第104回(H30) 保健師国家試験 解説【午前16~20】

 

16 Aさん(28歳、男性)。8年前に統合失調症を発症し長期入院をしていたが、6か月前に退院し、自宅で母親と 2人で暮らしている。母親から「退院時から通っていたデイケアに2週間ほど行っていません。食事は私と一緒に食べていて、服薬もできていますが、それ以外はあまり部屋から出てきません。デイケアの職員には少し様子をみるようにと言われましたが、心配で仕方がありません。こういうときはどうすれば良いでしょうか」と地区担当保健師に電話があった。保健師が家庭訪問したところ、Aさんは「デイケアにはそのうち行きます」と言って部屋に戻った。
 このときに保健師が母親へ助言する内容で最も適切なのはどれか。

1.「すぐに主治医に相談してください」
2.「別のデイケア施設の見学に行きませんか」
3.「なるべく外に出かけることをAさんに勧めてください」
4.「家族会に参加して他の家族のお話を聞いてみてはいかがですか」

解答

解説

1.× 「すぐに主治医に相談してください」と伝えるのは優先度が低い。なぜなら、Aさんは、服薬ができていること、食事などの生活に大きな乱れもないことから、病状自体は安定していると考えられるため。
2.× 「別のデイケア施設の見学に行きませんか」と伝えるのは優先度が低い。なぜなら、安易にデイケアを変えることは、環境の変化による本人への負荷がかかるため。また、Aさんからは現在のデイケアへの拒否の訴えはなく、デイケアへの通所の約束もできている。
3.× 「なるべく外に出かけることをAさんに勧めてください」と伝えるのは優先度が低い。なぜなら、親とAさんの関係悪化のリスクが高いため。設問から、母親は心配や焦りといった感情が大きい状態であることが読み取れる。そのような状態で外出を促すことは困難であると考えられる。
4.〇 正しい。「家族会に参加して他の家族のお話を聞いてみてはいかがですか」と伝えるのは優先度が高い。設問の相談主訴は、Aさんのデイケア通所が滞っていることよりも、むしろそのことに母親が不安を抱いていることである。したがって、母親に社会への参加を勧め、ほかの家族の体験談などを聞くことで母親の不安軽減する必要がある。

 

 

 

 

 

17 高齢者の肺炎球菌感染症の予防接種について正しいのはどれか。

1.施設に入所する高齢者への予防接種の実施は都道府県知事の責務である。
2.平成28年(2016年)4月から定期の予防接種が開始された。
3.予防接種法による健康被害の救済措置の対象となる。
4.予防接種法においてA類疾病に指定されている。

解答

解説

定期予防接種

定期予防接種には、①A類(旧一類)と②B類(旧二類)がある。
①A類(旧一類):小児を対象とする定期予防接種のもの。
②B類(旧二類):高齢者の肺炎球菌感染症のほか、高齢者のインフルエンザなど。

1.× 施設に入所する高齢者への予防接種の実施は、都道府県知事ではなく市町村長の責務である。
2.× 定期の予防接種が開始されたのは、平成28年(2016年)4月からではなく、平成26年10月である。
3.〇 正しい。予防接種法による健康被害の救済措置の対象となる。なぜなら、『予防接種法』の定期予防接種であるため。
4.× 予防接種法において、A類疾病ではなく、B類疾病に指定されている。

 

 

 

 

 

18 介護保険制度について正しいのはどれか。

1.利用者は居宅介護サービス計画を作成するための費用の1割を負担する。
2.介護保険認定の申請手続きの代行は被保険者の家族以外はできない。
3.利用者の日常生活能力の自己申告に基づき要介護認定が行われる。
4.利用者の選択によってサービスを決定することが基本である。

解答

解説
1.× 利用者は、居宅介護サービス計画を作成するための費用の自己負担はない。居宅介護サービス計画の作成費用は、居宅介護支援の居宅介護サービス計画費として支給される。したがって、費用の全額が介護保険から支給され、自己負担はない。
2.× 介護保険認定の申請手続きの代行は、被保険者の家族以外にも代わって行える。①指定居宅介護支援事業者、②地域密着型介護老人福祉施設、③介護保険施設で一定のもの、④地域包括支援センターに、申請に関する手続きを代わって行わせることができる
3.× 要介護認定は、利用者の日常生活能力の自己申告ではない。要介護認定は、市町村職員などの訪問調査による一次判定、医師の意見書等に基づく介護認定審査会による審査・判定(二次判定)の結果をもとに、市町村が認定する。
4.〇 正しい。利用者の選択によってサービスを決定することが基本である。介護保険では、利用者自らの意思によってサービスを選択するのが基本である。この自己決定を支援するため、市町村、居宅介護支援事業者などが幅広く介護サービスの情報を提供している。

 

 

 

 

 

19 石綿による疾病に関する労災保険給付の支給決定件数で正しいのはどれか。

1.平成18年度(2006年度)がピークである。
2.平成22年度(2010年度)から平成27年度(2015年度)まで連続して増加している。
3.平成27年度(2015年度)では中皮腫より肺がんの方が多い。
4.平成27年度(2015年度)の肺がんに対する支給は1,000 件を超えている。

解答

解説

石綿による疾病への法律

石綿曝露作業に従事していたことが原因で中皮腫や肺癌などを発症したと認められた場合は、『労働者災害補償保険法(労災保険法)』に基づく各種の労災保険給付や『石綿による健康被害の救済に関する法律(石綿救済法)』に基づく特別遺族給付金が支給される。

1.〇 正しい。平成18年度(2006年度)がピークである。石綿による疾病に関する労災保険給付の支給決定件数が最も多かったのは平成18年度で、1,858件であった。
2.× 平成22年度(2010年度)から平成27年度(2015年度)までは、連続して増加しているのではなく、ほぼ横ばいで毎年1,000件程度である。
3.× 逆である。平成27年度(2015年度)では、肺がんより中皮腫の方が多い。肺癌が386件、中皮腫が540件である。
4.× 平成27年度(2015年度)の肺がんに対する支給は、1,000 件を満たない。平成28年度の肺癌に対する労災保険給付の支給決定件数は386件であった。

 

 

 

 

 

20 特定業務従事者の健康診断について、3か月以内ごとの実施が義務付けられている業務はどれか。(不適切問題:採点対象外)

1.鉛業務
2.放射線業務
3.高気圧業務
4.四アルキル鉛業務

解答 なし(採点対象から除外)
理由:設問が不適切で正解が得られないため。

解説

1~4.× 鉛業務/放射線業務/高気圧業務/四アルキル鉛業務/の選択肢はいずれも『労働安全衛生規則』に基づく特殊健康診断が義務づけられている業務である。特定業務従事者の健康診断とは、『労働安全衛生規則』45条に定められた一般健康診断の一種である。
①鉛業務の健康診断は、雇入時、配置転換時、就業後6か月以内ごとに。
②放射線業務の健康診断は、雇入時、配置転換時、就業後6か月以内ごとに。
③高気圧業務の健康診断は、雇入時、配置転換時、就業後6か月以内ごとに。
④四アルキル鉛業務の健康診断は、雇入時、配置転換時、就業後3か月後ごとであるが、特定業務従事者の健康診断ではない。

 

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