第104回(H30) 保健師国家試験 解説【午前6~10】

 

6 変化ステージ理論について正しいのはどれか。

1.対象者の行動変容の段階に合った保健指導に有用である。
2.糖尿病に対する行動変化の研究から見出された。
3.解凍、変化、再凍結の段階がある。
4.ステージは後戻りしない。

解答

解説

変化ステージ理論とは?

変化ステージ理論(行動変容ステージモデル)とは、人の健康行動の変容や維持について示された理論である。プロチャスカ(Prochaska,J.O.)とディクレメンテ(Diclemente,C.C.)は、人の行動が変わりそれを維持するには5つのステージ、すなわち無関心期、関心期、準備期、実行期、維持期の各ステージを移動して行動変容を起こしていくと提唱した。

1.〇 正しい。対象者の行動変容の段階に合った保健指導に有用である。変化ステージ理論では、対象者の行動変容を5段階(無関心期、関心期、準備期、実行期、維持期)でアセスメントすることにより、現在の段階に合った保健指導を行うことができる。
2.× 糖尿病ではなく、禁煙に対する行動変化の研究から見出された理論である。
3.× 解凍、変化、再凍結の段階があるのは、変化ステージ理論ではなく、社会心理学者のレヴィン(Lewin,K)によって提唱された変化の3段階理論である。
4.× ステージは、後戻りもする。変化ステージの5段階は、必ずしも一方向に進むわけではなく、ときには後戻りりもする。そのため、継続的な保健指導が必要である。

 

 

 

 

 

7 ヘルスリテラシーについて誤っているのはどれか。

1.健康管理を行うために活用するスキルである。
2.ヘルスプロモーションの活動に関わる能力である。
3.情報提供の方法が適切か検討することが含まれる。
4.健康日本21(第二次)の目標にヘルスリテラシーの向上が挙げられている。

解答

解説

ヘルスリテラシーとは?

ヘルスリテラシーとは、WHOによると「健康の増進や維持に役立つ情報にアクセスし、理解し、利用する個人の意欲や能力となる認知的で社会的なスキル」とされる。

1.〇 健康管理を行うために活用するスキルである。ヘルスリテラシーは、健康の自己管理能力につながる。
2.〇 ヘルスプロモーションの活動に関わる能力である。ヘルスプロモーションとは「人々が自らの健康をコントロールし、改善できるようにするプロセスである」と定義されている。ヘルスリテラシーは、ヘルスプロモーションにおいて、住民の主体的な参加を促進する要因となる。
3.〇 情報提供の方法が適切か検討することが含まれる。情報を提供する側は、受け手側のヘルスリテラシーの状態に応じた情報提供の方法を工夫することが大切である。
4.× 誤っている。健康日本21(第二次)の目標には、ヘルスリテラシーの向上が挙げられていない。明確な目標項目としては含まれていないが、内容的には国民のヘルスリテラシーの向上を図って、健康寿命の延伸や生活習慣病予防を目指している。

 

 

 

 

 

8  Aさん(60歳、女性)は、隣に住むB さん(48歳、男性)についての相談のため、初めて保健所に来所した。「Bさんは以前から酒好きで、仕事が休みの日には朝から酒を飲んでいることがよくあった。ここ1か月ほどは仕事にも行かず、泥酔して大声で騒ぎ、家の中で暴れているようだ」と言う。
 初回相談の際のAさんへの地区担当保健師の対応で最も適切なのはどれか。

1.B さんの勤務の状況を聴取する。
2.飲酒が身体に及ぼす影響を説明する。
3.Aさんが今回相談に来所した目的を確認する。
4.B さんを医療機関に受診させるための協力を依頼する。

解答

解説
1.× B さんの勤務の状況を聴取するのは優先度が低い。なぜなら、Aさんが相談に来た目的もわからない状態で、やみくもにBさんの情報をAさんから聞き出すことは、正確性にも欠けるため。
2.× 飲酒が身体に及ぼす影響を説明するのは優先度が低い。なぜなら、飲酒の身体への影響をAさんに説明することがBさんの飲酒行動の変容に直接つながるとは考えにくいため。
3.〇 正しい。Aさんが今回相談に来所した目的を確認するのは優先度が高い。Aさんの相談目的に応じて、保健師は今後の対応方針を検討するとともに、Aさんに必要な情報や助言内容を考えながら、対応していく必要がある。
4.× B さんを医療機関に受診させるための協力を依頼するのは優先度が低い。なぜなら、Aさんは赤の他人であるため。本人でも家族でもないAさんに受診への協力を要請することは、アルコール依存症の治療上および個人情報保護の観点からも適切ではない。

 

 

 

 

 

9 A市では特定健康診査の結果から、定年退職後の60歳代の男性は同年代の女性と比較して、退職後数年でHbA1c が基準値を超える者の割合が高いことが分かった。また、問診票から、日中は1人で過ごし昼食も1人で摂ることが多く、食事は全体的に外食や市販の惣菜に偏っていることが把握された。
 定年退職後の男性を対象とし、地域への波及効果も目的とした糖尿病予防事業として最も適切なのはどれか。

1.食事の記録をつけてもらい栄養士が評価する。
2.高血糖を予防する食事のパンフレットを郵送する。
3.特定健康診査で高血糖を予防するための個別相談を行う。
4.高血糖を予防する食事づくりの調理実習をグループで行う。

解答

解説
1.3.× 食事の記録をつけてもらい栄養士が評価する/特定健康診査で高血糖を予防するための個別相談を行う優先度は低い。なぜなら、糖尿病予防事業(高血糖予防)は、地域の定年退職後の男性全員を対象として検討しているため。健康診査や病院などで糖尿病の指摘を受けた者に対象を絞っているわけではないため、食事記録を栄養士が評価するような個別対応は難しい。
2.× 高血糖を予防する食事のパンフレットを郵送する優先度は低い。なぜなら、高血糖を予防する食事のパンフレットを郵送するだけでは、個別の関心を引きつけることはあっても、地域全体への波及効果までは期待できないため。
4.〇 正しい。高血糖を予防する食事づくりの調理実習をグループで行う優先度は高い。なぜなら、本事例は、糖尿病予防事業の地域全体への波及効果を目的としていることから、集団を対象とする手法が効果的であるため。また、定年退職後の男性が日中、1人で食事をしており、食事内容も偏りがあるという状況から、高血糖の有無にかかわらず、誰でも気軽に参加できる事業が望ましい。

 

 

 

 

 

10  Aさん(24歳、専業主婦)は、夫と生後6か月の乳児(出生体重2,900g)との3人暮らし。乳児健康診査が未受診で、電話にて受診勧奨を行ったが来所しないため、地区担当保健師が家庭訪問をした。訪問時、児の体重は7,500g。定頸しており、寝返りはできるがお座りはできない。「離乳食を開始したばかりで、進め方が分からない」と言うので、保健指導を行った。乳児健康診査については「風邪気味だったので連れて行けなかった。人付き合いが苦手で育児の相談相手もいないので、戸惑うことが多い」と話した。
 今後の保健師の対応として最も適切なのはどれか。

1.市の育児相談の利用を勧める。
2.定期的な家庭訪問を継続する。
3.地域の子育てサークルの立ち上げを促す。
4.児の発達について小児科医に相談することを勧める。

解答

解説

母親は「人付き合いが苦手で育児の相談相手もいないので、戸惑うことが多い」と話している。

1.〇 正しい。市の育児相談の利用を勧める。市の育児相談は、保健師や管理栄養士など専門職に相談できる機会であるとともに、保健師が見守るなか、Aさんと同じような悩みや不安を抱える親同士が交流できる場でもある。Aさんの場合、離乳食や育児の相談を動機づけとして、育児相談の利用を勧められること、保健師が見守る環境で、人付き合いが苦手なAさんが安心して交流を広げられるよう支援できることから、市の育児相談の利用を勧めることが今後の保健師の対応として適切である。
2.× 定期的な家庭訪問を継続する優先度は低い。なぜなら、ほかの人と交流する場に出ていくことが大切であるため。また、Aさんは専業主婦であり、相談相手もいないということから、今後、地域で孤立した状態になる可能性が考えられる。
3.× 地域の子育てサークルの立ち上げを促す優先度は低い。なぜなら、人付き合いが苦手であると話す母親に、その役割を促すのは難易度が高いため。地域の子育てサークルを立ち上げるには、同じようなニーズをもつ母親や支援者と相談しながら進める必要がある。
4.× 児の発達について小児科医に相談することを勧める優先度は低い。なぜなら、まだお座りはできないが、6か月児の乳児の発育発達は順調であるため。

 

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