児の保健指導の要項
⑫産後の医師による健康診断の有無

 

 

 

 

 

次の文を読み53〜55の問いに答えよ。
 Aさん(36歳、初妊婦、専業主婦)。B市在住で、夫(35歳、会社員)と2人暮らし。Aさんは双胎妊娠で、妊娠高血圧症候群を合併していたため、妊娠34週から管理入院していた。本日、妊娠37 週4日。腹痛と性器出血があり、常位胎盤早期剝離と診断され、緊急帝王切開分娩となった。第1子は女児で出生時体重2,500 g、Apgar<アプガー>スコア1分後5点、5分後8点であった。第2子は男児で出生時体重2,350g、Apgar<アプガー>スコア1分後2点、5分後2点。出生後2時間で死亡した。

55 産褥4日。Aさんは第2子の葬儀のため外出し、産褥6日から母児同室となった。時々流涙することがあったが「夫とともにがんばってこの子を育てたい」と助産師に話した。産褥14日で退院となった。退院前日、面会に来た夫から助産師に対して「出産育児一時金について教えてほしい」と相談があった。Aさんは夫の扶養家族である。
 夫への説明で正しいのはどれか。

1.「お子さん2人分が支給されます」
2.「居住地のB市から支給されます」
3.「正常分娩ではなかったので支給されません」
4.「Aさんは被保険者ではないので支給されません」

解答

解説

1.〇 正しい。 出産育児一時金とは、公的医療保険に加入している被保険者およびその被扶養者が分娩したときに、1児ごとに420000円が支給される制度である。妊娠4ヶ月以降の分娩が対象である。多胎児を分娩したときは、胎児数分だけ支給される。
2.× 出産育児一時金は、居住地の市から支給されるのではなく、加入している公的医療保険会社などから支給される。
3.× 出産育児一時金は、正常分娩でなくても妊娠4ヶ月以降の分娩が対象で支給される。
4.× 出産育児一時金は、被保険者でなくても、公的医療保険に加入している被保険者およびその被扶養者にも支給される。

 

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