第104回(R3) 助産師国家試験 解説【午前26~30】

 

26 陣痛発来後に分娩進行が停滞した産婦に対し、陣痛促進を目的として実施した足浴の効果を評価するための指標で適切なのはどれか。

1.足浴実施から分娩終了までの時間
2.Apgar<アプガー>スコア
3.回旋異常の頻度
4.鉗子分娩の比率
5.分娩時出血量

解答

解説
1.〇 正しい。足浴実施から分娩終了までの時間は足浴により陣痛促進された場合、時間が短縮されたなどの評価の指標となる。
2.× Apgar<アプガー>スコアは出生直後の新生児の状態を評価するスコアであり、陣痛促進を目的として実施した足浴の効果を評価するための指標とはならない。
3.× 回旋異常の原因は骨盤の形態異常や子宮筋腫、低置胎盤、巨大児・低出生体重児出産の場合などである。回旋異常の頻度が陣痛促進を目的として実施した足浴の効果を評価するための指標とはならない。
4.× 鉗子分娩は、子宮口が全開大しており胎児も下がったタイミングで分娩の進行が止まってしまった場合に行われる。鉗子分娩は子宮口全開大して胎児が降りてきてからのことであり、それまでの陣痛の評価ができないため鉗子分娩の比率自体が陣痛促進を目的として実施した足浴の効果を評価するための指標とはならない。
5.× 分娩時の出血量と陣痛との関連はないため、陣痛促進を目的として実施した足浴の効果を評価するための指標とはならない。

 

 

 

 

 

 

27 月経前症候群<PMS>で正しいのはどれか。

1.日常生活に支障がある。
2.薬物治療は無効である。
3.更年期症状の一つである。
4.原因は子宮内膜症である。
5.月経前不快気分障害<PMDD>は軽症型である。

解答

解説
1.〇 正しい。月経前症候群<PMS>とは月経が始まる2週間前ごろからみられる精神的あるいは身体的症状であり、日常生活に支障がある。月経開始とともに軽快ないし消失する。
2.× 月経前症候群では腹痛頭痛腰痛などの症状に対して鎮痛剤などの薬物治療は有効であり、無効ではない。
3.× 月経前症候群は排卵から月経までの女性ホルモンの変動によるものであり、更年期症状とは別である。更年期症状は卵巣の機能が低下し、エストロゲンの分泌が急激に減少することで起こるホルモンバランスの崩れによって生じる。
4.× 月経前症候群は黄体期の後半に卵胞ホルモンと黄体ホルモンが急激に低下し、脳内のホルモンや神経伝達物質の異常を引き起こすことが原因と考えられおり、子宮内膜症とは関連がない。
5.× 月経前不快気分障害<PMDD>は月経前症候群の中でも心の不安定さが際立って強く出てしまう場合である。抑うつ気分、不安・緊張、情緒不安定、怒り・イライラの4症状が中心で、食行動の変化や睡眠障害などの特徴的な症状が月経前に出現することで社会活動や人間関係に支障をきたし、軽症型ではない。

 

 

 

 

 

 

28 胎児超音波検査において後頸部透亮像<nuchal translucency:NT>の評価時期で適切なのはどれか。

1.妊娠9 週
2.妊娠12週
3.妊娠18週
4.妊娠24週
5.妊娠30週

解答

解説
1.× 後頸部透亮像<nuchal translucency:NT>とは胎児を正中矢状断で超音波で観察し頚部の皮膚の厚みを描出したものである。NTが厚くなると染色体の異常とくに21トリソミーの危険性が高くなるという報告がある。測定時期は妊娠10〜14週であり、妊娠9 週では測定時期が早すぎる。
2.〇 正しい。日本産科婦人科学会が発行した「産婦人科診療ガイドライン」では、妊娠10〜14週での測定を勧められている。
3.× 測定時期は妊娠10〜14週であり、妊娠18週では測定時期が遅い。
4.× 測定時期は妊娠10〜14週であり、妊娠24週では測定時期が遅い。
5.× 測定時期は妊娠10〜14週であり、妊娠30週では測定時期が遅い。

 

 

 

 

 

 

29 日本人の食事摂取基準(2015 年版)で、妊娠中の女性が非妊時と同量の摂取で良いとされる栄養素はどれか。

1.カルシウム
2.タンパク質
3.鉄
4.ビタミンC
5.葉酸

解答

解説
1.〇 正しい。妊娠期にはカルシウムの吸収率が上がることから基本的にカルシウムの付加量は必要ないとされている。そのため非妊時と同量の摂取でよい。
2.× タンパク質は筋肉や臓器など身体を造るために非常に重要な栄養素である。妊娠中は妊娠初期は+0g、妊娠中期では+10g、妊娠後期では+25gを追加することが推進されている。
3.× 鉄はDNA合成、赤血球生成、基礎エネルギー代謝、脳神経形成、脳ホルモン生成、コラーゲン生成などを行い、胎児にも必要で妊娠中に不足しがちな栄養素である。妊娠中に必要な鉄分の量は19.5mと妊娠前の約2倍近く必要とされている。
4.× ビタミンCは皮膚や血管などからだの主要なタンパク質であるコラーゲンをつくるのに必要な栄養素である。妊娠中は110mg、授乳中は145mgの摂取が推奨されている。
5.× 葉酸は赤血球を作るために必要な栄養素である。妊娠活動期~妊娠初期には通常の240μgに加えて400μg/日の摂取が必要とされている。

 

 

 

 

 

 

30 出生直後の新生児の血糖維持の機序において、最も早期に効果が発現するホルモンはどれか。

1.グルカゴン
2.カテコラミン
3.コルチゾール
4.成長ホルモン
5.甲状腺ホルモン

解答

解説
1.〇 正しい。グルカゴンは肝臓でグリコーゲンとして蓄えられたグルコースを血液中に放出するよう働きかけ、血糖値を上昇させる。
2.× カテコラミンとはカテコールアミンのことで、脳、副腎髄質や交感神経に存在する神経伝達物質の総称で、アドレナリン、ノルアドレナリン、ドーパミンの3つがある。カテコールアミンが過剰に分泌すると、重度の高血圧や過度の発汗、動悸、頭痛などが起こる。逆に不足すると心身の脱力感や意欲の低下が起こり抑うつ状態を招きやすくなる。血糖維持の機能とは関係ない。
3.× コルチゾールは副腎皮質から分泌されるホルモンの1つであり、肝臓での糖の新生、筋肉でのたんぱく質代謝、脂肪組織での脂肪の分解などの代謝の促進、抗炎症および免疫抑制などを行う。血糖維持の機能とは関係ない。
4.× 成長ホルモンは脳下垂体から分泌され、小児期には背を伸ばす作用があり、成人になってからは筋肉や骨や皮膚を強くする作用がある。血糖維持の機能とは関係ない。
5.× 甲状腺ホルモンはサイロキシン(T4)とトリヨードサイロニン(T3)があり、新陳代謝を調節している。脈拍数や体温、自律神経の働きを調節し、エネルギーの消費を一定に保つ働きがある。血糖維持の機能とは関係ない。

 

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