第104回(R3) 助産師国家試験 解説【午前11~15】

 

11 妊婦の心理で多くみられるのはどれか。

1.妊娠初期に胎児への関心が最も高まる。
2.妊娠中期にアンビバレントな感情が強くなる。
3.出産準備教育を受けることで出産に対する不安は消失する。
4.妊娠による体型の変化のとらえ方と妊娠の受容は関連する。

解答

解説

1.× 胎児への関心が最も高まるのは、「妊娠初期」ではなく妊娠末期である。ちなみに、妊娠初期はプロゲステロンが急激に増加するため、心理的変化として、抑うつ気分、イライラ、不安感、涙もろさがみられる。また、PMSに似たような身体的症状(乳房の張り、痛み、強い眠気、疲れやすさ、だるさ)もみられる。
2.× アンビバレントな感情が強くなるのは、「妊娠中期」ではなく妊娠初期である。ちなみに、アンビバレントとは、喜びなどの肯定的感情と不安や恐怖などの否定的感情が共存する状態である。「妊娠はうれしいが、つわりが辛くて苦しい・・・」という相反する感情が、共存(もしくは交互)に抱きやすくなっている状態である。妊娠初期には胎児よりも妊娠の正常と異常ライフスタイルの変化夫との関係性の変化費用や経済面などの関心が強い。
3.× 出産準備教育を受けることで出産に対する不安は「消失する」と断定することはできない。出産準備教育とは、家族が一つに新しい家族を迎え育てていく準備ができるよう妊婦やその家族などを対象として行う健康教育で、「出産に向けての心身の準備」なども目的として含まれている。しかし、出産に対する不安として、①赤ちゃんが無事生まれて来るか?、②障害を持っていなか?など実際に出産をしないとわからないものも含まれる。自分自身がどのようなお産になるかはわからないことも多く、出産に対する不安がすべて消失するとはいえない。
4.〇 正しい。妊娠による体型の変化のとらえ方と妊娠の受容は関連する。妊娠初期には体型の変化は少ないが、妊娠中期より腹部の増大や胎動の自覚が現れることにより、赤ちゃんの存在を実感し妊娠を受容しやすくなる。

出産準備教育とは?

出産準備教育とは、家族が一つに新しい家族を迎え育てていく準備ができるよう妊婦やその家族などを対象として行う健康教育である。

【出産準備教育の目的】
①妊娠期の健康維持・増進、異常の予防。
②出産に向けての心身の準備。
③親になる心の準備。
④育児の準備。
⑤家族の準備。
⑥ネットワークづくり。

 

 

 

 

 

 

12 Aさん(33歳、経産婦)。夫と長男(3歳)との3人暮らし。妊娠24週2日の妊婦健康診査で来院した。妊娠経過は順調である。診察時、助産師に「前回の出産は1人で長い時間陣痛に耐えて痛くてつらかったです。夫は仕事で出産後に病院に到着しました。今回の付き添いも夫と話したけど、難しそうです。また同じ思いをするのかと思うと、不安です」と話す。
 Aさんへの対応で最も適切なのはどれか。

1.経産婦の平均分娩所要時間を説明する。
2.硬膜外麻酔分娩について情報提供する。
3.子どもの立会い出産を検討するよう促す。
4.Aさんが希望するケアについて話し合う。

解答

解説

本症例のポイント

・Aさん(33歳、経産婦)。
・3人暮らし(夫と長男3歳)。
妊娠24週2日:妊婦健康診査。
・妊娠経過:順調。
・診察時、助産師に「前回の出産は1人で長い時間陣痛に耐えて痛くてつらかったです。夫は仕事で出産後に病院に到着しました。今回の付き添いも夫と話したけど、難しそうです。また同じ思いをするのかと思うと、不安です」と。
→本症例は、「前回の出産は1人で長い時間陣痛に耐えて痛くてつらかった」と話している。まずはAさんの希望や要望を傾聴し、具体的に何を望んでいるのか?を明確に聞き出すことが大切である。その後、その希望や要望を叶えられる方法を提案・話し合う必要がある。

1~2.経産婦の平均分娩所要時間を説明する/硬膜外麻酔分娩について情報提供するより優先度が高いものが他にある。なぜなら、本症例は「1人で長い時間陣痛に耐えて痛くてつらかった」と1人でいたことに不安があった言い方をしているため。Aさんから硬膜外麻酔分娩についての希望はなく、陣痛に一人で耐えることを不安に思っているため、硬膜外麻酔分娩についてこの場面で情報提供するのは適さない。
3.子どもの立会い出産を検討するよう促すより優先度が高いものが他にある。なぜなら、本症例の長男は3歳であり、面倒や世話がかかる時期であるため。夫は仕事で付き添いが難しい状況で、子どもだけ立ち会い出産をさせるのは、さらに出産時に混乱する可能性がある。
4.Aさんが希望するケアについて話し合うことが最も優先される。本症例は、「前回の出産は1人で長い時間陣痛に耐えて痛くてつらかった」と話している。まずはAさんの希望や要望を傾聴し、具体的に何を望んでいるのか?を明確に聞き出すことが大切である。その後、その希望や要望を叶えられる方法を提案・話し合う必要がある。

 

 




 

 

13 産褥の時期と子宮復古の正常な所見の組合せで正しいのはどれか。

1.産褥2日:子宮底を臍高に触知
2.産褥7日:外子宮口1指開大
3.産褥14日:赤色悪露
4.産褥28日:手拳大の子宮

解答

解説

1.産褥2 日は、「子宮底を臍高に触知」ではなく「子宮底は臍下2横指」に触知できる。ちなみに、「子宮底を臍高に触知」できるのは分娩後約12時間後である。子宮底は胎盤娩出直後には臍下2〜3横指にあるが、数時間後には骨盤底筋や腟の緊張度の回復により再び上昇し約12時間後にはほぼ臍高に達する。
2.産褥7日では、外子宮口1指開大である。外子宮口は2〜3週間後に復元するが横裂状となる。
3.産褥14日は、「赤色悪露」ではなく黄色悪露である。黄色悪露とは、血液成分がさらに減少して白血球が増加したため黄白色となった悪露である。赤色悪露とは、大部分が胎盤剝離面からの血液で産後2〜3日にみられる。産後3〜4日以降には血液成分が減少してヘモグロビンが褐色に変色した褐色悪露となる。
4.産褥28日は、「手拳大の子宮」ではなく、ほぼ非妊時の大きさ(鶏卵大)である。分娩直後の子宮は小児頭大で産後4〜6週ほどで非妊時の鶏卵大へ戻る。手拳大の子宮は妊娠3ヶ月頃である。

産褥期の子宮底長、悪露の変化

・分娩直後:①子宮底長(11~12cm)、②子宮底の高さ(臍下2~3横指)、③悪露の色調・におい(赤色:鮮血性、血液のにおい)
・分娩後12時間:①子宮底長(15cm)、②子宮底の高さ(臍高~臍上1~2横指少し右方に傾く)、③悪露の色調・におい(赤色:鮮血性、血液のにおい)
1~2日:①子宮底長(11~17cm)、②子宮底の高さ(臍下1~2横指)、③悪露の色調・におい(赤色:鮮血性、血液のにおい)
・3日:①子宮底長(9~13cm)、②子宮底の高さ(臍下2~3横指)、③悪露の色調・におい(褐色、赤褐色:軽い異臭)
・4日:①子宮底長(9~10cm)、②子宮底の高さ(臍と恥骨結合の中央:臍恥中央)、③悪露の色調・におい(褐色、赤褐色:軽い異臭)
・5日:①子宮底長(8~11cm)、②子宮底の高さ(恥骨結合上縁3横指)、③悪露の色調・におい(褐色、赤褐色:軽い異臭)
・6日:①子宮底長(8~11cm)、②子宮底の高さ(恥骨結合上縁3横指)、③悪露の色調・におい(褐色、赤褐色:軽い異臭)
・7~9日:②子宮底の高さ(恥骨結合上わずかに触れる)、③悪露の色調・におい(褐色、赤褐色:軽い異臭)
10日以降~3週間:②子宮底の高さ(腹壁上より触知不能)、③悪露の色調・におい(黄色・無臭
・4~6週間:③悪露の色調・におい(白色・無臭)

 

 

 

 

 

 

14 Aさん(26歳、初産婦)。妊娠39週6日で2,850 gの女児を正常分娩した。本日産褥2日、助産師が訪室すると、Aさんが児に布団をかけずに寝かせていた。児の検温をすると36.4℃で、手足にやや冷感を認めた。
 助産師の対応で最も適切なのはどれか。

1.母児同室を一時中断する。
2.育児のパンフレットを渡す。
3.頻回に児の体温計測を行うよう指導する。
4.一緒に児の手足を触りながら冷感について説明する。

解答

解説

本症例のポイント

・Aさん(26歳、初産婦)。
・妊娠39週6日:2,850gの女児を正常分娩。
・本日産褥2日:助産師が訪室すると、Aさんが児に布団をかけずに寝かせていた
・児の検温をすると36.4℃で、手足にやや冷感を認めた。
→新生児の平熱は36.5~37.5度である。本児の検温をすると36.4℃、手足にやや冷感を認めていたことからも低体温の徴候が観察される。この原因としては、Aさんが児に布団をかけずに寝かせていたことがあげられる。新生児は体温調整機能が未熟であるため、新生児に肌着と着物を各1枚身につけさせ、バスタオルをかけている状態が望ましい。その際の室温は24~25℃、室温50~60%に保つことが望ましい。

1.× 母児同室を一時中断する必要はない。なぜなら、正常新生児の場合、今回のように環境の影響によって一時的に体温が低下した際は、①掛物を増やしたり、②室温を調整することなどで、正常な体温へと回復することが多いため。今回の訪室時に布団をかけていないという理由だけですぐに母児同室を一時中断する必要はない。
2.× 育児のパンフレットを渡すより優先度が高いものが他にある。なぜなら、パンフレットを渡すだけでは、そのパンフレットに記載されている内容のどこが重要なのかわからなかったり、今回のような「冷感」は実際に触ってみてもらうほうが伝わりやすいため。育児のパンフレットを渡して終わりではなく、実際に児の様子を見ながら説明する方がAさんの様子や理解度もわかる。
3.× 頻回に児の体温計測を行うよう指導する必要はない。なぜなら、正常新生児の場合、今回のように環境の影響によって一時的に体温が低下した際は、①掛物を増やしたり、②室温を調整することなどで、正常な体温へと回復することが多いため。また、頻回に児の体温計測を行うと、児だけではなく母親にも負担がかかる。今回のように一時的な体温低下の場合は、体温の回復を確認し、その後は通常の経過観察とする場合が多い。
4.〇 正しい。一緒に児の手足を触りながら冷感について説明する。なぜなら、Aさんは初産婦で新生児の温度調整などわからないこともあるため。一緒に児の手足を触りながら冷感について説明することでより理解がしやすい。

 

 




 

 

15 Aさん(38歳、初産婦)。母乳で育てたいと強く希望している。産褥3日、授乳時に児が泣き止まず助産師が呼ばれた。授乳状況は、児の顎が下に向いて乳房で顔がふさがり、児の首がねじれた状態で、Aさんは自分の乳房を強くつかんで押し込んでいた。
 助産師の説明として、適切なのはどれか。

1.「乳房を支えて赤ちゃんに近づけましょう」
2.「赤ちゃんの下顎が乳房に触れないようにしましょう」
3.「赤ちゃんの耳、肩、おしりが一直線になるように抱っこしましょう」
4.「赤ちゃんを乳房に近づけるときは、下唇が乳頭の位置にくるようにしましょう」

解答

解説

本症例のポイント

・Aさん(38歳、初産婦)。
・「母乳で育てたい」と強く希望。
・産褥3日:授乳時に児が泣き止まず助産師が呼ばれた。
・授乳状況:児の顎が下に向いて乳房で顔がふさがり、児の首がねじれた状態
・Aさん:自分の乳房を強くつかんで押し込んでいた。

1.「乳房を支えて赤ちゃんに近づけましょう(乳房を近づける)」と伝えてしまうと、母親が前傾姿勢となり母親がつらい姿勢となってしまう。基本的には、片手で児頭をコントロールしながら、児を乳房へ引き寄せるようにする。母親の姿勢にも配慮する必要がある。
2.「赤ちゃんの下顎が乳房に触れないようにしましょう」と伝えてしまうと、児が深い吸着が行えない。児の下顎が乳房に埋もれこむようにすることで効果的な吸着(ラッチオン)が行えるようになる。①口が大きく開く、②唇が外向き、③下顎が乳房に触れている、④乳房の上方に比べ下方を深く含んでいるといった深い吸い方ができると乳頭亀裂などのトラブルが少なくなる。
3.「赤ちゃんの耳、肩、おしりが一直線になるように抱っこしましょう」と伝える必要がある。なぜなら、設問から授乳状況が、児の顎が下に向いて乳房で顔がふさがり、児の首がねじれた状態となっているため。児にとって体勢が苦しくなっているため、耳、肩、おしりが一直線になるように抱っこして授乳するように促す。
4.「赤ちゃんを乳房に近づけるときは、下唇が乳頭の位置にくるようにしましょう」と伝えてしまうと、浅い吸い方になってしまい、効果的に授乳ができないため適さない。「下唇に乳頭を当てる」のではなく、下顎に乳頭から2cmほど下のあたりを当てると児が乳頭に深く吸着できる。

 

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