第104回(H30) 保健師国家試験 解説【午後51~55】

 

次の文を読み50、51の問いに答えよ。
 Aさん(65歳、男性、無職)。妻との2人暮らし。定年退職後、年金の給付を受けて生活している。2年前から足の震えが出現したため病院を受診し、Parkinson(パーキンソン)病と診断された。定期的に病院を受診していたが、Hoehn-Yahr(ホーエン・ヤール)の重症度分類でステージⅢとなり、主治医から医療費助成の申請を勧められた。Aさんの妻が申請のため保健所に来所した。

51 保健所保健師は、医療費助成の手続きの際に決めた日時に家庭訪問をした。Aさんは「入浴や通院のときに不安を感じることがあるが、何とか自分のことは1人でできている」と話した。
 初回訪問時に情報収集することで最も優先されるのはどれか。

1.経済状況
2.家族関係
3.住宅内の環境
4.近隣との付き合い

解答

解説

1.× 経済状況は優先度が低い。なぜなら、医療費助成の申請時に、自己負担上限月額の決定時に世帯の所得を確認できる書類を提出するため。したがって、経済状況は申請時の面接で把握する。また、経済的な諸事情がある場合は、患者・家族との関係を構築しながら継続的に確認する。
2.× 家族関係は優先度が低い。なぜなら、医療費助成の申請時に自己負担上限月額の決定のために住民票を提出するため。また、申請時の面接で家族構成員(申請者と医療保険を同一にするもの)や主介護者、その他の家族員についても把握する。家族関係は、介護状況や家族同士のかかわり方などからも、継続的に確認する。
3.〇 正しい。住宅内の環境は優先度が最も高い。なぜなら、住宅内の環境は、家庭訪問のときに把握でき、優先して確認し、安全に生活できる環境をAさんと一緒に考えることでAさんとも信頼関係を築けるため。何とか自分のことはひとりでできているが不安を感じていることから、日常生活を安心して安全に過ごせる。
4.× 近隣との付き合いは優先度が低い。なぜなら、現在顕在化している患者の不安に対応する根本的解決とはなりにくいため。

 

 

 

 

 

次の文を読み52、53の問いに答えよ。
 人口1万人のA市。5月23日に大規模な地震が発生し、家屋の倒壊などのため、住民の多くが避難所に避難した。地震発生から7日後、市の保健師は、避難所の巡回相談の際、被災者が夜間眠れずにいることが分かったが、それが主訴として現れないことから、大規模災害後の心の変化や対処方法を示したポスターを掲示した。また、他県から応援に来ている心のケアチームの精神科医に依頼し、災害後のストレス反応についての健康講座を行った。

52 ポスターの掲示や健康講座の開催によって、不眠や食欲不振を自覚して保健師に訴える被災者が増えた。
 このときの保健師の対応で適切なのはどれか。

1.栄養補助食品を配布する。
2.睡眠時間の記録をつけるよう促す。
3.心のケアチームと巡回相談の実施を調整する。
4.災害時の出来事について保健師に話すよう促す。

解答

解説
1.× 栄養補助食品を配布することは優先度が低い。なぜなら、被災者はポスターの掲示や健康講座を受けて、不眠や食欲不振を自覚し訴えており、食欲不振は大規模災害後の心理的な影響が原因であると考えられるため。
2.× 睡眠時間の記録をつけるよう促すことは優先度が低い。なぜなら、ポスター掲示や健康講座を受け、すでに不眠を自覚している被災者に、睡眠時間の記録をつけるよう指導しても、根本的な問題の解決には結びつかないため
3.〇 正しい。心のケアチーム巡回相談の実施を調整することは優先度が最も高い。なぜなら、不眠や食欲不振を訴えている被災者が、精神的に落ち着かせ、安心や安全を実感できるような支援を行うため。
4.× 災害時の出来事について保健師に話すよう促すことは優先度が低い。なぜなら、被災から7日後とまだ災害応急対策期であり、このような時期に被災者に災害時の出来事を聞き出すことはフラッシュバックの助長にもつながる可能性があるため。

 

 

 

 

 

次の文を読み52、53の問いに答えよ。
 人口1万人のA市。5月23日に大規模な地震が発生し、家屋の倒壊などのため、住民の多くが避難所に避難した。地震発生から7日後、市の保健師は、避難所の巡回相談の際、被災者が夜間眠れずにいることが分かったが、それが主訴として現れないことから、大規模災害後の心の変化や対処方法を示したポスターを掲示した。また、他県から応援に来ている心のケアチームの精神科医に依頼し、災害後のストレス反応についての健康講座を行った。

53 発災から2か月後、避難者は自宅や親戚宅、仮設住宅へ入居し、避難所は閉鎖された。その1か月後、保健師は仮設住宅の入居者への健康調査を実施することとした。
 保健師の行う健康調査について最も適切なのはどれか。

1.地区ごとに調査内容を変える。
2.仮設住宅の入居者の全戸訪問をする。
3.希望者にストレスチェックを実施する。
4.仮設住宅の集会所で聞き取り調査を実施する。

解答

解説
1.× 地区ごとに調査内容を変える必要はない。なぜなら、地区ごとに調査内容を変えると、健康調査のデータを地区ごとに比較できなくなってしまうため。健康調査の内容は同一のもので実施する。
2.〇 正しい。仮設住宅の入居者の全戸訪問をする。なぜなら、仮設住宅をすべて訪問することにより、入居者の健康問題や家族の状況、生活状況などをアセスメントすることができるため。
3.× 希望者にストレスチェックを実施する必要はない。なぜなら、仮設住宅の入居者の全体像を把握するためには、希望者だけでなく、全員にストレスチェックを実施する必要があるため。
4.× 仮設住宅の集会所で聞き取り調査を実施する必要はない。なぜなら、集会所での聞き取りでは、プライバシー保護への配慮が難しく、仮設住宅のすべての入居者が参加するとは限らないため。

 

 

 

 

 

次の文を読み54、55の問いに答えよ。
 Aさん(14歳、女子、中学2年生)は、両親と弟(2歳)との4人暮らし。中学校入学直後からクラスになじめず、無気力な様子がみられ、1年生の3学期から不登校になっている。学級担任と養護教諭は定期的に家庭訪問を行い、Aさんと母親の気持ちを聞き状況把握に努めた。Aさんは教室には入りづらいが、学校に行くことにはそれほど抵抗はないようだった。2年生の2学期になって「保健室なら行けそう」という言葉が聞かれるようになった。そこで、中学校の校内委員会でAさんの保健室登校について話し合うこととなった。

54 保健室登校を開始するにあたり、養護教諭が他の職員とともに確認する事項で適切でないのはどれか。

1.Aさんの保健室登校に対応できる職員の支援体制が整っていること
2.Aさんの保護者から保健室登校に対する協力が得られていること
3.全教職員の保健室登校に対する共通理解が得られていること
4.保健室登校を終了する期日が設定されていること

解答

解説
1.〇 Aさんの保健室登校に対応できる職員の支援体制が整っていることは大切である。養護教諭は学級担任などと連携し、Aさんの保健室登校に対応できる職員の支援体制を整える。
2.〇 Aさんの保護者から保健室登校に対する協力が得られていることは大切である。養護教諭は必要に応じて保護者へ連絡、助言を行い、Aさんの保健室登校に対する協力を得ておく。
3.〇 全教職員の保健室登校に対する共通理解が得られていることは大切である。全教職員の保健室登校に対する共通理解を得ておくことで、職員間でAさんの支援方針の共有や連携が円滑に行われ、学校全体で支援することが可能となる。
4.× 保健室登校を終了する期日が設定されていることは必要ない。なぜなら、保健室登校を終了する期日を設定してしまうことは、Aさんのペースに合わせた支援計画が立てられないばかりか、職員がAさんの教室登校を焦らせてしまう一因にもなりかねないため。

 

 

 

 

 

次の文を読み54、55の問いに答えよ。
 Aさん(14歳、女子、中学2年生)は、両親と弟(2歳)との4人暮らし。中学校入学直後からクラスになじめず、無気力な様子がみられ、1年生の3学期から不登校になっている。学級担任と養護教諭は定期的に家庭訪問を行い、Aさんと母親の気持ちを聞き状況把握に努めた。Aさんは教室には入りづらいが、学校に行くことにはそれほど抵抗はないようだった。2年生の2学期になって「保健室なら行けそう」という言葉が聞かれるようになった。そこで、中学校の校内委員会でAさんの保健室登校について話し合うこととなった。

55 Aさんは不定期な保健室登校ができる段階を経て、2年生の3学期からは毎日、保健室登校ができている。スクールカウンセラーとも数回の面接を行い「欠席のきっかけは友人関係だった」などと自分自身を振り返ることもでき、情緒的に安定してきた。最近では時々、学級担任に会いに教室に行けるようになった。保健室へ来室する数人の同級生と会話する様子もみられてきたことから、養護教諭は学級担任や他の職員と相談して、この機会に、Aさんが教室に登校できるように働きかけることにした。
 養護教諭が行う支援で最も適切なのはどれか。

1.1週間当たりの教室に行く回数を決める。
2.保健室をAさんの居場所として定着させる。
3.Aさんが興味のある科目から参加するよう勧める。
4.同級生に毎日保健室に迎えに来てもらうように依頼する。

解答

解説
1.× 1週間当たりの教室に行く回数を決める必要はない。なぜなら、Aさんの体調に合わせた柔軟な対応が必要となり、教室に行く回数を決めることはAさんの心理的な負担につながりかねないため。
2.× 保健室をAさんの居場所として定着させる必要はない。なぜなら、教室で過ごすという目標を達成するため。
3.〇 正しい。Aさんが興味のある科目から参加するよう勧める。なぜなら、Aさんが興味のある科目の参加を促すことは、Aさんが教室に行くことの動機づけとなるため。
4.× 同級生に毎日保健室に迎えに来てもらうように依頼する必要はない。なぜなら、教室に行くために毎日保健室に同級生が迎えに来ることは、Aさんにとって心理的な負担につながりかねないため。

 

 

※注意:著者は看護師で、解説はすべてオリジナルのものとなっています。私的利用の個人研究・自己研鑽のため作成いたしました。間違いや分からない点があることをご了承ください。またコメントにて解き方等教えてくださると幸いです。

 

※問題引用:第104回保健師国家試験、第101回助産師国家試験、第107回看護師国家試験の問題および正答について

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