第104回(R3) 助産師国家試験 解説【午前1~5】

 

問題の引用:第107回保健師国家試験、第104回助産師国家試験及び第110回看護師国家試験の合格発表

※注意:解説はすべてオリジナルのものとなっています。私的利用の個人研究のため作成いたしました。間違いや分からない点があることをご了承ください。コメント欄にて誤字・脱字等、ご指摘お待ちしています。よろしくお願いいたします。

 

1 乳癌で正しいのはどれか。

1.前癌状態として乳腺症がある。
2.好発部位は乳房の内下部である。
3.閉経後の肥満がリスク因子である。
4.発症年齢のピークは60歳代である。

解答

解説

1.× 乳腺症とは、30~50代の女性でよくみられる良性の疾患の総称である。乳腺症は、正常とは異なる状態に乳腺が変化している状態を指しており、基本的に良性腫瘍である乳腺症が、悪性腫瘍である乳癌へ変化することはない。
2.× 乳癌の好発部位は、「乳房の内下部」ではなく、1位:外側上部、次いで2位:内側上部、3位:外側下部、4位:内側下部、5位:乳輪部の順となっている。
3.〇 正しい。乳癌は肥満がリスク因子となる。閉経後も閉経前もBMIが大きくなるほどに乳癌のリスクが高くなっている。他にも、女性ホルモンに関連する因子として、①初経年齢が早い、②閉経年齢が遅い、③出産歴がない、④初産年齢が遅い、⑤授乳歴がないなどである。一方、閉経後の女性では運動による乳がんリスク減少の可能性が示されている。
4.× 乳癌の発症年齢のピークは「60歳代」ではなく、45〜54歳(40歳台後半から50歳台前半)である。

 

 

 

 

 

 

2 妊娠初期の過剰な摂取によって胎児の異常が生じる危険性がある栄養素はどれか。

1.ビタミンA
2.ビタミンB1
3.ビタミンB6
4.ビタミンB12

解答

解説
1.〇 正しい。ビタミンAは、妊娠初期の過剰な摂取によって胎児の異常が生じる危険性がある栄養素である。妊娠初期にビタミンAを過剰に摂取すると胎児に奇形(特に耳)を起こす可能性が高くなる。ビタミンAはレバーやうなぎなどに含まれ、妊娠中の必要量は1日2000 IU(600μg)で、上限は1日 5000 IU(1500μg)とされている。ちなみに、ほかにも妊娠初期に配慮すべき栄養素として、鉄・カルシウム・ビタミンA・葉酸・必須脂肪酸・ヨウ素があげられる。
2.× ビタミンB1は胎児の異常を引き起こす栄養素ではない。ビタミンB1は母乳にも分泌されるため、妊娠中や授乳中は普段よりも多めにビタミンB1を摂ることが推奨されている。ビタミンB1は肉、魚、豆類、穀類、種実類などに含まれる。
3.× ビタミンB6は胎児の異常を引き起こす栄養素ではない。ビタミンB6は妊娠初期のつわりに効果的という報告がある。ビタミンB6は野菜類、穀類、魚介類、種実類などに含まれる。
4.× ビタミンB12は胎児の異常を引き起こす栄養素ではない。ビタミンB12は葉酸と一緒に赤血球を作る働きをしているため、妊娠中や授乳中の摂取が推奨されている。ビタミンB12は魚、肉、鳥肉、卵、牛乳などに含まれる。

 

 




 

 

3 母体保護法第14条に明記されている人工妊娠中絶の適応となるのはどれか。

1.胎児が染色体異常であると診断された。
2.妊婦が妊娠中に梅毒に感染した。
3.暴行によって妊娠した。
4.妊婦が14歳である。

解答

解説

母体保護法とは?

母体保護法とは、不妊手術及び人工妊娠中絶に関する堕胎罪の例外事項を定めること等により、母親の生命健康を保護することを目的とした法律である。1948年7月13日に公布された。

以下:第14条を一部引用する。

(医師の認定による人工妊娠中絶)
第十四条 都道府県の区域を単位として設立された公益社団法人たる医師会の指定する医師(以下「指定医師」という。)は、次の各号の一に該当する者に対して、本人及び配偶者の同意を得て、人工妊娠中絶を行うことができる。
一 妊娠の継続又は分娩が身体的又は経済的理由により母体の健康を著しく害するおそれのあるもの
二 暴行若しくは脅迫によつて又は抵抗若しくは拒絶することができない間に姦淫かんいんされて妊娠したもの
2 前項の同意は、配偶者が知れないとき若しくはその意思を表示することができないとき又は妊娠後に配偶者がなくなつたときには本人の同意だけで足りる。

(※一部引用:「母体保護法」e-GOV法令検索様HPより)

1.2.4.胎児が染色体異常であると診断された///場合では、人工妊娠中絶の適応とならない。染色体異常とは、染色体の数や形の変化で起こる病気のことをいう。遺伝子の文字の変化で起こる病気を遺伝子異常症と呼ぶ。 染色体異常症・遺伝子異常症があると、体や脳の成長や発達が遅れたり、顔つきに特徴が出たり、体のいろいろな組織の形が通常と異なるなど、さまざまな症状が出る。
2.妊婦が妊娠中に梅毒に感染した場合では、人工妊娠中絶の適応とならない。梅毒とは、5類感染症の全数把握対象疾患であり、スピロヘータの一種である梅毒トロポネーマ感染により発症し、この梅毒トロポネーマが脳の実施まで至ると、進行性麻痺となる。
3.暴行によって妊娠した場合、母体保護法第14条に明記されている人工妊娠中絶の適応となる。これは、母体保護法第14条2項「暴行若しくは脅迫によつて又は抵抗若しくは拒絶することができない間に姦淫かんいんされて妊娠したもの」と記載されている(※一部引用:「母体保護法」e-GOV法令検索様HPより)。配偶者が知れないときやその意志を表示することができないとき、妊娠後に配偶者がなくなったときには本人の意思だけで足りる。
4.妊婦が14歳である場合では、人工妊娠中絶の適応とならない。ただし、妊娠の継続または分娩が身体的または経済的理由により母体の健康を著しく害するおそれのある場合は適応条件となる。

 

 

 

 

 

 

4 子宮頸がん検査の検体採取の説明で正しいのはどれか。

1.頸管に麻酔をする。
2.頸管粘液を採取する。
3.子宮口の平円柱上皮結合部を擦過する。
4.プレパラートに塗布した検体を凍結保存する。

解答

解説

子宮頸がんとは?

子宮頸がんとは、子宮の入り口である「子宮頸部」に発生するがんである。がんの中では比較的若い世代に発症しやすく、30歳代後半が発症年齢のピークである。子宮頸がんの多くは、HPV(ヒトパピローマウイルス)の感染が原因とされており、予防としては、HPVワクチンの接種が有効である。

【子宮頸がん検査の検体採取】
一般的に子宮頸がんの検査では、ブラシやヘラで子宮頸部をこすり、細胞を採取する「子宮頸部細胞診」と呼ばれる検査を行う。その採取方法として、医師が直接子宮を見ながら頸部の細胞を採取する「医師採取」が一般的であるが、自分自身で子宮入口(頸部)の細胞を採る「自己採取」による検査方法もある。

1.頸管に麻酔を「使用せず」、専用のブラシで細胞を擦過して採取する。専用のブラシで細胞を擦過する際は、多少の痛みや出血を伴うことがある。
2.「頸管粘液」ではなく細胞を採取する。一般的に子宮頸がんの検査では、ブラシやヘラで子宮頸部をこすり、細胞を採取する「子宮頸部細胞診」と呼ばれる検査を行う。その採取方法として、医師が直接子宮を見ながら頸部の細胞を採取する「医師採取」が一般的であるが、自分自身で子宮入口(頸部)の細胞を採る「自己採取」による検査方法もある。
3.子宮口の平円柱上皮結合部を擦過する。平(扁)円柱上皮とは、魚の鱗に似た薄く平らな細胞によって構成される上皮。 皮膚・消化管・子宮頸部などにみられる。
4.プレパラートに塗布した検体を「凍結保存」せず、固定液につけ顕微鏡で調べる。

 

 




 

 

5 排卵期に血中濃度が急上昇するのはどれか。

1.エストロゲン
2.バソプレシン
3.プロゲステロン
4.黄体形成ホルモン<LH>

解答

解説

排卵期とは?

約1ヵ月に1回卵巣から卵管へ卵子が放出されることを「排卵」という。 月経周期が一般的な28日周期の女性の場合、次の月経開始予定日から約14日前に起こる。 (※月経周期によって異なる。)排卵期は、黄体形成ホルモンと卵胞刺激ホルモンの血中濃度が急激に上昇して始まる。黄体形成ホルモンは卵子の放出(排卵)を促すが、排卵は通常、両ホルモンの急激な増加が始まってから16~32時間後に起こる。この時期にはエストロゲンの血中濃度は低下し、プロゲステロンの血中濃度が上昇し始める。

1.× エストロゲン(卵胞ホルモン)は、「排卵期」ではなく卵胞期に増加する。脳の視床下部から出るゴナドトロピン放出ホルモンが下垂体を刺激し、下垂体からは卵胞刺激ホルモン(FSH)が分泌され卵巣を刺激する。卵胞が成熟する過程でエストロゲンが十分に分泌されると、下垂体が黄体形成ホルモン(LH)を分泌して排卵が起こる。エストロゲンには子宮内膜を厚くして妊娠に備え、女性らしい丸みのある身体や美肌を作り自律神経の働きを安定させる。
2.× バソプレシンは、水の再吸収を促進する抗利尿ホルモンである。尿を濃くし尿量を減らす作用がある。
3.× プロゲステロン(黄体ホルモン)は、排卵直後から黄体期に増加する。排卵後の卵胞は黄体へと変化してプロゲステロンを分泌する。プロゲステロンは妊娠の準備のため基礎体温を上げ、受精卵が着床しやすいように子宮内膜を安定させ、乳腺を発達させる働きがある。また栄養や水分を体にたくわえようとするため浮腫や体重増加しやすい。妊娠が成立しなければ、排卵の1週間後くらいからプロゲステロンは減り始め、さらに1週間くらい経つと子宮内膜がはがれ月経が始まる。
4.〇 正しい。黄体形成ホルモン<LH>は、排卵期に急激に増加する。卵胞が成熟する過程でエストロゲンが十分に分泌されると、下垂体が黄体形成ホルモンを分泌し卵巣を刺激することで排卵が起こる。

 

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