第103回(R2) 助産師国家試験 解説【午前6~10】

 

6 産科の診療所で妊婦健康診査を受けている妊婦が妊娠中期に前置胎盤と診断された。
 出血や子宮収縮がなく妊娠が経過している場合に、高次施設への紹介のタイミングとして推奨される時期はどれか。

1.妊娠33週0日未満
2.妊娠33週0日以降35週0日未満
3.妊娠35週0日以降37週0日未満
4.妊娠37週0日以降

解答

解説

1.〇 正しい。前置胎盤とは、胎盤が正常より低い位置(膣に近い側)に付着してしまい、胎盤が子宮の出口(内子宮口)の一部、もしくは全部を覆っている状態である。痛みを伴わない大量出血による母子ともにリスクがあるため、産婦人科医師は妊娠31週末までに前置胎盤の診断をし、妊娠32週までに紹介受診を完了させる。
2.× 前置胎盤は母子ともに大量出血によるリスクがあるため、妊娠33週0日以降35週0日未満は適さない。
3.× 前置胎盤は母子ともに大量出血によるリスクがあるため、妊娠35週0日以降37週0日未満は適さない。
4.× 前置胎盤は母子ともに大量出血によるリスクがあるため、妊娠37週0日以降は適さない。

 

 

 

 

 

7 新生児の低体温によって起こる生体反応で正しいのはどれか。

1.ノルアドレナリン分泌低下
2.代謝性アルカローシス
3.末梢血管拡張
4.肺動脈収縮

解答

解説

1.× 新生児には冷却に対する代謝反応があり、これには褐色脂肪組織における交感神経のノルアドレナリン放出による化学的(非ふるえ)熱産生が関与するため、低体温によりノルアドレナリン分泌は低下するのではなく増加する。
2.× 低体温により低酸素症が起こると代謝性アルカローシスではなく、代謝性アシドーシスへと進展し悪循環を形成し、最悪の場合は死に至ることになる。
3.× 末梢血管は低体温になると拡張するのではなく、ノルエピネフリンにより末梢血管を収縮させ組織の虚血による低酸素症を引き起こす。
4.〇 正しい。新生児が低体温になるとノルエピネフリンが分泌されることにより血管収縮作用により肺動脈収縮をきたす。

 

 

 

 

 

8 月齢2か月の男児。在胎30週3日、常位胎盤早期剝離のため緊急帝王切開で出生した。出生体重1,515 g。Apgar<アプガー>スコアは分後点、1分後1点、5分後4点、10分後8点。現在、全身状態は良好だが、退院前の頭部MRI検査で多発性囊胞性病変を認めた。MRI 検査所見を下図に示す。
 この児の予後で最も考慮する疾患はどれか。

1.難聴
2.水頭症
3.脳性麻痺
4.下垂体機能低下症

解答

解説

1.× 先天性難聴は生まれつき難聴があることで、およそ半数が遺伝的要因によって引き起こされると考えらえている。また母親が妊娠初期に風疹やサイトメガロウイルスに感染した場合や出産時にその他の感染症に母子感染したり、母親が妊娠中にある種の抗生物質などを服用したりした場合も原因になる可能性がある。
2.× 水頭症とは、脳室や頭蓋内腔に水がたくさんたまってしまう状態であるが、常位胎盤早期剥離では生じない。
3.〇 正しい。脳性麻痺の約半数は常位胎盤早期剥離と臍帯因子によるもので、常位胎盤早期剥離では児の救命が困難であることや救命しても脳性麻痺になる危険性がある。常位胎盤早期剥離は下腹部痛性器出血があるが、軽症の場合は自覚症状がほとんどないことも少なくない。
4.× 下垂体機能低下症とは1種類以上の下垂体ホルモンの不足により下垂体の機能が低下する病気であるが、常位胎盤早期剥離では生じない。障害されるホルモンが1つの場合は単独下垂体ホルモン欠損と呼び、複数のホルモンが分泌低下している場合は複合型下垂体機能低下症と呼ぶ。

 

 

 

 

 

9 産婦健康診査事業で正しいのはどれか。

1.エジンバラ産後うつ病質問票<EPDS>による問診が必須である。
2.児の診察が健康診査に含まれる。
3.産後2か月までが対象となる。
4.全額公費負担となる。

解答

解説

1.〇 正しい。産婦健康診査事業とは、産後うつの予防や新生児への虐待防止などを図るため、出産後間もない時期の産婦に対する健康診査を実施することにより、産後の初期段階における母子に対する支援を強化し、妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない支援体制のことをいう。健診内容は問診、診察、体重測定、血圧測定、尿検査、母体の回復状況、乳房の状態の確認、エジンバラ産後うつ病質問票<EPDS>による問診が行われる。
2.× 産婦健康診査事業では産婦に対する健康診査のみであり、児の診察は健康診査には含まれない。
3.× 産婦健康診査事業は、産後2週間と1ヶ月の2回までの実施であり、産後2か月は対象外である。
4.×  産婦健康診査事業では出産後間もない時期の産婦に対する健康診査を公費負担により実施されるが全額公費負担ではなく、健診1回につき5000円を上限に助成される。

 

 

 

 

 

10 院内助産において分娩時の出血時に助産師が自らの判断で行う対応で適切なのはどれか。

1.昇圧薬の投与
2.胎盤用手剝離
3.輸血開始の決定
4.腟内ガーゼ充塡

解答

解説

1.× 助産師は医師に処置を促したりしてお産の進行をコントロールする役割であり、昇圧薬の投与など投薬は医師の指示のもとに行うため助産師の自らの判断で行うことはできない。
2.× 胎盤用手剝離などの医療処置は、医師が行う。助産師は処置を促すことはできるが自らの判断で処置を行うことはできない。
3.× 輸血開始の決定は医師の判断で行うため助産師が判断して行うことはできない。
4.〇 正しい。腟内ガーゼ充塡は分娩時の助産過程における必要に応じた救急処置であり、助産師の自らの判断で行うことが可能である。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)