第104回(R3) 助産師国家試験 解説【午後21~25】

 

21 Aさん(28 歳、初産婦)。妊娠16週0日。分娩予約の目的で病院を1人で受診した。外来受診時に助産師は、Aさんの顔面の出血斑に気付き、ドメスティックバイオレンス〈DV〉を疑った。
 このときの助産師の対応で適切なのはどれか。

1.顔面の出血斑の原因を聞く。
2.ソーシャルワーカーを紹介する。
3.配偶者暴力相談支援センターに連絡する。
4.次回の妊婦健康診査時にDVスクリーニングを行う。

解答

解説
1.〇 正しい。Aさんは1人で受診しており、プライバシーの守られた環境下でDVが疑われる顔面の出血斑の原因を聞くことは正しい。
2.× 今は顔面の出血斑のみでDVが確定していない。またソーシャルワーカーは社会福祉士や児童福祉司など社会福祉支援活動を行う人の総称であり、DVが疑われる妊婦にソーシャルワーカーを紹介するよりも本人から話を聞く方が優先される。
3.× 今は顔面の出血斑のみで本人から話を聞けていないため、配偶者暴力相談支援センターに連絡する前に事実確認が優先される。
4.× DVスクリーニングは次回の妊婦健康診査時には付き添いもあるかもしれないため、1人で受診している今プライバシーの守られた環境下で行うことがよい。

 

 

 

 

 

 

22 助産所について正しいのはどれか。

1.開設した場合は所在地の市区町村長に届け出る。
2.分娩を扱わない助産所でも産後ケアを行える。
3.開設者は助産師でなければならない。
4.入所者数の上限は12 名である。

解答

解説
1.× 助産師が助産所を開設したときは、開設後10日以内に助産所の所在地の都道府県知事(開設地が保健所を設置する市や特別区の区域にある場合、保健所を設置する市区町村長)に届け出なければならない。
2.〇 正しい。助産所で行うケアには、妊婦健診や分娩、母乳ケアや育児相談などの産後ケアがあり、分娩を扱わない助産所でも産後ケアを行える。助産所は医療法で定められている。
3.× 助産所の開設者は助産師以外でも可能である。ただし助産師以外が助産所を開設するときは、開設地の都道府県知事の許可を受けなければならない。また助産所の管理者は助産師でなければならない。
4.× 入所者数の上限は10名である。医療法第14条では、助産所の管理者は同時に10人以上を入所させてはならないと定められている。ただし他に入院、入所させるべき適当な施設がない場合においては臨時応急のための入所は除外される。

 

 

 

 

 

 

23 大規模災害が発生した。病院は停電・断水となった。建物の倒壊はない。入院中の褥婦に退院先の状況を確認したところ、全員から、停電・断水中だが居住可能な場所に退院する、との返答があった。
 明日退院予定で混合栄養を行う褥婦に説明する内容で適切なのはどれか。

1.児は退院まで新生児室で預かる。
2.哺乳瓶の代わりに紙コップも使用できる。
3.母乳分泌量に関わらず母乳栄養は中止する。
4.調乳にはミネラルウォーター(硬水)を使用する。

解答

解説
1.× 母子は明日退院予定であり、退院まで新生児室で預かってしまうと災害もある中で母子での退院後の生活がイメージできず困難になることが予測されるため適さない。
2.〇 正しい。断水中は哺乳瓶が準備できないこともあるため、哺乳瓶の代わりに毎回清潔に使い捨てできる紙コップも使用できることを説明する。紙コップでの授乳はまずは児の上体をまっすぐ起こした状態かやや傾いた状態で抱き、紙コップの縁が児の上唇に触れるように与える。ミルクが上下の唇に少し触れるようにすると、児は自分でミルクを飲み始める。この時ミルクを流し込まないように注意する。
3.× 断水している中では粉ミルクを作ることが困難なこともあり、母乳の方があげやすいため母乳栄養を中止する必要はない。
4.× 調乳にはできるだけ硬度の低い軟水を使用するように説明する。児は消化器官が未熟なためミネラル分の多い水では腎臓に負担がかかり、消化不良を引き起こす可能性がある。また抵抗力や免疫力の弱い児を菌から守るために70度以上で調乳する。

 

 

 

 

 

 

24 出生前に行われる遺伝学的検査について正しいのはどれか。

1.検査後に遺伝カウンセリングを開始する。
2.マススクリーニングとして実施される。
3.確定的検査と非確定的検査がある。
4.妊娠22 週以降には実施しない。

解答

解説
1.× 遺伝カウンセリングでは染色体や遺伝子が関与している生まれつきの病気や特性・体質に関する様々な問題について相談できる。遺伝カウンセリングは本人の意思によるものであり、検査後に必ず開始するわけではない。
2.× 遺伝学的検査は子宮内の胎児についての情報を得て周産期管理に役立てることなどが目的であり、出生前のマススクリーニングとしては実施されていない。
3.〇 正しい。遺伝学的検査とは染色体疾患、遺伝性疾患に関する検査で確定的検査と非確定的検査がある。確定的検査は胎児・母体に対して侵襲的で診断の確定に用いられる検査で、羊水検査絨毛検査(CVS)がある。非確定的検査は母体血を用いた非侵襲的で非確定的な検査である。妊娠中期母体血清マーカー検査、妊娠初期コンバインド検査、出生前遺伝学的検査(NIPT)がある。
4.× 遺伝学的検査は妊娠10週以降が対象である。検査によって検査対象、検査時期、検査感度・特異度が異なる。検査は妊娠22 週以降でも実施できるが、妊娠中後期からは母体の血液中の児由来のDNA濃度が減少することがあり、精度は低下する。

 

 

 

 

 

 

25 分娩誘発・促進の方法で正しいのはどれか。

1.メトロイリンテルの挿入後、子宮収縮薬を併用する時は30 分あける。
2.プロスタグランジンF2αは気管支喘息の合併妊婦には使用できない。
3.吸湿性頸管拡張材は子宮収縮薬投与中であっても使用できる。
4.プロスタグランジンE2錠は30 分後に1錠追加できる。
5.オキシトシンの開始時投与量は5〜15 m IU/分である。

解答

解説
1.× メトロイリンテルとは子宮口が開かない際に挿入する器具であり、挿入が容易で産婦の苦痛も少ない上に効果も大きいため陣痛誘発にも用いられている。メトロと子宮収縮薬を併用する場合は挿入時から1時間以上分娩監視装置で観察を行った後に投与する。
2.〇 正しい。プロスタグランジンF2αは妊娠末期における陣痛誘発・陣痛促進・分娩促進の目的で静脈内注射投与により行われる。気管支を収縮させ、喘息発作を悪化または誘発する恐れがあるため、気管支喘息の合併妊婦には禁忌となっている。
3.× 吸湿性頸管拡張材は子宮収縮薬投与前の使用が効果的な陣痛を促す。吸湿性頸管拡張材は頸管内の水分を吸って徐々に子宮口を押し広げる器具であり、子宮口が硬い場合や分娩誘発時に使用される。子宮収縮薬は子宮口が開いていない場合、有効な陣痛が起きない可能性があるため、器械的に刺激して子宮口が開いてから投与することが望ましい。
4.× プロスタグランジンE2錠は妊娠末期における陣痛誘発並びに陣痛促進の効能がある。通常1回1錠を1時間毎に6回、1日総量6錠(ジノプロストンとして3mg)を1クールとし、経口投与する。
5.× オキシトシンは子宮収縮の誘発、促進並びに子宮出血の治療目的で使用される。分娩誘発・促進目的の開始時の投与量は1〜2m単位/分から開始し、陣痛発来状況と胎児心拍等を観察しながら適宜増減していく。なお点滴速度は20m単位/分を超えないようにする。

 

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