第104回(R3) 助産師国家試験 解説【午前21~25】

 

21 妊婦健康診査でHBs抗原陽性、HBe抗原陽性を指摘された初産婦に対して行う母子感染予防策で正しいのはどれか。

1.出産直前の母体に抗ウイルス薬投与を行う。
2.予定帝王切開で分娩を行う。
3.出生直後の児にB 型肝炎ワクチン接種を行う。
4.生後2か月で抗HBs ヒト免疫グロブリン投与を行う。

解答

解説

B型肝炎ウイルス検査について

・HBs抗原が「陰性」の場合:B型肝炎ウイルスに感染していない。自覚症状などがあれば、再度検査を促す。

・HBs抗原が「陽性」の場合:B型肝炎ウイルスに感染している。医療機関の受診を強く勧める。HBs抗原が陽性となった場合には、医療機関において、現在の感染状態を調べるため、さらに詳しい検査を実施する。

【さらに詳しい検査項目】
①HBs抗体:陽性であれば過去に感染し、その後、治癒やしたことを示す。HBVワクチンを接種した場合にも陽性となる。
②HBc抗体:陽性であればHBVに感染したことを示す。(HBVワクチン接種の場合は陽性にはならない。)
③HBc-IgM抗体:最近HBVに感染したことを示す。
④HBe抗原:陽性であれば一般にHBVの増殖力が強いことを示す。
⑤HBe抗体:陽性であれば一般にHBVの増殖力が低下していることを示す。
⑥HBV-DNA:血液中のHBVのウイルス量を測定する。

1~2.× 出産直前の母体に抗ウイルス薬投与を行う/予定帝王切開で分娩を行う必要はない。なぜなら、B型肝炎ウイルス(HBV)は血液を介して感染するため。ちなみに、HBs(B型肝炎ウイルス)抗原陽性の妊婦から出生した児は、「B型肝炎母子感染防止対策」の対象となる。全妊婦の抗原検査を実施し、キャリア妊婦発見後、出産直後に抗HBsヒト免疫グロブリンを投与することによって産道感染を予防する。その後、HBワクチンを投与して免疫能を獲得し感染を予防する。赤ちゃんに感染しても多くは無症状であるが、まれに乳児期に重い肝炎を起こすことがあり、将来、肝炎、肝硬変、肝がんになることもある。
3.〇 正しい。出生直後の児にB型肝炎ワクチン接種を行う。B型肝炎の検査結果が陽性の場合、新生児は出生直後B型肝炎ワクチン(HBワクチン)抗HBsヒト免疫グロブリン(HBIG)の2つの予防接種を受ける。手順として、①出生直後(12時間以内)に抗HBsヒト免疫グロブリン(HBIG)を投与するとともに、1回目のB型肝炎ワクチン(HBワクチン)の接種を行う。②生後1か月に2回目のB型肝炎ワクチン(HBワクチン)、③生後6か月に3回目のB型肝炎ワクチン(HBワクチン)を実施する。HBs抗原陽性かつHBe抗原陽性の妊婦から出生した乳児を放置した場合、感染率が100%、キャリア化率が80~90%であるため、B型肝炎ウイルス母子感染予防処置が行われている。
4.× 生後2か月で抗HBsヒト免疫グロブリン投与を行う必要はない。手順として、①出生直後(12時間以内)に抗HBsヒト免疫グロブリン(HBIG)を投与するとともに、1回目のB型肝炎ワクチン(HBワクチン)の接種を行う。②生後1か月に2回目のB型肝炎ワクチン(HBワクチン)、③生後6か月に3回目のB型肝炎ワクチン(HBワクチン)を実施する。生後 9〜12か月を目安に HBs 抗原と HBs 抗体検査を実施し予防処置の結果を確認する。

(※表引用:「予防接種スケジュール」日本小児学会より)

 

 

 

 

 

 

22 公的医療保険が適応されるのはどれか。

1.新生児の沐浴指導料
2.正常経腟分娩の分娩介助料
3.貧血を生じた褥婦に対する鉄剤の処方料
4.新生児の先天性代謝異常等マススクリーニング検査費用

解答

解説

1.× 新生児の沐浴指導料(助産サービス)は、自費である。入院中のオムツ代やミルク代などに限らず、出産費用、乳房ケアなどは各施設で独自に設定できる。
2.× 正常経腟分娩の分娩介助料は、自費である。妊娠・出産の「異常」に対する医療行為は診療報酬で規定されているが、「正常」の場合は自費診療となる。ちなみに、分娩介助料とは、分娩時に異常が発生した際の助産師のサポートに対して請求される費用である。鉗子娩出術、吸引娩出術などで行われる会陰保護の費用も含まれる。
3.〇 正しい。貧血を生じた褥婦に対する鉄剤の処方料は、公的医療保険が適応される。貧血を生じた褥婦に対する鉄剤の処方料など病院で処方箋をもらって薬を購入する場合、自己負担は1〜3割で、残りは税金や保険料から賄われる。
4.× 新生児の先天性代謝異常等マススクリーニング検査費用は公費負担となるが、採血などにかかる費用は自己負担となる。この検査では、有機酸代謝異常症や脂肪酸代謝異常症など20の病気の早期発見が可能になる。

新生児マススクリーニングとは?

新生児マススクリーニングとは、生後4~6日目のすべての赤ちゃんを対象にした大切な検査で、赤ちゃんの代謝とホルモンの病気を見つけることを目的としている。赤ちゃんの中には、体に取り入れた栄養を、成長や活動のためのさまざまな物質に変化させる「代謝」に必要な酵素や、体の発育やはたらきを調節する「ホルモン」が生まれつき欠乏していたり、つくる力が弱い子がいる。このような赤ちゃんをそのままにしておくと知能障害や発育障害、ときにはショックや肝機能異常で生命にかかわることもあるが、これらの病気は早期の発見と治療によって障がいの発生を未然に防ぐことができる。

【検査の詳細】
出生体重2,000g未満の低出生体重児は、原則的には目齢4~6で第1回目の採血をし、さらに、
①生後1か月
②体重が2,500gに達した時期
③医療施設を退院する時期
のいずれか早い時期に、第1回目の検査の結果にかかわらず、第2回目の探血を実施することが望ましい。
出生体重2,000g以上の低出生体重児については、通常の方法で実施する。
出生体重2,000g未満の児で2回の採血を推奨する理由は次の通りである。
①低出生体重児であっても、生後早期に先天性代謝異常等の新生児スクリーニング検査を実施し疾患の早期発見に努めることは重要である。
②しかし、低出生体重児では生後早期からの経腸栄義が十分に行われず、一部の疾患では生後早期の検査結果が必ずしも病態を表さない可能性がある。
③さらに、一部の疾患では、生理調節機能の未熟性から、疾患を示峻する異常値を示さない可能性がある。

(※参考「新生児マス・スクリーニングにおける低出生体重児の採血時期に関する指針」日本小児内分泌学会より)

 

 




 

 

23 法律において、「使用者は、産後(①)週間を経過しない女性を就業させてはならない。ただし、産後(②)週間を経過した女性が請求した場合において、その者について、医師が支障がないと認めた業務に就かせることは、差し支えない」と規定されている。
 ①と②に入る数字の組合せで正しいのはどれか。

1.①4:②6
2.①6:②8
3.①8:②4
4.①8:②6

解答

解説

労働基準法(母性保護規定)

労働基準法(母性保護規定)の産前産後について書かれた第65条の一文である。「使用者は、産後8週間を経過しない女性を就業させてはならない。ただし、産後6週間を経過した女性が請求した場合において、その者について、医師が支障がないと認めた業務に就かせることは、差し支えない」と記載されている。

(※一部引用:「労働基準法」e-GOV法令検索様HPより)

したがって、選択肢4.①8:②6が正しい。労働基準法(母性保護規定)の産前産後について書かれた第65条の一文で「使用者は、産後8週間を経過しない女性を就業させてはならない。ただし、産後6週間を経過した女性が請求した場合において、その者について、医師が支障がないと認めた業務に就かせることは、差し支えない」と記載されている。ちなみに、労働基準法とは、労働者の生存権の保障を目的として、①労働契約や賃金、②労働時間、③休日および年次有給休暇、④災害補償、⑤就業規則といった労働者の労働条件についての最低基準を定めた法律である。

 

 

 

 

 

 

24 児童虐待の防止等に関する法律<児童虐待防止法>に明記されている助産師の役割はどれか。

1.児童虐待の早期発見
2.虐待を受けた児童の一時保護
3.虐待のおそれがある児童の居所への訪問
4.保護者に対する児童虐待防止のための教育

解答

解説

児童虐待防止法とは?

『児童虐待の防止等に関する法律(児童虐待防止法)』とは、児童虐待防止に関する施策を促進し、児童の権利・利益を擁護することを目的としている。児童に対する虐待の禁止、虐待に関する地方自治体の責務、児童の保護措置などが規定されている。

1.〇 正しい。児童虐待の早期発見は、児童虐待防止法に明記されている助産師の役割である。児童虐待防止法の第五条に「学校、児童福祉施設、病院その他児童の福祉に業務上関係のある団体及び学校の教職員、児童福祉施設の職員、医師、保健師、弁護士その他児童の福祉に職務上関係のある者は、児童虐待を発見しやすい立場にあることを自覚し、児童虐待の早期発見に努めなければならない」と規定されている(※一部引用:「児童虐待の防止等に関する法律」e-GOV法令検索様HPより)。
2.× 虐待を受けた児童の一時保護は、「助産師」ではなく、児童虐待に係る通告を受けた市町村または都道府県の設置する福祉事務所などが行う。通告又は送致を受けた場合の措置として第八条には、市町村または都道府県の設置する福祉事務所は児童虐待に係る通告や市町村等からの送致を受けた場合、子どもの安全の確認を行うよう努めるとともに、必要に応じ一時保護を行うものとされている。
3.× 虐待のおそれがある児童の居所への訪問は、「助産師」ではなく、児童委員または児童の福祉に関する事務に従事する職員が行う。立入調査等として第九条に「都道府県知事は、児童虐待が行われているおそれがあると認めるときは、児童委員又は児童の福祉に関する事務に従事する職員をして、児童の住所又は居所に立ち入り、必要な調査又は質問をさせることができる。」と規定されている(※一部引用:「児童虐待の防止等に関する法律」e-GOV法令検索様HPより)。
4.× 保護者に対する児童虐待防止のための教育は、「助産師」ではなく、学校及び児童福祉施設である。児童虐待の早期発見等として第五条「学校及び児童福祉施設は、児童及び保護者に対して、児童虐待の防止のための教育又は啓発に努めなければならない。」と規定されている(※一部引用:「児童虐待の防止等に関する法律」e-GOV法令検索様HPより)。また、児童福祉法27条2項には「児童又はその保護者を児童相談所その他の関係機関若しくは関係団体の事業所若しくは事務所に通わせ当該事業所若しくは事務所において、又は当該児童若しくはその保護者の住所若しくは居所において、児童福祉司、知的障害者福祉司、社会福祉主事、児童委員若しくは当該都道府県の設置する児童家庭支援センター若しくは当該都道府県が行う障害者等相談支援事業に係る職員に指導させ、又は市町村、当該都道府県以外の者の設置する児童家庭支援センター、当該都道府県以外の障害者等相談支援事業を行う者若しくは前条第一項第二号に規定する厚生労働省令で定める者に委託して指導させること」と規定されている(※一部引用:「児童福祉法」e-GOV法令検索様HPより)

児童福祉法とは?

児童福祉法とは、児童の福祉を担当する公的機関の組織や、各種施設及び事業に関する基本原則を定める日本の法律である。児童が良好な環境において生まれ、且つ、心身ともに健やかに育成されるよう、保育、母子保護、児童虐待防止対策を含むすべての児童の福祉を支援する法律である。

 

 




 

 

25 周産期病棟における新生児の安全管理で適切なのはどれか。

1.児の移動は抱っこで行う。
2.児の総数は1日1回確認する。
3.児の識別用ネームバンドは退院日の朝に外す。
4.新生児の姓名(ネームカード)が廊下から見えないようにする。

解答

解説

周産期病棟とは?

周産期とは、妊娠22週から出生後7日未満までの期間をいい、合併症妊娠や分娩時の新生児仮死など、母体・胎児や新生児の生命に関わる事態が発生する可能性が高くなる期間である。周産期病棟(周産期センター・産科病棟・MFICU)は、早産や低出生体重児、先天性の病気などが原因で特別な医学的管理を必要とする赤ちゃんのための集中治療室である。 昼夜を問わない分娩や緊急帝王切開にも、必要な場合は新生児科医師が対応する。

1.あえて児の移動は抱っこで行う必要はない。なぜなら、抱っこでは転倒・転落の危険性があるため。新生児の移送には新生児用ベッドを使用する。
2.「児の総数」だけ1日1回確認のみでは、取り違えに対応できない。また、新生児の連れ去り対策として、新生児に電子センサータグを導入するところも増え、範囲外に出ようとすると警報が鳴り、連動して産科病棟すべてのドアがロックされるシステムも導入されている。「児の総数」だけではなく、誕生直後の新生児のカラー写真を撮り、身体検査の結果、児の特徴などを記録し、確認する必要がある。
3.児の識別用ネームバンドは「退院日の朝」ではなく「退院する直前に母親の前もしくは、退院後に家族が」外す。なぜなら、取り違えなどを防ぐため。
4.新生児の姓名(ネームカード)が廊下から見えないようにする。なぜなら、個人情報保護の観点のため。また、連れ去り防止にも寄与する。

 

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