第104回(H30) 保健師国家試験 解説【午前26~30】

 

26 地域保健法に規定されている内容はどれか。

1.市町村保健センターの所長は原則として医師である。
2.市町村に対する必要な財政的援助は都道府県の責務である。
3.保健所には所管区域内の市町村職員の研修の実施が義務付けられている。
4.保健所が行う事業に母性及び乳幼児並びに老人の保健に関する事項がある。

解答

解説
1.× 原則として医師であるのは、市町村保健センターの所長ではなく保険所長である。ちなみに、市町村保健センターの所長については、要件は定められていない。また『地域保健法』、『地域保健法施行規則』のいずれにも市町村保健センターの職員についての規定は存在しない。
2.× 市町村に対する必要な財政的援助は、都道府県の責務ではない。むしろ、都道府県、市町村とも独立自治体であり、法律に規定がある場合を除き上下の関係は生じない。『地域保健法』には、国が保健所・市町村保健センターの設置の費用などを補助する規定があるが、都道府県の市町村に対する財政的責務の規定はない
3.× 所管区域内の市町村職員の研修の実施が義務付けられているのは、保健所ではなく任命権者である。
4.〇 正しい。保健所が行う事業に、母性及び乳幼児並びに老人の保健に関する事項がある。母性及び乳幼児並びに老人の保健に関する事項は、保健所が企画、調整、指導および必要な事業を行うべき事項として定められている

 

 

 

 

 

27 介護保険法に基づく地域支援事業について正しいのはどれか。

1.実施主体は保健所である。
2.包括的支援事業が含まれる。
3.家族介護を支援する事業はない。
4.地域支援事業に係る費用は介護報酬から支払われる。

解答

解説
1.× 実施主体は、保健所ではなく市町村である。
2.〇 正しい。包括的支援事業が含まれる。地域支援事業は、①介護予防・日常生活支援総合事業(必須)、②包括的支援事業(必須)、③各市町村の判断で行われる任意事業に分けられる。
3.× 家族介護を支援する事業はある。任意事業として「介護方法の指導その他の要介護被保険者を現に介護する者の支援のため必要な事業」がある。
4.× 地域支援事業に係る費用は、介護報酬からではなく、公費と保険料によって賄われる。介護予防・日常生活支援総合事業は、公費50/100、保険料50/100、そのほかの事業は、公費78/100、保険料22/100である。

 

 

 

 

 

28 がん患者の在宅療養支援における医療保険および介護保険の活用について正しいのはどれか。

1.同日に医療保険と介護保険の利用はできない。
2.居宅療養管理指導は医療保険による診療報酬の対象である。
3.訪問看護の利用にあたっては医療保険と介護保険のいずれかを利用者が選択できる。
4.40歳から65歳未満のがん患者は介護保険法で定める特定疾病の状態のときに介護保険が利用できる。

解答

解説
1.× 同日に医療保険と介護保険の利用はできる。例えば、末期がんの患者の場合に、医療保険から訪問看護を受給し、介護保険から訪問介護、訪問入浴などのその他のサービスを同日に受給できる。ただし、同じサービスを両方の保険から受けることはできない。
2.× 居宅療養管理指導は、医療保険による診療報酬ではなく介護保険の居宅サービスの対象である。居宅療養管理指導とは、要支援や要介護と認定され、通院が困難な方を対象としたサービスです。 利用者の自宅に医師や看護師、薬剤師、歯科衛生士、管理栄養士などの専門職が訪問し、療養上の指導や健康管理、アドバイス等を行ない、自宅でも安心して過ごすことを目的としている。
3.× 訪問看護の利用にあたっては医療保険と介護保険のいずれかを、利用者が選択できない。訪問看護は、医療保険適用のものと介護保険適用のものがある。訪問看護は、要支援や要介護の認定を受けている場合、基本的に公的介護保険が優先される。 それ以外の場合は、基本的に公的医療保険を利用することになる。
4.〇 正しい。40歳から65歳未満のがん患者は、介護保険法で定める特定疾病の状態のときに介護保険が利用できる。特定疾病の状態にあるがん患者(末期がんの患者)であれば、介護保険を利用して訪問看護以外のサービスを利用できる、なお、訪問看護は、末期がんであることから医療保険から受給する。

特定疾病(16種)

筋萎縮性側索硬化症
後縦靱帯骨化症
骨折を伴う骨粗鬆症
多系統萎縮症
初老期における認知症
脊髄小脳変性症
脊柱管狭窄症
早老症
糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症および糖尿病性網膜症
脳血管疾患
パーキンソン病関連疾患
閉塞性動脈硬化症
関節リウマチ
慢性閉塞性肺疾患(COPD)
両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症
がん(末期)

 

 

 

 

 

29 学校教育法に基づく特別支援教育について適切なのはどれか。

1.訪問教育の対象は中学生までである。
2.支援体制を確立するために校内委員会を設置する。
3.重度の肢体不自由児に対し通級による指導を行う。
4.特別支援学校の教員は研修を受けずに経鼻経管栄養を実施できる。
5.転校の手続きを取らなくても長期入院中であれば院内学級に通うことができる。

解答

解説
1.× 訪問教育の対象は、中学生までではなく高等学校も対象である。訪問教育は、特別支援教育の一形態で障害が重度であるかまたは重複していて特別支援学校等に通学困難な児童生徒に対し、教員が児童生徒の居住している家庭・病院・施設等へ訪問して学校教育を届けることをいう。
2.〇 正しい。支援体制を確立するために校内委員会を設置する。校内委員会の役割として、①特別な教育的支援が必要な児童生徒に早期に気づく、②児童生徒の実態把握を行い学級担任の指導への支援方策を具体化するなどが挙げられる。
3.× 重度の肢体不自由児に対し、通級による指導は行わない。通級による指導とは、通常の学級に在籍している軽度の障害のある児童生徒が、通常学級の授業を受けつつも、障害に応じた特別な指導を受ける教育形態である。重度の障害のある児童生徒は通常学級の在籍が難しいため、当てはまらない。
4.× 特別支援学校の教員でも研修を受けずに経鼻経管栄養することはない。なぜなら、喀痰の吸引、経管栄養といった医療的ケアを必要とする児童生徒についての教員が処置を実施できる条件として、①保護者および主治医の同意を得ていること、②医療関係者による適切な医学管理ができていること、③必要な知識・技術に関する研修を受けていることなどがあげられるため。
5.× 長期入院中であっても、転校の手続きを取らないと院内学級に通うことはできない。院内学級は、近隣の特別支援学校の分教室や小中学校の特別支援教室として設置されている。長期入院となる場合は、在籍校における長期欠席を防ぐため、院内学級を設置する学校へ転校手続きをする必要がある。

 

 

 

 

 

30 A地区では、豪雨による土砂災害から2か月が経つ。家屋が倒壊した被災者の仮設住宅への入居が始まり、新たなコミュニティの構築への支援が必要となった。A地区の仮設住宅入居者は単身高齢者が多く、かかりつけ医への受診以外に外出する機会がほとんどない。また、慣れない地域での不安を訴える声が聞かれた。
 仮設住宅入居者の孤立を防止し、新たなコミュニティづくりを促進するためのA地区への支援として、最も適切なのはどれか。

1.茶話会の開催
2.在宅医療の拡充
3.電話相談の拡充
4.通所介護事業所の開設
5.訪問リハビリテーションの実施

解答

解説
1.〇 正しい。茶話会の開催は、新たなコミュニティづくりを促進するためのA地区への支援として最も優先度が高い。茶話会の開催には、①気軽に立ち寄れる、②同じ境遇の仲間がいることを感じられる、③顔を合わせて話ができる、④知り合いができる、といった利点がある。入居者の孤立を防止し、新たなコミユニティをつくるきっかけとなる。
2.× 在宅医療の拡充は優先度が低い。なぜなら、在宅医療により医療者とのつながりは確保されるが、日常的な孤立感は解消されないため。
3.× 電話相談の拡充は優先度が低い。なぜなら、電話相談では入居者同士のつながりはもてないため。
4.× 通所介護事業所の開設は優先度が低い。なぜなら、通所介護事業所の利用には、要介護認定を受ける必要があり対象者が限定されるため。
5.× 訪問リハビリテーションの実施は優先度が低い。なぜなら、訪問リハビリテーションの利用には、要介護認定を受ける必要があり対象者が限定されるため。また、医療者とのつながりは確保されるが、自宅内でサービスの提供が行われるため、仮設入居者同士の新たなコミュニティづくりにはつながらない。

 

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